桜の記憶 〜その壱〜
桜の記憶 〜その弐〜
桜の記憶 〜その参〜
桜の記憶 〜その四〜
桜の記憶 〜その五〜
桜の記憶 〜その六〜
桜の記憶 〜その七〜
桜の記憶 〜その八〜



隣のおおきな屋敷から迫り出した染井吉野が
きらきらと
いのちを振りまきながら
わたしを捉えるように
くるくるくるくると舞い落ちる。


その薄墨色の花びら
つかまえようと伸ばすわたしの両の手をあざ笑うように
ひらりひらりと身をひるがえす。




愛する人に愛される歓びをその身いっぱいに抱きかかえ咲き乱れる
満開を幾日か過ぎたあの日の桜。


それがどんなに儚いものかなど
疑う余地もなく。






あの頃のわたしは
この例えようもないしあわせが
ずっとずっと・・・
永遠につづくと
ただただ信じていた。

まるで
天真爛漫に無邪気に舞い踊るあの日の桜のように。


  つづく




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