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2010年04月20日

『ここはグリーン・ウッド』(那州 雪江/白泉社) 第4~6巻 後半

 今回紹介するのは、「ここはグリーン・ウッド」です。1986~1991年まで、白泉社の雑誌・花とゆめで連載されていました漫画作品です。
 
 

 
 



 スカちゃんの同居人である瞬は、旅館の息子。見てくれは女子っぽくても、息子なわけですが、その旅館経営も化なり手広くやっている様子なのです。今回は、そのお話から始まります。

とある古い旅館を手に入れた如月の家。しかし、それを改装工事するのに少し時間がかかるのだとか。空きがあるのならばという感じなのでしょう。瞬に実家から連絡がきた様子です。
夏休みにタダで泊まれるホテルは、まずありませんからね。しかも、瞬も一人で行くよりは、皆…光流と忍と、そして当然スカちゃんと一緒に行きたいと思い誘った様子。

しかし、スカちゃんは用事があるから行けないと、何故かうれしそう。いわく実家に帰るのだとか。

そこに、ぴ―――んと来ない彼らではありません。何かしらスカちゃんが企みを持っているのは、モロばれの様子です。
…といっても、彼の企みなど、静かに寮生活がしたいだけの話。つまり、瞬のホテルへ3人を送り出し、自分だけは寮に残る…という話なのですね。

モロばれなのですから、当然、いろいろと言われます。実家に帰るという事がどういうことなのかを。
結果は、わかりきった話。結局スカちゃんも一緒に行くことになりましたとさ。



 
 

 
 
 さて、この作品ですが漫画版は全11巻となっております。今回はその内、第4~6巻までのレビュー後半です。
 
 
 まずは読みました感想から。
 
前半では、こなされたキャラという話を中心にしましたが、そうした中で起こる急転直下の出来事。一体、何があったのかと思うしかありません。これは別に悪い意味ではなく、むしろギャグコメディを中心に続けていくつもりであったのでは?と思ったほどです。
言ってしまえば、マンガにおけるビューティフルドリーマー。もしくは、サザエさんのように…と思ったのですが、どうやら、それのマンネリ化を避けたかったご様子。

確かに、こうした状況(…というのは、6巻の最後を見ていただくとしまして)になった場合。初恋の相手が…っていうのは、結構来るものかもしれません。
こうした出会いというのは、時の流れという物の中で翻弄されるものかもしれませんねぇ。

それまで、その当時の週刊少年雑誌連載のような雰囲気もあった本作品が、ある意味、少女マンガの王道に入っていくきっかけとなった話数があるというのも、今回のレビューの巻数でもあるのですね。

さて、ここのくだりは、OVAとの比較もやってみたい気がするのですが…いや、むしろOVAは後半の比較(悪い意味ではありませんよ。あくまでマンガとアニメの表現や構成の違いという比較の意味です)が面白いのかも。
いずれは、OVA版のレビューもやってみたいものです。
 
 
 というわけで「思いを伝える」というお話。
 
初キッスはレモンの味…などと昨今言うのかどうかは知りませんが、それでも、恋人が欲しいというのは今も昔も同じようです。
最近、近所で買い物をしていても、春だからでしょうか、あっちこっちで若いカップルが歩いてるのが見られます。仲善きことは美しきかな。
 
春の恋路は暖かく、秋の寒さに別れを感じる…と言いまして、暖かさだけを知っている春の恋路よりも、寒さ厳しい冬に例えた冬の恋路は、寄りそう暖かさから互いに沿い合うには適しているのだとか。でも、春になれば、暑苦しくなりそうですけどね。
 
それはともかく、昨今の恋愛事情が変わってきたのは、ニュースでも取り上げられている話です。いわゆる肉食女子に草食男子。
ですが、私のような年代からすれば、亭主元気で留守が良い…などというキャッチコピーもあったわけで、それは結局、肉食妻に草食夫ではないのかと思う次第であるわけです。
 
大体にして、家庭内における女性上位は家庭円満の秘訣でもあるとさえ言われる始末。確かに、楽ではありますが…(深くは語りませんけどね)。
 
恋人にしても結婚にしても、それは他人との生活に違いはない訳で、言ってしまえば友達もそうであるわけです。
それぞれの気持ちの良い距離や時間があるわけで、それはミクロな世界でもあるわけです。マクロな世界が世間であるわけですから、そこにも他人が存在する以上、ミクロとマクロ。大きさの違いだけであって、そこに大した差などあるわけないんですね。
 
自分の意見を主張するのも、思いを伝えるのも、結局は自分の言葉でしかなく、それを伝えるのには自分をしっかりと保つこと。つまりそれは自分の世界の門を開けてみる事に代わりがないということなんです。
ただ、それが難しいのは当然の話。後、必要であるのは……勇気……なのかもしれませんね。
 
 

 
 
 ここで注意書きです。
ここから下記には若干から、場合によってはかなりのネタばれが書かれております。あくまで、内容は現物を見てという方はここで画面を閉じていただく事をオススメいたします。
 
※レビュー前半に関しては『コチラ』から閲覧も可能になっております。
 
↓↓↓ 10 ↓↓↓
 
↓↓↓ 9 ↓↓↓
 
↓↓↓ 8 ↓↓↓
 
↓↓↓ 7 ↓↓↓
 
↓↓↓ 6 ↓↓↓
 
↓↓↓ 5 ↓↓↓
 
↓↓↓ 4 ↓↓↓
 
↓↓↓ 3 ↓↓↓
 
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↓↓↓ 1 ↓↓↓
 
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 瞬の家は老舗の旅館であります。和風な旅館だけではなく、洋風なホテルも手がけているのでしょう。恐らくはそうしたホテルの一つで戦前の古い建築なのですが、少し不思議な造りになっているのが特徴で、立ち入り禁止になっている通路があるのです。
 
それでも、興味があるのが若い証拠。四人(正確にはスカちゃんを除く、三人)は指して気にする事無く、その中へと入っていったのです。しばらく進むと、灯りもついていないその廊下で…

「だ~~~~~あ~~~~~れ~~~~~?」
(○う、○え、○お、○か 5巻 夏のお嬢さんたち p.128)



…と出て来たのは、若いお嬢サンたち。どうやら、支配人兼管理人の方が、若い女性が泊まっていることを黙っていようという話なのだろうと考えていたのですが、しかし、彼女たちには、とんでもない秘密があったのです。
 
 
 その夜。何故か怪談話に華が咲く四人。スカちゃんは怪談があまり好きでないのか、かなり困っています。一通り、雑談した後に、四人はそれぞれ床につきます。
 
すると、中々眠れないスカちゃんが窓に何かがぶつかる様な音を耳にするのです。窓を見ると、あの女性客の一人である○か(まるか)さんが手招きをしています。豪快ないびきをかいて寝ている光流を起こしてもかわいそうだと思ったのか、スカちゃんは彼女の下へと行ってしまったのです。
 
一人残された忍は、身体の重さで目が覚めます。すると自分の上に○う(まるう)が乗っかっており更に言えば、自分の事を幽霊であるというのです…が、相手が悪かった。お寺の長男は、仏さまと同じ釜の飯を食べていたのです。しかも特技は読経。これは退散するしかありません。
 
スカちゃんの姿が見えませんが、とりあえず忍と瞬の部屋へ向かいます。
瞬はしっかりと○お(まるお)に金縛りされていた様子ですが、忍は逆に○え(まるえ)を金縛りにしていたとの話。何でも出来る優等生は違いますね。
 
問題は、スカちゃんです。
○かについてきたスカちゃんは、自分に両親がいない事を話します。すると、会わせてあげようかと○かが尋ねてきますが、もう8年も経っているしいいんです…と答えてしまいます。それが、○かに何かを感じさせたのかもしれません。なんと、四人の中で一番実力行使をしてきたのです。
 
きっと、お母さんたちも会いたがっている…そう言いながら地面に押しつけしかも、埋められそうになるスカちゃん。しかし、そのピンチを救ったのは、意外な人物…いえ、幽霊であったのです。
 
 
「勝手に人の気持ちを代弁しないでちょうだい!」
(蓮川の母 5巻 夏のお嬢さんたち 2 p.152)



…そう、それは蓮川の母であったのです。いつでも、お母さんが見守っていると言う事なのですね。少しだけからかおうとしていた四人であったのですが、中でも、○かは蓮川の母に死んでからも説教をされてしまい、落ちこんでしまった様子。
もしかしたら、自分の両親の事を少し考えているのかもしれませんね。
 
先立つ不幸はありますが、彼女たちのように明るくやっているのを知る事が出来たら、変な話ですが少しは安心するのかもしれませんね。
まさにそれこそ冥福。親しい人たちの冥福は祈ってあげたいものです。
 
 
 グリーン・ウッドにいる寮生の中で名物と言えば、光流に忍かもしれませんが、前寮長でもある古沢も名物寮生であるのは間違いありません。
彼の趣味は単車。それも、こよなく愛していると言えるほどであります。
 
ただ、彼の趣味にはお金がかかります。よって、かなりのバイトをやっている苦労人でもあるのです。
 
今も、その一つをせっせとやっている最中。そこは「川澄屋(かわすみや)」という名前の酒屋。確かに、酒屋は重いものが多いので、古沢にはピッタリかもしれません。また、昼間から飲んでいる知り合いの親父にも、古沢は効果覿面の様子。
 
一方で、グリーン・ウッドでは、そんな古沢の様子を瞬たちが寮生に報告しているのです。その理由は、酒屋の娘である「川澄 由子(かわすみ よしこ)」にありました。
この由子がベッピンなのですね。寮の中では、すっかり、古沢の恋人候補のような感じになっています。
 
しかし、当の本人はある意味朴念仁。何かしらわかっているのですが、どうして良いのかがわかっていない。そんな雰囲気なのだそうです。
そこで、古沢は光流に助言を求めます。
 
頼り甲斐があるのだけれど、無骨で無愛想で…そんな自分を理解しているのか、素直に光流に対して悩みを話す古沢。由子の対してどう接すれば良いのかと話をするのです。忍や光流のような男性が良いのだろうか…とも。
しかし光流は…
 
「―――おれは先輩ほどいい男、滅多にいないと思うんでんですけど。それがわからない方が見る目がないんですよ」
(池田 光流 5巻 愛と青春のぼくたち p.170)



…嬉しい言葉でありましたが、しかし古沢にとっても、それが応援でしかない事は理解していました。それでも、光流が言ったのは、ありのままの古沢であれば、それで十分ではないのかという事だったのでしょう。
それからも古沢のバイトは続きます。
 
ある日、電話で酒屋の主人、由子の父親が交通事故にあったと電話が入ります。
先に病院へ行くという古沢に、由子も一緒に連れていってくれと頼みます。しかし、古沢はそれを拒否するのです。
 
もし、その道中で事故を起こし、由子自身にも何かあったらどうするのか。以前、同じ様にバイクの後ろに載せて欲しいと頼んだ際に断られた理由を由子はその時に知ったのです。そう、古沢は嫌で拒んでいたのではなく、由子の身を案じて拒んでいたのだと。
古沢は由子に店をしっかりと閉めてから来る様にと言い聞かせ、先に病院へと向かいました。
 
幸いな事に由子の父親は対した怪我ではなかったようです。その帰り、古沢は始めて由子を自分のバイクの後ろへ乗せました。ヘルメットを被らせ、しかし、エンジンをかけず手で引っ張っていく。それが古沢の精一杯の行動であったのです。
そして、由子は自分の決意を話ます。いつかバイクの免許を取るのだと。それに古沢は、笑顔でいいねと答えるのでした。
 
後日、古沢は再び光流を尋ねます。それは、女の子にはどんなプレゼントが良いんだろう。そんな相談だったのです。
 
 
 夏が終われば、忙しい学園祭の季節。スカちゃんのクラスでは、すでに何かが動いている様子なのですが、スカちゃんは何も知らない様子。早速呼ばれると、クラス内で身長の低さを争っているという「戸丸 良武(とまる よしたけ)」と背比べをさせられたのです。
その理由は、女装はどちらが似合うのかというもの。身長の低さも項目の中にあるのだとか。
 
ちなみに、戸丸は前の体育祭にて、1年が行う女装をしていた男子です。
 
どっちがカワイイのか。本人たちは言い争っているのですが、クラスの皆の雰囲気がおかしいのです。総じて見れば、スカちゃんよりも戸丸になって欲しい様子。
 
しかし、戸丸本人は納得できません。そこで、卓球勝負をすることになりました。スカちゃんが戸丸が得意とするスポーツで勝負をつけようと言う話になったからです。
ちなみにスカちゃんの認識では、卓球はピンポンと同じ様子。
 
心配になった、瞬と光流、忍はとある場所で卓球の腕前を見る事になりました。あの、寮内七不思議でもある物を拾ってくれる云々さんが出る集会室であります。
実際に出たのですが、それを気にしている場合ではありません。光流がスカちゃんの腕前を見るのですが…結果は温泉ピンポンのレベルだというのです。
 
勉強ならぬ、卓球の一夜漬けの練習が始まりました。
 
そして当日。戸丸との対決がやってきます。そしてその腕前は…
 
「いい忘れていたが、中学では卓球部で1度だけ、全国大会に出たことがある」
(戸丸 良武 6巻 がんばれ蓮川!!卓球勝負 p.22)



…全国大会レベルvs温泉ピンポン。当然、勝負になぞなりません。結局、スカちゃんがストレート負けとなってしまいました。
問題は、どうしてこうなったのか…その理由、実はスカちゃんは知らなかったのです。
 
女装が似合う云々と言っていた理由。それはスカちゃんのクラスは学園祭で劇をやることになったのです。その題名は鶴の恩返し。そう、女装とは、その主役でもある鶴=おつうの役を決める勝負であったわけなのです。
 
 
 その学園祭なのですが、じつは生徒会でも悩みの種であるイベントであるそうで、その前にある体育祭に燃えつきた生徒たちの気力がなえたままでの開催になる場合が多いらしく、いまいち盛り上がりにかけるのだとか。そこで、忍の姑息な一面が活躍します。何かしら、賞品がでるとかでないとか。そんな噂を流し始めたのです。
 
個が盛り上がれば、全も盛り上がる。確かに、その様子は見て取れるようになってきました。当然、それはスカちゃんのクラスでも同じのはずなのですが…問題はそのスカちゃん。どうにも、台詞がうまく言えない様子。
それでも、主役なのですから頑張るしかありません。
 
盛り上がってくれば、血気盛んな若者の集まり。調整をする生徒会も忙しくなってくるわけです。
その勢いはグリーン・ウッド内でも同じく様子。スカちゃんを茶化しに来た光流にしても、二叉、三叉と駆け足のような忙しさなのだとか。特にスカちゃんたちが驚いたのは、光流がブラバン部であった事実。
 
