五島列島は、息を呑むほど美しい海に囲まれていた。
そんな海を眺めながら、
丘の上で、塩を作っている人がいた。
原料は、目の前に広がっている。
海の水を汲んできて、大きな鍋で延々と煮詰めていく。
塩づくりの隣では、島のシンボルともいえる椿の実から、油を作っている。
「真夏に椿の実を集めるのが暑くてね・・・」
椿油を天ぷらにつかうと、それはそれは絶品なのだそうだが、
高級というよりも「創れる量が少ないから、業務用には売りたくない」のだという。
「いま、試しに、ナマコを作っているんです」
能舞台のような、大きな虫籠のような、壁のない小屋の床一面にナマコが並ぶ。
「乾燥して、うまくいったら中国に売ってみようかな」と思って・・・
これも、原料はタダ・・・
なんとも暢気に1日が過ぎている。
折りしも、ホリエモン逮捕のニュース。
金があれば、なんでも手に入ると言っていた人は、
側近にあっけなく裏切られ、売られていた。
私は、ホリエモンの友人ではないし、とてもよく知っているほどの仲でもない。
でも、私の知る限りのホリエモンは、悪い人ではなかったと思う。
メールを出せば、ちゃんと返事をくれて、応えてくれる人だった。
ただ、ちょっとだけ、センスが悪すぎたのだと思う。
がんばってきた会社がなくなるというよりも、
誰一人信頼できる友人がいないことに耐えられないんじゃないかと、
ホリエモンのことを思うと、かわいそうで、ならなかった。
「ホリエモンも、ここへ来て、海の水でも汲んで暮らせばいいのにねえ」
「この島では、友達を裏切るやつなんていませんよ」
五島列島に行くには、
東京からは航空運賃だけで7万円近くかかる。
2月なら、パリやロサンゼルスに1週間行けるくらいの料金だ。
でも、だからこそ、観光客が気軽に訪れたりせずに、島は静かに佇んでいられるのではないかと思う。
そんな島に、私は毎月1回、通っている。
なんという贅沢。
なんという至福。
おまけに。
それどころか、山形や、新潟や、青森や、宮崎や、栃木や、茨城や・・・
つまり、日本のなかでも、うまいどころばかり訪問して、
うまいものとおいしい酒と、すばらしい仲間に酔うのである。
これを幸せといわずして、なにが幸せだろう。
今日は、昨年作業をしていた「老子」の翻訳本のあとがきを書いた。
自分で書いたあとがきに、自分でちょっと感動した。
私たちは、大自然のなかの小さな存在なんだよね。
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