8/11、農林水産省、大臣官房食料安全保障課から、平成22年度の食料自給率が公表された。食料自給率にはカロリーベースと生産額ベースの2つの指標がある。結果はカロリーベースが39%(昨年度40%)、生産額ベースが69%(昨年度70%)となり、いずれも、1ポイント下落した。食料自給率は一般にはカロリーベースが用いられているので、ここでもカロリーベースを主体に見てゆき、参考に、生産額ベースを見てゆく。
まずは、食料自給率がカロリーベースで1ポイント下がった要因であるが、てん菜、小麦、いも類(ばれいしょ・かんしょ)の生産量の減少によるところが大きい。実際の数値であるが、てんさい-55.9万トン(-15%)、小麦-10.3万トン(-15%)、ばれいしょ-18万トン(-7%)、かんしょ-16万トン(-16%)と、いずれも生産量が下がっており、これがカロリーベースでの食料自給率を下げた要因である。ちなみに、生産額ベースでの1ポイントの減少要因であるが、牛乳・乳製品、米、魚介類、てん菜の国内生産額の減少が大きいとのことである。実際の数値は、牛乳・乳製品-3%(国産単価-2%)、米+1%(国産単価-12%)、魚介類-3%(国産単価±0%)、てんさい-55.9万トン(国産単価不明)と生産量ないしは単価が下がっており、これが生産額ベースの食料自給率を下げた要因である。
ここで、さらに詳しく、各項目の平成22年度の食料自給率を見てみたい。ここではカロリーベースと生産額ベースを同時に見てゆく。米(カロリーベース98%、生産額ベース97%)、畜産物(16%:輸入飼料による生産部分51%、60%:輸入飼料による生産部分15%)、油脂類(3%、34%)、小麦(8%、9%)、砂糖類(26%、49%)、魚介類(60%、53%)、野菜(77%、81%)、大豆(25%、42%)、果実(34%、71%)、その他(22%、79%)である。食料自給率の対象となる項目は以上であり、これが、原則としてFAOの食料需給表作成の手引に準拠して作成されたものであり、国際比較がなされる項目である。ちなみに、カロリーベースの総供給熱量は2,458kcal/人・日(国産供給熱量946 kcal/人・日)である。また、生産額ベースの国内消費仕向額合計は14兆1,333億円(国内生産額合計9兆7,047億円)である。
では、現在の食料自給率がどのような変化を遂げてきたかを、昭和40年(1965年)まで、さかもどって見てみたい。まずは、昭和40年の食料自給率であるが、カロリーベース73%、生産額ベース86%であり、かなり拮抗していた。10年後、昭和50年(1975年)になると、カロリーベース54%、生産額ベース83%と、カロリーベースが大きく下がりはじめた。そして、20年後、昭和60年(1985年)は、カロリーベース53%、生産額ベース82%と、この10年ではあまり大きな変化はない。
そして、30年後、平成7年(1995年)になると、カロリーべースは43%、生産額ベースは74%と双方下がるが、カロリーベースは50%を割ることになる。さらに、40年後、平成17年(2005年)になると、カロリーベース40%、生産額ベース69%となり、ほぼ、現在の平成22年(2010年)のカロリーベース39%、生産額ベース69%と同じ水準となる。こう見ると、カロリーベースでは急激に食料自給率が下がっているのに対し、生産額ベースでは、比較的ゆるやかな下げであり、しかも、69%と高い水準を維持しているといえる。
そこで、さらに、先に上げた項目の中で、特徴的なものを同様に、昭和40年にまでさかもどって見てみたい。まずは、食料自給率が一貫して高い水準の項目は、何といっても米であり、昭和40年では95%、昭和50年には110%と、100%を超え、ここがピークであり、その後、95%前後で推移し、平成22年97%である。なお、この内、主食用の米は現在に至るまで100%の食料自給率である。米についで、高い水準の項目は鶏卵(昭和40年100%、平成22年96%)、かんしょ(昭和40年100%、平成22年93%)、みかん(昭和40年109%、平成22年95%)、野菜(昭和40年100%、平成22年81%)、きのこ類(昭和40年115%、平成22年86%)である。
一方、食料自給率が低い水準の項目であるが、大豆(昭和40年11%、平成22年6%)、大麦・はだか麦(昭和40年73%、平成22年8%)、小麦(昭和40年28%、平成22年9%)、豆類(昭和40年25%、平成22年8%)であり、以上が平成22年現在、1桁の項目である。これ以外で特徴的な項目では、果実(昭和40年90%、平成22年38%)、中でもりんご(昭和40年102%、平成22年58%)であり、みかんとは対照的な推移である。さらに、牛肉(昭和40年95%、平成22年42%)、豚肉(昭和40年100%、平成22年53%)、鶏肉(昭和40年100%、平成22年68%)等が特徴的な綱目である。
このように、8/11、最新の食料自給率、平成22年度版が農林水産省から公表されたが、カロリーベースで見ると、39%と昨年よりも1ポイント下がり、依然として厳しい数値で推移しているといえる。生産額ベースでは69%と比較的健闘しているが、昨年よりも、やはり1ポイント下がっており、下げ基調であるといえる。食料は国の安全保障にもかかわる重要な課題であるといえ、戦略的に取り組んでゆくことが重要である。まずは、主食の米はもちろん、生鮮3品関連の自給率をいかに引き上げるか、生産、販売両面から取り組むことが課題といえ、10年単位の中長期的な戦略策定が必要といえよう。
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