そんな話をしつつ移動すると、グリーン・ウッド内に人だかりが出来て居る場所があったり。無断で映研がロケをしていたり。はたまた、喫茶店をやるということで、すでに客引きが始まっていたり…引きこもごもとはこの事なのでしょう。
 
そんな中、生徒会としても監督するだけではなく、催し物をやる様子。その役として白羽の矢を当てられたのは、誰であろう、光流であったのです。すでに複数の役をこなさなければならない光流は当然、断ります。しかし、忍ではなく、生徒会の後輩などに懇願されて断れる光流ではありません…
 
「―――…―――…わかったよ、やってやるよ…」
(池田 光流 6巻 お楽しみはこれからだ! 1 p.52)



…一方で、忍に軽くいやがらせをしようとしているのは、倫子さん。誰かに向けて電話しているのです。その電話の主、すっかり倫子さんの言葉に乗せられてしまった様子なのです。
 
 
 忍を嫌っているのは、結構いるわけですが、中でも姉である渚は嫌っている度合いが違います。とにかく忍が活躍するのは気に入らない様子。今回も、忍が緑都学園に名を残すかもという不確かな話だけで妨害工作をしようと奮起しております。
 
右往左往に東奔西走。それでも、学園祭の初日はやってまいります。出来るだけの準備をして、出来るだけの練習をした成果を思う存分に発表する日…のはずですが、スカちゃんは見事にプレッシャー負け。鼻血が止まりません。
 
一方、瞬は縦長の第一会議室を見事に利用した見世物で観客を沸かしています。
由樹も藤掛が心配するほどに頑張っている模様。
 
そう、皆が頑張っているなか、自分だけが十分に出来なかった事をスカちゃんは悔やみました。そして二日目。昨日の今日です。クラスの仲間が心配するなか、スカちゃんは…
 
「やる!」
(蓮川 一也 6巻 お楽しみはこれからだ! 2 p.75)



…と根性を見せております。光流もブラバンを無事にこなし、いよいよ、生徒会の催し物の時間となりました。
が、その時、あの渚が学園にやってきたのでした。
 
 
 いよいよ生徒会でも準備におおわらわの状況となってきた様子。しかし、忍は何かを警戒している雰囲気です。
スカちゃんも主役を無事に終わった様子。一足ちがいで見にこられなかった瞬が、女装のままの格好で生徒会へと向かおうとスカちゃんを引っ張っていきます。なにやら、光流も女装しているのだとか。
記念写真を三人で…と思っていたのですが、生徒会室の前に、誰かうろうろとしています。しかも、その顔には見覚えが…。
 
声をかけると、その男性。あの渚の部下であったのです。
 
部屋の中からも、外の騒ぎを聞きつけ、光流が出てきます。その見事な女装っぷりに瞬が少しむくれてしまうほどです。
それはともかく、渚の部下は忍にことの真相を告げます。ここ最近、送られてきた脅迫文。そこにかかれていたのは、大雨になるという事でしたが、その大雨、なんと校内のスプリンクラーを作動させるということだったのです。
 
その時間は忍たちがの講演が始まった時間に合わせてなのだとか。まだ、時間はあります。光流は即断で忍に伝えます…
 
「まだ間に合う。阻止しにいくぞ!」
(池田 光流 6巻 お楽しみはこれからだ! 3 p.89)



…三人の女装男子を先頭に、校内くまなく渚の部下を探す事になりました。各階に一人、そして、校庭に一人。腕っ節では、負けない若者たちです。次々に見つけ出し、そして、渚の策略を阻止することに成功しました。
しかし、すでに開演時間を過ぎており、これ以上延ばすことは出来ません…そこに光流が戻ってきます。忍の号令で生徒会の催し物=演劇の幕が開いたのです。
 
舞台は成功。そしていよいよ、後夜祭の時間になりました。気がつくと、光流の姿が見えません。忍は光流を探しにいきます。
すると、マットの上で泥のように寝ている光流を発見。無理矢理起こします。
小さくても世話になったと語る光流は、これで貸し借りがチャラになったと思っている様子。しかし、忍はどうなのでしょうか。そのことを知る光流ではありません。
 
後夜祭をもって無事に学園祭は終了。一部、書き記せないものがあるにしても、それは確かに、学園史に残るイベントになったのではないのでしょうか。
 
一方、渚さんと言えば、忍から逃れるためにどこかへ行く様子。それで、逃げられるとは到底思えないのですけどねぇ。
 
 
 思えば、スカちゃんの家にすみれが嫁いできてから、スカちゃんはあまり帰っておりません。それはすみれの事を忘れるためであるのですが、それでも何かしらにつけ、すみれのことを思い出してしまう様子。
 
この話はそんな野郎がもう一人というお話であります。
 
正直に言いまして、この話はあまりレビュー書きしたくはないんですねぇ。理由としては…
 
  1.本人に正直に名乗らない。
  2.自分の優位性を信じて疑わない。
  3.なにより他人をこけ下ろしまくる。
 
…というライバルにもなりゃしないピエロとして、「神田 利幸(かんだ としゆき)」が出てくるからなのです。それはそれで、面白いキャラなのですが、個人的には好きになれません(笑)
傷のえぐり方が暴力的で見ていてグーパンチしたくなるからです(爆笑)
 
でも、この人も目的はただ一つ…
 
「木谷すみれをかえしてもらおう!」
(神田 利幸 6巻 蓮川家の一族 1 p.130)



…スカちゃんは驚愕な状況みたいですが、しかし、周りは何を言っているのやらという雰囲気になっております。
 
 
 さて、この兄ちゃん。学園に乗りこんできたまでは良かったのですが、瞬や光流に言われまくりだったのです。それもそのはず、あのすみれの幸せそうな姿を見て、不幸だと思えるはずもなく、男子校の保険医をやっているからと言って、その語りや対応から、ホモであるとも思えないからなのです。
 
しかし、神田の兄ちゃんは引き下がりません。ついには、スカちゃんに話があると言い、喫茶店に呼んでしまったのです。
 
さて、この話。当初から間違いがあるわけですが、それは何か。この神田の兄ちゃん。恐らくは、将を射んと欲すれば馬を射よのつもりなのでしょうが、すみれが将であるならば、馬は一弘であって、一也じゃないわけです。
もし、堀を埋めるべくやっているのでしたら、それはむしろ、藪を突付いて蛇を出すだけの話。
 
事実、そうなってしまいました。
 
スカちゃんの家の事情も、一弘の苦労も知らずに手前勝手な事ばかりを話している神田にスカちゃんが切れてしまいます。逃げたのかと思ったのでしょうが、そこに登場したのは、一弘ご本人。神田に対して、すみれも交えてお話しようと言う事になりました。
 
涙が止まらない一也。それは彼の気持ちそのものであったのです。一生懸命に自分を育ててくれた兄に対する気持ち。そう、彼は誰からも一弘を誉めて欲しかった。ただ、それだけだったのです。
 
いよいよ、神田が家に来ることになった日。あれだけ毒づいていた彼も、結局はすみれに完全に毒気を抜かれてしまっています。
しかし、その日。すみれのくちから出て来たのは、思いがけない一言であったのです…
 
「              だってv」
(蓮川 すみれ 6巻 蓮川家の一族 2 p.153)



…上のは別にタイプミスではありません。そのまんまなのですけど、夫婦であれば当然、そういうことになりまして、その結果、家族が増えることもあるわけでありまして。
というわけで、神田だけではなく、スカちゃんの失恋も決定的になったのでありました。
 
 
 スカちゃんが実家から出て来たのは、それから間もなくの事でしょう。行き先は瞬の実家でありました。旅館もやっているので、泊めて欲しいとい事なのでしょう。
瞬はそれから、スカちゃんの実家に生存を知らせ、そして今、光流に電話しているわけです。
 
何かしら身体を動かしていないと気がまぎれないようで、思い込みが激しかった分、反動もかなりのものだったのでしょう。
 
しかし、瞬もそこで反撃にでます。すみれに対して告白した事があるのかと…すると、スカちゃんはすみれに、初めて会った時の話をし始めたのです。
 
その頃にはすでに保険医になっていた一弘に反撥をし、同じ学園に入り別の道に進むと決めていたスカちゃん。しかし、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。学力的に問題があったわけです。
そこで、一弘の知り合いとしてやってきたのが、すみれであったわけです。
 
スカちゃんは一目ボレをしてしまったわけですね。
 
それから、一生懸命にすみれから勉強を教えてもらったスカちゃん。何とか、合格まで出来そうな学力になりました。
その時、すみれから意外な話があったのです…

「お嫁にきてもいい?」
(木谷 すみれ 6巻 蓮川家の一族 3 p.174)



…しかし、それは一也の…という事ではありません。どぎまぎしている一也の態度がすみれに好意を抱いているというのを、一弘が知ったのも、その時が始めてだった様子。
あきらめて、泥を被ることにした一弘であったのですが、それ以上にショックを隠しきれない一也。
 
どうして家庭教師に来たのかも、どうして気にかけてくれていたのかも。その事を知ったスカちゃんであったわけですが、それでも、すみれの悲しい顔を見たくはなかったのでしょう。静かに頷いたのでした。
 
そんな感じで回想も終了し、初日の出。
周りは一年の願いをしている中で、スカちゃんは昇る朝日に向かって、青春の雄たけびを上げているのでした。
 
 
 当然ですが、そんな幸せいっぱいの一弘とすみれの両人にも、出会った時があったわけです。
それは一弘がまだ大学生であった時の話であります。
 
一弘の父が他界したのは、彼が11歳の時、お母さんに苦労を与えたくない一心で頑張り、弟の面倒も見ていたわけですが、そのお母さんが事故で他界したのは、高校2年生の時なのだとか。
それから自分が弟の面倒も見つつ、学業もしなければいけないようになり、それは大学に入ってからも変わらない様子なのでありました。
 
お母さんがしっかりしていた事、そして交通事故の加害者が財産家であったこともあり、経済的には破綻しなかったのですが、それでも何があるかわかりません。大学生になった一弘はバイトをこなして、自分の学費に当てているのでした。
 
いつものように学内の芝生で寝ていると、その姿を見ている新入生がいました。そこに群がっていく、女生徒数人。彼女たちは一弘と同じ研究会のメンバーであったのです。
一弘をエサに、彼女を引きこむメンバーたち。
 
一弘が、研究会に久しぶりに顔を出すと、その彼女の歓迎会のようなものが行われていました。彼女の名前は木谷すみれ。女子校からこの大学に入ってきたとの話なのです。メンバーは一弘の知り合いかと思っていた様子なのですが、二人は初対面。
その事にメンバーも驚きを隠せない様子です。
 
すみれを引きこんだ女生徒たちは一弘の理想を知っている様子。しかし、その理想とも三ヶ月ともたなかった事まで知っている様子なのです。
 
さて、すみれはというと、真面目に研究会に出てきているわけで、しかし、お目当てである一弘は出てきません。それとなく女生徒たちは、一弘も大変そうだからと言っているんですが、本人的にはそれでも気になる様子。
いつも一弘が寝ている芝生までやってきたのでした。
 
一弘がいつも寝ている場所を通りかかると、そこにはすでに先客がいました。すみれです。
思わず一弘は声をかけてしまいます。すみれは、素直に一弘に尋ねます。自分がいるから研究会に参加しないのかと。しかし、一弘はバイトが忙しいからと少し言葉をにごします。
それから、度々、その場所で話すようになってから、一弘は既視感を覚える様になりました。そう、彼女は弟である一也に似ていたのです。
 
一也もすみれも真面目で、大きな猫をかぶっている一弘を尊敬するように見ている。本当の自分はそうではないのにと、一弘自身は思っている様子。相手の理想を壊さない様に嘘をつく事になれてしまった自分が何とも滑稽に見えてしまうのでしょう。それでも、弟のためにと、一弘は今夜もバイトに向かうのでした。
 
そのバイト先で、一弘はすみれに出会います。新歓コンパに参加したのですが、門限の関係で帰る途中にオカマに遭遇。驚いて逃げだしてしまったのだとか。
その場所は歓楽街。どうにもすみれ一人で無事に通りぬけられそうには見えません。一弘は店に理由を言って、すみれを送る事にしました。
 
優しい一弘にさらにひかれるすみれ。しかし、一弘はきっぱりと自分の置かれている立場と思いをすみれに話すのです。そして、それが自分のいっぱいの許容量なのだと。
 
それから、研究会にすみれが出てくる事はなくなりました。しかし、二人はいきなり再会する事になったのです。
それは、いつものように芝生で寝ていた一弘の耳に、悲鳴が聞こえてきたのが始まりでした。その悲鳴の先にいたのはすみれだったのです。スカートを木にひっかけてしまったのだとか。
 
それを助けてくれた一弘に、研究会に出てこなくなった理由を話したのです。その理由を聞いた一弘は、自分の気持ちにうそをついている事を知ったようなのでした。
そして…
 
「ハッピーエンドにいたるのは、野をこえ山こえ、それから4年たってからのことだ。そして少年の物語がはじまった…」
(ナレーション 6巻 蓮川家の一族・魔性の女 p.202)



…というわけで、スカちゃんの物語。そのプロローグはこれにておしまい。
 
 
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 そんなこんなで、「ここはグリーン・ウッド」第4~6巻のレビューは終了です。
 尚、レビュー前半に関しては『コチラ』から閲覧も可能になっております。
 
 次回も「ここはグリーン・ウッド」第7~9巻のレビューとなります。
 
 

2010年04月20日

『ここはグリーン・ウッド』(那州 雪江/白泉社) 第4~6巻 前半

 今回紹介するのは、「ここはグリーン・ウッド」です。1986~1991年まで、白泉社の雑誌・花とゆめで連載されていました漫画作品です。
 
 

 
 



 昔々あるところに、平和で美しい王国がありました。そこに生まれた一人の王子。誰もがその誕生を嬉しいと思っていたら、大間違い。物語の関係上、こうした存在を疎ましく思う人がいるものです。この王家には、二人の王女がいました。その妹君は、王子の誕生で廻りがちやほやと騒いでいることが我慢なら無い様子です。

その時、ふと口に出てしまった言葉を魔王が聞いてしまったのが、彼女の不幸でもあったわけです。

小さな王子はおまんじゅうにされ、それを魔王の手先である鳥が運んでしまったのです。
しかし、魔王は大変に強い!王子を助け出そうという申し出は誰一人現れませんでした。しかし、その時、一人の無宿人がその冒険に名乗りを挙げたのです!

