横浜駅西口近くにある焼き鳥屋の「吉左右」さんにお邪魔しました。
 横浜駅西口のパルナード商店街通りにはビックカメラ、ビブレ、東急ハンズなどの大型店が目白押しで、横浜一の繁華街です。
 これを通り抜けて、岡野の交差点を越えると、いきなり静かな住宅街に入ります。
 その路地に「吉左右」さんはあって、以前、日中、その前を通って、店構えに魅かれておりました。
 調べてみると、大人向けの高級焼き鳥屋さんというので、連れと一見客としてお邪魔したというわけです。

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 焼き鳥の串を頼み、生ビールでうがいをしながら様子を見ていると、コの字型のカウンターに座るお客は確かにほとんどが30代以上です。
 頼むアルコールは圧倒的にビールか焼酎、酎ハイで、日本酒を頼む人がいないのです。
 メニューもないし、こりゃどうかなあ、と思いつつも、お店の人に
 「あのう、冷酒が飲みたいんですが」
 と伺います。
 すると、すばやく、手元にある飲み物のメニューを手渡されたのです。
 それがこれです。

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 日本酒冷やは5銘柄が並んでいましたが、危惧していた通りの品揃えです。
 しかも、純米か本醸造か、はたまた普通酒かもわからないし、さらには値段表示もありません。
 ちなみに、このお店、焼き鳥のメニューが壁にかかっていましたが、値段表示がないのです。
 高級寿司屋と同じ気分で経営されているようでした。
 お店の雰囲気はアットホームとはお世辞にも言えず、店員さんはこちらをお客様と扱っていると思えないムードで、
 「あのう、このお酒のスペックと値段、教えてください」
 と頼む気にさせない重圧を感じたのです。
 ようし、こうなりゃ、えいやで頼むしかないな。
 いまさら、「八海山」「麒麟山」「立山」なんか飲みたくないし、「'''伯楽星'''」は旨味が煎餅状の淡白な辛口酒で閉口した記憶がまだ新しいし。
 そうすると「北翔」ですが、新潟の酒で「北翔」って知りません。
 ま、最近では、新潟のお酒でも旨みの乗った美酒を醸す蔵が増えているからなあ、一丁、賭けて見るかと頼んだのです。
 出てきたのはこれでした。

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 「純米酒 北翔」。
 一升瓶のラベルを見ると、新潟県村上市の大洋酒造さんが醸しているお酒でした。
 なんだ、「大洋盛」という銘柄を主力とする大手蔵さんではないか。
 そうなると、やばいかなあ、と不安におののきながら裏ラベルを見ると、こんな能書きがありました。

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 当商品は酒米「五百万石」を半分近くまで磨き、丹念に吟醸造りで醸した、杜氏入魂の純米酒です。
 控えめな香りと、淡麗な中にも奥行きのある味わい、キレの良い後口をお楽しみください。
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 うーーむ、期待していいのでしょうか。
 いただきます。
 わ、き、きました。
 お猪口に鼻を近づけた瞬間に立ち上ってくるこの香り。
 一気に暗くなりながら口に含むと、中程度よりもやや小振りの硬い煎餅のような旨味がもっさりとやってきます。
 受け止めて保持すると、旨味はほとんど大きさを変えないまま、うねりを打ちながら次なる旨味を放ってくるのですが、これがひどく田舎臭いというか、ダサいというか、甘さや華やかさとはまったく無縁の味わいなのです。
 その旨味からでてくる含み香を嗅いだ空太郎は、いきなり大学時代の「養老の瀧」の宴席へとタイムスリップしてしまいました。

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 これはひと口呑んだら、あとは呑む気になりません。
 意地悪を言っているのではありません。
 連れも同様で、
 「単色の味わいが何にも変わらずまっすぐに喉へと通過するだけ。これは呑めないね」
 と同様の拒否反応を示したのです。
 これはまさに、先日いただいた“三丁目の夕日”を彷彿とさせるお酒と同じタイプです。
 うーーむ、今夜はこれからどうしようか、とただただ愕然とする空太郎でした。

*次に呑んでしまった酒は'''これ'''

★お酒の情報(09年302銘柄目)
銘柄名「北翔 純米酒」
酒蔵「大洋酒造(新潟県村上市)」
酒分類「純米酒」
原料米「五百万石」
使用酵母「不明」
精米歩合「55%」
アルコール度数「15度」
日本酒度「+2」
酸度「1.5」
情報公開度「△」
標準小売価格「1800ml=2310円」
評価「×」

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