本作も、昨年の暮れ、歯の痛みでチケットを無駄にした自分だけのいわくつきの映画である。予告篇を観て、それだけで楽しくさせてもらったので、どーしても観ておきたかった。4本目となると、ちょっと目も腰もお疲れ気味だが、コメディなので、楽だろう。
何度も書くけれど、お正月映画とは思えない。しかし、とても面白く楽しませてくれる。スクリーンを観て、久しぶりに何度か声を出して笑った。ウィル・フェレルの野人のようなやりすぎの顔つきと、美少年とも言えるイケメンの金髪のジョン・ヘダー。まったく違ったタイプの容姿に加え、性格も180度違う。金メダル争い敵の二人。それが事情あって、ついにペアを組み、フィギュアスケートをするのだから、馬鹿馬鹿しくもよく考えられてある。全体としては、そこにヒントを得て物語を広げたのだろう。だが、実は、男のペアのフィギュアスケートのエンディングに至るまでが抜群に楽しい。邪魔する者も現れ、昔からあるタイプの、目標を達成するまでの笑いの積み重ねだけれど、いちいち気が利いている。
アメリカ映画の笑いは、日本人にわからないことも多く、ピントがずれているなと思う作品も輸入されてきた。しかし、本作は、私たち日本人も十分に笑いを堪能できる。エンディングに笑いが詰め込まれているとばかり思っていた私は、なにかあるごとに、クスッと笑った。大きな設定で、大きな笑いに向かっていくが、その中に、細かな笑いがいっぱいある。妙な間も、大袈裟ではないので、日本人でも好感がもてるだろう。
女性と女性がペアを組むと、感動作になりかねない。男性と男性が組むと、笑いになる。フィギュアスケートだから、持つところに困る。目の前に股間がくる。このあたり、ツーショットとアップの切りかえしが続くが、背後の風景はそのままで、手は抜かず、しっかりと撮ってあるのがわかる。作り手が、真面目に真剣になればなるほど、笑いも増すのだろう。そこに至るまでも、もちろん手は抜いてない。全体的に落ち着いたカメラだから、ウィル・ファレルのアドリブを期待した観がある。それで正解だ。脚本の展開が早く、そこはカメラも走る。アドリブを求めず、それだけで笑顔になれるシーン、カットをふんだんに用意したからだ。元日のレイトショーは、人も少なかったが、疲れて、日ごろのイライラなどをひと時でも忘れたいのならば、迷わず、本作をと思う。
同時に公開されていた「オーシャンズ13」の収益を超えたというから、コメディとしては、大したものである。4作品を観てきて、いつも4本目というのはダレテ観てしまうのだが、私はこの作品が、今日の最もお気に入りだった。ジクジクした気持は残らず、気分よく劇場を後にした。本作を最後にもってきておいて良かった。
外へ出ると、寒いというより、痛いほど冷たい風が吹いていた。寒くて痛いけれど、元日から映画をたくさん観させていただき、私の心はホッカホッカだった。長い長い冬が続いているけれど、今年こそ、素晴らしい年でありますように。星の見えない大阪の夜を見上げて、自分のことを祈った。 <75点>
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