…というわけで、この話は番外編。ここはグリーン・ウッドに出てくるキャラをRPGファンタジー風にしてみたものなのだそうです。
これはこれで面白い話ですよ。

本編はと言いますと、季節は10月。学園祭も終わった頃の話から始まるのでありました。



 
 

 
 
 さて、この作品ですが漫画版は全11巻となっております。今回はその内、第4~6巻までのレビューです。
 
 
 まずは読みました感想から。
 
前回の第1~3巻では、やはり手探り感が若干感じられたわけですが、4巻では、主要メンバーであるスカちゃん、瞬、光流、忍の四人をしっかりと各話の主役にして、物語を作っているという状況でした。それぞれに個性が確立された…といても過言ではないのかもしれません。
 
特に光流と忍は場合によっては被ってしまうキャラ。設定的に差はあるのですが、これまでの寮内だけにおける立ち振る舞いには、どうしても合致してしまう場合もあったわけです。しかしながら、4巻以降に置きましては、その差異がはっきりしてきたのではないのでしょうか。
 
5巻においては、光流と忍の区分けをよりはっきりとするエピソードや、前寮長である「古沢 進一郎(ふるさわ しんいちろう」の物語であるとか、さらにグリーン・ウッドの話に入りこんでいけるようになっています。
 
そんないる意味番外編からいっきに物語はスカちゃんに関することへ。それが6巻になるわけです。
その最後では、スカちゃんとしても大変に大きな転機が…。個人的には苦笑いしてしまうような話があったりなかったり。ドラマとして、面白いエピソードが詰まっている巻ではあると思うわけです。
 
それでいて、そうかと思えば、例えば学園祭が、そうした個別の話を再びまとめるための媒体になっており、そこからグリーン・ウッドでの生活に結びつく。何とも妙味を出しているように思えるのです。
 
あくまで、寮の生活があり、そこで日々を過ごしているスカちゃん中心の群像劇。それを忘れない辺りが、うまいなぁと感嘆するわけです。
 
さらに、6巻でこの物語は一つの区切りを迎えます。そこからスカちゃんは大きく転機を迎える事になるわけですが…その話は、是非、単行本を呼んで確認していただければ幸いでございます。
あくまで、ここで記載しているのは、掻い摘んでいるだけのものです。そりゃ、レビュー対象にしている漫画の方が比べ様も無く面白いのは間違いないのですから。
 
 
 というわけで学園祭…お祭りから「イベント」というお話。
 
私自身がイベント…同人誌とかですけど…に参加しているからなのかもしれませんが、アレは良くも悪くも、学園祭の延長であると思っていたわけです。ところが最近はどうもそういう雰囲気ではない様子なのですね。
 
セミプロと言いますか、プロの出張所といいますか。間違い無いのは、儲けというのが絡んできているという事実なのです。
それはそれで良い話ではあります。チャンスの幅が広がるという事で言えば。ですが、これはおかしな状況を生み出す事になったわけです。
 
一つは、アマチュアのプロ化です。
純粋なアマチュアのプロ化であれば良いのですが、これが場合によってはアマチュアとプロをイベントという場所を用いてのみ行ったり来たりするんですね。
 
先ほど、幅が広がるから良いと言いましたが、それはプロとして区別をした上で…というお話です。あくまで、その道を広げ、後続に示す事が出来ればそれはしっかりと先駆者としての努力があったのだろうと思います。が、どうもそうではない。
 
もう一つは、プロのアマチュア利用があります。
これはプロ=企業側がアマチュアを起用するというものです。これも、スカウトという形であればそれはそれで良いのですが、これも一過性の状況。そこから先に進まないんですね。
 
こうした状況。一つは、趣味を実益にしたくはないという事が挙げられるのだと思うのです。
趣味であれば楽しんで出来る事も、実益=プロとなれば、苦しみがついて廻る。あくまで、自分のやりたいようにやって、評価がついてくればそれで良しというもの。
 
もう一つは、企業側の思惑というのがあるのでしょう。
これはプロのアマチュア利用がまさにそれを指し示すわけですが、先ほども記載しましたが、そこからどうしたいのかがまったく見えてこないわけです。
 
総じて言えるのは、あくまで一過性の消費のみにあてられる創造であると言えなくもないわけです。
 
一過性である以上、人の記憶に残らないだけではなく、記録としても残る幅が狭くなるわけで、それは創造された物としてはとても悲しい事ではないのでしょうか。
流行廃りの流行にもならずに廃っていく。プロが手がけられるはずの宣伝力を出し惜しみしているようでは、何一つ残る事はないのだろうなぁと感じる次第。
 
とすれば、結局同人誌イベントのような学園祭が単に世間にも広まっただけの、結果アマチュアの裾野が広がっただけという状況にならんのかなぁと思ってしまうわけです。
プロであるという自覚があれば、それなりの力量を示して欲しいものであり、それがあるからこそ、アマチュアを心底楽しめるのだと思うのですがね。
 
 

 
 
 ここで注意書きです。
ここから下記には若干から、場合によってはかなりのネタばれが書かれております。あくまで、内容は現物を見てという方はここで画面を閉じていただく事をオススメいたします。
 
※レビュー前半に関しては『コチラ』から閲覧も可能になっております。
 
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 4巻いきなりの番外編であります、RPGファンタジー風の話。登場人物の整理をして参りますと…。
 
  王さま=蓮川 一弘
  王女さま=蓮川 すみれ
  チェルシー姫(上のお姫さま)=如月 瞬
  ミルキー姫(下のお姫さま)=如月 麗名
  レモン・ハーブ(勇者)=池田 光流
  ティノ(従者)=蓮川 一也
  盗賊=○い(プールアルバイトの人、3巻登場)
  渡し舟の女将=酒屋の娘(後の話に登場)
  渡し舟の旦那=古沢 進一郎
  人魚=新田 美恵子
 
…とほぼ、これまでに出て来たキャラクター勢ぞろい。そうした意味で言いますと、この番外編は作者自らがやっているアニパロであると断言できるわけです。その昔に、ありましたアニパロコミックス(みのり書房)に載ってもおかしくはない一品であります。
 
さて、物語としては先ほど記載しました通り、王様の一人息子である王子(この王子がチェルシー姫(瞬)の弟(妹)になりますので、元キャラは如月 唯ちゃんになります)が魔王クロレッツにまんじゅうにされてさらわれてしまう事から始まります。
その強大な力を持つ魔王に立ち向かう決心をしたのが、レモン・ハーブであったわけです。
 
その従者・ティノと一緒に打倒魔王のために旅をすることになったハーブ。しかし、彼には彼の目的がある様子です。その事をティノに語った一場面があります…
 
「あいつ…魔王クロレッツは本名クール・ミントといって、おれの幼なじみなんだ」
(レモン・ハーブ 4巻 番外編 ここは魔王の森 1 p.25)



…そう、ハーブの目的は幼なじみを探し出し、その愚行を止めるというものであったのです。ちなみに、そのクール・ミントは当然の事ながら元キャラは「手塚 忍」であります。
 
途中、魔王クロレッツに森を取られた毒の池に住む魔女(その立場である女性なぞ、忍の姉である「手塚 渚」しかいません。その手下はカッパの格好をしています)の手下から魔法のアイテムであるふたつの品を受け取り、魔王クロレッツのいる城のある方向を教えてもらいます。
 
多くの魔物を打ち倒し、森を抜けた先にあった大きな大地の割れ目の中に、目的である魔王の城を見つけたのでした。
 
 
 深く深く底が見えない断崖を降りていくティノとハーブ。その目的は魔王クロレッツの城に潜り込むためでした。崖の下には城に通じる道があるのだろうと考えての行動でしたが、しかし、伝って降りていた壁が脆くも崩れ、二人は地面に落下してしまいます。
しかし、下が柔らかい砂地であったのが幸いし、怪我もなく降り立つ事が出来ました。

ただ、魔物の猛攻が止む事は無く、二人は城に飛び込み、そして最上階を目指したのです…

「偉い奴とバカは、高いとこが好きなんだよ!」
(レモン・ハーブ 4巻 番外編 ここは魔王の森 1 p.48)



…このシーンは、こうしたファンタジー作品で見られる疾走感が十二分に出ていて、その次の場面の静寂感をより強くするだけの迫力があると思うのです。
その場面、ある扉を開けるとそこにいたのは、魔王クロレッツ。そう、レモン・ハーブの幼なじみであるクール・ミントであったのです。
 
彼が王子をさらった理由。それは自分の魔法研究を完成させるためでありました。それは『時を支配する魔法』。しかも、その魔法を完成させるために王子を生贄にするのは今夜だというのです。
 
ハーブもティノもそんな事をさせまいと奮闘するのですが、しかし、クロレッツの強大な力と多勢の魔物によって絶体絶命となります。
その時、クロレッツ…クールはハーブに提案をします。剣を捨て、自分の仲間になれと。
ハーブは剣をティノに手渡すと、クールの下へと近づいていきました。
 
久しぶりに再会した友人を抱擁するクール。しかし、それこそハーブの策略であったのです。
毒の池で手に入れた攻撃型のよろい。それは鎧から無数の刃が出てくる魔法の品であったのです。
 
友人を抱きしめたその時、クールは無数の刃で身体を刺し貫かれてしまったのです。
(考えてみれば、この魔法の鎧は毒池の魔女(元キャラで言えば、忍の姉である渚)の持ち物です。番外編とはいえ、役に立ったのを知ったら喜ぶの…でしょうかね?)
 
崩れ落ちる魔王、そして魔物と城。王子を救い出し城を脱出したハーブは、しかし、王国まで戻らず。残り11人もいるクールと同じ様に悪さをする幼なじみを倒しに行く旅へと出発するのでした。
 
ちなみに、律儀な王様は魔王を倒した暁に報酬とは別に、チェルシー秘めをハーブの嫁にやる…はずでしたが、本人がいないため、従者として一緒に旅をしたティノに嫁がせる事にしました…というより、ティノを婿養子にしてしまったとの話なのだそうです。
 
 
 というわけで、ここからは元のグリーン・ウッドのお話に戻ります。
 
10月ともなれば体育祭に文化祭。学生は本当に大変なものです。
その文化祭も終わり、平穏無事な生活が訪れるかと思いきや、何かしら不穏な話が聞こえてくる様になりました。寮長である光流が誰かにつけられているというのです。
 
学園祭が終わってから3週間。その間、毎日なのだとか。しかし、その姿の片鱗も捉えることが出来ないのだそうです。
 
当初は学園祭で行われた女装コンテスト(光流はその大会で優勝。ちなみに瞬が準優勝)を見て、男子が追いかけてきているのかとも嘲笑されていた寮内でも、さすがに正体不明のままというので不気味がられてきました。
そんな中、光流本人ではありませんが、それらしい人影を見たという寮生が出てきます。ですが、その風貌が一致しません。少なくとも、二人います。しかも、その一人は厳しい視線を光流に向けていたというのです。
 
スカちゃんは光流先輩を笑うに笑えず、その正体を率先して突き止めようと人影を追いかけたりもします。根が素直なんですね。
 
その時に光流が発した言葉(何を言ったのかは是非、単行本にてご確認を)にどうやら、光流を見ていた人物が何か心に刺さったのかもしれません。物語は急転直下を迎えます。
 
光流を出せと女性が尋ねてきたのです。しかし、どうにも喧嘩腰。しかも、覚えの無い因縁をつけてきます。
その女性は「海藤 理々子(かいとう りりこ)」の関係者と名乗っていますが、光流には覚えがありません。何より、彼女がその海藤とどのような関係であるのか…

「理々子はあたしの恋人よ!!」
(秋 由利恵(あき ゆりえ) 4巻 Sの悲劇 p.84)



…男子寮でそんな事を大声で言おうものなら、好機の的にされるのは当然のお話。寮ではお話にならなくなり、近くの公園へと向かいます。
 
秋は光流が理々子をたぶらかし、泣かせたと思っている様子。空手の有段者でもある秋が、一向に自分の非を認めない光流に業を煮やし、実力行使をしようとしたその瞬間、当の本人である理々子が登場。その想いをはじめて口にするのです。しかし、自分のしてきたことに後悔していた理々子は、その場からすぐに離れていってしまいます、
 
光流に自分の学校の学園祭を見て欲しかった…ただ、それだけが言えずに光流の後を追いかけていただけであったのです。
 
後日談。光流に喧嘩を売った秋が再度グリーン・ウッドにやってきます。目的は光流…ではなく……是非、単行本でご確認のほどを。
 
 
 期末試験ともなりますと、一番苦労するのはスカちゃんの様子。今日も今日とて、光流、忍、瞬の三人から勉強の手ほどき中。その時に、前寮長でもある古沢からバイトを変わって欲しいという話がやってきます。日にちを間違えてしまい、参加できないのだとか。一人で二人分の働きをしていた古沢のバイトですから、当然、行くのは二人。内容はアイドルコンサートのスタッフなのだとか。
 
寮生の中にも行きたいという輩が大勢いたのですが、結局は光流とスカちゃんで行くことに。
 
問題はそのアイドル歌手と言う事になります。アイドルに疎い古沢の話から推測しつつ探してみると、その人物は何と、あの新田 美恵子であったのです。
(詳しくは、2巻の「LIVE OFF グリーン・ウッド」を参照してください)
 
遂に始まるコンサート。その時に見た美恵子の姿はスカちゃんたちに絡んできた時の、あの力無さとは程遠い力強いものでありました。そのコンサートで、通路にいる光流を見つけた美恵子は、なんと投げキッスを光流に投げかけるのです。
袖に引っ込めば、スカちゃんたちも知っている美恵子になるのですが、アンコールでステージに戻ったその姿を見て、プロを見た二人でありました。
 
そのコンサートも終わりお役ゴメンかと思いきや、光流は美恵子のマネージャーから呼び出しを受けます。明日、とある場所で会いたいという話です。
 
良く理解できないまでも、二人は待ち合わせの場所へ向かう事にしました。そこに現れた美恵子は、二人が良く知る姿でした。
 
席についたマネージャーが光流たちを呼んだのには、訳があったのです。なんと、美恵子が悪戯されているので、ボディーガードをして欲しいと言う話であったのです。芸能界にはよくある事…しかし、美恵子の口から出て来たのは…
 
「絶壁のシーンのロケで立ち位置がロウでバミってあったり、水筒のウーロン茶にヒ素が入っていたり、お弁当の茶巾寿司に爆弾が入っていたり、思い出しただけで目まいがしますわ…」
(新田 美恵子 4巻 Sの悲劇 1 p.117)
※バミる=業界用語で立ち位置の場所取り。立ち位置を示しておくためのテープなどが目印として張られているそうです。



