Webサイトの著作権についての考察 第1回
の記事では、
◆
Webサイトは、チラシ広告的な位置付けから、マーケティングツール&コミュニケーションツールやシステムへ変わってきたこと
◆
著作権という法律
について述べました。
当記事(第2回)では、コンサルとして出会ったトラブル事例や判例から、
Webサイトにかかわる
著作権の在り方とおさえておくべきことを考えて参りたいと思います。
まず、コンサルとしてお声かけ頂くシーンとしては、
1.新規事業 展開時
2.成長事業 転換期
3.停滞事業 改善時
4.トラブル 発生時
などがございます。
1.新規事業展開や、2.成長事業転換におけるご支援は、
マーケティング&ブルーオーシャン戦略→実装展開→効果確認分析→改善と、
ワクワクするご支援となります。
しかし、当然ながら、私を含めどなたにとっても、避けたいものである
4.発生したトラブル対応についてのご相談を頂く機会は増える一方で、
リースの問題と並んで、最近では、
著作権に絡んだトラブル相談も急増しております。(※リースに関しても大問題だと思っておりますので、後日別記事として触れたいと思います)
さて、それでは
コンサルとして私が出会った
著作権トラブル事例をご紹介&考察して参りましょう。
<A ネットショップ保守契約打ち切り時のトラブル>
オープンソースをカスタマイズしたカート付きネットショップを制作して2年、
直帰率90%、売上&検索エンジンでの集客はないに等しい状況が続き、
制作と保守を依頼していた業者さんへ、保守の打ち切りを申し入れた時点で、
業者さんから
同一性保持権を主張され
・サイト消去&ドメイン放棄
・バナーやテキストを変更せずに使用(FTPアクセス不可)
・
著作権買い取り料として制作費の半金支払(59万程度)
の3つからの選択を求められた。
この事例を業者さんサイドから考えると、
オープンソースのカスタマイズコードは、自社の知的資産であるため、
他社へそれを渡すことになるのを防ぐための主張です。
ただ、サイト保有者さんサイドから考えると「売れてもいないのに、そんなおかしな話があるか!」
という主張となりますね。
確かに、
著作権法(
同一性保持権)第二十条では
著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、
その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
とありますが、
適用外の事例として、
1.学校教育の目的上やむを得ないもの
2.建築物の増改築や修繕模様替えによるもの
3.プログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に利用し得るようにするために必要な改変
4.著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変
も認められています。
「使ってなんぼ」のネットショップシステムにおいて、使えないものを
使えるように改変することは前項3.4.にあたると、私は主張していますが、
同時に、
改変者が制作者と競合関係にある場合の考慮として再利用しない旨の覚書はお渡し
するようにしています。
実際にはこの業者さんは、
・ 契約書に「予告なくサービス内容を変更することがあります」と記載し、
これを契約内容の変更を含むとの主張もされ、
・ 少額訴訟(60万を超えない支払訴訟)への持ち込みを提案し
争いを嫌う方は、手切れ金として支払っていたようです。
<B デザイン依頼の納品時のトラブル>
自社内で制作保守はできるが、デザイン力がないため、サイトデザインを10万で依頼。
提示されたデザインの納品を求めたところ、使用している写真購入料を別途15万要求された。
(他社の有料コンテンツ使用)
この事例は、常識的には詐欺的なイメージも漂いますが、
法的には「デザイン」という依頼物に関するの解釈についての争いとなります。
契約書や発注書(※なければ最悪は、依頼のメール文面など)に、どのような依頼内容が残っているかがポイントです。
常識だろう・・という安易な気持ちを捨て、依頼の仕方にも気をつけなければなりません。
<C 制作業者による著作権侵害のトラブル>
業者さんが制作したサイトに
著作権侵害(競合他社サイトのコンテンツ盗用)があるとして、
サイト保有者が賠償要求された。制作業者はすでに解散。
商品写真、商品利用のイメージ写真などの登用は、
販売店が、メーカーのサイトにある写真を「使っていいはず」と判断するなど、案外多い状況です。
ただ通常は、いきなり賠償請求には至らず、まずは改善要求が来るのではと思いますが、
はたして、
制作業者が犯した著作権侵害への責任は、依頼主が取るべきものなのでしょうか?
