大動脈瘤に注意
大動脈瘤というと、その言葉の響からして非常に危険な感じのする病気ですが、実際命に関わるこの病気。今回は動脈瘤について取り上げてみたいと思います。
大動脈瘤って何?
大動脈瘤は大動脈の血管壁に出来た、風船状にふくらんだこぶのことを指します。もちろんこぶと言っても元は血管。当然こぶ自身も血管壁伸びきった形で出来上がったものです。大動脈は心臓から酸素を体中に送り出すための基幹となっている血管で、非常に太く、まさに命を支える重要な血管であると言えます。そして、その大動脈に出来たこぶは非常に弱く、簡単に破裂することがあり、突然命の危険にさらされる事態を引き起こすものです。実際、米国内における高齢者の死因の15位に入っています。大動脈瘤には2種類があり、それぞれ腹部大動脈瘤と胸部大動脈瘤と呼ばれます。この分類はこぶが大動脈のどこに出来たかによって分けられるものです。
● 腹部大動脈
腹部大動脈は腹部を走っており、下半身に血液を送る役割を持っています。● 胸部大動脈
胸部大動脈は胸部を走っているもので、上半身に血液を送る役割を持っています。なお、動脈瘤は体中の至る所で出来る可能性があるものですが、大部分は腹部に出来ます。
何が原因なの?
しかし、元々動脈瘤は出来るべくして出来るものではないはず。ではなぜ動脈瘤は出来るのでしょうか。通常血管というのは非常に弾力があり、血圧に応じて適宜伸縮を繰り返しています。しかし、いくつかの条件が重なったとき、ほとんどの場合それは動脈硬化と高血圧ですが、血管壁が脆くなります。これらの要因は通常老化に伴って誰にでも起きる自然消耗の一つですが、これによって弱くなった血管壁が元に戻らずに外側に向かって風船状にふくらんでしまうことがあるわけです。
どんな症状がある?
大動脈瘤はまれにある症状を示すことがあり、それはしばしば他の理由によって行われた検査の最中に見つかることがあります。症状としては、腹部の不快感や胸の痛み等であることがほとんどで、一瞬で消えることもあれば、持続することもあります。最悪の場合、動脈瘤が破裂することによって激しい痛みや出血を引き起こします。そして、動脈瘤の破裂は生命の危機に関わるもので、しばしば数分以内に死に至ることもあります。
また、その他にも、複雑な事情を引き起こすことがあります。胸部大動脈瘤からはがれた血栓が血流に乗って脳に達し、脳梗塞を引き起こしたり、また、腹部大動脈瘤からはがれた血栓は腹部や足への血流を止めてしまったりすることもあります。これはこぶの内部では血流が遅くなっているために血の塊が出来やすくなるためです。
どうやって診断・治療するの?
大動脈瘤は、しばしば他の目的で行われたX線検査や超音波検査、心エコー検査で発見されることがあります。また、定期的な健康診断で見つかることもあります。一旦大動脈瘤が疑われた場合、腹部超音波検査やCT、MRI検査等を行ってこぶが出来ている位置やそのサイズを明らかにすることになります。また、その治療法はこぶの大きさとどれ位早くそのこぶが成長しているかによって決まります。こぶが大きい場合や非常に速いペースで成長している場合、または症状として表れている場合は外科手術が必要となります。通常ダメージを受けている血管壁は人工血管に置き換えられます。
小さいこぶが破裂することは希なので、βブロッカーのような高血圧のための医薬品(降圧・血管の緊張緩和)に併せて治療していくことがあります。もし外科手術を受けなかった場合、定期的な超音波検査で動脈瘤が成長していないかを確認する必要があります。
生活習慣の乱れが死を招く
大動脈瘤の原因がほとんどの場合高血圧と動脈硬化にある事は既に述べたとおりです。これらはどちらも加齢に伴って起きるものですが、その一方で生活習慣の影響を強く受ける病気でもあります。健康に気をつけた生活を送っている人と、それらを振り返ることなく自由気ままに生活している人とではこれらの症状の進行速度に違いが出ることは明らかです。動脈硬化や高血圧はそれ単体では深刻な症状を引き起こすことが少ないので、ついつい放置してしまいがちですが、やがては命に関わる事態に発展する可能性があることは念頭に置いておいた方が良さそうですね。
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