栄養素についてもっとよく知ろう:セレン
今回はセレンを取り上げてみたいと思います。
セレンって何?
セレンと聞いてもあまりピンとこないかもしれません。ですが、最近はサプリメントの中にセレンが入ってるものも見かけられますね。
セレンは人間が必要とする必須ミネラルの一つですが、カルシウムなどと違い、その必要量はごく僅か(1日50マイクログラム以下)です。ちなみにこれらをマイクロミネラルと呼ぶこともありますが、他にもホウ素、コバルト、銅、クロム、フッ素、ヨウ素、鉄、マンガン、モリブデン、ニッケル、シリコン、バナジウム、亜鉛、そしてなんとヒ素

もごく少量ながら人間が必要とするマイクロミネラルです。
セレンの場合は、前述の通りマイクログラムという単位で計られる程の量が必要とされますが、大体20~70マイクログラムが必要とされています。ちなみに、1ミリグラムは1000マイクログラムなので、セレンが非常に少ない量であることが想像できるのではないかと思います(カルシウムの必要量は1日600
ミリグラム)。
植物の栄養価はそれが育った土壌に依存しますが、特に植物に含まれるセレンの量は土壌のセレン濃度に敏感に反応するように見えます。このため、セレンに対する過去の研究は、セレン濃度の低い土壌や、飼料を与えられた羊、牛、七面鳥、豚といった家畜の病気に対するものがほとんどでした。
どんな風に働くの?
酸化的ストレスの回避
人類は生きていくために酸素を呼吸しなければなりません。ですが、酸素は同時に体内の分子を過度に反応させてしまう為、危険な物質でもあります。酸素を含んだ分子が過剰に敏感となり、その周辺にある細胞構造を攻撃しダメージを与えることがあります。科学の世界では、この事を「酸化的ストレス」と呼びます。
セレンは酸素分子が過剰に敏感になってしまうことを回避する栄養素のグループと共に働くことで、酸化的ストレスを回避する働きがあります。このグループには、ビタミンE、ビタミンC、グルタチオン、セレン、ビタミンB3が含まれます。
例えば多くの心臓病の事例では、酸化的ストレスは心臓の血管壁に対するダメージの原因として示されます。セレンの摂取量の低下はこのような病気を誘発する因子として認識されます。同様に、リュウマチ関節炎では酸化的ストレスは関節の周辺や内部に見られます。そして、日常的なセレン欠乏はこれを進行させる原因として示されることになります。
甲状腺ホルモンのサポート
ヨウ素は甲状腺ホルモンに深く関係している栄養素ですが、それに加えてセレンも甲状腺機能を適切に維持するために重要な栄養素の一つです。甲状腺が最も活性化したホルモンの形式であるT3と呼ばれるものを生産するために、セレンは必須であるだけでなく、生産されるホルモン量を調節する働きも持っています。
ガン予防
動物などを使った検証結果を集めたところ、セレンの摂取量とガンの発生率との間には、強い負の相関があることが示唆されています。
ガン予防に対するセレンの活動について、いくつかのメカニズムが示唆されています。セレンはDNAの修復とダメージを受けた細胞の合成を促す働きがあるとされ、ガン細胞が拡散するのを抑制する効果があります。さらに、それらのガン細胞に対してアポトーシス(細胞の自然死)を促し、人体の中で古くなった細胞や、異常な細胞を自己破壊させるために利用されます。
加えて、セレンは多くのタンパク質が活性化している場所(グルタチオンペルオキシダーゼと呼ばれるガン予防にとって重要な物質も含まれます)に組み込まれます。グルタチオンペルオキシダーゼは体内に存在する最も強力な抗酸化物質の一つで、肝臓内で潜在的に有害な分子を幅広く解毒する為に利用されます。グルタチオンペルオキシダーゼのレベルが大きく低下した場合、これらの有害な分子が適切に無毒化されず、細胞に接触することによってそれらを破壊し、さらにDNAを破壊することでガン細胞の成長を促進させてしまいます。
不足するとどうなるの?
実はセレン欠乏による症状を特定することは簡単ではありません。例えば、セレンの摂取量が下限ぎりぎりだったり、あるいはごく僅かに不足しているような場合、それらは特定の症状をもたらしません。長期間にわたって大きく不足している場合、症状は明白に心臓と関節という特に酸化的ストレスの強い場所に集中して現れることになります。
過剰摂取の副作用
では逆に過剰接した場合はどうなるのでしょうか?
吐き気、嘔吐、抜け毛、肌荒れ、爪の根本の異常、爪の喪失がセレンの過剰摂取によって現れる可能性のある症状です。ただし、これらのような症状を引き起こすほどのセレンは通常食品から摂ることは出来ません。というのは、通常セレンが豊富とされている食品でもその含有量は1食に付き30~50マイクログラムに過ぎません(ただしブラジルナッツは例外と言えます。それには70~90マイクログラム含まれています)。セレンのサプリメントは食品の摂取よりもよりセレンの過剰摂取を引き起こしやすいと言えます。
ちなみに、専門機関はセレンに関してその1日の最大許容摂取量を400マイクログラムまで(男性および19歳以上の女性)と定めています。
予防や治療が期待できる病気
セレンを適切に摂取することで以下のような病気の予防・治療が期待できます。
● ニキビ
● 喘息
● 子宮頸部形成異常
● 結腸・直腸ガン
● 食道ガン
● 男性の脱毛症
● 多発硬化症
● 卵巣嚢包
● パーキンソン病
● 歯周病
● 乾癬
● リュウマチ関節炎
● 老人斑
● SIDS(乳児突然死症候群)
● 胃ガン
過剰に気にする必要はないけど偏食には注意
セレンは普段あまり気にかけていない人が多いように、必要量が少ないこともあって普通に食事を摂っていれば不足する事はそう多くない栄養素だと思います。ですが、あまりにも偏った食事を続けている人は、知らず知らずのうちに不足している、なんてこともあり得るので注意が必要です。
また、同様にサプリメントに頼っている人は逆に過剰に摂取してしまわないようこれまた注意が必要でしょう。
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それではまた。
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