…それは完全に命を狙われているという話なのですが、マネージャーは美恵子が怖がると思い、あくまで芸能界にはよくある事と言っていたそうなのです。多分にそこまで露骨なヒットマンであれば、間違い無く警察沙汰になる話でしょう。しかし、そうなれば美恵子の芸能活動は自粛。小さなプロダクションには大きな痛手になるそうです。
あくまで、活動ありきと言うのが、微妙な話ですけどね。
 
何はともあれ、ボディーガードをする事になった二人。さて、その犯人とは…
 
 
 縁があって、コンサート会場のスタッフのバイトをした光流とスカちゃんの二人は、その縁から美恵子のボディーガードをする事になりました。明らかに命を狙われている彼女を事務所の準備が出来る間だけという条件で、引きうけたのです。
 
立場としては新人アイドルの二人。美恵子の後輩という事になっています。今日は、現場の見学という話で、撮影現場に来ました。
雑然とするスタジオ内。今撮ってるドラマが後数回終わるという話であっても、その間にまた狙われる可能性は捨てきれません。更に言えば、今、その中にいる顔見知りが犯人である可能性も捨てきれないのです。
 
撮影の合間の休憩でも、気を抜く事は出来ません。光流は中身のはいったカップをスカちゃんに手渡します。それを疑いも無く飲むスカちゃんをじっと見ると、中身が大丈夫としてそれを美恵子に渡したのです…
 
「おれは金魚ですか!!」
(蓮川 一也 4巻 Sの悲劇 2 p.127)



…それぐらい気をつけないと行けないのでしょうが、後輩を金魚代わりにするってのが、光流らしいといえばらしいですね。本当に苦しんだら、どうするつもりだったのでしょうか。
 
初日は何事もなく終了。しかし、二日目に問題が起こりました。何と、天井の照明が美恵子目掛けて落ちてきたのです。幸い直撃する事はありませんでしたが、現場は騒然となります。
 
控え室に戻った美恵子は、自分が向いていないからではないのかと嘆きます。しかし、それを真っ向から否定したのはスカちゃんでした。それは短くも美恵子の様子を見てきたからこその言葉であったのでしょう。光流もうまくフォローします。
その言葉にはげまされたのか撮影は以降、スムーズに進んでいきました。
 
しかし、不安が無くなったわけではありません。これまでのことを考えれば、命が狙われたのは全て撮影中です。今日が終了だというのなら、今日中に再び…予感は的中しました。
マネージャーが少し離れている間に車が美恵子に突っ込んできたのです。
 
しかし、そのヘッドライトを浴びた美恵子は生き生きと車を飛び箱の様にしてエスケープ!犯人は自滅してしまったのです。そして車から降りてきた犯人。美恵子の命を狙った理由とは…。その答えは是非、単行本にてご確認のほどを。
 
 
 お正月を写そう♪…というのはコマーシャルネタ。これはとあるレビュー放送にでもするとしまして、さて、冬休みの佳境といえば、やはりお正月なのかもしれません。スカちゃん、光流、瞬、忍はそれぞれの実家に帰り、それぞれの正月を迎えていたのです。
 
…えっと、この話のレビューはそれだけです…
 
いえ、手抜きじゃございません。というのは、それぞれの家庭の事情が掻かれた話ですので、ここで記載すると、大変なネタばれに「なりすぎてしまう」わけです。私のレビュー能力不足であるわけですが、しかし、壮大にばらし過ぎるのも面白くありませんので、ご容赦のほどを。
 
ちなみに、スカちゃんは新婚家庭の中に。忍は一族郎党の集まる(当然、姉の渚は出席。兄の「手塚 旭(てづか あきら)」は欠席)会合に出席。瞬は実家旅館の手伝い(しかし、どう見ても次期女将…と言う事は女の子にしか見えない)。そして、光流は後輩と一緒に初詣に行くという感じです。
 
ちなみに後輩というのは、新婚家庭に居なくなった(居場所のなくなった)スカちゃんでありました。
 
さらにちなみに、この話はストーリー上では二回目の新年ですが、作者いわく、それは言わない約束よと言う事で…
 
「まさかあの二人、この先ずっと新婚一年目!?」
(蓮川 一也 4巻 お正月を写そう p.147)



…というスカちゃんにとっての不幸は続く様子でありましたとさ。
 
 
 緑都学園に数多くある部活。それは1巻でスカちゃんがグリーン・ウッドに入寮する際にも見受けられた光景でありますが、結構、学生的にも一生懸命になっているらしいのです。そうした中に、不穏な行動を画策している部活があるようです。
 
新聞部に入りたくて仕方がない一年「布施 直(ふせ なおし)」。何故かジャーナリストを目指して奮起しているとの話。
 
交換条件としては、生徒会会長=忍の悪行を暴き、記事にしてくれば…というのですが、忍と言えば、悪事の数々をこれまでにも繰り広げてきたわけで、それを記事にでもされれば…いえ、出来ればの話ですよね。
尚且つ、この布施君。どうにも思いこみが激しいらしく、忍=悪と決め付けて取材している様子なのです。
 
で、当の本人はと言いますと…
 
「おもしろい。自慢じゃないが、うちは代々悪党の家系だ。こういうケースには慣れている」
(手塚 忍 4巻 ノーブレス・オブリージ p.179)



…と結構楽しそうです。しかし、その裏にいるのが新聞部という話を聞き、何かを考えた様子。
 
一方の布施君ですが、状況は忍の周りに取材してみても、それが証拠になるわけではない…そのために、本陣=生徒会へと乗り込むことにしたのです。そこに忍がすぅ…っと登場。
当然、驚く布施君でありましたが、彼のジャーナリスト魂は、色々と聞き出そうとしていたのです…が、それもすっぽかれ、ある場所へ忍を追いかけていきました。
 
そこに現れた柔道部員。どうにも、柔道部部長が何か弱みを握られていると思ったらしく、その証拠を掴むために忍に挑戦してきた様子です。相手は猛者であろうはずの柔道部員。しかし、その柔道部員はあっさりと、忍に一本取られてしまったのです。
 
そこに柔道部主将が登場。話を聞けば、弱みではなく、それだけ強い忍に助っ人を頼んでいたとの話だったのです。
色々と誤解があるのだろうが逃げないと布施を説き伏せてしまった忍。そのことを説明しに新聞部へ向かうと…布施君は新たな真実を目の当たりにするのでした。
 
結局、布施君はジャーナリストではなく、忍の弟子になるべく、その後を子犬のように追いかけているとかいないとか。正義の道理って難しいものですねぇ。
 
 
 忍や光流にも、新入生の頃はあったはず。と言う事で、スカちゃんの不用意な一言のせいで、5巻の大半は、忍と光流の新入生の頃のお話となってしまいました。
 
その話は「六条 倫子(ろくじょう のりこ)」の部屋から始まります。この女性、忍の兄である旭の婚約者であったのですが、事実上のドロップアウトをしてしまった旭のために、破棄されてしまったような状況になっています。それでも、手塚の次男=忍の面倒を見ているのは、六条家が手塚家との親戚関係を望んでいるからという事なのでしょう。
 
倫子本人も、正直、忍をよく思っていない様子であるのです。
 
そんな事は理解していそうな忍でありましたが、それでもいつもの様に淡々とした笑顔で彼女の家から試験会場へと向かっていくのでした。その学校名は緑都学園。そして試験会場で、前後ろの席に座ることになったのが、光流であったわけです。
 
無事に合格した忍は、グリーン・ウッドへ入寮します。相部屋になる相手は誰かと思いきや、試験会場で前後ろの席となった光流であったのです。
 
寮の中では二人も目立つ新入生。しかも同室と言う事もあって、ターゲットにされてしまいますが、酒も博打も二人には敵いません。しかし、光流はその人懐っこさからか、次第に人気者となっていきます。同室で同じ様な忍も寮生からは同列と受け取られていた様子です。
 
忍がたまに顔を出す親戚…倫子の前でも、光流の話が出てきます。それでも、倫子は何かを感じ取っている様子なのです。それは彼女が忍をモデルにしたキャンパスに絵の具を載せたパレットと投げつけ、それで完成といった絵のタイトルからもわかるのです…
 
「タイトルは―――…孤独」
(六条 倫子 5巻 雨やどり 1 p.31)



…確かに、忍の心には孤独という魔物が潜んでいるのかもしれません。それは彼が光流をどう見ていたのかを知ればわかることではないのでしょうか。
 
 
 入学式。そこでは首席が一年生代表として挨拶をする事になっています。その首席を忍が勤める事になりました。一方の光流は、下から数えた方が早い成績。それでも、緑都学園に入学できたのですから、良かった良かったということでしょうか。
 
そんな学園生活の中にあって、生徒会でも新役員の選挙が控えているのだとか。部活を決めていない忍は生徒会の副会長へ立候補してみようかと考えている様子。その心のうちでは、誰を生徒会長にしようかと画策しているようです。誰がなるのか…ではないところに腹黒さをビシバシ感じてしまいます。
 
そんな動きもある中、バレーボール大会が行われました。各学年の各クラス毎に争うルールになっており、やはり体格の大きな高学年の方に分があると誰もが思っていました。忍にしても、その考えはあった様で、バレーが個人競技ではない以上、このクラスでは負けると踏んだのでしょう。それなりの活躍を見せていました。
 
一方の光流は、一生懸命です。いえ、一生懸命過ぎて、無理に拾いに行ったボールを返したまではいいのですが、大木に激突し、脳震盪を起こしてしまいます。気がついたのは保健室。
そこに居たのは男の保険医であったわけです。女性で無かったことに残念がるも、気軽に話を交わす光流と保険医。そして、そこに忍あ迎えに来たのです。
 
保健室から帰る途中で、光流はバレーボール大会における忍の行動を指摘します。光流の目には、明らかに手を抜いていた様に見えたのです。それだけではなく…
 
「バカにしているようにしか見えないぜ」
(池田 光流 5巻 雨やどり 2 p.55)



…忍にとってのその一言は、光流への評価を改めさせる事となりました。そして生徒会の選挙が近づいてくるのです。
 
 
 忍にしてみれば、自分に都合の良い人材を揃えたいわけで、そのために今、生徒会長のに一番近しいであろう人物は邪魔になるだけの存在なのです。そんな中、光流に言われたからなのか、それとも、何か考えのあっての事なのか。忍は文武両道である所を見せて行くようになります。(一方の光流は相変わらずの無茶をしている様子。)
 
そんな中、忍は一人の生徒会長立候補を作り上げました。それは部費の穴埋めを思慮していたある部活の部長であったのです。のせやすいその性格が忍には便利に映ったのでしょう。
しかし、それで満足出来るはずがありません。あくまで、自分の傀儡となる人材を当選させなければならないのです。そこは、容易周到な準備を進めていきます。
 
そんな中、光流は不穏な噂を聞きます。選挙違反に近しい行動を取るように言われた生徒がいるというのです。それは忍が生徒会長にしようとしている生徒への票集めとも取れる噂でした。しかし、選挙管理委員会でもそれが不正だと判定できない様子なのです。
そんな噂をその当時のグリーン・ウッド寮長に尋ねに言った光流は、その寮長から一番の生徒会長有力候補の応援演説を頼まれます。
 
その際に、忍の応援演説も頼まれていた光流は、忍に報告に行ったのです。
その時、忍は逸材がいたことを見逃していたのです。それは、光流でありました。これほど、人心を引き付ける逸材もいない。彼を生徒会長への応援演説に使えばよかったのです。
 
忍にとっての懸念は自分が影で推している生徒が生徒会長になる事が出来るのかと言う事。そんな時、忍は夜襲に会いました。そこに光流もやってきて撃退できたのですが、その理由を光流に対して打ち明けたのです…
 
「ちょっと…斎木先輩の票集めを」
(手塚 忍 5巻 雨やどり 3 p.80)



…それはあまりにも唐突な告白でもあったのでした。
 
 
 光流には忍の言っている事が理解出来ません。しかし、彼の考えを聞くうちに何となく理解出来るようになっていきました。それから一夜あけた後、忍は光流に図書館へと呼び出されます。光流曰く、考えに考えた結果の行動がそれであったのです。
 
図書館は一瞬にして喧嘩場と変わりました。それでも、相手を見下す様な態度を取る忍に対して、光流はずけずけと思った事を口にします。それが勘にさわったのか、忍は光流を落としにかかります。が、場数では光流の方が上。その喧嘩は完全に光流のペースになっていったのです。
 
その決着は彼が放った拳で決まりました。
 
気がつけば保健室のベッドの上、そう、忍は完全に敗北したのです。それは彼の人生の中で、有得ない形での敗北であったのでしょう。ですが、保険医と話している光流の言葉に忍は肉体的なだけではなく、心までも敗北感に襲われてしまったのでした。
 
この借りを必ず返す…それが忍の出した結論であり、誓いでもあったのです。
 
それから後、瞬やスカちゃんが入ってきて、しばらくぶりに倫子の部屋へ忍が向かいます。そこでは相変わらず倫子が笑顔で嫌味を言うのですが、しかし、忍はそれをさえぎる様に、一里塚の話をします。
まるでそれは、光流とつかの間の安らぎを話しているかのようでした。しかし、それを倫子は許しません…
 
「ちゃんとあなたに負けた旭の分まで、ギスギスした人生を送ってよね」
(六条 倫子 5巻 雨やどり 4 p.105)



…わかってる、大丈夫だよ…そんな言葉を紡ぐ忍であったのですが、しかし、一方では…。彼の祈りが通じれば良いですね。
 
 

 
 
 そんなこんなで、「ここはグリーン・ウッド」第4~6巻のレビュー前半は終了です。
 レビュー後半に関しては『コチラ』から閲覧も可能になっております。
 
 

2010年04月05日

『ここはグリーン・ウッド』(那州 雪江/白泉社) 第1~3巻

今回紹介するのは、「ここはグリーン・ウッド」です。1986~1991年まで、白泉社の雑誌・花とゆめで連載されていました漫画作品です。
 

 
 



 時期は五月。すでに新生活が始まり、五月病も出てきそうな頃に、主人公である「蓮川 一也(はすかわ かずや)」は私立緑都学園(りょくとがくえん)の寮へと入寮する事になった。その理由は、入院していた…と言うことなのだが、憧れであったはずのこの学園の試験に来る時から何かと不幸に見まわれている。
中でも、学園へと通う事が出来るはずの距離に家のある蓮川の不幸は、彼の初恋の相手が、自分の兄と結婚。そしてその家に一緒に住むと言う事であった。そのことに耐えられなかった蓮川は、学校の寮で高校生活を営むことにしたのだった。
 
蓮川を面接した男性が学園長であったのも覚えがよかったのか、頑張るようにと声をかけてもらった彼の前に二人の学生…先輩が現れる。一人は、生徒会長の「手塚 忍(てづか しのぶ)」。そしてもう一人は寮長である「池田 光流(いけだ みつる)」。
 
