一本目にいただいたのはこれです。
山口県岩国市の澄川酒造場さんが醸しているお酒です。
純度を限界まで高めて不純物を一掃した甘味が旨味の土台の上で華麗に踊り、渋味と酸味が適度なアクセントをつける文句なしの美酒でした→★★★★(4.6点)。
福島県会津坂下町の曙酒造さんが醸しているお酒です。
曙酒造の大吟醸「一生青春」が脚光を浴びて十年余りがたちます。
その後、「天明」のブランドで着実に知名度と評価を上げ、いまや、福島を代表する銘酒になっています。
その階段を着実に登ってきたのは蔵元の鈴木孝教さんと明美さんご夫妻です。
まだまだご夫妻は働き盛りですが、息子の孝市さんが蔵に戻ってきて、平成20BY(醸造年度)から酒造りに携わっていることもあって、25BYから孝市さんを杜氏に据える腹積もりでいらっしゃいます。
「なぜ、中退したのですか?」と空太郎が質問すると、
「卒業までいても、酒造りの参考にはならないと感じたから」ときっぱりでした。
孝市さんは、父上の孝教さんが痩身であるのに対して、真逆の体型をしています。
ある時のお酒のイベントで、孝市さんの知り合いらしき男性が、
「随分と太ったじゃないか。両親は痩せているのに」とぶしつけに言われ、それに、
「苦労が多いんですよ。でも、一度会ったら僕のこと、忘れないでしょ。人気商売ですから、それでいいんです」
と見事に返していたのには、思わず微笑みました。
そんな愛すべきキャラクターの孝市さんは昨年5月に結納を交わし、今冬の造りが完了した後に挙式を催すそうです。
今後、ますます期待したいと思います。
今夜のお酒は、23BY(醸造年度)の中取り壱号。
五百万石60%精米の生酒です。
いただきます。
口に含むと意外にも中程度よりもひと回り小さな旨味の塊が、表面に人工芝を敷いたかのような感触を振りまきながら飛び込んできます。
受け止めて保持すると、旨味はそのまま楕円形になりながら膨らみ、無数の粒粒を放射してきます。
粒はすぐに弾けて、なかから硬めの旨味が9割、甘味が1割の配合で現れます。
旨味はややくすんだ地味目のタイプで、そこに甘味がそっと寄り添うのです。
そして、まもなく、大きな力強い渋味が接近し、甘味を引き剥がして味わいの舞台の脇においやり、旨味と一緒に荒々しい味わいを展開します。
呑み下した後にお口が萎むような余韻でした。
銘柄名「天明 特別純米 中取り 壱号 おりがらみ本生 23BY」
酒蔵「曙酒造(福島県会津坂下町)」
酒分類「純米酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」「中取り酒」「おりがらみ酒」
原料米「五百万石」
使用酵母「協会9号」
精米歩合「60%」
アルコール度数「16~17度」
日本酒度「+3」
酸度「1.7」
情報公開度「○」
標準小売価格「1800ml=2600円」
評価「★★★★(4.0点)」





