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2010年04月20日

『ここはグリーン・ウッド』(那州 雪江/白泉社) 第4~6巻 後半

 今回紹介するのは、「ここはグリーン・ウッド」です。1986~1991年まで、白泉社の雑誌・花とゆめで連載されていました漫画作品です。
 
 

 
 



 スカちゃんの同居人である瞬は、旅館の息子。見てくれは女子っぽくても、息子なわけですが、その旅館経営も化なり手広くやっている様子なのです。今回は、そのお話から始まります。

とある古い旅館を手に入れた如月の家。しかし、それを改装工事するのに少し時間がかかるのだとか。空きがあるのならばという感じなのでしょう。瞬に実家から連絡がきた様子です。
夏休みにタダで泊まれるホテルは、まずありませんからね。しかも、瞬も一人で行くよりは、皆…光流と忍と、そして当然スカちゃんと一緒に行きたいと思い誘った様子。

しかし、スカちゃんは用事があるから行けないと、何故かうれしそう。いわく実家に帰るのだとか。

そこに、ぴ―――んと来ない彼らではありません。何かしらスカちゃんが企みを持っているのは、モロばれの様子です。
…といっても、彼の企みなど、静かに寮生活がしたいだけの話。つまり、瞬のホテルへ3人を送り出し、自分だけは寮に残る…という話なのですね。

モロばれなのですから、当然、いろいろと言われます。実家に帰るという事がどういうことなのかを。
結果は、わかりきった話。結局スカちゃんも一緒に行くことになりましたとさ。



 
 

 
 
 さて、この作品ですが漫画版は全11巻となっております。今回はその内、第4~6巻までのレビュー後半です。
 
 
 まずは読みました感想から。
 
前半では、こなされたキャラという話を中心にしましたが、そうした中で起こる急転直下の出来事。一体、何があったのかと思うしかありません。これは別に悪い意味ではなく、むしろギャグコメディを中心に続けていくつもりであったのでは?と思ったほどです。
言ってしまえば、マンガにおけるビューティフルドリーマー。もしくは、サザエさんのように…と思ったのですが、どうやら、それのマンネリ化を避けたかったご様子。

確かに、こうした状況(…というのは、6巻の最後を見ていただくとしまして)になった場合。初恋の相手が…っていうのは、結構来るものかもしれません。
こうした出会いというのは、時の流れという物の中で翻弄されるものかもしれませんねぇ。

それまで、その当時の週刊少年雑誌連載のような雰囲気もあった本作品が、ある意味、少女マンガの王道に入っていくきっかけとなった話数があるというのも、今回のレビューの巻数でもあるのですね。

さて、ここのくだりは、OVAとの比較もやってみたい気がするのですが…いや、むしろOVAは後半の比較(悪い意味ではありませんよ。あくまでマンガとアニメの表現や構成の違いという比較の意味です)が面白いのかも。
いずれは、OVA版のレビューもやってみたいものです。
 
 
 というわけで「思いを伝える」というお話。
 
初キッスはレモンの味…などと昨今言うのかどうかは知りませんが、それでも、恋人が欲しいというのは今も昔も同じようです。
最近、近所で買い物をしていても、春だからでしょうか、あっちこっちで若いカップルが歩いてるのが見られます。仲善きことは美しきかな。
 
春の恋路は暖かく、秋の寒さに別れを感じる…と言いまして、暖かさだけを知っている春の恋路よりも、寒さ厳しい冬に例えた冬の恋路は、寄りそう暖かさから互いに沿い合うには適しているのだとか。でも、春になれば、暑苦しくなりそうですけどね。
 
それはともかく、昨今の恋愛事情が変わってきたのは、ニュースでも取り上げられている話です。いわゆる肉食女子に草食男子。
ですが、私のような年代からすれば、亭主元気で留守が良い…などというキャッチコピーもあったわけで、それは結局、肉食妻に草食夫ではないのかと思う次第であるわけです。
 
大体にして、家庭内における女性上位は家庭円満の秘訣でもあるとさえ言われる始末。確かに、楽ではありますが…(深くは語りませんけどね)。
 
恋人にしても結婚にしても、それは他人との生活に違いはない訳で、言ってしまえば友達もそうであるわけです。
それぞれの気持ちの良い距離や時間があるわけで、それはミクロな世界でもあるわけです。マクロな世界が世間であるわけですから、そこにも他人が存在する以上、ミクロとマクロ。大きさの違いだけであって、そこに大した差などあるわけないんですね。
 
自分の意見を主張するのも、思いを伝えるのも、結局は自分の言葉でしかなく、それを伝えるのには自分をしっかりと保つこと。つまりそれは自分の世界の門を開けてみる事に代わりがないということなんです。
ただ、それが難しいのは当然の話。後、必要であるのは……勇気……なのかもしれませんね。
 
 

 
 
 ここで注意書きです。
ここから下記には若干から、場合によってはかなりのネタばれが書かれております。あくまで、内容は現物を見てという方はここで画面を閉じていただく事をオススメいたします。
 
※レビュー前半に関しては『コチラ』から閲覧も可能になっております。
 
↓↓↓ 10 ↓↓↓
 
↓↓↓ 9 ↓↓↓
 
↓↓↓ 8 ↓↓↓
 
↓↓↓ 7 ↓↓↓
 
↓↓↓ 6 ↓↓↓
 
↓↓↓ 5 ↓↓↓
 
↓↓↓ 4 ↓↓↓
 
↓↓↓ 3 ↓↓↓
 
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↓↓↓ 1 ↓↓↓
 
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 瞬の家は老舗の旅館であります。和風な旅館だけではなく、洋風なホテルも手がけているのでしょう。恐らくはそうしたホテルの一つで戦前の古い建築なのですが、少し不思議な造りになっているのが特徴で、立ち入り禁止になっている通路があるのです。
 
それでも、興味があるのが若い証拠。四人(正確にはスカちゃんを除く、三人)は指して気にする事無く、その中へと入っていったのです。しばらく進むと、灯りもついていないその廊下で…

「だ~~~~~あ~~~~~れ~~~~~?」
(○う、○え、○お、○か 5巻 夏のお嬢さんたち p.128)



…と出て来たのは、若いお嬢サンたち。どうやら、支配人兼管理人の方が、若い女性が泊まっていることを黙っていようという話なのだろうと考えていたのですが、しかし、彼女たちには、とんでもない秘密があったのです。
 
 
 その夜。何故か怪談話に華が咲く四人。スカちゃんは怪談があまり好きでないのか、かなり困っています。一通り、雑談した後に、四人はそれぞれ床につきます。
 
すると、中々眠れないスカちゃんが窓に何かがぶつかる様な音を耳にするのです。窓を見ると、あの女性客の一人である○か(まるか)さんが手招きをしています。豪快ないびきをかいて寝ている光流を起こしてもかわいそうだと思ったのか、スカちゃんは彼女の下へと行ってしまったのです。
 
一人残された忍は、身体の重さで目が覚めます。すると自分の上に○う(まるう)が乗っかっており更に言えば、自分の事を幽霊であるというのです…が、相手が悪かった。お寺の長男は、仏さまと同じ釜の飯を食べていたのです。しかも特技は読経。これは退散するしかありません。
 
スカちゃんの姿が見えませんが、とりあえず忍と瞬の部屋へ向かいます。
瞬はしっかりと○お(まるお)に金縛りされていた様子ですが、忍は逆に○え(まるえ)を金縛りにしていたとの話。何でも出来る優等生は違いますね。
 
問題は、スカちゃんです。
○かについてきたスカちゃんは、自分に両親がいない事を話します。すると、会わせてあげようかと○かが尋ねてきますが、もう8年も経っているしいいんです…と答えてしまいます。それが、○かに何かを感じさせたのかもしれません。なんと、四人の中で一番実力行使をしてきたのです。
 
きっと、お母さんたちも会いたがっている…そう言いながら地面に押しつけしかも、埋められそうになるスカちゃん。しかし、そのピンチを救ったのは、意外な人物…いえ、幽霊であったのです。
 
 
「勝手に人の気持ちを代弁しないでちょうだい!」
(蓮川の母 5巻 夏のお嬢さんたち 2 p.152)



…そう、それは蓮川の母であったのです。いつでも、お母さんが見守っていると言う事なのですね。少しだけからかおうとしていた四人であったのですが、中でも、○かは蓮川の母に死んでからも説教をされてしまい、落ちこんでしまった様子。
もしかしたら、自分の両親の事を少し考えているのかもしれませんね。
 
先立つ不幸はありますが、彼女たちのように明るくやっているのを知る事が出来たら、変な話ですが少しは安心するのかもしれませんね。
まさにそれこそ冥福。親しい人たちの冥福は祈ってあげたいものです。
 
 
 グリーン・ウッドにいる寮生の中で名物と言えば、光流に忍かもしれませんが、前寮長でもある古沢も名物寮生であるのは間違いありません。
彼の趣味は単車。それも、こよなく愛していると言えるほどであります。
 
ただ、彼の趣味にはお金がかかります。よって、かなりのバイトをやっている苦労人でもあるのです。
 
今も、その一つをせっせとやっている最中。そこは「川澄屋(かわすみや)」という名前の酒屋。確かに、酒屋は重いものが多いので、古沢にはピッタリかもしれません。また、昼間から飲んでいる知り合いの親父にも、古沢は効果覿面の様子。
 
