著名な脳科学者の本には、脳は「ずれ」を通して最大の学習をする、
と書いてある。脳の中にある図式と現実とのズレこそが、人間が創造
的であり続けるために必要な栄養である、ということらしい。
経営の第一歩は、目標を設定し、予算(事業計画)を作ることである。
経営のない企業は、予算をなかなか作らない。予算を予想と勘違い
していて、予算は的中率を競うものだと思い込んでいる。
予算が出来ても実績比較をなかなかしない。的中率を上げたいが
ために、実績に合わせて予算を変える。大事なことは、予算とのズレ
を認識し、今後に生かしていくことである。予算を達成するために十
分だと思った打ち手が全て実行されても、ズレが生じた場合、更なる
打ち手が必要になる。有効な対策を創造していくには、ズレの認識が
出発点となる。ズレがないと、旧態然とした対策で、同じ結果が続く。
不満足な結果を続けないためには、予実比較をきちんと行い、ズレ
の大きさによって、意識改革を進めるべきである。予算の精度(的中
率)を上げるには、予算の立て方を変えるのではなく、予算達成のた
めの行動計画を変えるのである。そういう意味で、最初はズレが大き
いほど、いい予算である。ズレが小さければ、なかなか意識は変わら
ず、危機感もない現状維持で、継続的な衰退に陥っていく。
愚直に予実比較を繰り返し、行動計画の見直しを積み重ねていくと、
予算の精度は上がってくる。また、予算の精度が上がれば、小さな
ズレにも神経が行き届き、健全な危機感を常に持てるようになる。
的中率を上げるべく安易に予算を変える経営者は、下げても下げて
も、未達状態が続く。身の丈を意識することは重要だが、大事なこと
は、手を尽くしているかどうかである。
社外の情報を取り込んで予算を作り、予算達成のために社内で行
動計画を策定し、社外で実行した結果を把握して予算と比較する。
予実比較のプロセスを通して、社内と社外の温度差を縮めることが
できるようになり、自らの行動でマーケットを創ることも可能になる。
世間の常識を知ることで、自社都合の見識の歪みが是正される。
社外取締役の役割でもある。
ベンチャービジネスがブレイクしないのは、社内の認識が社外(マー
ケット・世間)の認識と異なるからである。その認識のズレを予実比較
で把握し、次なる打ち手を創造していくことが、企業成長の鍵となる。
2006.10.22
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