![]() | 巷説百物語 (怪BOOKS) (1999/09) 京極 夏彦 商品詳細を見る |
前から読んでみたいとは思っていたものの、なんとな~く腰が退けていた京極作品。
なんというか、タイトルや表紙からして おどろおどろしいし、怖い話は好きだけどグロいのは苦手な私は、もしそういう話ばっかりだったらどうしようかと。
読んでみたらなんのことはない、面白い時代小説だった。
もちろん、面白いとは言っても「楽しい」とか「愉快な」というのではない。
夜が暗いのはあたりまえだった時代のイメージそのままに、全編に亘って闇が凝ったような重さは付きまとう。
そして、やっぱり凄惨な事件も起きる。
でも後味は悪くない。
「小豆洗い」「白蔵主(はくぞうす)」「舞首」「芝右衛門狸」「塩の長司」「柳女」「帷子辻(かたびらがつじ)」
各話のタイトルは竹原春泉・画「絵本百物語」から付けられた妖怪の名前である。
ただし、本書に本物の妖怪は登場しない。
これらの妖怪に準えられるのは人の業。
真っ当なやり方では解決できない事柄を、巧妙な仕掛けと目眩(めくらまし)で妖怪の仕業として丸く収めてしまう 御行の又市一味が暗躍する。
御行(おんぎょう)とは、行者紛いの身形で魔除けの札を売り歩く者をいうらしいが、又市は全くの無信心。
しかし、この行者の姿も 仕掛けに一役買っている。
雨の中、険しい山道を急ぐ一人の僧。
寺までの道のりはあとわずかだったが、やむを得ず 山中の小屋で夜を明かすこととなる。
その小屋では既に十人ほどが雨宿りをしていた。
百姓や物売りに混じって そこに居たのは、白装束の御行、人形遣いの女、商家の隠居、そして正体不明の若い男。
無聊の慰めに百物語でもしようと御行が提案し、皆が順番に怪談を語り始めるが、僧の様子が次第におかしくなり、ついには意味不明の言葉を口走ると雨の中を外へと飛び出していってしまう。(小豆洗い)
越後の国の枝折峠を皮切りに、物語の舞台は日本各地に散らばり、いずれも見事などんでん返しが用意されている。
文庫版も出ているが、このシリーズはカバーの裏に仕掛けがあるので、私はハードカバーのほうがお気に入り。
ただ、「続巷説百物語」「後巷説百物語」と だんだん分厚くなってくるので、本の重みで手が疲れるのが難点(笑)
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