学園長室を後にし、イケメンの二人に案内された寮。それこそ、緑都学園男子学生寮・緑林寮(りょくりんりょう)…通称「グリーン・ウッド」であった。
 
彼らが生活する事になる部屋は基本的に二人部屋となっている。蓮川も当然、相部屋と言うことになるのだが、彼が自室のドアを開けてみると、そこにいたのは同居人である美少女・「如月 瞬(きさらぎ しゅん)」であった。
一瞬、少女と見間違ったと思った蓮川に対し、忍と光流は確かに少女であると伝える。全てが男として育てられた少女であると伝えられた蓮川の奇妙な生活がそこから始まる事になる。ちなみに、何か間違いがあった場合は…と忍と光流は蓮川に念を押しているのだった。



 
 

 
 
 さて、この作品ですが漫画版は全11巻となっております。今回はその内、第1~3巻までのレビューです。
 
 
 まずは読みました感想から。
 
正直に言いますとこの作品、私はOVA…つまりはアニメから入っております。その理由は、声優さんネタなのですね。大好きな作品で声をあてられていた方々がこれに出演していると言う事から、見た作品であったわけです。
OVAは全6巻。しかも各30分ですので、この原作漫画全11巻の中身を網羅する事はできないわけです。更に言えば、アニメ化ではどうしても変更しなければ行けない場所も少なくなく、その意味でも、原作は読むべきだと思った次第なのです。
 
という前振りの上で、1~3巻までの感想は、実にスカちゃんこと、蓮川一也を中心として見事に物語が構築されているものだと関心するばかりです。
こうした無象無象の劇の場合、得てして主役が入れ替わる場合があるわけですが、少なくとも視点の基本はスカちゃんにあるのは明白であり、読者はその視線からの物語を見ているというのが、はっきりとわかります。
 
話数を重ねる事によって、パワーはどんどんアップしていく。それだけ引きこまれると言う事なのでしょう。そうした意味では、この作品をリアルタイムで読んでいた読者の方にとって、その時間はグリーン・ウッドの一員になれた感覚が味わえたのかもしれません。
 
まだ序盤も序盤なのですが、それだけ魅力的なキャラクターと彼らが繰り広げる物語には、時代を経た今でも十分に引きこまれるだけの力があるのだと思うわけです。
 
 
 というわけで「映像化」というお話。
 
 昨今、こうした作品における映像化は頻繁になりました。つまり「原作付き」という物です。こうした作品の多くは、原作を知ってもらうというのと同時に原作の売上を更に伸ばすという目的でアニメ製作されているものがほとんどであるわけです。
 
この形式は、その昔のスーパーロボットまた、ガンダム以降のリアルロボット。またセーラームーンやプリキュアに該当する美少女戦隊物にありますような玩具を売るための宣伝媒体としての要素が移行したと言えるわけです。
 
当然、そうなりますと、現状人気のある作品に白羽の矢が立つのも道理ですし、その作品の勢いがあるうちにアニメ放送からDVDやBlu-rayの発売も終了したいと思うのは当然でしょう。
ある程度もしくはそれ以上に、製作(投資)資金を回収したい。しなければならないというのは、企業として当然の話しであるからです。
 
今回レビューしております。ここはグリーン・ウッドが発表された時代は、基本的にオリジナルが尊重されていた時代でもあったわけです。現在であれば、深夜枠でもテレビ放送がされそうな作品であるわけですが、アニメ映像化されたのはOVA。つまり、販売主流の方法であったわけです。
 
つまり、この頃の原作付きアニメは、あくまで原作が好きだから製作してみたいという意識が強かったとも受け取る事が出来るのです。
それだけ原作の面白さを損なわずに、更に面白くするためにはどうするのかという七転八倒の苦しさが伝わってくる作品も少なからずあったと記憶しております。
 
それでも、それを商売につなげなければならない…本当に難儀な話しであったのでしょう。
 
現在ではむしろ商売になるためには…という観点に主流が置かれつつあるわけで、それはそれで良い傾向ではあると思います。しかし、テレビ放送でありながらも短い話数でしか放送できない、あるいはしない状況においては、消費のための消費にしかならない状況もままあると言う事は間違いない話しであるわけなのです。
 
消費されていくだけの素材であるのか否か。現状におけるある種の飽和状態は、それを考える分水嶺になっているのではないのかと思う次第なのです。
 
 

 
 
 ここで注意書きです。
ここから下記には若干から、場合によってはかなりのネタばれが書かれております。あくまで、内容は現物を見てという方はここで画面を閉じていただく事をオススメいたします。
 
※第1巻に収録されております「キラキラの部屋で」「冒険者たち」「誰か―――STRANGER」「那須ゆきえの1986夏物語」は、「グリーンウッド」第10・11巻の回にてレビューを行いたいと思います。
 

↓↓↓ 10 ↓↓↓
 
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 主人公の蓮川一也・通称「スカちゃん」ですが、結構なほど性格が鬱屈しております。頑固で負けず嫌いで思い込みが激しく人情家。また、肉体的にはかなりの高レベルでありながらも、内臓的には虚弱体質。繊細な性格も加味してか、そのストレスが胃にすべてくる様子なのです。
そんな弟を心配したのか、実兄である「蓮川 一弘(はすかわ かずひろ)」が選択したのは、スカちゃんの通う高校の保険医。かなりのブラコンであり、憧れの存在であった兄が…
 
「何が悲しゅーて約束されたホワイトカワーの道をすてて、男子校の保健室で余生を送ってなきゃならないんだ―――」
(蓮川 一也 1巻 ここはグリーン・ウッド #1 p.21)



…という状況になっており、それにも反撥しているのもあって、同じ学園の同じ寮に入って別の道に進んでやるという決意をしているのでありました。
 
そんな蓮川兄がかつて入寮し、そして弟が今回入寮する事になった緑林寮ことグリーン・ウッド。同じ学校に通う他の学生からは、変態の巣窟のような呼ばれ方をしております。例えば、先ほどの瞬の話でもその一旦が垣間見えるかもしれません。
瞬は外見こそ美少女に見えるのですが、実際には立派な男性。とある事がきっかけで、美少女だと信じていたスカちゃんにもばれてしまうのですが、しかし、そんな悪戯を仕組んだのは、実は寮長である光流であったのです。
 
寮内で寮生を使って平気で博打を考える寮長。それに対しスカちゃんの怒りが爆発したのは言うまでもありません。光流には逆らう寮生がまずいないのですが、スカちゃんは思いきりグーで殴りつけます。それでも、瞬に手を出さなかったのは(捕まえるのに長い髪は引っ張りましたが)生来のフェミニストであるスカちゃんの性格なのかもしれません。
要するに、理性でわかっていても本能で手が出せないってやつですね。
 
 
 さて、そんなスカちゃんですが、寮の生活も2月ほど経ちますとその中身がわかってくると言う物です。
例えば部屋をゲーセンのようにして月3万円以上も稼いでいる寮生や、例えば某宗教組織の末端を担っている寮生とか、例えば大型バイクを自分の部屋にまで持ち運んでいる寮生とか。そんな中でもやはり、生徒会長の忍と寮長の光流は別格であると認識したらしいのです。
 
イケメンで運動能力も学力をある。しかも、人望も厚い。しかし、どうにもスカちゃんに対してはからかい対象のように絡んでくるこの二人に苦手意識を持ってしまっているのです。ですが、スカちゃんの勉強を見てくれる良い先輩の一面も…それで、頭が上がらないのもひとつ原因としてあるらしいのです。
 
そしてもう一つが、彼の兄にあるのは当然のお話。しかも、彼と結婚した「蓮川 すみれ」はスカちゃんの初恋の女性であったわけです。それを知ってか知らずか、とある事件が起こります。
 
期末試験も終わった夏休み。ほとんどの寮生が実家に帰宅する中で、スカちゃんは寮に残る選択をしました。その理由はたった一つ。初恋の女性が、勝手に不徳とみなした実兄の新妻になっている姿を見たくはないという理由からだったのです。で、スカちゃんのお間抜けは帰宅しない理由を実家に伝えていなかったと言う事。
ただ、実兄である一弘が聞いていたとしても素直に伝えたかは微妙ですけどね。
 
当然、心配になったすみれは蓮川に会うため、グリーン・ウッドにやってきます。弟のように可愛がっているスカちゃんに久しぶりに会えた喜びで思わず抱きしめたすみれ。その衝撃はスカちゃんにとって爆弾以上の効果と流血をもたらしました。
 
思わず、面会室から逃げる様に去っていくスカちゃん。気持ちを落ち着かせ、鼻血も止めたスカちゃんは再びすみれの下へ。すると、すみれは何かを納得した様子…
 
「ごめんね。私ったらいつもカンちがいばっかりして。もう一也くんたら前から無口で何もいってくれないんだもの」
(蓮川 すみれ 1巻 グリーン・ウッド #2 p.50)



…と押しかけた事に平謝りの様子。どうやら、光流と忍が適当に言いくるめてくれたらしい。ついでに、彼女がスカちゃんの入院した原因である事も理解した様子。
それでも、何とか口実を作ってくれた先輩たちに感謝するしかないスカちゃんなのでした。
 
 
 夏休みも終わり、寮にも普段通りの騒ぎがやってきます。そして、毎年恒例になっている彼女たちも通過する様です。
 近所の女子中学生が何故か道を歩いている寮生たちの隣を走り去っていく時に、身体にお触りしていくのです。光流たちに言わせれば、毎年の風物詩になっているのだとか。
 
そんなこんなの中で、寮に戻ってきた同室の瞬もスカちゃんのお姉さん来寮の話を聞き、夏休み最後のバカ騒ぎが行われている中。一つの騒ぎが起こります(毎回騒ぎだらけのグリーン・ウッド…)

大きな落雷によって付近一体が停電してしまったのです。
外は大雨。とにかく、寮生の安全を確認するために、寮長である光流が寮内を歩いて回ります。しかし、何か違和感を感じて仕方がない光流。その懸念は騒ぎとなって具現したのです。
 
いるはずのない少女の影を見た者。ぬるっとした何かに触ったと言う者。寮内は若干のパニック状態になりました。
 
しかし、こう言う時にもあまり動じないのか、鈍いのがスカちゃん。騒ぎの中でも考えるのは初恋の女性で、今は兄・一弘の新妻となったすみれのことばかり。その時、一瞬の稲光がスカちゃんの見ていた窓にいるはずのない少女を映し、足元にぬるっとした何かを感じ…そして悲鳴と共にいるはずのない少女に抱き付かれてしまったのでした。
 
停電も収まり、事態を把握してみれば、何て事はない話であったわけです。
少女たちは幽霊ではなく近所の女子中学生であり、ぬるっとしたのは寮生が持ちこんだペットの蛇たち。両方ともしっかりと怒られた上、しかもそれで時間を取られた寮生たちは、明くる日の新学期に疲れを残したまま向かうのでした。
 
この話の中で、一つ面白いシーンがありました…
 
「117………○(まる)……」
(池田 光流 1巻 グリーン・ウッド #3 p.69)



…ちなみに、他にはすでにばれていたスカちゃんと一弘の兄弟という話が、このオオボケ兄弟にも伝わったのも、この話数であったりします。
 
 
夏が終われば冬が来る。秋はどうしたと言う話は置いておきまして、寮生が再び帰宅することになる冬休み。当然、スカちゃんは家に帰ろうとはしません。…が、しかし寮には厳しい掟があったわけです。それは…
 
「冬休み中は寮にはいられないんだよ」
(如月 瞬 2巻 再会のグリーン・ウッド p.14)



…と言うことなのです。そこで画策するスカちゃんでありましたが、しかしながらその画策とまではいかない妄想にけりをつけて実家に返ることを決めたわけです。その理由というのは、寮生の中にも色々と人生はあるのだなぁと言う話。
その過程で自分の家族…というよりも一族の不思議と己が身の上の不幸を恨む様になるわけですが、それはそれ。それ以上に、それなりにしっかりと10日間を実家で過ごすことを決めたはずが…。
 
すみれのご飯を目の前にして、彼の目に感動の涙と、口に感動のよだれが溢れている様子では、その決意も忘れ去ったのではないのかと思う次第であります。
 
 
そんな冬休みが過ぎれば、再び寮生活。寮へ帰宅する途中にもかかわらず、スカちゃんがばったりと出会ってしまったのは、忍と光流の両名。人ごみの中にあっても目立ちほどのその容姿でありますから、誰かから常に注目されているのは間違いない話。
つまり、彼らを見ていた人物がいたわけなのです。
 
当然、そんな人に心当たりはありません。出来れば穏便に振り払いたいと思いきや、その人。いきなり倒れてしまいます。
いきなりの状況に驚いて近づいてみれば、不健康そうな女性でありました。しかも、この女性、自分の事をミエコと名乗ります。その名前はその場所にあったポスターにあった芸能人の名前であったりするのです。偽名であると疑う光流でありましたが、とりあえず一緒にいることにしました。
 
しばらくすると、彼らの前に男性が出てきます。その男性。明らかに彼女を見て驚きの表情を見せていたのです。彼女も同じ様に驚いています。そして次の瞬間に逃げ出したのです。
 
光流たちははっきりと、逃げるという言葉を聞きました。そこで色々予想を立てます。とあるご息女であるとか、もしくは病院から逃げ出した患者とか。本人に聞いてものれんに腕押し。はぐらかされてしまうからです。
 
そこに先ほどの男性とは違う男性が現れます。明らかに風貌が怪しいその男。どうも、何かを狙っている様子。
追いかけてくる風貌が怪しい男をノックアウトにした光流。続けざまに別の男性にも手を出してしまうのです。それを見て気絶するミエコ。
彼女を別の場所に運んでみると、それまで黒髪であったはずの彼女の頭からその黒髪がずれているじゃありませんか。
 
そう、彼女はかつらで変装していた、芸能人である「新田 美恵子(にった みえこ)」本人であったのです。
 
風貌が怪しかったのは写真週刊誌の記者。そして、最初に追いかけていたのは彼女のマネージャーであったのです。
記者は光流たちと一緒にいる美恵子の写真を撮ると、それを記事にするべくその場から逃走します。しかし、あの三人から逃げられるものではありません。
入念にカメラは破壊され、ボコボコにされてしまうのです。
それを見て何か吹っ切れたような美恵子さんは、三人に別れを告げ、マネージャーたちと一緒に帰っていきます。
 
一見落着と思いきや、三人はあることを忘れていました。それは寮に帰った時に思い出したのです。寒い中で寮にも入れずガタガタと震えている寮生達。そう、光流の手には寮の鍵があったのです…
 
「…………わかった、責任はとる」
(池田 光流 2巻 LIVE OFF グリーン・ウッド p.65)



