今日で今年が終わってしまうんだな。
そう思う人が、きっとたくさんいる。
たくさんの人がいるのに、考えとか、思いとか、実は同じだったりする。
たくさんの人の頭があって、でも、観念は一つきり。
その数の、なんて少ないことだろう。

今年の始まった朝の記憶。
外には銀世界。
窓から、青い空が見えていた。
今、ぼくが見上げる空よりも、ずっと青かった。
二段ベットの上には、彼が眠っていて、先に目が覚めたぼくは、「おはよ」と声をかけて、微笑む。

昨夜見たのは、もしかしたら夢じゃなかったのかな?

奇跡の夜のできごと。
生きていてよかったって、心の底から思えた。
おめでとう、おめでとう。
おめでとう、おめでとう。
たくさんの、おめでとう。
どうか、みんなが幸せでありますように、と。
誰もが思っていたように思った。
見知らぬ人に、おめでとうと声をかけた。
あなたも、君も、と、口々に答えてくれた。

ぼくは、本当は幸せだと思う。
本当は、というのは、よくそのことを忘れてしまうから。
なんて、贅沢な病なんだろう。
幸せを忘れて、不幸せなことばかり考えてしまったりする。
ぐずぐずと、煮え切らないで、いやだよ、いやだよ、と呟く。

失ったもの。
出会ったもの。
きれいなもの。
汚いもの。
ささいなこと。
特別なこと。
幸せなこと。
不幸なこと。

たくさんの出来事。

ぼくが生きたこの一年間のことを、ぼくが死ぬとき、きっと思い出す。

そして、挫けそうになるとき、泣きたくなる夜に、ひとりっきりだと思う瞬間に。
ぼくを支える誇りとなる。
力となる。

信じること。
裏切ること。
思い続けること。
忘れること。
別れる人。
出会う人。
すれ違う人。
離れている人。
死んでしまった人。
生まれてきた人。

消えて、燃えて、吸い込まれて、輝いて。
たくさんの光が見える。

星の輝きは、もう死んでしまった星の輝き。
銀杏の黄色、紅葉の朱色は、もう死んでしまった葉の色。

だけど、死に様よりも、生き様を。
美しく死ぬよりも、惨めに生きていよう。
いつか光差して、救われるときがくると。
永遠に、苦しむことのない闇に還っていくだろうと。
なんとなく、思うたび。

この世界の不思議を。
ぼくが生きている不思議を。
彼女が生きている不思議を。
彼が生きている不思議を。
ぼくたちが出会う不思議を。

思わずにはいられないんだ。

楽しかったことだけを覚えていよう。
そうして、笑顔で言うんだ。

生きていることは、楽しいことしかないですよ。
これからも、楽しいことがたくさんあるよ、きっと。

心の底から、そう言えるように、生きていたいな。

これからも、幸せな時間を過ごせますようにと、遠くの人を思ったりした。
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