著作権法(善意者に係る譲渡権の特例)第百十三条の二には
・・(途中省略)・・
実演の録音物若しくは録画物又はレコードの複製物の譲渡を受けた時において、
当該著作物の原作品若しくは複製物、実演の録音物若しくは録画物又はレコードの複製物が
それぞれ第二十六条の二第二項各号、第九十五条の二第三項各号又は第九十七条の二第二項各号の
いずれにも該当しないものであることを知らず、かつ、
知らないことにつき過失がない者が当該著作物の原作品若しくは複製物、
実演の録音物若しくは録画物又はレコードの複製物を公衆に譲渡する行為は
、第二十六条の二第一項、第九十五条の二第一項又は第九十七条の二第一項に規定する
権利を侵害する行為でないものとみなす。
とあります。
納品された時点で著作権を侵害していることを知っていれば、同罪となりますが、
知らなければ善意の第三者として、罰されることはありません。
ただし、この事例で、競合他社のサイトコンテンツの盗用ですので、気付かなかったとは主張しづらく、
すぐにサイト閉鎖をして和解の申し入れを致しました。
まだまだ事例はございますが、長くなりますので、ここでは3例で止めておきましょう。
そして最期に、3.停滞事業改善についても触れておきたいと思います。
実はm、コンサル依頼を頂くシーンとして最も多いのは、このケースです。
売れるように変えたくてご相談を頂くのですから、
必ず
改善課題があり、
必ず
WebサイトのHTMLコードをさわる必要が出て参ります。
ただし、経験的には、10件に7件ほどの確率で、
サイト保有者による変更を許さない
制作業者さんがおられまして、このとき問題となるのが、業者さんとの
著作権絡みの交渉というわけです。
このときまずは、業者さんへ以下のお願いをすることとなります。
・ 変更内容をご理解頂くために、担当の方へ、ペルソナ思考からのご説明をしたい(1人日)
・ 初回変更は、かなり大がかりな内容となる
・ 今後は、頻繁なサイト変更にご対応頂きたい
そうしますと、100%の確率で見積書が出て参ります。
「専任の担当が必要なため、年間300万の保守契約へ変更」との申し出を受けたこともあり、
そうそう受けられるご提示ではございません。
結局、
自社内保守との併用をお願いすることとなるのですが、
業者さん的にはデメリットが大きく、
かなり抵抗をされるのが常でございます。
サイト保守を経験された方、
IT系のお仕事に携わっておられる方なら、おわかりでしょうが、
変更者が複数人おりますと、最新を上書きされて
「きゃあああ!!変更したところが戻ってる!!」という
リスクが高くなります。
弊社でも、対策し改善したものを ご支援先や業者さんの後の保守で消されてしまうことはしばしばです。
ですから、基本、他のひとに触られたくないという業者さんのお気持ちはよくわかりますし、
例えば、
1年保証がついたパソコンを購入しても、
改造されるとメーカーは責任が持てませんからメンテ保証対象外となるのは当然のことでもございます。
ましてや、お客様が競合へ保守依頼する可能性もあるのですから、
見えないシステム的な
著作権侵害(コード流用など)を防ぐ手立てがない以上は、穏やかではいられません。
Webサイトにおけるシステムは、
オブジェクト
(人間の書いたソースコードを、コンピュータが実行するのに適した形式に変換したコード)ではなく、
ソースコードそのものがアップされていることがほとんどで、そのまま他でも使える上に、
著作権で守られている
データベース設計も明白となってしまうことがネックとなるのです。
ですが、美術品と違い、
Webサイトというものは、
時々刻々とその場の話題や傾向によって、
また分析結果によって、
リアルタイムに頻繁に更新対応していくべきものです。
店舗や営業所の運営と経営を他者に任せてしまっては、なかなか繁盛することはできません。
月に一度や二度しか店員が出てこない店舗へ、お客様が押し寄せることはないでしょう。
Webサイトを持っておられるあなたは、
◆ 所有者としての変更を随時に行う権利をお持ちでしょうか?
◆ レンタルサーバを自分の意思で変更できるでしょうか?
制作依頼時に、著作者人格権を含む著作権(販売権を除く)を放棄して頂くのが、揉めないための
対策なのですが、
現在すでに、運用中の方は、一度、権利関係について、再認しておくことをお勧めいたします。
次回は、今回ほとんど触れていない、
Webサイト製作と保守についての「契約書」を考えてみたいと思います。
【追記】
私は、経営とWeb・ITのコンサルタントであり、弁理士ではございませんので、
誤認等がございましたら、専門家の方のご指摘を頂けたら幸せです。
また、「こんな対策しています」というコメント、「他の事例も教えて」といったご要望も受け付けておりますので、
どうぞよろしくお願いいたします。
★ブログランキングに参加しています★よろしければ、クリックお願いします
| このブログのURL
|この記事のURL