…一緒に責任を負わされる事になったスカちゃん。割を食わされたのは、二人にあったスカちゃんかもしれませんね。
 
 
新年を迎えれば、その翌月にはバレンタインというイベントがあります。かのお菓子メーカーが作り出した、あのチョコレートをどうにかする日です。
グリーン・ウッドでは、毎年恒例のダービーが行われていたのですが、今年は光流がいるので、ダービーにすらなりません。そこでスカちゃんがネタにされそうな勢いなのですが、それも賭けにすらならないという話。
 
そんなスカちゃんにも、実は思いを寄せている子がいたのです。
同じ中学の同級生であった子がそうなのですが、しかし、スカちゃん。実はかなりの朴念仁。この子の思い所か名前すらも覚えていない状況であったという事なのです。何という悪い男なのでしょうか(笑)
 
そんな朴念仁のお話はともかく、何が凄いと言えば、光流に対してチョコレートを渡した女子学生たちです…

「いつのまに!?」
(池田 光流 2巻 みんな愛のせいね p.80)



…ある意味、逆スリ。ポケットに忍ばせる技術が半端ないです。
 
 
バレンタインデーも過ぎますと、今度はそのお返しが必要な日がやってきます。当然それはバレンタインデーに貰った者だけの苦労なのですが、グリーン・ウッドで最多獲得者である光流には別の悩みが出てくる様子です。
それまでの間に寮生宛てに送られてきた救援物資を散々に巻き上げてきた光流は、当然のようにその寮生たちからチョコレートは巻き上げられていきます。更には、ゲーム部屋にも多大な借金を残しているために、更に巻き上げられてしまうと言う状況が繰り広げられてしまうわけです。
 
そんなチョコレートの中にも、不思議なものが紛れ込んでいる場合があります。それは男子生徒からのもの。物珍しい対象になるのは当然の話ですが、光流はその時にいたある生徒に話を振ります。その生徒の名前は「渡辺 由樹(わたなべ よしき)」。しかし、光流のその問いかけに誰よりも驚いているのは、同室である「藤掛 達郎(ふじかけ たつろう)」であったのです。その理由は、上記にも記載しています、グリーン・ウッドの停電の時に光流がとある部屋に向かった時に見かけた状況であったのです。
 
そんないつものようなグリーン・ウッドのある朝、外は一面の銀世界になっていました。その状況に見とれる暇がないのも寮生というもの。雪かきが始まります。
当然、スカちゃんも雪かきに駆り出されたのですが、どうやら体調が悪かった様子。
 
寮長として責任を感じた光流は、そんなスカちゃんに何か奢ることにしたのでした。
お供に瞬を連れて出掛けた先で、光流は何かの気配を感じたのです。そして、グリーン・ウッドに新たな騒動が起こるのでした。
 
そんなグリーン・ウッド。スカちゃんが勉強している際に、たまたまグリーン・ウッドという項目を英和事典で見つけたのです…
 
「…悪党の巣!?」
(蓮川 一也 2巻 白い日(ホワイトデー) p.96)



…確かにこの寮は一癖も二癖もある、悪党の巣かも…。それ以上に悪党の手が伸びているらしいのですが…。
 
 
光流が誘拐されてしまった…。それは瞬が慌ててグリーン・ウッドに帰ってきた事からわかった。だが、その理由が全くわからない。しかし、忍はいつものように冷静に状況を確認していくだけ。当然、今そのことを知っている数人以外に緘口令を言い渡しました。
 
一方、当事者である光流ですが、ようやく目が覚めた様子。そのことも楽しんでいるかのように、周りの様子を把握していたのです。どこかのマンションであるのはわかるわけですが、それ以上のことはわかりません。そこに女性がやってきます。
彼女いわく、光流はやっぱり誘拐されたようですが、その理由がはっきりしません。
 
寮では光流を誘拐した一団の話となっていました。瞬にその話を聞いていた忍は…
 
「―――そのようなことをしような人間に、心あたりがある…」
(手塚 忍 2巻 頭のいたいネメシス 1 p.141)



…それは、自分の姉である…というのでした。
 
 
そう考えればつじつまが合う。それに無用な心配はないと忍は言います。何より、今回の首謀者である姉・「手塚 渚(てづか なぎさ)」の居場所を知らないのですから動き様がありません。相手の出方を待つしかないのです。
 
一方のさらわれた光流ですが、その詳細な理由を渚から聞く羽目になりました。しかし、同時に渚にはスカちゃんと似た部分があると感じて仕方がなかったのです。
微妙な優越感に浸っている渚はついにグリーン・ウッドへと連絡をとることにしました。
 
その電話に出たのは当然忍です。渚との話で居場所を聞き出した忍は、瞬とスカちゃんを引き連れて乗りこむことにします。
 
忍がいよいよ来るという事になったマンションでは、もう一つの話題が持ちあがっていました。それは、光流が自分の顔で商売が出来ると知った幼少のみぎりの一件…
 
「相手に土地カンがないと看破するや、うまいこといって人ゴミの中をチョコマカひきずりまわした挙句に、わざとはぐれて逃げたわね……?」
(手塚 渚 2巻 頭のいたいネメシス 2 p.164)



…要するに手玉に取られると言うことを理解していない人なんでしょうねぇ。その理由はこの後に理解することになるのでしょう。
 
 
渚のマンションに到着した忍と瞬、そしてスカちゃん。瞬はそこにあった高級車を見て、光流を誘拐した一団に間違いないと確認します。すると忍は持っていた釘で思いきり、その車に傷をつけ、マンションの中に入っていくのです。
その様子を見た二人、実は忍が怒っているのでは…ポーカーフェイスからは読み取れませんが、そうなのではないのかと思っていたのです。
 
光流は忍に更なる敗北感を植え付けるために、服をひん剥かれています。光流自身にも復讐するつもりでもあるのでしょう。そこに、忍たちが登場します。
縛られている光流に刃物を付きつけて、これまでのことを明らかに逆恨みしながらも土下座を要求する渚。その渚に光流は特技を見せると話しかけるのです。
 
なんと自らの顔を刃物に押しつけ傷つけたのです。
 
そのいきなりの行動に驚く中で、スカちゃんだけは堪忍袋の緒が完全に切れた様子。渚一味をボコボコにします。しかし、光流は平気な顔をしてスカちゃんに声を掛けます。
 
なんと、顔に受けた傷があっという間に治癒してしまったのです。
いわく、美形たるもの、これぐらいは当然なのだとか。
 
安心したのか、気が抜けたのかスカちゃんはその場にへたり込みます。とうとう風邪が悪化し、熱まで出てしまった様子なのです。
そんなスカちゃんと助け出した光流をつれて忍は帰っていきます…が、その時…
 
「万が一同じ様な愚挙をくりかえすようならその時は、容赦しませんからね」
(手塚 忍 2巻 頭のいたいネメシス 3 p.184)



…という氷の一言を残し、その場を去っていったのです。画して、大半の寮生が知ることはなかった光流の誘拐事件はここで幕を下ろすのでした。
 
 
再び夏…がやってきます。(春が飛ばされた理由は、2巻のラストをご覧下さい。)
夏と言えば、熱帯夜。そのおかげ…いえ、それだけでもないのですが、スカちゃんは寝ることが出来ません。そのために寝ては行けない授業(通常はどの授業でも寝ては行けません)で爆睡するという失態を犯してしまうのです。
 
そのために課題をやらねばならないのですが、この熱帯夜にうだっているのは、スカちゃんだけではありません。一部の寮生以外、暑さに参っているわけなのです。
 
誰もがおかしくなりそうなその中で、少しだけ事件が起こります。
それは蚊を撃退するためにとある寮生が使っていた超音波蚊撃退器の音がうるさいというものでした。暑さも手伝ってか、遂には暴力沙汰へ。そこにスカちゃんが遭遇してしまうのが彼の不幸なところでしょう。
 
どうにも収めれないその時に、バケツを持った光流がやって来るや否や、そのバケツにいれた水を騒ぎの張本人たちにぶちまけるのです…

「(あ―――すっきりした)」
(池田 光流 3巻 日本の夏が来てる p.30)



…その騒ぎに乗じて自分の気分を晴らすとは、さすがに光流というものです。ですがそんな騒ぎの中ではスカちゃんの課題も終わるべくもなく…スカちゃんの苦労は報われない様子なのでありました。
 
 
同じく夏と言えば夏休み…二回目なのですが一年生(決して落第したわけではない)の夏休み。
意地になって帰省しないと知らない実兄の姉であり初恋の相手であるすみれがスカちゃんに送ってきたプールの無料券。プライベートのない寮にあって、残ったメンバーでもあり、同室と隣部屋の住人がたからないわけがないのです。
 
というわけで、やってきましたプール。
そこでもひと騒ぎがあるのが、スカちゃんと瞬、忍に光流であるわけです。
 
最初の被害者は瞬。女性監視員に無理矢理、女子更衣室につれていかれたのだから、さぁ大変。それを楽しんでいた光流の下までさっさと逃げてくると、瞬は光流の着ていた服に、流れ出る鼻血をべっとりとつけたのでした…
 
「ちゃんと男だったんだなぁ」
(池田 光流 3巻 プールサイドの彼 p.40)



…というものの、そのままでは帰る事ができません。さすがに血をつけたままではヤバイ…と言うことで、即効であらって瞬が乾かす事になりました。鼻血をつけたバツと言うことなのでしょう。
それが一人の男性の悲劇を生む事になるのです。
 
その男性は「○い(まるい…本来は○の中にいの字がはいる)」。プールのアルバイト監視員で某大学の水泳部に所属する男性です。
その彼の目に飛び込んできたのが、瞬であったわけです。どうやら彼にとってのストライク。当然、瞬が男である事など知る由もありません。
 
そんな彼の勝手な心配を余所に瞬はウトウトとしてしまいます。そこにやってきたのは、光流。瞬が着ていた光流のシャツ…そう、あの鼻血をつけたシャツが乾いたかどうかを確認しにきたわけです。ウトウトしていた瞬を起こそうとしたのもあるのでしょう。それが、彼の目には、瞬が襲われているように見えたのです。
 
思わず思いこみで瞬を助けに行こうとする彼の目が、プールでおぼれている子供を見つけます。瞬か子供か…彼は子供を助ける事にしました。そしてすぐに瞬の下へ向かおうとしたその時…彼の目には、光流の横で手を叩いている瞬の姿を見たのです。
恋人なのだと勝手に理解した彼は、心の中で別れを告げるのでした。
 
…その彼が瞬の正体を知るのはその後すぐだったとか。グリーン・ウッドの寮生に関わった人は不幸に会うということなのですね。
 
 
夏休みも過ぎてくると、いよいよ居残りぐみ以外は帰省することになります。そんな中、光流に一本の電話がかかってきます。
帰るつもりはなかった光流ですが、数日だけ実家に戻る事になり、その間の寮長をスカちゃん(補佐として忍)に任せるのでした。
 
忍ではなくスカちゃんに任せた理由は、次期寮長にするためなのだとか。寝耳に水とはまさにこのこと。しかし、任されたからには頑張るのも、またスカちゃんらしい所なのかもしれません。
 
そんなグリーン・ウッドに珍客が舞いこみます。以前にも女子中学生が侵入してきた騒ぎがあったのですが、その再来かと思いきや今度は家出少女らしいのです。
 
その時、スカちゃん宛てに電話がかかってきます。その電話の主は瞬…
 
「そっちにうちのれいな行かなかった!?」
(如月 瞬 3巻 正しい兄弟愛 1 p.80)



…その時、ピーンときたスカちゃんが確かめたのは、やってきた女子学生。実は瞬の弟ではないかというのです。瞬はそれをあっさりと認めたのでした。
 
 
家出少女ならぬ家出少年を保護する事になったスカちゃん。当然、その美少女ぶりは好機の的になるわけです。兄弟で美人姉妹のような感じなのですから無理もありません。しかし、何故かスカちゃんだけは瞬の弟・「如月 麗名(きさらぎ れいな)」に厳しくあたるのです。
 
瞬が迎えに来るとわかっているのに、家に帰らないという麗名に対し、思わず手が出てしまうスカちゃん。そんなスカちゃんにタイミングよく戻ってきた瞬のハンマーが振り下ろされてしまいます。
瞬の姿を見て麗名も安心したのか、麗名もいつもの口調に戻っていくのです。
 
どうして麗名が家出をしたのか。その理由は、末の妹に原因がある様子。最近生まれた「如月 唯(きさらぎ ゆい)」ちゃんは如月家では待望の女児であったわけです。その理由は、如月家では代々女性が跡目を継ぐことになっていたからなのです。
瞬の長髪もそのためにであったかといえば、そうではなく、アレは単に似合っているからなのだとか。
 
そんな待望の女児ですから両親がちやほやするのもわからなくもありません。それが麗名には気に入らない。だからこその家出というのです。
瞬は何とか宥めて家に戻ろうと説得をしますが、麗名が頷く事はなかったのです。それに、スカちゃんの怒りが爆発します…
 
「だいたいなあ『弟をいじめたことのない兄貴』なんて、俺は信じないぞ。兄なんてもんはなぁ…弟を同じ人間だなんて思っていないんだ!」
(蓮川 一也 3巻 正しい兄弟愛 2 p.101)



…瞬の言動に麗名の行動。どうにもそれが信じられない事もスカちゃんにとっては衝撃であり、苛立ちの原因であった様子。何より、同じ弟でありながらも、麗名の軟弱さ加減に我慢ができなかったようです。
どういう苛め(と受け取られる)状況があったにせよ、スカちゃんは実兄に感謝している。そんな雰囲気のする話でもあったわけです。
 
ちなみに、瞬は厳しくと言いつつも、まだまだ麗名には甘い様子。麗名もまたスカちゃんの状況を聞き及び、何かしら感じたのか、今回は実家に帰っていきましたとさ。
 
 
夏休みが終われば、その先にあるのは秋。緑都学園でも体育祭の季節になってきたようです。
緑都学園の体育祭は各学年の同じ組み(A・B・Cとアルファベット順)がそのままチームになる形式をとっています。男子校であるのも手伝ってか、非常で異様な盛り上がりを見せる季節でもあります。
 
その波は当然グリーン・ウッドにもなだれこんでくるわけですが、光流は寮長として行き過ぎのないように指導するのが難しいとの話。それだけ真剣に楽しんでいると言えるのかもしれません。
 
そんな中、スカちゃんのクラスにいるリレーの選手から光流の話を聞かされます。中学時代には名の通った不良であったというのです。近所の中学であった彼には、どうにもリレーのアンカー…つまり光流にバトンを渡し損ねた際、ボコボコにされるのではないのかと心配でならないというのです。
が、その話、スカちゃんはどうにも眉唾ものにしか聞こえない様で、まだ信じられない様子。
 