一方で、グリーン・ウッドでは、そんな古沢の様子を瞬たちが寮生に報告しているのです。その理由は、酒屋の娘である「川澄 由子(かわすみ よしこ)」にありました。
この由子がベッピンなのですね。寮の中では、すっかり、古沢の恋人候補のような感じになっています。
 
しかし、当の本人はある意味朴念仁。何かしらわかっているのですが、どうして良いのかがわかっていない。そんな雰囲気なのだそうです。
そこで、古沢は光流に助言を求めます。
 
頼り甲斐があるのだけれど、無骨で無愛想で…そんな自分を理解しているのか、素直に光流に対して悩みを話す古沢。由子の対してどう接すれば良いのかと話をするのです。忍や光流のような男性が良いのだろうか…とも。
しかし光流は…
 
「―――おれは先輩ほどいい男、滅多にいないと思うんでんですけど。それがわからない方が見る目がないんですよ」
(池田 光流 5巻 愛と青春のぼくたち p.170)



…嬉しい言葉でありましたが、しかし古沢にとっても、それが応援でしかない事は理解していました。それでも、光流が言ったのは、ありのままの古沢であれば、それで十分ではないのかという事だったのでしょう。
それからも古沢のバイトは続きます。
 
ある日、電話で酒屋の主人、由子の父親が交通事故にあったと電話が入ります。
先に病院へ行くという古沢に、由子も一緒に連れていってくれと頼みます。しかし、古沢はそれを拒否するのです。
 
もし、その道中で事故を起こし、由子自身にも何かあったらどうするのか。以前、同じ様にバイクの後ろに載せて欲しいと頼んだ際に断られた理由を由子はその時に知ったのです。そう、古沢は嫌で拒んでいたのではなく、由子の身を案じて拒んでいたのだと。
古沢は由子に店をしっかりと閉めてから来る様にと言い聞かせ、先に病院へと向かいました。
 
幸いな事に由子の父親は対した怪我ではなかったようです。その帰り、古沢は始めて由子を自分のバイクの後ろへ乗せました。ヘルメットを被らせ、しかし、エンジンをかけず手で引っ張っていく。それが古沢の精一杯の行動であったのです。
そして、由子は自分の決意を話ます。いつかバイクの免許を取るのだと。それに古沢は、笑顔でいいねと答えるのでした。
 
後日、古沢は再び光流を尋ねます。それは、女の子にはどんなプレゼントが良いんだろう。そんな相談だったのです。
 
 
 夏が終われば、忙しい学園祭の季節。スカちゃんのクラスでは、すでに何かが動いている様子なのですが、スカちゃんは何も知らない様子。早速呼ばれると、クラス内で身長の低さを争っているという「戸丸 良武(とまる よしたけ)」と背比べをさせられたのです。
その理由は、女装はどちらが似合うのかというもの。身長の低さも項目の中にあるのだとか。
 
ちなみに、戸丸は前の体育祭にて、1年が行う女装をしていた男子です。
 
どっちがカワイイのか。本人たちは言い争っているのですが、クラスの皆の雰囲気がおかしいのです。総じて見れば、スカちゃんよりも戸丸になって欲しい様子。
 
しかし、戸丸本人は納得できません。そこで、卓球勝負をすることになりました。スカちゃんが戸丸が得意とするスポーツで勝負をつけようと言う話になったからです。
ちなみにスカちゃんの認識では、卓球はピンポンと同じ様子。
 
心配になった、瞬と光流、忍はとある場所で卓球の腕前を見る事になりました。あの、寮内七不思議でもある物を拾ってくれる云々さんが出る集会室であります。
実際に出たのですが、それを気にしている場合ではありません。光流がスカちゃんの腕前を見るのですが…結果は温泉ピンポンのレベルだというのです。
 
勉強ならぬ、卓球の一夜漬けの練習が始まりました。
 
そして当日。戸丸との対決がやってきます。そしてその腕前は…
 
「いい忘れていたが、中学では卓球部で1度だけ、全国大会に出たことがある」
(戸丸 良武 6巻 がんばれ蓮川!!卓球勝負 p.22)



…全国大会レベルvs温泉ピンポン。当然、勝負になぞなりません。結局、スカちゃんがストレート負けとなってしまいました。
問題は、どうしてこうなったのか…その理由、実はスカちゃんは知らなかったのです。
 
女装が似合う云々と言っていた理由。それはスカちゃんのクラスは学園祭で劇をやることになったのです。その題名は鶴の恩返し。そう、女装とは、その主役でもある鶴=おつうの役を決める勝負であったわけなのです。
 
 
 その学園祭なのですが、じつは生徒会でも悩みの種であるイベントであるそうで、その前にある体育祭に燃えつきた生徒たちの気力がなえたままでの開催になる場合が多いらしく、いまいち盛り上がりにかけるのだとか。そこで、忍の姑息な一面が活躍します。何かしら、賞品がでるとかでないとか。そんな噂を流し始めたのです。
 
個が盛り上がれば、全も盛り上がる。確かに、その様子は見て取れるようになってきました。当然、それはスカちゃんのクラスでも同じのはずなのですが…問題はそのスカちゃん。どうにも、台詞がうまく言えない様子。
それでも、主役なのですから頑張るしかありません。
 
盛り上がってくれば、血気盛んな若者の集まり。調整をする生徒会も忙しくなってくるわけです。
その勢いはグリーン・ウッド内でも同じく様子。スカちゃんを茶化しに来た光流にしても、二叉、三叉と駆け足のような忙しさなのだとか。特にスカちゃんたちが驚いたのは、光流がブラバン部であった事実。
 
そんな話をしつつ移動すると、グリーン・ウッド内に人だかりが出来て居る場所があったり。無断で映研がロケをしていたり。はたまた、喫茶店をやるということで、すでに客引きが始まっていたり…引きこもごもとはこの事なのでしょう。
 
そんな中、生徒会としても監督するだけではなく、催し物をやる様子。その役として白羽の矢を当てられたのは、誰であろう、光流であったのです。すでに複数の役をこなさなければならない光流は当然、断ります。しかし、忍ではなく、生徒会の後輩などに懇願されて断れる光流ではありません…
 
「―――…―――…わかったよ、やってやるよ…」
(池田 光流 6巻 お楽しみはこれからだ! 1 p.52)



…一方で、忍に軽くいやがらせをしようとしているのは、倫子さん。誰かに向けて電話しているのです。その電話の主、すっかり倫子さんの言葉に乗せられてしまった様子なのです。
 
 
 忍を嫌っているのは、結構いるわけですが、中でも姉である渚は嫌っている度合いが違います。とにかく忍が活躍するのは気に入らない様子。今回も、忍が緑都学園に名を残すかもという不確かな話だけで妨害工作をしようと奮起しております。
 
右往左往に東奔西走。それでも、学園祭の初日はやってまいります。出来るだけの準備をして、出来るだけの練習をした成果を思う存分に発表する日…のはずですが、スカちゃんは見事にプレッシャー負け。鼻血が止まりません。
 
一方、瞬は縦長の第一会議室を見事に利用した見世物で観客を沸かしています。
由樹も藤掛が心配するほどに頑張っている模様。
 
そう、皆が頑張っているなか、自分だけが十分に出来なかった事をスカちゃんは悔やみました。そして二日目。昨日の今日です。クラスの仲間が心配するなか、スカちゃんは…
 
「やる!」
(蓮川 一也 6巻 お楽しみはこれからだ! 2 p.75)



…と根性を見せております。光流もブラバンを無事にこなし、いよいよ、生徒会の催し物の時間となりました。
が、その時、あの渚が学園にやってきたのでした。
 
 
 いよいよ生徒会でも準備におおわらわの状況となってきた様子。しかし、忍は何かを警戒している雰囲気です。
スカちゃんも主役を無事に終わった様子。一足ちがいで見にこられなかった瞬が、女装のままの格好で生徒会へと向かおうとスカちゃんを引っ張っていきます。なにやら、光流も女装しているのだとか。
記念写真を三人で…と思っていたのですが、生徒会室の前に、誰かうろうろとしています。しかも、その顔には見覚えが…。
 
声をかけると、その男性。あの渚の部下であったのです。
 
部屋の中からも、外の騒ぎを聞きつけ、光流が出てきます。その見事な女装っぷりに瞬が少しむくれてしまうほどです。
それはともかく、渚の部下は忍にことの真相を告げます。ここ最近、送られてきた脅迫文。そこにかかれていたのは、大雨になるという事でしたが、その大雨、なんと校内のスプリンクラーを作動させるということだったのです。
 
その時間は忍たちがの講演が始まった時間に合わせてなのだとか。まだ、時間はあります。光流は即断で忍に伝えます…
 
「まだ間に合う。阻止しにいくぞ!」
(池田 光流 6巻 お楽しみはこれからだ! 3 p.89)



…三人の女装男子を先頭に、校内くまなく渚の部下を探す事になりました。各階に一人、そして、校庭に一人。腕っ節では、負けない若者たちです。次々に見つけ出し、そして、渚の策略を阻止することに成功しました。
しかし、すでに開演時間を過ぎており、これ以上延ばすことは出来ません…そこに光流が戻ってきます。忍の号令で生徒会の催し物=演劇の幕が開いたのです。
 
舞台は成功。そしていよいよ、後夜祭の時間になりました。気がつくと、光流の姿が見えません。忍は光流を探しにいきます。
すると、マットの上で泥のように寝ている光流を発見。無理矢理起こします。
小さくても世話になったと語る光流は、これで貸し借りがチャラになったと思っている様子。しかし、忍はどうなのでしょうか。そのことを知る光流ではありません。
 
