昨夜のニュースも主役はヒルで、世界の視線が北京のヒルに集中している。昨日のプレスインタビューも素晴らしかった。あれは場所はホテルのロビーだと思うが、メッセージもよかったし、雰囲気も最高によかった。いい仕事をしている。ヒルは本当は7/12には米国に帰国の予定だったが、米朝協議をトラックして中国が北朝鮮への説得を怠慢しないように釘を刺すために、ボスのライスがヒルを再度北京に送り込んだ。仕事をさせるボス、仕事をよくする部下、ハードワークの米国がよく出ている。これが新自由主義のカルチャーだ。私は前の記事で、新自由主義にもクールでスマートなところがあって、学ぶべきところが多くあると書いたけれど、こういう場面に接するとその感慨を新たにする。最近の日本人はこういう具合に仕事をしない。すぐに怠けて遊ぶし、上司は部下に甘い。ヒルを北朝鮮担当に抜擢したのはライス自身だろうが、その人事が成功している。有能な人間が有能な人間を選んでいる。米国の強さというのは、新自由主義の強さというのは実はこういうところにある。パフォーマンス・オリエンテッドの思想。ライスは中東問題については自分の知識に絶対の自信を持っていて、直接に自身で政策判断を下しているが、東アジアについては知識と理論を持っていないことを率直に認めている。そこがライスの偉いところだ。だから信頼できる部下を選んで任務遂行を任せている。国務省の人材の中から人格と能力を見てヒルを選んだ。ヒルは素敵な人物だ。一生懸命に仕事をして、メッセージがいい。プレスインタビューの姿を見て欲しいが、日本人のようにふざけたクールビズの格好はしていない。ネクタイを締め、きちんとスーツを着ている。言葉もよかった。「中国は努力している。誰もが努力している。努力していないのは北朝鮮だけだ」「率直に言って、北朝鮮が積極姿勢を見せていないことに少し失望した」。素晴らしい。我々はこの言葉を聞きたいのであり、プレスはヒルにこう言って欲しいのだ。 韓国と中国のプレスはきっとヒルのことが大好きだろう。プレスを味方につけている。特に韓国のプレスにその気配が濃厚で、7/9のソウルでは女性記者を中心にヒルに密着して大歓迎の雰囲気があった。ヒルはメッセージを間違わない。ヒルは自分のミッションでありオブジェクティブである六カ国協議を大事にしていて、そのメンバーに接するときの態度はとても真剣で誠実だ。メンバーの中で最も気が合っているのは韓国の宋旻淳のように見える。去年の六カ国協議のときに、日本の佐々江賢一郎とホテルの中庭で相談するツーショットがあったが、あの絵もよかった。7/12に東京に来たとき、外務省では谷内正太郎が出迎えていたが、本当は佐々江賢一郎と握手する場面をプレスに撮らせるべきだっただろう。現在の六カ国協議のチェアマンは武大偉で、この男も優秀で悪くないが、もし王毅があのまま議長を続けていたら、ヒルと王毅は仲良しになっていただろうし、ルックスグッドな二人のツーショットは最高の絵になっただろう。 そんなことを想像する。米国にはヒルがいてライスがいる。中国には王毅がいて姜瑜がいる。優秀な魅力的な人物がいる。優秀な人間が真摯に精力的に仕事をしている。優秀な人間が優秀な部下を抜擢して重要な仕事をさせている。日本には本当に人がいない。政治家の中に人がいない。官僚や外交官の中に人がいない。マスコミや評論家の中に人がいない。人がいない。ネットの中で探せばいるだろうと思ったが、一年間探したけれど見つからなかった。能力と精神の二つを持った人間がいない。数年前に後輩と話をしたとき、「日本はもう駄目ですよ」と言うから、「いや、そんなことはないよ」と自信を持って反論したのだが、やはり彼の慧眼と洞察の方が正しかった。単にセレクトされて有能な人間が日の目を見ないというのではなく、そもそも人材が払底しているのだと認めざるを得ない。ヒルやライスが出てくる下に無数のヒルとライスがいて、王毅や姜瑜の下に無数の王毅と姜瑜がいるのだ。若い人ほどリアルに日本を見ている。 ミサイルの政治の方だが、ヒルはインタビューで国連での制裁決議案の審議に時間的拘束を与えない旨を明言した。つまり平壌の中朝交渉が暗礁に乗り上げても、その時点で制裁決議案を採決することはしないと言ったわけであり、これは事実上の制裁決議案撤回宣言に等しい。ボルトンと大島賢三と安倍晋三は臍を噛んでいるだろう。国連安保理の情勢は中露提案の非難決議案に決着する可能性がきわめて高くなった。六カ国協議体制というのは、右翼が言っているとおり北朝鮮の現体制を存続させるための装置である。金正日体制を崩壊させるよりも存続させた方が国益に適うと判断しているのは中露米韓の四国で、四国の利害は一致していて、日本だけが崩壊させるべきと考えている。米国にとっても、米軍再編とMDと中国封じ込めのグランドストラテジーをワークするためには、北朝鮮は現在のままの危険な独裁体制の状態が続いた方が都合がいい。日米間の北朝鮮に対する利害と方針の不一致は、いずれ亀裂となって表面に露呈することだろう。 7/11のニューヨークタイムズの記事では、一週間前のミサイル発射時の喧騒が嘘のように静まり返って、日本の安倍晋三や麻生太郎の過激な先制攻撃論が東アジアを六カ国協議で纏めようとする米国の戦略の足並みを乱しているという見方さえ示され始めている。
■GOOD JOB!
この記事よいネ!クリック!→