日本橋高島屋ギャラリーで開かれていた「日本の色 万葉の彩り 吉岡幸雄の仕事」展に足を運んだ。
京都で200年あまり続く染屋の5代目。
日本古来の植物染めにこだわり、今や日本のみならず海外からも熱い視線を浴びる染色家だ。
きものに親しむようになってからは色のことでちょっと調べたいときなど、吉岡さんの「日本の色辞典」はバイブル的存在である。
ただ眺めているだけでももちろん楽しい。
今回の展示は来年の平城京遷都1300年のために制作された伎楽の装束や、奈良の古寺から運ばれた幡や衣装など。
この時代の色彩は紫、藍、紅、黄とくっきりしていて、いわゆる日本的色彩とは趣が異なる。
雅なたおやかさでも侘び寂びでもなく、もっと単純で、おおらかで、いかにも大陸的だ。
ただし自然にあるもので染められた色は決して「原色」ではない。
あれ?どこかで見たことが…東大寺のお水取りで使われる和紙の椿も吉岡工房作と今回初めて知った。
11時と3時にはご自身による作品解説があるというので年末の忙しいときゆえ午前中に!と思って結局午後の部に…
そのお話を聞いてあらためて思ったのは、万葉の頃からの染色が今も途切れず続いていることの偉大さだ。
しかも古代と殆んど変わることのない素材と方法によって、である。
吉岡先生によれば、それを可能にした要因のひとつは日本という律令国家の管理体制の良さだという(昔から日本人は真面目で几帳面だった!)。
正倉院には実際の染織品だけでなく、染色方法の記録や当時使われていた木の実や花、媒染の薬などが今でも残っているそうだ。
木、紙、布など日本の文化を支えるのはどれも簡単に朽ち果ててしまいそうなものばかり、その儚いものたちが後世へと人の手技を継承させているのだからおもしろい。
絹布をコチニールと矢車で染めた鈍紫の美しかったこと…
明治以来、化学染料とジャカード機に大方は取って変わられたとはいえ、今も万葉の頃からの技を受け継ぎ、日本の伝統色を守りつづけてくれる人たちのいることが嬉しく、また誇りに思える展示の数々であった。
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