石井です。
本書は、翻訳書ですが、題名の「ニュー・エコノミクス」なるものについて、一般向けに書かれた初めての経済学書とのことです。
現在の経済学の限界を指摘し、お金やGDPのような尺度で測れないものを、どう経済学に取り組んでいくかということについて学際的に書かれています。
今回は内容の抜書きまとめを中心にお伝えしますが、参考図書欄も非常に充実していたので、これも相当久しぶりですが、書籍中の参考書籍の記事も追って書きたいと思います。
まずは今回の本についての多読書評ブログ的3行まとめです。
【超要約3行まとめ】
・幸福の為に収入を減らすダウンシフティングという流れがある
・グローバルな資金の動きは抑制し、補完通貨を奨励せよ
・巨大企業や巨大銀行は解体してしまおう
まず本書を読んで思い出されたのは、森田さんの活動されている「降りていく生き方」という映画の話、本書では冒頭で、ダウンシフティングしている人がヨーロッパで1200万人もいると出てきます。
(参考URL) 映画「降りていく生き方」
http://www.nippon-p.org/mov.html
ここに関しては、最近「持続可能な社会を目指す8人のライフスタイル」という本を最近読んで感銘を受けたのですが、また後日本ブログでもレポートしたいと思います。
(参考)
名倉 幸次郎
白水社
売り上げランキング: 368601
私の中では勝手に、最近までグローバル経済が進めば、中国やインドやその他新興国の経済が成長して、皆収入なんて上がっていくんじゃないの?と思っていました。
それに対して、世界経済の秩序なんてものは、富裕層の原理で動いていて格差を生じさせるような仕組みがあるということは、先日紹介した「環境破壊のメカニズム」や本書でももちろん書かれています。
更に本書でなるほどと思ったのは、世界通貨のようなものがあるというだけで、格差が広がるということ。
本書の例でいうと、世界の金融センターとして機能していたイギリス中枢に集まった金融エリートの所得水準が、マネーゲームでつりあがってしまうと、地方や低賃金労働をしている人達との落差が激しくなり、支障が出てくるということ。
その対策として、資本移動などのお金の動きに規制をかけることと、賃金格差の是正、そして地域通貨を補完通貨として奨励せよなどの提言がされています。
地域通貨に関しては最近以下のリンクのHPを見ても感銘を受けて、最近関心があります。
という以上が雑感ですが、以下、抜書きまとめをお届けします。
■ダウンシフティング
ヨーロッパで1200万人がなんらかのかたちでダウンシフティングー幸福の増大を目指して収入を減らすことーをしている
■ニューエコノミクスにおける幸福のモデル
・自己の生活への満足
満足、喜び、楽しみの度合い
・人間的な発達
「フロー」、自律、目的の存在、生活に意味があると感じること
・社会的な幸福
コミュニティへの帰属意識、他者に対する積極的な姿勢、社会に貢献し社会に役立つ行動をしているという感覚、社会がよい方向に発達する可能性があるという信念
■幸福をもたらす源
遺伝と養育を与える親(約5割)
収入や気候や居住地などの外的要因を含む環境(約1割)
友人関係やコミュニティーへのかかわり、スポーツや趣味、生活に対する姿勢といった態度や行動(約4割)
影響を与えられる可能性が最も大きいのは3つめのカテゴリー
■進歩的改革の中核
受動的な消費者から能動的な消費者へ変えること
■地方自治体
人の関与と能力開発を重視する
住民の欠点ではなく強みに働きかけることが不可欠つ
■打開策
幸福の経済を創出する
自分の時間を取り戻す
住宅価格を大幅に引き下げる
創造力を育てる全人格的な教育制度を創出する
物質主義を抑え、有害な広告を規制する
社会的影響を評価する
■基本的な問題
金融システムがもはや目的を果たしていない
日々新たな億万長者を誕生させているが、その一方で過酷な貧困と借金も生み出している
■貨幣の流れる速度を緩める
投機家の動きを抑制
マレーシア
為替管理制度を導入し、多額の貨幣が国外へ持ち出されるのを防いだ
コロンビア
負債の買い取りや株式の購入は禁止
■金融サービス
現実に何かを生産する仕事を割に合わないものにして、存続できなくすることが多い
■誤った尺度 ー 苦境に立つ地域経済
国際経済は世界中から重役を連れてくる
ロンドンのサービス価格をもうひとつの経済からは手が届かないほどに押し上げる
■間違った尺度 ー 苦境に立つ社会経済
