二十一世紀のスパイサスペンスの快作、「ボーン・アイデンティティー」のダグ・リーマン監督の新作は、「ジャンパー」と呼ばれる超能力者と彼らを異端視し、殺害しようとする謎の組織の戦いを描いたアクション大作。
しかし、狙ってやっているのか、結果的にそうなったのか、映画のテイストはシリアスとオバカ映画の境界線ギリギリだ。
気弱な少年デビッド(ヘイデン・クリステンセン)は、ある日凍った川に転落し、突然テレポートの超能力を覚醒する。
家出したデビッドは、銀行の金庫に痕跡も残さず侵入する怪盗となり、巨額の金を手に入れる。
気の向くままに世界中をジャンプして、自由な暮らしを楽しむデビッドだったが、彼の知らぬ間に、ジャンパーを抹殺しようとする謎の組織、パラディンの殺し屋、ローランド(サミュエル・L・ジャクソン)がデビッドに迫っていた・・・
ジャンパーとは、つまりテレポート能力を持つ超能力者の事。
地球上のどんな場所にでもジャンプできてしまう彼らの活躍を描く本作は、その能力を最大限魅力的に描くべく、88分というかなりコンパクトな上映時間の間、実にスピーディに物語が進む。
冒頭の能力覚醒から、怪盗デビッド誕生、パラディンの登場と終盤まで続く世界を又に駆けた追いかけっこは、息をもつかせぬテンポで展開するが、本来話が単純で登場人物も絞られているため、窮屈な感じは無い。
ダグ・リーマンはアニメーション的なカリカチュアの上手い演出家だが、今回もそれは生きていて、見せたいものが何なのか、キャラクターの色付けも含めて実に判りやすい。
限りなく単純な本作の柱となるのは、数千年も続いているというジャンパーと、彼らを追跡し、一人残らず抹殺しようとするパラディンとの戦いだ。
このパラディンという組織の設定に、納得できるかどうかが本作を心から楽しめるか否かの境界線になるだろう。
最初この組織は、ジャンパーという超能力を危険視する政府機関なのかと思ったが、話が進んでゆくうちに、実はジャンパーの能力を神への冒涜と考える狂信的な宗教組織だという事が判る。
正直な所、私はこの設定があまりにも漫画チックに思えて、少し白けてしまった。
何しろこの組織、もの凄く強大なのだ。
世界中のどこへでも飛んでいって、各国政府や捜査機関すら全く恐れない力を持ち、ワームホールをこじ開けてしまう様な超テクノロジーすら持っている。
ジャンパーが世界中に何人いるのか知らないけど、ほんの僅かな数の超能力者を駆り立てるのに、いったいどれだけ巨大な組織が存在しとるねん!と突っ込みたくなってしまう。
デビッドたちは、ひたすらローランドのグループだけに気をとられていて、彼らを倒せば助かる様に考えているが、そもそもそんな凄い組織を相手にしているなら、殺し屋一人倒した所で、何の解決にもなってない様な気がする。
デビッドには五歳の時に別離した母親がいて、この母親との関係も設定上重要な意味を持つのだが、正直なところあまり生かされているとは思えない。
物語の勢いと単純化長けた演出に誤魔化されそうになるが、よくよく考えると矛盾点続出だ。
まあ、厳密に物語を考え出すと、突っ込みどころ満載の映画なのだが、東京を含む世界の観光名所めぐりをしながらの観光追いかけっこと考えると、これはこれで十分に楽しい。
外国人が東京に来たら、必ず行ってみたい場所だという「渋谷のスクランブル交差点」もしっかり出てくる(笑
主人公のデビッドを演じるのはヘイデン・クリステンセンで、対するローランドはサミュエル・L・ジャクソン。
そういえば「スター・ウォーズ」では、この二人ジェダイの師弟関係だった。
このキャスティングを見ても、漫画チックさはあえて狙っている様に思えてくる。
ヒロインのミリーを演じるのはレイチェル・ビルソンだが、中学生時代のミリー役で「テラビシアにかける橋」のアナソフィア・ロブが顔を見せている。
「テラビシア」からたった一年しか経ってないのに、ずいぶんと大人びていて驚いた。
子供の成長は早い・・・。
「ジャンパー」は、早い話がアメコミ原作物以上に漫画チックなB級アクションである。
テーマ性は全くと言って良いほど見えないし、特に感動する事も無い。
88分という上映時間の間、ジェットコースターの様な展開をアトラクション的に楽しむ映画で、その意味では非常に潔い「エンターテイメント」であると言えるだろう。
とりあえず、観終わって唯一心に残るのは、自由気ままなジャンパー生活は楽しそうだったなあという事ぐらいか(笑
今回は、薄味な映画なので、後味を引き締めるお酒を。
この映画で、パラディンたちはジャンパーの超能力の痕跡を追跡するが、「マジック・トレース(魔法の痕跡)」というカクテルをチョイスしよう。
バーボン・ウィスキーとドランブイ、ドライ・ベルモットとオレンジ・ジュース、レモン・ジュースをそれぞれ4:3:1:1:1でシェイクする。
芳醇なウィスキーに柑橘類の酸味と適度な甘みが広がる大人なカクテルである。
記事が気に入ったらクリックしてね
こちらもクリック!
も一回お願い!










重要証人と彼を護衛するFBI捜査官が





















これって、1999年カリフォルニア州の