一方で、忍は教師相手に何やら不審な行動をとっています。
ふと思えば、この作品。高校生の飲酒・喫煙に同○愛。今回は博打と、時代がそうさせたのでしょう。本当にざっくばらんな状況です。本来でしたら止めるべき教師が率先してやっている。何とも微笑ましくも情けなくという感じでしょうか。
 
この緑都学園の体育祭では水泳も種目に入っている様子で、それは開催前日に行われると事。しかしスカちゃんと光流のCチームは…
 
「おーし、このいきおいで優勝狙うぞ!!」
(池田 光流 3巻 若い力 1 p.130)



…とカッコよく造られた横断幕の前で決起をしたのですが、その結果は最下位。現状では、優勝どころの話ではなのですが、光流はその逆境に燃えている様子なのです。
 
 
体育祭の当日。最下位という状況に燃えているのは光流だけではなく、Cチーム全員…いやスカちゃんは、どうにもそのノリについて行けない様子。それでも体育祭は否応無しに盛り上がっていくのです。
 
緑都高校は男子校。基本女子はいませんが、各チームで女子の格好で応援している男子が見受けられるのです。毎年1年生から、その役を任される者がいるのですが、今年はそれっぽいのではなく、それにしか見えないのが二名ほどいる様子。
ミニスカートをはいた瞬とセーラー服を着た渡辺…例年ならば、おかしな状況に笑いもするのでしょうが、別の意味でおかしな状況となっている様子。中には、かわいくなくてすみませんと謝る一年生も出る始末。でも、瞬と渡辺の方が異常であるのは間違いないわけです。
 
競技も進んでいき、最下位であったCチームは奮闘の結果、前半の部を終わった時点でなんと3位となりました。そして午後の部がはじまり、しばらく競技が進んだとき、スカちゃんがいきなり呼ばれてしまったのです。
本来、リレーを走るはずの生徒が捻挫になったのだとか。その代わりとしてスカちゃんがリレーに出る事となりました。
 
そのリレーとはスウェーデン・リレーと呼ばれるもので、100m・200m・300m・400mとそれぞれの走者ごとに走る距離が違うというもの。スカちゃんが入ったのは、300mのコースであったのです。
それまでに足が速いという事は見せてきたスカちゃん。しかし、第一走者と第二走者がバトンリレーで失敗し、なんと七位にまで順位を落としてしまったのです。
 
それを見ていた実兄の一弘は、スカちゃんの表情を見て一安心。勝利宣言までしてしまったのです。
 
バトンを渡されたスカちゃん。その走りは驚愕の一言でした。あっという間にごぼう抜き、アンカーの光流にバトンを手渡した時には、なんとトップになっていたのです。
光流は見せ場を奪われたものの、しかし、その活躍を無駄にする事もなく、しっかりと一位。その結果、Cチームは優勝する事ができたのです。
 
バトンを渡した後、ぶっ倒れてしまったスカちゃんに代わり、実兄である一弘がインタビューに答えます…
 
「私は今日まで15年、彼の成長を見守ってまいりましたが、実はその間ただの一度も、彼が人のあとからゴールする姿をみたことがありません」
(蓮川 一弘 3巻 若い力 2 p.150)



…つまり、それが勝利宣言をした理由であったのですね。
 
光流は当然、スカちゃんをMVPとしましたが、それはあくまで体育祭。何か賞品が出るわけではなかったのですが、その体育祭を見に来ていた実兄の嫁であるすみれが感動のあまり、スカちゃんに抱き着いてしまいました。
良い目を見られましたが、それが原因で再び気絶することになったスカちゃんなのでした。
 
 
グリーン・ウッドは男子寮。そこでは恋愛はご法度というわけではない。バレンタインデーの時も、それなりに寮外に恋人がいる寮生が多いと言う話があったくらい。しかし、それが寮内であった場合。これは話が少し変わってくる。
通常とはこおtなる番外編が、ここで繰り広げられる事になったのです。ただし、この話には本人が語り聞き役がいるということを忘れてはならないのです。
 
さて、その主役となるのは、117号室の二人。藤掛と渡辺であります。この二人はスカちゃんと同じ一年生。その運命的な出会いは、グリーン・ウッドに向かう時から始まっていました。
 
とある電車の中でチカン行為を見つける藤掛。その被害者こそ、渡辺であったのです。この渡辺は藤掛が見ても、可愛らしい女の子にしか見えず、体育祭では瞬と同じ様に女装要員として駆り出されたほど。
そんな男子と同室になる藤掛の苦労はわかるものではありません。もしかすれば自分が危ない趣味の持ち主であったのか…藤掛もそのことで多いに悩みまくるのです。
 
いつしかその悩みが自然と渡辺を避ける行動へと変わって行きます。ついに、自分の行動に自信を持てなくなった藤掛は寮長である光流に部屋を変えて欲しいと頼みに行くのです。その様子を渡辺は見てしまいます。
ショックのあまり、自室へと戻る渡辺、それを追いかける藤掛。
 
部屋の中で、渡辺はもっとしっかりするからと自分が悪い様に藤掛を説得します。ですが、藤掛にはそうした言葉に、思わず渡辺を抱きしめてしまうのです。自分でも認められなかった言葉。それを藤掛は思わず口にしてしまいます…
 
「おまえが好きなんだ」
(藤掛 達郎 3巻 ボーイ・ミーツ・ボーイ p.177)



…二人が納得している以上、付き合っていく事に決めたそうなのですが、さて、好きな者同士でもわからない事はたくさんあります。
先に記載しておりましたが、この話、話し手、聞き手がいるわけですが、話し手は当然、藤掛と渡辺の両名。そして、聞き手ですが読者ではなく、実はこの二人がスカちゃんに話していたのです。
実兄が保険医と言うこともあっての話なのでしょうが、スカちゃんの反応は真っ白に燃え尽きていた様子なのでありました。
 
 

 
 
 そんなこんなで、「ここはグリーン・ウッド」第1~3巻のレビューは終了です。
 次回も「ここはグリーン・ウッド」第4~6巻のレビューとなります。
 
 

2010年01月30日

今の科学、昔から見れば超能力【「NEEDLESS」(2009-2010年 ニードレス製作委員会)】

 さて、今回は2009~2010年に放送されました「NEEDLESS」です。



 西暦200X年
 第三次世界大戦勃発、東京を初めとする各都市が、爆撃の標的となり、紅蓮の業火に包まれた
 
 それから半世紀
 汚染されたかつての爆心地は、今、シティから隔離され、日本の夜景に黒い穴を作り出していた
 
 通称、ブラックスポット
 
 その、荒れ果てた大地にいつの間にか住み着く者が現れた。彼らを、シティの人々は不要者扱いした
 その中に、不思議な能力を操る者たちがいた
 
 火、風、重力
 超自然の力を操る能力、すなわちフラグメントを持つ彼ら
 人は、畏怖の念とともにこう呼んだ
 
 「NEEDLESS(ニードレス)」
 
 
 
 NEEDLESS…なんのこっちゃ?というのが放送開始時におけるしょっぱなの感想で、フラグメント?フラグ立ったがどうしたというのが、内容を見てのしょっぱなの感想。本当にボキャブラリーが足りないとこう言うことになるのだなぁと、最近の不勉強+勉強方法の安易さに、ちょっとへこみました。
 
さて、非常にテンポもよく、見ていて面白かった!とエクスクラメーションマークを、後もう一個つけても良いかなという作品でした。アニメオリジナルのまとまり方があり、原作が未読の自分としては、よし!完結した!と満腹感。最初からもう一度みたら、それはそれで面白い作品なんだろうなぁと思った次第です。
 
 
…と、感想は正直ここまで。
 
というのも、良くも悪くもドタバタ活劇であるからです。どこかで見たかもしれない。同じ様な状況があったかもしれない。
それを独自の設定で味付けした。マクド○ルドかロッテ○アか、はたまた○スであるのか。どれもハンバーガーという商品には変わりは無くても、それぞれに独自の味付けとこだわりがある。
 
そのこだわりが大事なのだろうと思うわけです。
 
模倣については幾度か記載しておりますが、そうした意味では、この作品が何かに見えていたとしても、それはそれ。これはこれ。
シティという設定もありますけど、そうした描写も一切なしで、その世界にあるだろう無数の物語の中の一つをうまくまとめたものだと感心するばかりです。
 
上にも記載しましたが、この話、原作はまだ続いているわけで、最後の方はアニメオリジナルとなっております。
その終わり方も、もし、二期があるのならば続けられそうな終わり方…言いかえれば、見ている視聴者がアニメの続編を模倣できるような状況であるのも、個人的には好感が持てるのです。
 
 
その他にも原作では残酷描写があっても、それをアニメでは柔和にしている。内容的に…まぁ子供に見せるのはどうか~とは思いますが、それでも、見せても…良くはないかw
何が言いたいのかと言えば、娯楽作品としては十分に考慮されていると思う次第なのです。娯楽がちょっとエロ方面に傾きつつもありましたが、それはそれです(こればっか)。
 
 
 
 と言う感じで思うところとしては「超能力」と言う事で一つ。
 
その昔、テレビではスプーン曲げとか流行っていた時代があったのですが、今ではそうでもなくなった様子です。
今回レビューしているNEEDLESSにも、サイコキネシスというフラグメントがあります…が、他のフラグメントも超能力って言えばそうですよね。某バビル二世なんか、サイコキネシ~ス、テレパシィ~とか、火炎放射だ電撃だ~ってエンディングで歌っていますもの。
 
最近、手品でも超能力か!?なんて思うものもありまして、ネタとテクニックだけでも、それっぽい事が出来るものだなぁと思ってしまいます。
 
超能力を欲しいと思うのは、それでもいつの時代でもあるのではないのかと思うのです。
 
例えば、とある魔術の禁書目録や、そのスピンオフであるとある科学の超電磁砲は、能力の開発によって、超能力を得るという学問が登場します。これ、けっして荒唐無稽な話ではありません。
 
現状における脳科学は「行動における脳の働き」が主たるものです。ですが、その視点がいつ、逆転し、さらに深みに向かっていくのかなど誰にもわからないですし、何がきっかけになるのかもわからないのです。
 
私達は当然のように生きていますが、どうして生きているのかを明確に説明出来る人は誰もいないのです。
それが解明できれば、もしかすれば鋼の錬金術師のように、世界の有り様が理解でき、あのように何かを生成出来るかもしれません。
 
そうなれば、それは今の世の中からすれば、超能力以外の何物でもありません。
 
 
それは何とも無理な話だ…そうでしょうか。今の世の中に溢れている物は、数十年前では机上のものばかりだったのです。
 
すべては徐々に解明していく事から始まった事。これからも人は何かを解明し、何を作っていくのか。
それが人にも自然にもやさしいものであれば、より嬉しい限りですね。
 
 
 
 そんなこんなで本日はここまで。

2010年01月30日

カットしすぎじゃなかろうか【「冥王計画ゼオライマー」(1988-1990年 AIC/東芝EMI)】

 さて、今回は1988~1990年に発売されました「冥王計画ゼオライマー」です。



 鉄甲龍
 
 ハウドラゴンの異名を持つ世界を掌握せんとするこの巨大な結社は、八卦衆と呼ばれる巨大ロボット軍団を造り上げた
 …が、その内の一体はある人物によって盗み出され、密かに日本に隠されていた
 
 その名は天のゼオライマー
 
 ゼオライマーが自分の操縦者と認める人物はたった二人だけの男女である
 
 秋津マサト
 氷室美久
 
 だが、ゼオライマーにはある恐るべきプロジェクトがプログラムされていた
 それは、自らを冥府の王とせんとする冥王計画であった。
 
 
 
 元々はレモンピープルという成年向け雑誌に連載されていたアダルトマンガでありました。が、このレモンピープル。今でこそ、ロリータ系マンガ雑誌の先駆けなどと言われておりますが、その実態は、意外にもそうではありません。
今回、レビューしている、ゼオライマーはOVA版で、原作マンガの設定だけを利用したもの。つまりは18禁設定は極力排除したものであります。
しかし当の原作であるマンガ版は、現在、月刊COMICリュウで連載している冥王計画ゼオライマーΩ…幻のサンライズ版とも言われる企画のマンガ版にも流用されている階級別ロボットの設定があったり、またスーパーロボット物のように、世界征服を狙った組織があったりと、男女がいて単にセックスをして終わりという最近の18禁物とは一線を画していた雑誌であったわけです。
 
言いかえれば、それだけを流用しただけでも、これほどの作品が作れるという指針を作ったとも言えるわけです。
 
そうした意味ではテレビ版ではないのだから、もう少しエロスを加えても問題がなかったのではないのか、と考えられない訳ではありません。
実際の世の中において、エロス(性)とタナトス(死)は表裏一体のものですし、私達もそれを避けては生を語れないわけです。何より、その生に関して、道徳や理念はあっても、正解はないというのは、歴史からみても当然の話なのですし、それを物語の根底に組みこむことによってリアリティがよりリアルに近づいていく。そこに、トンデモない設定があったとしても、世界観としてまとまりを見せてくるのではないのか。そう思えるのです。
 
 
一人の科学者によって強大な力を持とうとした物語。それは今の世の中に通じるものがあるのではないのでしょうか。
それが誰であるのか、とかは愚問なのでしょう。何故なら、その方の世界の大きさにもよるものだからです。
 
企業かもしれません、町内かもしれません、国であるのかもしれません、内輪であるのかもしれません。
 
ただ、そうした行動に伴う責任がなければ、このゼオライマーの物語のように、結局待っているのは破滅であるのは間違い無いわけです。
人が人として人に出来ること。その根底にあるのは情ではないのか。
 
であるのならば、それは昔から言われていた道徳に通じる話。進歩したと言われる世の中でも、その根底は変わらないのではないのかと思うわけです。
 
 
 
 と言う感じで思うところとしては「カット」と言う事で一つ。
 
ディレクターズカット。映画ではよく聞こえるコレですが、最近…と言いますか、今期の作品において、ここまでディレクターズカットを行って地上波放送する必要があるのか?と疑問を持つ作品が出てきました。
 
正直、個人的な意見としては、別にOVAでよろしいのでは?と思ってしまうわけです。
 
放送時間に対する尺が足りないという状況でカットするのは仕方がない話なのかもしれません。ですが、明らかにそうしたカット…ではなく変更を行う意味を教えてくれ!という作品が、いよいよ出て来たな!と感じてしまうわけです。
 