通貨で評価できないものは、しばしば社会に全く認知されない
GDPのような成功の指標を使うと、環境や人の尊厳、コミュニティ、それに家庭がすべて駆逐される危険につながる
貨幣が生活を排斥しているなら、われわれは生活を排斥しない新しい貨幣、新しい評価システムが必要
■間違った尺度 ー フィードバックの喪失
通貨間の電脳的結びつきが強まると、国の政府が国や地方のレベルで経済措置をとるのに発揮できる力が弱
まる
国家間で同一通貨を使う広域通貨圏では、国家内や国家間で経済の分裂が増える傾向
リバプールで健全なレベルの経済活動を実現するのに十分な国家予算を確保すれば、国内の別の地域でインフレ状況が生じるにちがいない
■貨幣を組織する新しい方法
地域通貨
イサカ・アワーは今でも順調
■複数通貨の世界
長期的には、複数通貨の世界が必要
皮肉にも「単一通貨」の元祖となったユーロが、イギリスでは現在、徐々に第二の通貨になりつつある
社会経済を支えるには時間預託制度
貨幣と資源を地域内で循環させるためには地域通貨
小企業に低コストの融資を提供するなら地方通貨
広域通貨では評価できない財産や資源に価値を与えることができる
補完通貨ならばこれが出来る
■補完通貨
補完通貨はわれわれに対し、どれほど貧しい地域にも、発想や技能、時間、それに愛情(時間預託制度の場合)といった生きた資産がふんだんにあり、われわれの抱く「欠乏」観が覆されることを明らかにしてくれる
■マニュフェスト
・資本の流れを減速する措置の導入
・通貨投機に課税する
・オフショアの金融センターを規制する
・独自の通貨を発行し、それで低利の融資を提供
・新世代の補完通貨を支援する
・公的資金創出の実験を行う
■ダウンシフティング
「その過程で本来の生活がより多く戻ってくると信じて、より少ないもので生活することを意図的に選択すること」
■営利化
「血液と献血者の関係を営利化すると、利他主義の発露が抑制されてしまう」
アメリカの営利化された制度は、イギリスの自主制度とくらべて管理コストが5~15倍も高くなり、営利市場のほうが汚染血液の流通する可能性も高かった
■経済学が認識すべき心理的概念
・他者の行動に影響される
・習慣は重要である
・人は「正しい行い」をしたいという意欲がある
・人が自己に対して抱く期待は行動に影響する
・人は喪失を嫌う
・人は意思決定の際に計算するのが苦手である
・人は自分がなにかに関与し変化を起こす力を持っていると感じる必要がある
■システムが貧困をもたらす
小さな商店ではなく大型スーパーマーケットで買い物をするようになった
地元企業が打撃を受ける
■貨幣的貧困
世界経済の制度とルールは、富裕者を優遇するように偏っている
■独占の増大
銀行を手始めに、大企業を解体する必要がある
破綻出来ないほど大きい銀行を解体する
■協働
与えるだけではなく報いも求める
■一日5つ
・結びつく
・体を動かす
・注意を払う
・学び続ける
・与える
以上抜書きまとめでした。
【本日の紹介書籍】
デイヴィッド ボイル アンドリュー シムズ
一灯舎
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【関連エントリー】
・書評:「幸福の方程式」電通チームハピネス
http://ameblo.jp/satokumi1718/entry-10347850759.html
・書評:「みんなが幸せになるお金と経済の話」天野敦之
http://ameblo.jp/satokumi1718/entry-10302085896.html
・書評:「目に見えない資本主義」田坂広志
http://ameblo.jp/satokumi1718/entry-10354470969.html
■セミナーレポート・体験記■
「ソーシャルビジョンマッチングセミナー」吉田典生
http://ameblo.jp/satokumi1718/entry-10353163914.html
【編集後記】
書評記事のあり方も変えていきたいと思う今日この頃。
子供たちの成長に負けないよう、パパも進化を目指します。
出来るものならそぎ落として成長していきたいものです。
まずはいつも持ち歩く鞄を軽くすることから始めたい多読書評ブロガーの石井でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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