後夜祭をもって無事に学園祭は終了。一部、書き記せないものがあるにしても、それは確かに、学園史に残るイベントになったのではないのでしょうか。
 
一方、渚さんと言えば、忍から逃れるためにどこかへ行く様子。それで、逃げられるとは到底思えないのですけどねぇ。
 
 
 思えば、スカちゃんの家にすみれが嫁いできてから、スカちゃんはあまり帰っておりません。それはすみれの事を忘れるためであるのですが、それでも何かしらにつけ、すみれのことを思い出してしまう様子。
 
この話はそんな野郎がもう一人というお話であります。
 
正直に言いまして、この話はあまりレビュー書きしたくはないんですねぇ。理由としては…
 
  1.本人に正直に名乗らない。
  2.自分の優位性を信じて疑わない。
  3.なにより他人をこけ下ろしまくる。
 
…というライバルにもなりゃしないピエロとして、「神田 利幸(かんだ としゆき)」が出てくるからなのです。それはそれで、面白いキャラなのですが、個人的には好きになれません(笑)
傷のえぐり方が暴力的で見ていてグーパンチしたくなるからです(爆笑)
 
でも、この人も目的はただ一つ…
 
「木谷すみれをかえしてもらおう!」
(神田 利幸 6巻 蓮川家の一族 1 p.130)



…スカちゃんは驚愕な状況みたいですが、しかし、周りは何を言っているのやらという雰囲気になっております。
 
 
 さて、この兄ちゃん。学園に乗りこんできたまでは良かったのですが、瞬や光流に言われまくりだったのです。それもそのはず、あのすみれの幸せそうな姿を見て、不幸だと思えるはずもなく、男子校の保険医をやっているからと言って、その語りや対応から、ホモであるとも思えないからなのです。
 
しかし、神田の兄ちゃんは引き下がりません。ついには、スカちゃんに話があると言い、喫茶店に呼んでしまったのです。
 
さて、この話。当初から間違いがあるわけですが、それは何か。この神田の兄ちゃん。恐らくは、将を射んと欲すれば馬を射よのつもりなのでしょうが、すみれが将であるならば、馬は一弘であって、一也じゃないわけです。
もし、堀を埋めるべくやっているのでしたら、それはむしろ、藪を突付いて蛇を出すだけの話。
 
事実、そうなってしまいました。
 
スカちゃんの家の事情も、一弘の苦労も知らずに手前勝手な事ばかりを話している神田にスカちゃんが切れてしまいます。逃げたのかと思ったのでしょうが、そこに登場したのは、一弘ご本人。神田に対して、すみれも交えてお話しようと言う事になりました。
 
涙が止まらない一也。それは彼の気持ちそのものであったのです。一生懸命に自分を育ててくれた兄に対する気持ち。そう、彼は誰からも一弘を誉めて欲しかった。ただ、それだけだったのです。
 
いよいよ、神田が家に来ることになった日。あれだけ毒づいていた彼も、結局はすみれに完全に毒気を抜かれてしまっています。
しかし、その日。すみれのくちから出て来たのは、思いがけない一言であったのです…
 
「              だってv」
(蓮川 すみれ 6巻 蓮川家の一族 2 p.153)



…上のは別にタイプミスではありません。そのまんまなのですけど、夫婦であれば当然、そういうことになりまして、その結果、家族が増えることもあるわけでありまして。
というわけで、神田だけではなく、スカちゃんの失恋も決定的になったのでありました。
 
 
 スカちゃんが実家から出て来たのは、それから間もなくの事でしょう。行き先は瞬の実家でありました。旅館もやっているので、泊めて欲しいとい事なのでしょう。
瞬はそれから、スカちゃんの実家に生存を知らせ、そして今、光流に電話しているわけです。
 
何かしら身体を動かしていないと気がまぎれないようで、思い込みが激しかった分、反動もかなりのものだったのでしょう。
 
しかし、瞬もそこで反撃にでます。すみれに対して告白した事があるのかと…すると、スカちゃんはすみれに、初めて会った時の話をし始めたのです。
 
その頃にはすでに保険医になっていた一弘に反撥をし、同じ学園に入り別の道に進むと決めていたスカちゃん。しかし、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。学力的に問題があったわけです。
そこで、一弘の知り合いとしてやってきたのが、すみれであったわけです。
 
スカちゃんは一目ボレをしてしまったわけですね。
 
それから、一生懸命にすみれから勉強を教えてもらったスカちゃん。何とか、合格まで出来そうな学力になりました。
その時、すみれから意外な話があったのです…

「お嫁にきてもいい?」
(木谷 すみれ 6巻 蓮川家の一族 3 p.174)



…しかし、それは一也の…という事ではありません。どぎまぎしている一也の態度がすみれに好意を抱いているというのを、一弘が知ったのも、その時が始めてだった様子。
あきらめて、泥を被ることにした一弘であったのですが、それ以上にショックを隠しきれない一也。
 
どうして家庭教師に来たのかも、どうして気にかけてくれていたのかも。その事を知ったスカちゃんであったわけですが、それでも、すみれの悲しい顔を見たくはなかったのでしょう。静かに頷いたのでした。
 
そんな感じで回想も終了し、初日の出。
周りは一年の願いをしている中で、スカちゃんは昇る朝日に向かって、青春の雄たけびを上げているのでした。
 
 
 当然ですが、そんな幸せいっぱいの一弘とすみれの両人にも、出会った時があったわけです。
それは一弘がまだ大学生であった時の話であります。
 
一弘の父が他界したのは、彼が11歳の時、お母さんに苦労を与えたくない一心で頑張り、弟の面倒も見ていたわけですが、そのお母さんが事故で他界したのは、高校2年生の時なのだとか。
それから自分が弟の面倒も見つつ、学業もしなければいけないようになり、それは大学に入ってからも変わらない様子なのでありました。
 
お母さんがしっかりしていた事、そして交通事故の加害者が財産家であったこともあり、経済的には破綻しなかったのですが、それでも何があるかわかりません。大学生になった一弘はバイトをこなして、自分の学費に当てているのでした。
 
いつものように学内の芝生で寝ていると、その姿を見ている新入生がいました。そこに群がっていく、女生徒数人。彼女たちは一弘と同じ研究会のメンバーであったのです。
一弘をエサに、彼女を引きこむメンバーたち。
 
一弘が、研究会に久しぶりに顔を出すと、その彼女の歓迎会のようなものが行われていました。彼女の名前は木谷すみれ。女子校からこの大学に入ってきたとの話なのです。メンバーは一弘の知り合いかと思っていた様子なのですが、二人は初対面。
その事にメンバーも驚きを隠せない様子です。
 
すみれを引きこんだ女生徒たちは一弘の理想を知っている様子。しかし、その理想とも三ヶ月ともたなかった事まで知っている様子なのです。
 
さて、すみれはというと、真面目に研究会に出てきているわけで、しかし、お目当てである一弘は出てきません。それとなく女生徒たちは、一弘も大変そうだからと言っているんですが、本人的にはそれでも気になる様子。
いつも一弘が寝ている芝生までやってきたのでした。
 
一弘がいつも寝ている場所を通りかかると、そこにはすでに先客がいました。すみれです。
思わず一弘は声をかけてしまいます。すみれは、素直に一弘に尋ねます。自分がいるから研究会に参加しないのかと。しかし、一弘はバイトが忙しいからと少し言葉をにごします。
それから、度々、その場所で話すようになってから、一弘は既視感を覚える様になりました。そう、彼女は弟である一也に似ていたのです。
 
一也もすみれも真面目で、大きな猫をかぶっている一弘を尊敬するように見ている。本当の自分はそうではないのにと、一弘自身は思っている様子。相手の理想を壊さない様に嘘をつく事になれてしまった自分が何とも滑稽に見えてしまうのでしょう。それでも、弟のためにと、一弘は今夜もバイトに向かうのでした。
 
そのバイト先で、一弘はすみれに出会います。新歓コンパに参加したのですが、門限の関係で帰る途中にオカマに遭遇。驚いて逃げだしてしまったのだとか。
その場所は歓楽街。どうにもすみれ一人で無事に通りぬけられそうには見えません。一弘は店に理由を言って、すみれを送る事にしました。
 
優しい一弘にさらにひかれるすみれ。しかし、一弘はきっぱりと自分の置かれている立場と思いをすみれに話すのです。そして、それが自分のいっぱいの許容量なのだと。
 
それから、研究会にすみれが出てくる事はなくなりました。しかし、二人はいきなり再会する事になったのです。
それは、いつものように芝生で寝ていた一弘の耳に、悲鳴が聞こえてきたのが始まりでした。その悲鳴の先にいたのはすみれだったのです。スカートを木にひっかけてしまったのだとか。
 
それを助けてくれた一弘に、研究会に出てこなくなった理由を話したのです。その理由を聞いた一弘は、自分の気持ちにうそをついている事を知ったようなのでした。
そして…
 
「ハッピーエンドにいたるのは、野をこえ山こえ、それから4年たってからのことだ。そして少年の物語がはじまった…」
(ナレーション 6巻 蓮川家の一族・魔性の女 p.202)



…というわけで、スカちゃんの物語。そのプロローグはこれにておしまい。
 
 
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 そんなこんなで、「ここはグリーン・ウッド」第4~6巻のレビューは終了です。
 尚、レビュー前半に関しては『コチラ』から閲覧も可能になっております。
 
 次回も「ここはグリーン・ウッド」第7~9巻のレビューとなります。
 
 

2010年04月20日

『ここはグリーン・ウッド』(那州 雪江/白泉社) 第4~6巻 前半

 今回紹介するのは、「ここはグリーン・ウッド」です。1986~1991年まで、白泉社の雑誌・花とゆめで連載されていました漫画作品です。
 
 

 
 



 昔々あるところに、平和で美しい王国がありました。そこに生まれた一人の王子。誰もがその誕生を嬉しいと思っていたら、大間違い。物語の関係上、こうした存在を疎ましく思う人がいるものです。この王家には、二人の王女がいました。その妹君は、王子の誕生で廻りがちやほやと騒いでいることが我慢なら無い様子です。

その時、ふと口に出てしまった言葉を魔王が聞いてしまったのが、彼女の不幸でもあったわけです。

小さな王子はおまんじゅうにされ、それを魔王の手先である鳥が運んでしまったのです。
しかし、魔王は大変に強い!王子を助け出そうという申し出は誰一人現れませんでした。しかし、その時、一人の無宿人がその冒険に名乗りを挙げたのです!