よく、DVD化される際におまけの映像が入っているものが当たり前になってきているわけですが、これは、DVDだからこそ出来るものであり、正直、良い傾向ではないなぁとは思っておりました。更に言えば、昨今の原作付きアニメであれば、その原作が更に売れることを見越した作品の売り方であれば、それで補完するのもありではないのか。あっちもこっちも、売上を…となると、買う側が追いつくはずがないのです。
 
しかも、最近のそうした映像媒体は、一年も放送しません。サイクルが早くなれば、それだけ番組数も多くなり、さらに投資額も増える。買う側が離脱していくだけなのは目に見えています。更に今の不況です。その速度は更に速くなるのでしょう。
 
これを世間のせいにするのならば、不況のせいにするのならば、それはそれで構いませんが、しかし、アマチュアで行われている…例えば同人誌即売会はその勢いを衰える気配は見せていません。
投資する側の力はそうそう落ちていないのです。
 
すると、記録媒体が優秀になったから。P2Pソフトのように無断でダウンロードが出来るようになったから。
色々と理由を探したくなる事でしょう。
 
 
ですが、一番の理由など、少なくとも原作付きに関しては変わっておりません。それは、原作を本当に読みこんでいるのかい?最後まで面白くするつもりがあるのかい?と言う事です。
 
消費されるなかで、ディレクターズカットなどという小手先の方法で売上をあげようとし、本当の意味での中身で勝負をしないのであれば、先細りはますます加速していくことでしょう。
本当の意味において、中身で勝負出来る作品を見たいものですが、しかし、それよりも売るだけの「商品」。しかも、ちら見せディレクターズカット作品が多くなりそうで、さてはて、という気分になりそうです。
 
 
…だからどうしても、古い作品を見てしまうのだが、それも、ある意味良くない傾向なんだよねぇ…。
 
 
 
 そんなこんなで本日はここまで。

2010年01月16日

医者にも患者にも経験は必要なのです【「空中ブランコ」(2009-2010年 空中ブランコ製作委員会)】

 さて、今回は2009~2010年に放送されました「空中ブランコ」です。



 空中ブランコのフライヤーである山下公平は、大技を繰り出すも最近は失敗続き。しかも、寝不足がたたり、海外から雇い入れた団員たちともうまくいかない。そんな日が続いていた。
 
サーカスの世話人から病院に行く様に進められた山下は、とある病院へと向かう。その病院は、伊良部総合病院。その神経科へと向かっていた。
 
その扉を開けると、甲高い声にぬいぐるみを着た中年の先生が座っている。伊良部一郎。それが彼の担当医であった。
問診もそこそこに、伊良部が看護婦である真由美に注射を要求。その太くて大きな注射によって、山下は睡眠障害がなくなったように見えた。
しかし、大技が何故か成功しない。
 
そこで、伊良部はビデオを撮る様に勧める。そのビデオに映っていたのは、意外な真実であった。
 
 
 
 ハイブリッド・アニメーション。実際に声を当てている役者さんも撮影し、そのスナップを加工し、アニメーションのように見せるという手間のかかる手法で表現されたもので、実に効果的な演出がなされたものだと思うわけです。
 
ただ、監督がインタビューで言っている様に、決して万人受けをするものではないのだろうとも思うのです。
 
考えるにその一つの理由としては、実際の役者の顔を使った事による、リアリティとリアルの境界が曖昧になってしまった事。それが単なる顔芸に見えてしまったのではないのかと思うのです。
 
もう一つは、役者…いえ、こちらの場合は声優さんと言った方が良いのでしょうか。その演技があまりにも素に近しく感じられたからではないのかと思うのです。
声優というのが一つの職業のように認識された昨今では、その声はあくまで何かの理想的なキャラクターの声でなければならない。そんな思いを持っている人が少なからずいるのではないのかとも思えるわけです。
 
逆にいえば、そうした考えがあるのだと仮定をした場合、それはキャラクターの向こう側にいる声優という実際の人が演技をしているという事実がよりわかる演出であったと受け止める事も出来るわけです。
 
彼らも舞台を経験するわけですが、そうした際に求められるのは、役者としての演技。それも声だけではなく、指先や視線、体さばきなどを駆使した演技であるわけです。そうした経験が、声の仕事における重要な要因となっている場合、今回のようなハイブリッド・アニメーションという形は、声優…というよりも、彼ら役者の度量を、視聴者に見せる事の出来る一種の舞台であると言えるのだと思うわけなのです。
 
 
 
 と言う感じで思うところとしては「医者」と言う事で一つ。
 
空中ブランコでは精神科医として伊良部一郎が出てきて、その破天荒振りを発揮しておりました。実際に精神科医ってあんな感じなのかといわれれば、別に精神科医ではなくても、破天荒な先生はいらっしゃるわけです。
 
とある地方病院…仮にO病院としておきましょうか。その整形外科の部長さんは、捻挫などをして外来にかかり、その先生であった日には、叫ぶ事になるのは必至です。
 
「こっちは痛くないよな…これも大丈夫だよな。んじゃ、これは?」
 
で、痛い方向や場所を的確に押さえたり、ひん曲げたり。その襲撃に思わず叫び声をあげると満足した様に。
 
「あぁ、やっぱりなぁ」
 
…まぁ、的確であると言えばそうなのでしょう。
 
破天荒という表現をしましたが、その実、意外と思われる行動の根底には、それまでの経験や培ってきた知識があるのだろうと思うのです。ニュースなどでとんでもない行動で患者をさらに困らせる医者もいるわけですが、それは本当に困ったちゃんな医者であって、決して破天荒な医者ではないわけなのです。
 
どの業界でもそうですが、変人と言われていても、その実しっかりと仕事をする人がいて、その人の業務を見ていると意外に無駄がないというのがわかるはずです。何故変人であるのか。それは、どうしてそれで仕事が出来ているのかと思わせるほどに洗練しているから…かもしれないわけです。
 
ただし、こうした変人…いや、達人になるためには、それ相応の時間が必要であり、また、経験も必要であるのは間違いありません。医者は特に、患者を多く診ることが必要であり、それだけ時間がかかるのは当然の話しなのでしょう。
 
今、医師不足である背景には、そうした医者を育てきれない世の中の状況があるように思えてならないわけです。
 
医者は政治が育てるわけではなく、患者が育てる様なものなのです。最先端な医学であっても、僻地の医療であってもそれは同じ。
医者要らずであれば、それに越した事はありませんが、結局それで済む人がいないのも事実なのでしょう。とすれば、かかりつけのお医者さんを得るためにどうすれば良いのか…と言う事も患者側として考える必要があるのかもしれません。
 
自分のことを良く知ってくれている、お医者様と薬剤師はいた方が良いのでしょうね。それが若いお医者様であるのならば、話して悩んで怒って笑って。そうして一緒に年をとっていくのも良いのではないのかと思うわけです。
そうした、成長の仕方もあるのではないのでしょうか。
 
 
 
 そんなこんなで本日はここまで。

2010年01月09日

進化する同時プレー【「マリオブラザーズ」(1983年 任天堂)】

 さて、今回は1983年に発売されました「マリオブラザーズ」です。



 軽快なBGMと共に横スクロールでカメたちを蹴散らしながら進んでいくアクションゲーム…それは、スーパーマリオブラザーズ。今回、ご紹介しているのは、スーパーのない、単なるマリオブラザーズです。
 
このゲーム、記憶が正しければ、最初はファミリーコンピュータ向けに製作されたものではなかったはずです。この1983年に発売というのは業務用(アーケード版)のものであり、画像はファミリーコンピュータ版のものですが、もっと動きも癖が強く、ファミコン版から入ってきた場合にはかない操作し辛かった印象があります。
 
ファミコンという稀代の家庭用ゲーム機の性能を見せるには十分なゲームであり、また、移植という分野を切り開いた作品のひとつでもあるわけです。
 
当然、これまでも移植というのは様々なパソコンの媒体では行われたきたものです。しかし、家庭用ゲーム機というのが、専用カセットもしくはカセットテープの媒体であった時代。基本的には、そのゲーム機用のゲームが出されるのが当然であった時代であり、業務用は業務用、家庭用は課程用と明確な住み分けをしていた時代でもあったわけです。
そう、業務用を遊びたければ、ゲームセンターに行きましょうというのが当たり前であったわけです。
 
所が、ファミコンはその常識を覆しました。
パソコンや業務用、その様々な環境で発売されているテレビゲームを、ファミコンで遊べるようにしましょうと宣伝を打ってきたわけです。今では当たり前のサードパーティのソフト会社。その門戸が開かれたからこそ、今のゲーム機業界があるのは間違いないわけです。
 
 
 
 さて、そんなマリオブラザーズなのですが、主役のマリオ、そして弟のルイージが配管工として登場するのは、実はこれが始めてなのです。それまでは大工であったり、単なるおじさんであったり。
ゲームのイメージが下水管から這い出て来るカメやハエやカニを退治するものですから、確かに配管工であるのが自然なのかもしれません。
 
マリオと言えば、今では様々なパワーアップアイテムが当然でありますが、このゲームにはそんなパワーアップアイテムは一切出てきません。アイテムとして使えるのは、中央付近にあるPOW床だけ。これを下から叩けば画面全体を叩いたのと同じ効果がありますが、それも三回まで。
数ステージで回復すると言っても、その間に使いきってしまえば、回復するためにはステージクリアするしかないのです。
 
また、二人同時プレイが出来るというのも特徴のひとつ。
通常であれば協力プレイが当然ですが、しかし、自然と相手を落とし入れるかのようなプレイになってしまうのも、このゲームの特徴なのかもしれません。そう考えれば、プレイヤーが遊びの幅を広げられるゲームであったと言えるのかもしれません。
 
 
 
 と言う感じで思うところとしては「対戦」と言う事で一つ。
 
今では珍しくなくなった対戦プレイ。この当時は、こうしたひとつの画面で複数のプレイヤーが対戦する事自体が画期的なことであったわけです。パソコンゲームであれば、同時に数万人がプレーしているのも当然の世の中になりました。
 
対戦といえば、争うだけのイメージがあるわけですが、今では対戦プレーというよりも、同時プレーという名称である場合も多い様です。
そうした中から生まれるコミュニケーションもあるわけで、そうした意味では「すれちがい通信」というのも一緒の同時プレーと言えるのでしょう。
 
袖すり会うも多少の縁という言葉があるわけですが、実際の世の中で希薄になりつつある、その言葉も、ゲームの世界ではこれから主流になってくる様相があります。まさに、コミュニケーションツールとして、携帯電話に次ぐアイテムとなるのかもしれませんね。
 
…といいましても、結局は、袖すり会うも…のすり合うだけの状況であるのは間違いなく、そこから一歩進んだコミュニケーションツールとしての様相はまだまだのようです。
当然、人として相対するには、最終的に言葉を交わし、意思を疎通することが大事になってくるのは間違いないわけです。それを忘れて本当のコミュニケーションを取れることはないのでしょう。
 
きっかけとしての同時プレーから生まれるコミュニケーション。それが電気を通じているだけの希薄なものでないようにするにはどうすれば良いのか。それが新しいマーケティングを開拓するひとつの方向性であるように思えてならないのです。
 
冒険が生み出す人とのつながり。いつか、ゲームの世界からでも、そうしたコミュニケーションが広がっていくと面白いのではと思うわけです。
 
 
 
 そんなこんなで本日はここまで。

2010年01月09日

今年は何に「はまり」ますかね【「みんなの農場、動物広場、水族館β」(2009年 RAKOO)】

 さて、今回は2009年に公開されました「みんなの農場、動物広場、水族館β」です。



 上記画像はみんなの農場ですが、これは、とあるSNSにて遊ぶ事ができる無料ゲームです。
それぞれやるべき事は単純で、草木や動物、魚の世話をし、収穫を得るというものです。

農場では、草木に水をやり、雑草や虫を除去し、出来るだけ多くの収穫を得る様にする。
動物広場は、牧草を植え、その牧草を食べてしまうウサギを捕まえ、そして出荷をさせる。
水族館は、病気を治したり、水槽を掃除したり、合成エサを与えて大きく育てて収穫する。
…と非常に簡単なものです。
 
それぞれにレベルがあり、そのレベルを超える事によって、更に育てる事が出来る種類を増やす事が出来ます。
 
実際に、生き物を育てるのとは大きく違いますが、それでも、やっていて何か気になるものなのです。
単純であるからこそのはまり度は、かなりのものではないのかと思ってしまいます。
 
 
 
 と言う感じで思うところとしては「はまる」と言う事で一つ。
 
何かのスイッチが入った途端に、その事にはまると言うことはあります。新年になりますと、何かしらやりたくなるもので、それが続くか続かないか…いわゆる三日坊主となるかならないかは、案外、はまり具合によるのかもしれません。
 
今回、ご紹介したアプリも、気がつけば放置しているときがあり、そちらに構うと、別のものが放置となかなかバランスがとれにくいのが現状であったりします。
そこは、しかしながら、自己の節制が必要なのでしょう。
 
 
特にゲームにおける問題は社会問題としても取り上げられた国があるほどです。別にテレビゲームだけがそうではなく、カードにしてもスロットにしてもサイコロにしても、とかくゲームには、強くはまる要素があるようです。
 
最近の世の中では、案外、自分だけではないのだ…と性癖に関するものも紹介されるときがありますが…そこは隠して欲しい部分であるのは言うまでもありません。
曝け出す事で、理解される部分もあれば、理解されない部分もある。これは仕方がない話しなのかもしれないからです。
 
 
一方で、はまる度合いがうまく深まれば、そこに芸術性を見出す事も出来るようになるわけです。
 
鉄道写真などはその一例として挙げるのに十分ではないのでしょうか。
鉄の塊であるはずの鉄道が、一枚の写真によって、まるで生きているように切り取られる。それを見た、他の人にも感動を与えられるのであれば、それは芸術といって差し障りがありません。
 
ただ、それを職業にしてしまえば、それははまっているのではなく、仕事と割り切る必要が出てくるわけで…そこのバランスが難しいものですよね。
 
 
何か新しい事を始めたい。それは誰しも思うことでしょう。何かしら変化を求める心がそうした行動を起こさせようとしているのかもしれません。
その流れに乗るのも、また一つのきっかけでしょう。気がつけば、それを全うしているのか、それとも、そこから別の道を見つけているのか。
 
いずれにしても、そうしたきっかけ…区分として、新年というのは良いものなのかもしれません。
 
皆様が今年一年…いえ、今年から何かを始めるにあたり、それが良い結果になりますようにと、思う次第でございます。
 
 
もちろん、そこに悪い事をやろうとしているのであれば、それはすぐにでも止めるべきです。
自制をもって、楽しい事を見出していく。それもまた、想像と創造の成せる技。今年一年、良き年でありますように。
 
 
 
 そんなこんなで本日はここまで。

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※2009年4月19日 19:00より開始

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