VS BALLAD 名もなき恋のうた 星☆☆☆☆☆☆
at 新宿バルト9
アニメ「クレヨンしんちゃん」は今までに何度も、劇場版が製作され中には賞を受賞するほどの、感動作まで存在する!!ドラえもんやコナンでも、賞を受賞したものは余り聞いたことが無いので、ジブリアニメ並ってこと!?そんな数多い劇場版クレヨンしんちゃんの中でも、最も傑作の呼び声の高い「嵐を呼ぶアッパレ戦国大武将」。多くのクリエーターからも、絶賛されているこの作品を、大胆にも実写化しようと考える監督が存在した・・・。
それが、「ALWAYS三丁目の夕日」で、名実共に日本を代表する映画監督になった山崎貴。彼の映画は過去3作品を鑑賞し、3連続☆満点という、驚異的な記録を生み出しておりますが・・・今回はV4なるか?(ちなみに「リターナー」、「ALWAYS三丁目の夕日」、「続ALWAYS三丁目の夕日」の三本・・・この監督の映画好きやなあ・・・オレ。。)
物語は、戦国時代にタイムスリップしてしまった、現代の小学生・真一の目を通して描かれる、戦国時代という乱世の中で、決して実ることの無い、家臣と姫君の悲恋と、戦国時代を生きる人間と、現代を生きる少年の交流を描く感動作です。

結論から言うと、配役ミスと時代考証ミスが、せっかくのストーリーを損ねてしまったのが、率直に残念。。主役である、鬼の井尻と呼ばれるほどの、豪快な武将なのに、奥手でいつもおてんばな廉姫に振り回されてばかりの、春日の国の武将・井尻又兵衛役の草彅剛さんは、はっきり言って豪華な感じが全くしなかった。。彼はSMAPの中でも、一番の演技派だと思うけど、今回は少しコミカルに演じすぎましたね。。
そもそも、この作品は又兵衛の”男としてのカッコ良さ”が際立つほどに、恋愛面での対照的な奥手ぶりが目立ち、又兵衛の人間らしさが浮かび上がっていくのに、常にコミカルな又兵衛ではそのギャップの良さが台無しです。。でも、コレはそもそも配役に難あり。この役は、もっと年配の俳優さんが演じた方が、”又兵衛らしさ”が出たはず。さすがに、剛くんも戦国武将役にはなりきれなかったといったところでしょうか?
廉姫役の新垣結衣さんも、慣れないお姫様役で、初挑戦の時代劇、着物姿での演技・・・と初物尽くしの中で、健闘していたとは思いますが、廉姫の凛とした雰囲気を出すには、まだまだ修行が足りませんね。。この映画は主役2人の、絶妙な距離感が大事なのですが、結局それを掴みきれていない状態で演技をしているような印象を受けました。。ですので、廉姫役ももう少し年上の女優さんを起用した方が良かったのかも知れません。。
セリフが現代調なのも興醒めでした。途中で現代人である、真一や真一の両親と、戦国時代の人々ととの

間で、言葉の違いによるギャップを描くシーンがあるのですが、戦国時代の人々のセリフ回しが、そもそも現代的な言葉に直されてしまっているものが多く、せっかくのギャップがほとんど意味をなしていませんでした。これは、最近の大河ドラマにも共通するのですが、若い視聴者・観客を意識する余り、時代劇としては不自然で不適切な、表現・言葉遣いが年々目立つようになり、それが作品の魅力を奪ってしまっています。
客も馬鹿ではありません。多少、古風なセリフでも理解できるし、理解できなければ考えます。最近の映画はなんでもかんでも説明しすぎです。。確かに、説明がなさすぎるのも不親切ですが、わかりきっていることまで、クドクド説明されてもねえ。。
勿論、良いシーンもたくさんありました。若い侍と真一の、時代は違えど少年同士の友情のエピソードや、写真撮影を通じて芽生える、合戦前の真一の両親と、戦国時代の人々との交流。。この物語の良さは、主役2人の悲恋だけではなく、戦国時代を生きる人々のたくましさや、過酷な運命、そしてそんな戦国時代を生きる人々と、出会い・交流することで、色々なことに気付かされる現代人・・・ここら辺は普遍的なメッセージ性を感じます。
だからこそ、この映画は悲恋だけを描いてはダメです。なので、リメイク作品としてはやっぱり失敗でしょうね。オリジナル作品としてなら、もう少し評価を上げても良いけど。山崎監督も今回は、熱意が空回りしてしまった感があります。。次回作に期待しましょう。仮にこの作品、堤真一×柴咲コウで、時代設定・時代考証を忠実にもう一度リメイクするなら、観る価値はアリだと思いますが、皆さんはいかがですか?