…というわけで、この話は番外編。ここはグリーン・ウッドに出てくるキャラをRPGファンタジー風にしてみたものなのだそうです。
これはこれで面白い話ですよ。

本編はと言いますと、季節は10月。学園祭も終わった頃の話から始まるのでありました。



 
 

 
 
 さて、この作品ですが漫画版は全11巻となっております。今回はその内、第4~6巻までのレビューです。
 
 
 まずは読みました感想から。
 
前回の第1~3巻では、やはり手探り感が若干感じられたわけですが、4巻では、主要メンバーであるスカちゃん、瞬、光流、忍の四人をしっかりと各話の主役にして、物語を作っているという状況でした。それぞれに個性が確立された…といても過言ではないのかもしれません。
 
特に光流と忍は場合によっては被ってしまうキャラ。設定的に差はあるのですが、これまでの寮内だけにおける立ち振る舞いには、どうしても合致してしまう場合もあったわけです。しかしながら、4巻以降に置きましては、その差異がはっきりしてきたのではないのでしょうか。
 
5巻においては、光流と忍の区分けをよりはっきりとするエピソードや、前寮長である「古沢 進一郎(ふるさわ しんいちろう」の物語であるとか、さらにグリーン・ウッドの話に入りこんでいけるようになっています。
 
そんないる意味番外編からいっきに物語はスカちゃんに関することへ。それが6巻になるわけです。
その最後では、スカちゃんとしても大変に大きな転機が…。個人的には苦笑いしてしまうような話があったりなかったり。ドラマとして、面白いエピソードが詰まっている巻ではあると思うわけです。
 
それでいて、そうかと思えば、例えば学園祭が、そうした個別の話を再びまとめるための媒体になっており、そこからグリーン・ウッドでの生活に結びつく。何とも妙味を出しているように思えるのです。
 
あくまで、寮の生活があり、そこで日々を過ごしているスカちゃん中心の群像劇。それを忘れない辺りが、うまいなぁと感嘆するわけです。
 
さらに、6巻でこの物語は一つの区切りを迎えます。そこからスカちゃんは大きく転機を迎える事になるわけですが…その話は、是非、単行本を呼んで確認していただければ幸いでございます。
あくまで、ここで記載しているのは、掻い摘んでいるだけのものです。そりゃ、レビュー対象にしている漫画の方が比べ様も無く面白いのは間違いないのですから。
 
 
 というわけで学園祭…お祭りから「イベント」というお話。
 
私自身がイベント…同人誌とかですけど…に参加しているからなのかもしれませんが、アレは良くも悪くも、学園祭の延長であると思っていたわけです。ところが最近はどうもそういう雰囲気ではない様子なのですね。
 
セミプロと言いますか、プロの出張所といいますか。間違い無いのは、儲けというのが絡んできているという事実なのです。
それはそれで良い話ではあります。チャンスの幅が広がるという事で言えば。ですが、これはおかしな状況を生み出す事になったわけです。
 
一つは、アマチュアのプロ化です。
純粋なアマチュアのプロ化であれば良いのですが、これが場合によってはアマチュアとプロをイベントという場所を用いてのみ行ったり来たりするんですね。
 
先ほど、幅が広がるから良いと言いましたが、それはプロとして区別をした上で…というお話です。あくまで、その道を広げ、後続に示す事が出来ればそれはしっかりと先駆者としての努力があったのだろうと思います。が、どうもそうではない。
 
もう一つは、プロのアマチュア利用があります。
これはプロ=企業側がアマチュアを起用するというものです。これも、スカウトという形であればそれはそれで良いのですが、これも一過性の状況。そこから先に進まないんですね。
 
こうした状況。一つは、趣味を実益にしたくはないという事が挙げられるのだと思うのです。
趣味であれば楽しんで出来る事も、実益=プロとなれば、苦しみがついて廻る。あくまで、自分のやりたいようにやって、評価がついてくればそれで良しというもの。
 
もう一つは、企業側の思惑というのがあるのでしょう。
これはプロのアマチュア利用がまさにそれを指し示すわけですが、先ほども記載しましたが、そこからどうしたいのかがまったく見えてこないわけです。
 
総じて言えるのは、あくまで一過性の消費のみにあてられる創造であると言えなくもないわけです。
 
一過性である以上、人の記憶に残らないだけではなく、記録としても残る幅が狭くなるわけで、それは創造された物としてはとても悲しい事ではないのでしょうか。
流行廃りの流行にもならずに廃っていく。プロが手がけられるはずの宣伝力を出し惜しみしているようでは、何一つ残る事はないのだろうなぁと感じる次第。
 
とすれば、結局同人誌イベントのような学園祭が単に世間にも広まっただけの、結果アマチュアの裾野が広がっただけという状況にならんのかなぁと思ってしまうわけです。
プロであるという自覚があれば、それなりの力量を示して欲しいものであり、それがあるからこそ、アマチュアを心底楽しめるのだと思うのですがね。
 
 

 
 
 ここで注意書きです。
ここから下記には若干から、場合によってはかなりのネタばれが書かれております。あくまで、内容は現物を見てという方はここで画面を閉じていただく事をオススメいたします。
 
※レビュー後半に関しては『コチラ』から閲覧も可能になっております。
 
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 4巻いきなりの番外編であります、RPGファンタジー風の話。登場人物の整理をして参りますと…。
 
  王さま=蓮川 一弘
  王女さま=蓮川 すみれ
  チェルシー姫(上のお姫さま)=如月 瞬
  ミルキー姫(下のお姫さま)=如月 麗名
  レモン・ハーブ(勇者)=池田 光流
  ティノ(従者)=蓮川 一也
  盗賊=○い(プールアルバイトの人、3巻登場)
  渡し舟の女将=酒屋の娘(後の話に登場)
  渡し舟の旦那=古沢 進一郎
  人魚=新田 美恵子
 
…とほぼ、これまでに出て来たキャラクター勢ぞろい。そうした意味で言いますと、この番外編は作者自らがやっているアニパロであると断言できるわけです。その昔に、ありましたアニパロコミックス(みのり書房)に載ってもおかしくはない一品であります。
 
さて、物語としては先ほど記載しました通り、王様の一人息子である王子(この王子がチェルシー姫(瞬)の弟(妹)になりますので、元キャラは如月 唯ちゃんになります)が魔王クロレッツにまんじゅうにされてさらわれてしまう事から始まります。
その強大な力を持つ魔王に立ち向かう決心をしたのが、レモン・ハーブであったわけです。
 
その従者・ティノと一緒に打倒魔王のために旅をすることになったハーブ。しかし、彼には彼の目的がある様子です。その事をティノに語った一場面があります…
 
「あいつ…魔王クロレッツは本名クール・ミントといって、おれの幼なじみなんだ」
(レモン・ハーブ 4巻 番外編 ここは魔王の森 1 p.25)



…そう、ハーブの目的は幼なじみを探し出し、その愚行を止めるというものであったのです。ちなみに、そのクール・ミントは当然の事ながら元キャラは「手塚 忍」であります。
 
途中、魔王クロレッツに森を取られた毒の池に住む魔女(その立場である女性なぞ、忍の姉である「手塚 渚」しかいません。その手下はカッパの格好をしています)の手下から魔法のアイテムであるふたつの品を受け取り、魔王クロレッツのいる城のある方向を教えてもらいます。
 
多くの魔物を打ち倒し、森を抜けた先にあった大きな大地の割れ目の中に、目的である魔王の城を見つけたのでした。
 
 
 深く深く底が見えない断崖を降りていくティノとハーブ。その目的は魔王クロレッツの城に潜り込むためでした。崖の下には城に通じる道があるのだろうと考えての行動でしたが、しかし、伝って降りていた壁が脆くも崩れ、二人は地面に落下してしまいます。
しかし、下が柔らかい砂地であったのが幸いし、怪我もなく降り立つ事が出来ました。

ただ、魔物の猛攻が止む事は無く、二人は城に飛び込み、そして最上階を目指したのです…

「偉い奴とバカは、高いとこが好きなんだよ!」
(レモン・ハーブ 4巻 番外編 ここは魔王の森 1 p.48)



…このシーンは、こうしたファンタジー作品で見られる疾走感が十二分に出ていて、その次の場面の静寂感をより強くするだけの迫力があると思うのです。
その場面、ある扉を開けるとそこにいたのは、魔王クロレッツ。そう、レモン・ハーブの幼なじみであるクール・ミントであったのです。
 
彼が王子をさらった理由。それは自分の魔法研究を完成させるためでありました。それは『時を支配する魔法』。しかも、その魔法を完成させるために王子を生贄にするのは今夜だというのです。
 
ハーブもティノもそんな事をさせまいと奮闘するのですが、しかし、クロレッツの強大な力と多勢の魔物によって絶体絶命となります。
その時、クロレッツ…クールはハーブに提案をします。剣を捨て、自分の仲間になれと。
ハーブは剣をティノに手渡すと、クールの下へと近づいていきました。
 
久しぶりに再会した友人を抱擁するクール。しかし、それこそハーブの策略であったのです。
毒の池で手に入れた攻撃型のよろい。それは鎧から無数の刃が出てくる魔法の品であったのです。
 
友人を抱きしめたその時、クールは無数の刃で身体を刺し貫かれてしまったのです。
(考えてみれば、この魔法の鎧は毒池の魔女(元キャラで言えば、忍の姉である渚)の持ち物です。番外編とはいえ、役に立ったのを知ったら喜ぶの…でしょうかね?)
 
