東高円寺の銘酒居酒屋の「天★(てんせい)」さんで、五杯目にいただいたのはこれです。
「舞美人 純米吟醸 2004年醸造 無濾過本生原酒」。
福井市の美川酒造場さんが醸しているお酒です。
美川酒造場は福井市内にある小さな酒蔵です。
戦後間もない福井地震で壊滅的打撃を受けて、一旦は酒造りを止めたそうですが、復興し、現在は300石ほどの小さな蔵です。
杜氏は六代目蔵元の美川欽哉さん。
1968年生まれで、大学卒業後、蔵に戻って、越後杜氏の丸山仙太郎氏の下で酒造りの修行をし、平成7BY(醸造年度)から杜氏をされています。
10年ほど前からは奥様の久美子さんも酒造りに参加し、家族で美酒を醸しています。
濃醇旨口の酒質が特徴で、淡麗辛口が絶頂だった時期もぶれることなく、醸してきています。
そんな蔵元さんが果敢に挑戦したのが、この生酒の常温熟成酒です。
通常、生酒を熟成させるのであれば、低温あるいは氷温が定石です。
常温で熟成させるのであれば火入れするのが一般的です。
それをあえて、6年以上、生酒を貯蔵タンクに入れて熟成させるという暴挙に出たのです。
美川酒造場のウエブサイトでも、「一種の賭けでもありました」と言及しています。
空太郎もその存在は伺っていたものの、瓶ごと買うのは勇気が入り、見送っていたので、これがお初です。
いただきます。
粘り気のある古酒っぽい香りがほんのりと漂ってきます。
口に含むと、超巨大な旨味の塊が、口の中にアンパンを突っ込まれたかのような感触で飛び込んできます。
形状もわからないようなプルプルのゼリーのぶ厚い層が表面を覆い、それが上あごや舌にべっとりと張り付きます。
そのゼリーの粒子から登場するのは、砂糖水をじっくりと煮詰めたかのような甘味と、腰のある野太い旨味。
その甘旨味から立ち昇る含み香は、濃くて流動性のないねっちりとした甘さですが、6年の歳月を感じさせるような熟成香はまったくしないのです。
甘旨味はどっしりと味わいの舞台の中心で四股を踏み、その背後から元気な酸味が現れて、露払い役を演じます。
最後の辛さは少量で、味わいはいつまでも甘旨味の土俵入りのようでした。
うーーむ、生酒の良さを残した古酒、これを勝手に“生古酒”と呼ぶことにしよう、と決め付ける空太郎でした。
★お酒の情報(10年294銘柄目)
銘柄名「舞美人 純米吟醸 2004年醸造 無濾過本生原酒 2004BY」
酒蔵「美川酒造場(福井市)」
酒分類「純米吟醸酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」「長期熟成酒」
原料米「五百万石」
使用酵母「不明」
精米歩合「50%」
アルコール度数「18.2度」
日本酒度「+2」
酸度「2.5」
情報公開度「○」
標準小売価格「1800ml=3405円」
評価「★★★★」
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