クローズドスキルとオープンスキルとは?
サッカーにおけるスキル(技術)は主にオープンスキルとクローズドスキルの2つに大別できる。私なりの定義・解釈を述べると、クローズドスキルとは試合の状況とは切り離された自己完結的な技術のことをいう。「敵」や「試合状況」を捨象し、「人 対 ボール」の関係において、自分の思い通りにボールを扱う正確な技術を指す。それに対しオープンスキルとは、「敵」のプレッシャーがかかる中、刻々と変化する「試合状況」に応じて、有効かつ的確なプレーを選択し十全に実践運用する技術のことをいう。こちらは「人 対 人」の関係で発揮されるスキルで、単純な技術の要素が強いクローズドスキルに流れの中での判断の要素・対人動作的要素・心理的要素が加わったものと言える。
JEFのオシム監督が「日本人は一人でボールを扱わせたら巧いが、ゲームになるとミスを連発してしまう」という趣旨の発言をしていたが、単純化していえば「クローズドスキルは高いが、オープンスキルはそれほどでもない」と言い換えることができる。トラップがうまい、ボール扱いがうまい、キックが正確だといっても、相手のプレッシャーに晒され、刻々と変化する状況の中で運用できる"試合で使える技術"でなければ意味がない。ブラジルやアルゼンチンの選手らは一人でボールを扱わせても巧いが、オープンスキルの点でも非常に優秀だと思う。
オープンスキルの限界を感じる大学生プレーヤー
今回のワールドユースの戦いを見ていて思ったのは、やはり平山や兵藤という大学生の選手はアジアユースのころと比べてみても、オープンスキルがほとんど伸びていなかったなということ。J1のレベルで揉まれ、日々研鑽してきた水野、水本、梶山、増嶋といった選手らの成長ぶりと比べると、相対的にレベルの低い周辺環境の中、オープンスキルに磨きをかけられなかった大学生の選手は、あまりのレベルの違いにとまどい、恐る恐るプレーするような臆病さが目についた。

おそらくサッカー協会は平山をコラー(チェコ)やクイン(アイルランド)のような一流のポストプレーヤーに育てたいのだろうし、彼と相性の良い兵藤を脇に置いておきたいのだろうが(つまり彼らの起用は大熊監督の専断によるものではないと推測している)、あまりに判断の的確さ・素早さという点で遅れをとっており、正直チーム・オフェンスの「流動性阻害要因」となっていた観がある。ヘディングの競り合いであれだけ勝てるのは確かに大きな武器であり続けているのだが、2年前のワールドユースのときと比べ、平山がほとんど伸びているようには見えなかったのは少しショックだった。兵藤に関してはたったの一度も煌きを見せてくれなかった。
「今回の自分は全然駄目だった。ミスを恐れたというか、ボールを失いたくなくて、消極的になってしまった。大事な場面なのに、今日もバックパスしてしまった。トライも少なかったし、自信もなかった。自分で自信をつけることもできなかった。
最後の時間帯はもっとボールに触らないといけなかった。ボールを受けに行ったけど、攻め急いで裏に飛び出したりしすぎた。もう1回中盤でもらってから組み立てることをしていれば結果は違ったかもしれない。一番いい内容の試合だったけど。
個人的には何もできなくて悔しい。これが現在の自分の力だと分かった。もっと(練習を)やらないといけない」
モロッコ戦の敗戦を教訓に
平山、前田、森本、カレン・ロバート、家長、梶山、水野、本田、増嶋、水本など、タレントの総合力では当たり年とも言えた今回のユース代表がベスト16で終わってしまったのは本当に残念。ロングボール一辺倒ではなく、技術のあるMFを中心にビルドアップしていこうという構築意志も見えたモロッコ戦はなかなか可能性を感じる良い試合だったのだが。
次回ユース世代はアルゼンチンやスペインの指導者に任せてみてはどうだろうか。2大会連続の指揮をとった大熊監督、本当にお疲れ様でした。
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