崩れ落ちる魔王、そして魔物と城。王子を救い出し城を脱出したハーブは、しかし、王国まで戻らず。残り11人もいるクールと同じ様に悪さをする幼なじみを倒しに行く旅へと出発するのでした。
 
ちなみに、律儀な王様は魔王を倒した暁に報酬とは別に、チェルシー秘めをハーブの嫁にやる…はずでしたが、本人がいないため、従者として一緒に旅をしたティノに嫁がせる事にしました…というより、ティノを婿養子にしてしまったとの話なのだそうです。
 
 
 というわけで、ここからは元のグリーン・ウッドのお話に戻ります。
 
10月ともなれば体育祭に文化祭。学生は本当に大変なものです。
その文化祭も終わり、平穏無事な生活が訪れるかと思いきや、何かしら不穏な話が聞こえてくる様になりました。寮長である光流が誰かにつけられているというのです。
 
学園祭が終わってから3週間。その間、毎日なのだとか。しかし、その姿の片鱗も捉えることが出来ないのだそうです。
 
当初は学園祭で行われた女装コンテスト(光流はその大会で優勝。ちなみに瞬が準優勝)を見て、男子が追いかけてきているのかとも嘲笑されていた寮内でも、さすがに正体不明のままというので不気味がられてきました。
そんな中、光流本人ではありませんが、それらしい人影を見たという寮生が出てきます。ですが、その風貌が一致しません。少なくとも、二人います。しかも、その一人は厳しい視線を光流に向けていたというのです。
 
スカちゃんは光流先輩を笑うに笑えず、その正体を率先して突き止めようと人影を追いかけたりもします。根が素直なんですね。
 
その時に光流が発した言葉(何を言ったのかは是非、単行本にてご確認を)にどうやら、光流を見ていた人物が何か心に刺さったのかもしれません。物語は急転直下を迎えます。
 
光流を出せと女性が尋ねてきたのです。しかし、どうにも喧嘩腰。しかも、覚えの無い因縁をつけてきます。
その女性は「海藤 理々子(かいとう りりこ)」の関係者と名乗っていますが、光流には覚えがありません。何より、彼女がその海藤とどのような関係であるのか…

「理々子はあたしの恋人よ!!」
(秋 由利恵(あき ゆりえ) 4巻 Sの悲劇 p.84)



…男子寮でそんな事を大声で言おうものなら、好機の的にされるのは当然のお話。寮ではお話にならなくなり、近くの公園へと向かいます。
 
秋は光流が理々子をたぶらかし、泣かせたと思っている様子。空手の有段者でもある秋が、一向に自分の非を認めない光流に業を煮やし、実力行使をしようとしたその瞬間、当の本人である理々子が登場。その想いをはじめて口にするのです。しかし、自分のしてきたことに後悔していた理々子は、その場からすぐに離れていってしまいます、
 
光流に自分の学校の学園祭を見て欲しかった…ただ、それだけが言えずに光流の後を追いかけていただけであったのです。
 
後日談。光流に喧嘩を売った秋が再度グリーン・ウッドにやってきます。目的は光流…ではなく……是非、単行本でご確認のほどを。
 
 
 期末試験ともなりますと、一番苦労するのはスカちゃんの様子。今日も今日とて、光流、忍、瞬の三人から勉強の手ほどき中。その時に、前寮長でもある古沢からバイトを変わって欲しいという話がやってきます。日にちを間違えてしまい、参加できないのだとか。一人で二人分の働きをしていた古沢のバイトですから、当然、行くのは二人。内容はアイドルコンサートのスタッフなのだとか。
 
寮生の中にも行きたいという輩が大勢いたのですが、結局は光流とスカちゃんで行くことに。
 
問題はそのアイドル歌手と言う事になります。アイドルに疎い古沢の話から推測しつつ探してみると、その人物は何と、あの新田 美恵子であったのです。
(詳しくは、2巻の「LIVE OFF グリーン・ウッド」を参照してください)
 
遂に始まるコンサート。その時に見た美恵子の姿はスカちゃんたちに絡んできた時の、あの力無さとは程遠い力強いものでありました。そのコンサートで、通路にいる光流を見つけた美恵子は、なんと投げキッスを光流に投げかけるのです。
袖に引っ込めば、スカちゃんたちも知っている美恵子になるのですが、アンコールでステージに戻ったその姿を見て、プロを見た二人でありました。
 
そのコンサートも終わりお役ゴメンかと思いきや、光流は美恵子のマネージャーから呼び出しを受けます。明日、とある場所で会いたいという話です。
 
良く理解できないまでも、二人は待ち合わせの場所へ向かう事にしました。そこに現れた美恵子は、二人が良く知る姿でした。
 
席についたマネージャーが光流たちを呼んだのには、訳があったのです。なんと、美恵子が悪戯されているので、ボディーガードをして欲しいと言う話であったのです。芸能界にはよくある事…しかし、美恵子の口から出て来たのは…
 
「絶壁のシーンのロケで立ち位置がロウでバミってあったり、水筒のウーロン茶にヒ素が入っていたり、お弁当の茶巾寿司に爆弾が入っていたり、思い出しただけで目まいがしますわ…」
(新田 美恵子 4巻 Sの悲劇 1 p.117)
※バミる=業界用語で立ち位置の場所取り。立ち位置を示しておくためのテープなどが目印として張られているそうです。



…それは完全に命を狙われているという話なのですが、マネージャーは美恵子が怖がると思い、あくまで芸能界にはよくある事と言っていたそうなのです。多分にそこまで露骨なヒットマンであれば、間違い無く警察沙汰になる話でしょう。しかし、そうなれば美恵子の芸能活動は自粛。小さなプロダクションには大きな痛手になるそうです。
あくまで、活動ありきと言うのが、微妙な話ですけどね。
 
何はともあれ、ボディーガードをする事になった二人。さて、その犯人とは…
 
 
 縁があって、コンサート会場のスタッフのバイトをした光流とスカちゃんの二人は、その縁から美恵子のボディーガードをする事になりました。明らかに命を狙われている彼女を事務所の準備が出来る間だけという条件で、引きうけたのです。
 
立場としては新人アイドルの二人。美恵子の後輩という事になっています。今日は、現場の見学という話で、撮影現場に来ました。
雑然とするスタジオ内。今撮ってるドラマが後数回終わるという話であっても、その間にまた狙われる可能性は捨てきれません。更に言えば、今、その中にいる顔見知りが犯人である可能性も捨てきれないのです。
 
撮影の合間の休憩でも、気を抜く事は出来ません。光流は中身のはいったカップをスカちゃんに手渡します。それを疑いも無く飲むスカちゃんをじっと見ると、中身が大丈夫としてそれを美恵子に渡したのです…
 
「おれは金魚ですか!!」
(蓮川 一也 4巻 Sの悲劇 2 p.127)



…それぐらい気をつけないと行けないのでしょうが、後輩を金魚代わりにするってのが、光流らしいといえばらしいですね。本当に苦しんだら、どうするつもりだったのでしょうか。
 
初日は何事もなく終了。しかし、二日目に問題が起こりました。何と、天井の照明が美恵子目掛けて落ちてきたのです。幸い直撃する事はありませんでしたが、現場は騒然となります。
 
控え室に戻った美恵子は、自分が向いていないからではないのかと嘆きます。しかし、それを真っ向から否定したのはスカちゃんでした。それは短くも美恵子の様子を見てきたからこその言葉であったのでしょう。光流もうまくフォローします。
その言葉にはげまされたのか撮影は以降、スムーズに進んでいきました。
 
しかし、不安が無くなったわけではありません。これまでのことを考えれば、命が狙われたのは全て撮影中です。今日が終了だというのなら、今日中に再び…予感は的中しました。
マネージャーが少し離れている間に車が美恵子に突っ込んできたのです。
 
しかし、そのヘッドライトを浴びた美恵子は生き生きと車を飛び箱の様にしてエスケープ!犯人は自滅してしまったのです。そして車から降りてきた犯人。美恵子の命を狙った理由とは…。その答えは是非、単行本にてご確認のほどを。
 
 
 お正月を写そう♪…というのはコマーシャルネタ。これはとあるレビュー放送にでもするとしまして、さて、冬休みの佳境といえば、やはりお正月なのかもしれません。スカちゃん、光流、瞬、忍はそれぞれの実家に帰り、それぞれの正月を迎えていたのです。
 
