VS サマーウォーズ   星☆☆☆

at 新宿バルト9

 前作「時をかける少女」の予想外の大ヒットで、一躍アニメ映画の期待の星になった、細田守監督。そんな監督の長編アニメ映画第2弾がこちら。

 名作映画のアニメ化だった、前作とは異なり今回は全くのオリジナル作品。だからこそ、監督の本当の力量が試される作品でもあります。

 物語は美人な学校の先輩・夏希に、内気な数学天才少年・健二が夏休み限定のバイトを、頼まれたことから始まる、ひと夏の物語。。と言っても、決して青春ものでも、ラブストーリーでもない。。夏希の頼んだバイトとは、彼女の彼氏のフリをして、彼女の長野の実家に行って欲しいというものだったのだ!

 先輩の彼氏・・・フリとは言え、美味しいシチュエーションではある。。が、しかし彼女の実家は、お盆と言うこともあり親戚の皆様、全員集合状態!!家族全員の食卓での、彼氏お披露目タイム・・・内気な健二は挨拶するのも一苦労。。でも、一人っ子で、親が留守がちだった健二は、少しづつこの賑やかな家族たちが、羨ましくも思えるように。。

 その頃、ネット世界では、大異変が起きていた。。この映画で登場する世界は、現代の日本と一つだけ異なる点がある、それはネット上にOZ(オズ)と呼ばれる仮想現実世界があり、国民は全員が自分のアバター、つまりネット上における自分専用のキャラクターを持っているということだ。アバターは、勿論ネットユーザー個人のアドレスや、個人情報を有し、ショッピングをはじめ、各種の申請、交通機関の統制もこのOZで行われる。

 ところが、何者かが発明したウィルスが、OZの世界を攻撃したため、現実世界にも次々と影響が出始める。。国内のインフラにダメージを与え、公共機関にも多大な被害が・・・。ウィルスの開発には、天才的な数学の知識を有するため、犯人と間違えられ逮捕されてしまう健二!

 なんとか潔白を証明したものの、OZ内のウィルスの暴走は止まらない!!健二は、夏希一家と共に、このOZの・・・日本の一大事に、立ち向かうのだが・・・。

 この映画のテーマは、「家族の絆」。それは、確かに伝わった。特に序盤の最初のOZの異変で、一家の司令塔であるおばあちゃんが、親戚や古い知り合いに片っ端から、電話を入れて「大丈夫だよ!あんたならできる!」とみんなを鼓舞して、突然の事態に動揺する人たちをまとめて行く姿は、現実世界がどんなに進歩しても、”絆”には勝てない・・・と改めて思い知らされました。。

 でも中盤に、重要な登場人物が思いがけず亡くなると、途端にテンポが落ち、ネットに詳しい人しか付いていけないような、仮想現実世界の話が延々と続き・・・退屈に。。監督はネットの問題を、身近なものと捕らえているようですが、この映画で描かれているような世界を観客に理解させるには、もっと説明や、わかりやすい解説が必要だったのでは?せっかくの”家族の絆”が空虚になってしまいます。。

 それと、主人公の声に若手俳優を当てるのは、この監督の得意技ですが、今回も主役の声を担当した神木くん、桜庭ななみさん、もの凄く下手でした。。他が、有名な声優さんや、ベテラン俳優さんが担当していたから、余計に彼らの下手さが、際立ってしまいました。。実際の演技と、声だけの演技ではやっぱり勝手が違うのでは?ましてや、桜庭さんは、実際の演技すら、まだまだ経験の浅い方ですから、起用した方にも問題はあるでしょうね。

 子供だけでなく、大人も楽しめて、誰かが死んだりしない・・・(実際には一人死んでいるんだが・・・)そういう映画を作る姿勢は評価できるし、映像も見易い。ただ、やはりアニメ好きの内輪だけで盛り上がれる映画・・・という域を脱していませんね。。大体、最後のネットでの大勝負が花札って・・・まあ麻雀じゃなくて良かったか・・・ってモンでもないだろ?まさか映画の大スクリーンで「猪・鹿・蝶」ってやるとは思わんかった。。ラストの山下達郎の主題歌は最高!!夏の終わりに聞きたくなる曲です。こちらは自身持ってオススメします!!