…えっと、この話のレビューはそれだけです…
 
いえ、手抜きじゃございません。というのは、それぞれの家庭の事情が掻かれた話ですので、ここで記載すると、大変なネタばれに「なりすぎてしまう」わけです。私のレビュー能力不足であるわけですが、しかし、壮大にばらし過ぎるのも面白くありませんので、ご容赦のほどを。
 
ちなみに、スカちゃんは新婚家庭の中に。忍は一族郎党の集まる(当然、姉の渚は出席。兄の「手塚 旭(てづか あきら)」は欠席)会合に出席。瞬は実家旅館の手伝い(しかし、どう見ても次期女将…と言う事は女の子にしか見えない)。そして、光流は後輩と一緒に初詣に行くという感じです。
 
ちなみに後輩というのは、新婚家庭に居なくなった(居場所のなくなった)スカちゃんでありました。
 
さらにちなみに、この話はストーリー上では二回目の新年ですが、作者いわく、それは言わない約束よと言う事で…
 
「まさかあの二人、この先ずっと新婚一年目!?」
(蓮川 一也 4巻 お正月を写そう p.147)



…というスカちゃんにとっての不幸は続く様子でありましたとさ。
 
 
 緑都学園に数多くある部活。それは1巻でスカちゃんがグリーン・ウッドに入寮する際にも見受けられた光景でありますが、結構、学生的にも一生懸命になっているらしいのです。そうした中に、不穏な行動を画策している部活があるようです。
 
新聞部に入りたくて仕方がない一年「布施 直(ふせ なおし)」。何故かジャーナリストを目指して奮起しているとの話。
 
交換条件としては、生徒会会長=忍の悪行を暴き、記事にしてくれば…というのですが、忍と言えば、悪事の数々をこれまでにも繰り広げてきたわけで、それを記事にでもされれば…いえ、出来ればの話ですよね。
尚且つ、この布施君。どうにも思いこみが激しいらしく、忍=悪と決め付けて取材している様子なのです。
 
で、当の本人はと言いますと…
 
「おもしろい。自慢じゃないが、うちは代々悪党の家系だ。こういうケースには慣れている」
(手塚 忍 4巻 ノーブレス・オブリージ p.179)



…と結構楽しそうです。しかし、その裏にいるのが新聞部という話を聞き、何かを考えた様子。
 
一方の布施君ですが、状況は忍の周りに取材してみても、それが証拠になるわけではない…そのために、本陣=生徒会へと乗り込むことにしたのです。そこに忍がすぅ…っと登場。
当然、驚く布施君でありましたが、彼のジャーナリスト魂は、色々と聞き出そうとしていたのです…が、それもすっぽかれ、ある場所へ忍を追いかけていきました。
 
そこに現れた柔道部員。どうにも、柔道部部長が何か弱みを握られていると思ったらしく、その証拠を掴むために忍に挑戦してきた様子です。相手は猛者であろうはずの柔道部員。しかし、その柔道部員はあっさりと、忍に一本取られてしまったのです。
 
そこに柔道部主将が登場。話を聞けば、弱みではなく、それだけ強い忍に助っ人を頼んでいたとの話だったのです。
色々と誤解があるのだろうが逃げないと布施を説き伏せてしまった忍。そのことを説明しに新聞部へ向かうと…布施君は新たな真実を目の当たりにするのでした。
 
結局、布施君はジャーナリストではなく、忍の弟子になるべく、その後を子犬のように追いかけているとかいないとか。正義の道理って難しいものですねぇ。
 
 
 忍や光流にも、新入生の頃はあったはず。と言う事で、スカちゃんの不用意な一言のせいで、5巻の大半は、忍と光流の新入生の頃のお話となってしまいました。
 
その話は「六条 倫子(ろくじょう のりこ)」の部屋から始まります。この女性、忍の兄である旭の婚約者であったのですが、事実上のドロップアウトをしてしまった旭のために、破棄されてしまったような状況になっています。それでも、手塚の次男=忍の面倒を見ているのは、六条家が手塚家との親戚関係を望んでいるからという事なのでしょう。
 
倫子本人も、正直、忍をよく思っていない様子であるのです。
 
そんな事は理解していそうな忍でありましたが、それでもいつもの様に淡々とした笑顔で彼女の家から試験会場へと向かっていくのでした。その学校名は緑都学園。そして試験会場で、前後ろの席に座ることになったのが、光流であったわけです。
 
無事に合格した忍は、グリーン・ウッドへ入寮します。相部屋になる相手は誰かと思いきや、試験会場で前後ろの席となった光流であったのです。
 
寮の中では二人も目立つ新入生。しかも同室と言う事もあって、ターゲットにされてしまいますが、酒も博打も二人には敵いません。しかし、光流はその人懐っこさからか、次第に人気者となっていきます。同室で同じ様な忍も寮生からは同列と受け取られていた様子です。
 
忍がたまに顔を出す親戚…倫子の前でも、光流の話が出てきます。それでも、倫子は何かを感じ取っている様子なのです。それは彼女が忍をモデルにしたキャンパスに絵の具を載せたパレットと投げつけ、それで完成といった絵のタイトルからもわかるのです…
 
「タイトルは―――…孤独」
(六条 倫子 5巻 雨やどり 1 p.31)



…確かに、忍の心には孤独という魔物が潜んでいるのかもしれません。それは彼が光流をどう見ていたのかを知ればわかることではないのでしょうか。
 
 
 入学式。そこでは首席が一年生代表として挨拶をする事になっています。その首席を忍が勤める事になりました。一方の光流は、下から数えた方が早い成績。それでも、緑都学園に入学できたのですから、良かった良かったということでしょうか。
 
そんな学園生活の中にあって、生徒会でも新役員の選挙が控えているのだとか。部活を決めていない忍は生徒会の副会長へ立候補してみようかと考えている様子。その心のうちでは、誰を生徒会長にしようかと画策しているようです。誰がなるのか…ではないところに腹黒さをビシバシ感じてしまいます。
 
そんな動きもある中、バレーボール大会が行われました。各学年の各クラス毎に争うルールになっており、やはり体格の大きな高学年の方に分があると誰もが思っていました。忍にしても、その考えはあった様で、バレーが個人競技ではない以上、このクラスでは負けると踏んだのでしょう。それなりの活躍を見せていました。
 
一方の光流は、一生懸命です。いえ、一生懸命過ぎて、無理に拾いに行ったボールを返したまではいいのですが、大木に激突し、脳震盪を起こしてしまいます。気がついたのは保健室。
そこに居たのは男の保険医であったわけです。女性で無かったことに残念がるも、気軽に話を交わす光流と保険医。そして、そこに忍あ迎えに来たのです。
 
保健室から帰る途中で、光流はバレーボール大会における忍の行動を指摘します。光流の目には、明らかに手を抜いていた様に見えたのです。それだけではなく…
 
「バカにしているようにしか見えないぜ」
(池田 光流 5巻 雨やどり 2 p.55)



…忍にとってのその一言は、光流への評価を改めさせる事となりました。そして生徒会の選挙が近づいてくるのです。
 
 
 忍にしてみれば、自分に都合の良い人材を揃えたいわけで、そのために今、生徒会長のに一番近しいであろう人物は邪魔になるだけの存在なのです。そんな中、光流に言われたからなのか、それとも、何か考えのあっての事なのか。忍は文武両道である所を見せて行くようになります。(一方の光流は相変わらずの無茶をしている様子。)
 
そんな中、忍は一人の生徒会長立候補を作り上げました。それは部費の穴埋めを思慮していたある部活の部長であったのです。のせやすいその性格が忍には便利に映ったのでしょう。
しかし、それで満足出来るはずがありません。あくまで、自分の傀儡となる人材を当選させなければならないのです。そこは、容易周到な準備を進めていきます。
 
そんな中、光流は不穏な噂を聞きます。選挙違反に近しい行動を取るように言われた生徒がいるというのです。それは忍が生徒会長にしようとしている生徒への票集めとも取れる噂でした。しかし、選挙管理委員会でもそれが不正だと判定できない様子なのです。
そんな噂をその当時のグリーン・ウッド寮長に尋ねに言った光流は、その寮長から一番の生徒会長有力候補の応援演説を頼まれます。
 
その際に、忍の応援演説も頼まれていた光流は、忍に報告に行ったのです。
その時、忍は逸材がいたことを見逃していたのです。それは、光流でありました。これほど、人心を引き付ける逸材もいない。彼を生徒会長への応援演説に使えばよかったのです。
 
忍にとっての懸念は自分が影で推している生徒が生徒会長になる事が出来るのかと言う事。そんな時、忍は夜襲に会いました。そこに光流もやってきて撃退できたのですが、その理由を光流に対して打ち明けたのです…
 
「ちょっと…斎木先輩の票集めを」
(手塚 忍 5巻 雨やどり 3 p.80)



…それはあまりにも唐突な告白でもあったのでした。
 
 
 光流には忍の言っている事が理解出来ません。しかし、彼の考えを聞くうちに何となく理解出来るようになっていきました。それから一夜あけた後、忍は光流に図書館へと呼び出されます。光流曰く、考えに考えた結果の行動がそれであったのです。
 
図書館は一瞬にして喧嘩場と変わりました。それでも、相手を見下す様な態度を取る忍に対して、光流はずけずけと思った事を口にします。それが勘にさわったのか、忍は光流を落としにかかります。が、場数では光流の方が上。その喧嘩は完全に光流のペースになっていったのです。
 
その決着は彼が放った拳で決まりました。
 
気がつけば保健室のベッドの上、そう、忍は完全に敗北したのです。それは彼の人生の中で、有得ない形での敗北であったのでしょう。ですが、保険医と話している光流の言葉に忍は肉体的なだけではなく、心までも敗北感に襲われてしまったのでした。
 
この借りを必ず返す…それが忍の出した結論であり、誓いでもあったのです。
 
それから後、瞬やスカちゃんが入ってきて、しばらくぶりに倫子の部屋へ忍が向かいます。そこでは相変わらず倫子が笑顔で嫌味を言うのですが、しかし、忍はそれをさえぎる様に、一里塚の話をします。
まるでそれは、光流とつかの間の安らぎを話しているかのようでした。しかし、それを倫子は許しません…
 
「ちゃんとあなたに負けた旭の分まで、ギスギスした人生を送ってよね」
(六条 倫子 5巻 雨やどり 4 p.105)



…わかってる、大丈夫だよ…そんな言葉を紡ぐ忍であったのですが、しかし、一方では…。彼の祈りが通じれば良いですね。
 
 

 
 
 そんなこんなで、「ここはグリーン・ウッド」第4~6巻のレビュー前半は終了です。
 レビュー後半に関しては『コチラ』から閲覧も可能になっております。
 
 

2010年04月05日

『ここはグリーン・ウッド』(那州 雪江/白泉社) 第1~3巻

今回紹介するのは、「ここはグリーン・ウッド」です。1986~1991年まで、白泉社の雑誌・花とゆめで連載されていました漫画作品です。
 

 
 



 時期は五月。すでに新生活が始まり、五月病も出てきそうな頃に、主人公である「蓮川 一也(はすかわ かずや)」は私立緑都学園(りょくとがくえん)の寮へと入寮する事になった。その理由は、入院していた…と言うことなのだが、憧れであったはずのこの学園の試験に来る時から何かと不幸に見まわれている。
中でも、学園へと通う事が出来るはずの距離に家のある蓮川の不幸は、彼の初恋の相手が、自分の兄と結婚。そしてその家に一緒に住むと言う事であった。そのことに耐えられなかった蓮川は、学校の寮で高校生活を営むことにしたのだった。
 
蓮川を面接した男性が学園長であったのも覚えがよかったのか、頑張るようにと声をかけてもらった彼の前に二人の学生…先輩が現れる。一人は、生徒会長の「手塚 忍(てづか しのぶ)」。そしてもう一人は寮長である「池田 光流(いけだ みつる)」。
 
学園長室を後にし、イケメンの二人に案内された寮。それこそ、緑都学園男子学生寮・緑林寮(りょくりんりょう)…通称「グリーン・ウッド」であった。
 
彼らが生活する事になる部屋は基本的に二人部屋となっている。蓮川も当然、相部屋と言うことになるのだが、彼が自室のドアを開けてみると、そこにいたのは同居人である美少女・「如月 瞬(きさらぎ しゅん)」であった。
一瞬、少女と見間違ったと思った蓮川に対し、忍と光流は確かに少女であると伝える。全てが男として育てられた少女であると伝えられた蓮川の奇妙な生活がそこから始まる事になる。ちなみに、何か間違いがあった場合は…と忍と光流は蓮川に念を押しているのだった。



 
 

 
 
 さて、この作品ですが漫画版は全11巻となっております。今回はその内、第1~3巻までのレビューです。
 
 
 まずは読みました感想から。
 
正直に言いますとこの作品、私はOVA…つまりはアニメから入っております。その理由は、声優さんネタなのですね。大好きな作品で声をあてられていた方々がこれに出演していると言う事から、見た作品であったわけです。
OVAは全6巻。しかも各30分ですので、この原作漫画全11巻の中身を網羅する事はできないわけです。更に言えば、アニメ化ではどうしても変更しなければ行けない場所も少なくなく、その意味でも、原作は読むべきだと思った次第なのです。
 
という前振りの上で、1~3巻までの感想は、実にスカちゃんこと、蓮川一也を中心として見事に物語が構築されているものだと関心するばかりです。
こうした無象無象の劇の場合、得てして主役が入れ替わる場合があるわけですが、少なくとも視点の基本はスカちゃんにあるのは明白であり、読者はその視線からの物語を見ているというのが、はっきりとわかります。
 
話数を重ねる事によって、パワーはどんどんアップしていく。それだけ引きこまれると言う事なのでしょう。そうした意味では、この作品をリアルタイムで読んでいた読者の方にとって、その時間はグリーン・ウッドの一員になれた感覚が味わえたのかもしれません。
 
まだ序盤も序盤なのですが、それだけ魅力的なキャラクターと彼らが繰り広げる物語には、時代を経た今でも十分に引きこまれるだけの力があるのだと思うわけです。
 
 
 というわけで「映像化」というお話。
 
 昨今、こうした作品における映像化は頻繁になりました。つまり「原作付き」という物です。こうした作品の多くは、原作を知ってもらうというのと同時に原作の売上を更に伸ばすという目的でアニメ製作されているものがほとんどであるわけです。
 
この形式は、その昔のスーパーロボットまた、ガンダム以降のリアルロボット。またセーラームーンやプリキュアに該当する美少女戦隊物にありますような玩具を売るための宣伝媒体としての要素が移行したと言えるわけです。
 
当然、そうなりますと、現状人気のある作品に白羽の矢が立つのも道理ですし、その作品の勢いがあるうちにアニメ放送からDVDやBlu-rayの発売も終了したいと思うのは当然でしょう。
ある程度もしくはそれ以上に、製作(投資)資金を回収したい。しなければならないというのは、企業として当然の話しであるからです。
 
今回レビューしております。ここはグリーン・ウッドが発表された時代は、基本的にオリジナルが尊重されていた時代でもあったわけです。現在であれば、深夜枠でもテレビ放送がされそうな作品であるわけですが、アニメ映像化されたのはOVA。つまり、販売主流の方法であったわけです。
 
つまり、この頃の原作付きアニメは、あくまで原作が好きだから製作してみたいという意識が強かったとも受け取る事が出来るのです。
それだけ原作の面白さを損なわずに、更に面白くするためにはどうするのかという七転八倒の苦しさが伝わってくる作品も少なからずあったと記憶しております。
 
それでも、それを商売につなげなければならない…本当に難儀な話しであったのでしょう。
 
現在ではむしろ商売になるためには…という観点に主流が置かれつつあるわけで、それはそれで良い傾向ではあると思います。しかし、テレビ放送でありながらも短い話数でしか放送できない、あるいはしない状況においては、消費のための消費にしかならない状況もままあると言う事は間違いない話しであるわけなのです。
 
消費されていくだけの素材であるのか否か。現状におけるある種の飽和状態は、それを考える分水嶺になっているのではないのかと思う次第なのです。
 
 

 
 
 ここで注意書きです。
ここから下記には若干から、場合によってはかなりのネタばれが書かれております。あくまで、内容は現物を見てという方はここで画面を閉じていただく事をオススメいたします。
 
※第1巻に収録されております「キラキラの部屋で」「冒険者たち」「誰か―――STRANGER」「那須ゆきえの1986夏物語」は、「グリーンウッド」第10・11巻の回にてレビューを行いたいと思います。
 

↓↓↓ 10 ↓↓↓
 
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 主人公の蓮川一也・通称「スカちゃん」ですが、結構なほど性格が鬱屈しております。頑固で負けず嫌いで思い込みが激しく人情家。また、肉体的にはかなりの高レベルでありながらも、内臓的には虚弱体質。繊細な性格も加味してか、そのストレスが胃にすべてくる様子なのです。
そんな弟を心配したのか、実兄である「蓮川 一弘(はすかわ かずひろ)」が選択したのは、スカちゃんの通う高校の保険医。かなりのブラコンであり、憧れの存在であった兄が…
 
「何が悲しゅーて約束されたホワイトカワーの道をすてて、男子校の保健室で余生を送ってなきゃならないんだ―――」
(蓮川 一也 1巻 ここはグリーン・ウッド #1 p.21)



…という状況になっており、それにも反撥しているのもあって、同じ学園の同じ寮に入って別の道に進んでやるという決意をしているのでありました。
 
そんな蓮川兄がかつて入寮し、そして弟が今回入寮する事になった緑林寮ことグリーン・ウッド。同じ学校に通う他の学生からは、変態の巣窟のような呼ばれ方をしております。例えば、先ほどの瞬の話でもその一旦が垣間見えるかもしれません。
瞬は外見こそ美少女に見えるのですが、実際には立派な男性。とある事がきっかけで、美少女だと信じていたスカちゃんにもばれてしまうのですが、しかし、そんな悪戯を仕組んだのは、実は寮長である光流であったのです。
 
寮内で寮生を使って平気で博打を考える寮長。それに対しスカちゃんの怒りが爆発したのは言うまでもありません。光流には逆らう寮生がまずいないのですが、スカちゃんは思いきりグーで殴りつけます。それでも、瞬に手を出さなかったのは(捕まえるのに長い髪は引っ張りましたが)生来のフェミニストであるスカちゃんの性格なのかもしれません。
要するに、理性でわかっていても本能で手が出せないってやつですね。
 
 
 さて、そんなスカちゃんですが、寮の生活も2月ほど経ちますとその中身がわかってくると言う物です。
例えば部屋をゲーセンのようにして月3万円以上も稼いでいる寮生や、例えば某宗教組織の末端を担っている寮生とか、例えば大型バイクを自分の部屋にまで持ち運んでいる寮生とか。そんな中でもやはり、生徒会長の忍と寮長の光流は別格であると認識したらしいのです。
 
イケメンで運動能力も学力をある。しかも、人望も厚い。しかし、どうにもスカちゃんに対してはからかい対象のように絡んでくるこの二人に苦手意識を持ってしまっているのです。ですが、スカちゃんの勉強を見てくれる良い先輩の一面も…それで、頭が上がらないのもひとつ原因としてあるらしいのです。
 
そしてもう一つが、彼の兄にあるのは当然のお話。しかも、彼と結婚した「蓮川 すみれ」はスカちゃんの初恋の女性であったわけです。それを知ってか知らずか、とある事件が起こります。
 
期末試験も終わった夏休み。ほとんどの寮生が実家に帰宅する中で、スカちゃんは寮に残る選択をしました。その理由はたった一つ。初恋の女性が、勝手に不徳とみなした実兄の新妻になっている姿を見たくはないという理由からだったのです。で、スカちゃんのお間抜けは帰宅しない理由を実家に伝えていなかったと言う事。
ただ、実兄である一弘が聞いていたとしても素直に伝えたかは微妙ですけどね。
 
当然、心配になったすみれは蓮川に会うため、グリーン・ウッドにやってきます。弟のように可愛がっているスカちゃんに久しぶりに会えた喜びで思わず抱きしめたすみれ。その衝撃はスカちゃんにとって爆弾以上の効果と流血をもたらしました。
 
思わず、面会室から逃げる様に去っていくスカちゃん。気持ちを落ち着かせ、鼻血も止めたスカちゃんは再びすみれの下へ。すると、すみれは何かを納得した様子…
 
「ごめんね。私ったらいつもカンちがいばっかりして。もう一也くんたら前から無口で何もいってくれないんだもの」
(蓮川 すみれ 1巻 グリーン・ウッド #2 p.50)



…と押しかけた事に平謝りの様子。どうやら、光流と忍が適当に言いくるめてくれたらしい。ついでに、彼女がスカちゃんの入院した原因である事も理解した様子。
それでも、何とか口実を作ってくれた先輩たちに感謝するしかないスカちゃんなのでした。
 
 
 夏休みも終わり、寮にも普段通りの騒ぎがやってきます。そして、毎年恒例になっている彼女たちも通過する様です。
 近所の女子中学生が何故か道を歩いている寮生たちの隣を走り去っていく時に、身体にお触りしていくのです。光流たちに言わせれば、毎年の風物詩になっているのだとか。
 
そんなこんなの中で、寮に戻ってきた同室の瞬もスカちゃんのお姉さん来寮の話を聞き、夏休み最後のバカ騒ぎが行われている中。一つの騒ぎが起こります(毎回騒ぎだらけのグリーン・ウッド…)

大きな落雷によって付近一体が停電してしまったのです。
外は大雨。とにかく、寮生の安全を確認するために、寮長である光流が寮内を歩いて回ります。しかし、何か違和感を感じて仕方がない光流。その懸念は騒ぎとなって具現したのです。
 
いるはずのない少女の影を見た者。ぬるっとした何かに触ったと言う者。寮内は若干のパニック状態になりました。
 
しかし、こう言う時にもあまり動じないのか、鈍いのがスカちゃん。騒ぎの中でも考えるのは初恋の女性で、今は兄・一弘の新妻となったすみれのことばかり。その時、一瞬の稲光がスカちゃんの見ていた窓にいるはずのない少女を映し、足元にぬるっとした何かを感じ…そして悲鳴と共にいるはずのない少女に抱き付かれてしまったのでした。
 
停電も収まり、事態を把握してみれば、何て事はない話であったわけです。
少女たちは幽霊ではなく近所の女子中学生であり、ぬるっとしたのは寮生が持ちこんだペットの蛇たち。両方ともしっかりと怒られた上、しかもそれで時間を取られた寮生たちは、明くる日の新学期に疲れを残したまま向かうのでした。
 
この話の中で、一つ面白いシーンがありました…
 
「117………○(まる)……」
(池田 光流 1巻 グリーン・ウッド #3 p.69)



…ちなみに、他にはすでにばれていたスカちゃんと一弘の兄弟という話が、このオオボケ兄弟にも伝わったのも、この話数であったりします。
 
 
夏が終われば冬が来る。秋はどうしたと言う話は置いておきまして、寮生が再び帰宅することになる冬休み。当然、スカちゃんは家に帰ろうとはしません。…が、しかし寮には厳しい掟があったわけです。それは…
 
「冬休み中は寮にはいられないんだよ」
(如月 瞬 2巻 再会のグリーン・ウッド p.14)



…と言うことなのです。そこで画策するスカちゃんでありましたが、しかしながらその画策とまではいかない妄想にけりをつけて実家に返ることを決めたわけです。その理由というのは、寮生の中にも色々と人生はあるのだなぁと言う話。
その過程で自分の家族…というよりも一族の不思議と己が身の上の不幸を恨む様になるわけですが、それはそれ。それ以上に、それなりにしっかりと10日間を実家で過ごすことを決めたはずが…。
 
すみれのご飯を目の前にして、彼の目に感動の涙と、口に感動のよだれが溢れている様子では、その決意も忘れ去ったのではないのかと思う次第であります。
 
 
そんな冬休みが過ぎれば、再び寮生活。寮へ帰宅する途中にもかかわらず、スカちゃんがばったりと出会ってしまったのは、忍と光流の両名。人ごみの中にあっても目立ちほどのその容姿でありますから、誰かから常に注目されているのは間違いない話。
つまり、彼らを見ていた人物がいたわけなのです。
 
当然、そんな人に心当たりはありません。出来れば穏便に振り払いたいと思いきや、その人。いきなり倒れてしまいます。
いきなりの状況に驚いて近づいてみれば、不健康そうな女性でありました。しかも、この女性、自分の事をミエコと名乗ります。その名前はその場所にあったポスターにあった芸能人の名前であったりするのです。偽名であると疑う光流でありましたが、とりあえず一緒にいることにしました。
 
しばらくすると、彼らの前に男性が出てきます。その男性。明らかに彼女を見て驚きの表情を見せていたのです。彼女も同じ様に驚いています。そして次の瞬間に逃げ出したのです。
 
光流たちははっきりと、逃げるという言葉を聞きました。そこで色々予想を立てます。とあるご息女であるとか、もしくは病院から逃げ出した患者とか。本人に聞いてものれんに腕押し。はぐらかされてしまうからです。
 
そこに先ほどの男性とは違う男性が現れます。明らかに風貌が怪しいその男。どうも、何かを狙っている様子。
追いかけてくる風貌が怪しい男をノックアウトにした光流。続けざまに別の男性にも手を出してしまうのです。それを見て気絶するミエコ。
彼女を別の場所に運んでみると、それまで黒髪であったはずの彼女の頭からその黒髪がずれているじゃありませんか。
 
そう、彼女はかつらで変装していた、芸能人である「新田 美恵子(にった みえこ)」本人であったのです。
 
風貌が怪しかったのは写真週刊誌の記者。そして、最初に追いかけていたのは彼女のマネージャーであったのです。
記者は光流たちと一緒にいる美恵子の写真を撮ると、それを記事にするべくその場から逃走します。しかし、あの三人から逃げられるものではありません。
入念にカメラは破壊され、ボコボコにされてしまうのです。
それを見て何か吹っ切れたような美恵子さんは、三人に別れを告げ、マネージャーたちと一緒に帰っていきます。
 
一見落着と思いきや、三人はあることを忘れていました。それは寮に帰った時に思い出したのです。寒い中で寮にも入れずガタガタと震えている寮生達。そう、光流の手には寮の鍵があったのです…
 
「…………わかった、責任はとる」
(池田 光流 2巻 LIVE OFF グリーン・ウッド p.65)



…一緒に責任を負わされる事になったスカちゃん。割を食わされたのは、二人にあったスカちゃんかもしれませんね。
 
 
新年を迎えれば、その翌月にはバレンタインというイベントがあります。かのお菓子メーカーが作り出した、あのチョコレートをどうにかする日です。
グリーン・ウッドでは、毎年恒例のダービーが行われていたのですが、今年は光流がいるので、ダービーにすらなりません。そこでスカちゃんがネタにされそうな勢いなのですが、それも賭けにすらならないという話。
 
そんなスカちゃんにも、実は思いを寄せている子がいたのです。
同じ中学の同級生であった子がそうなのですが、しかし、スカちゃん。実はかなりの朴念仁。この子の思い所か名前すらも覚えていない状況であったという事なのです。何という悪い男なのでしょうか(笑)
 
そんな朴念仁のお話はともかく、何が凄いと言えば、光流に対してチョコレートを渡した女子学生たちです…

「いつのまに!?」
(池田 光流 2巻 みんな愛のせいね p.80)



…ある意味、逆スリ。ポケットに忍ばせる技術が半端ないです。
 
 
バレンタインデーも過ぎますと、今度はそのお返しが必要な日がやってきます。当然それはバレンタインデーに貰った者だけの苦労なのですが、グリーン・ウッドで最多獲得者である光流には別の悩みが出てくる様子です。
それまでの間に寮生宛てに送られてきた救援物資を散々に巻き上げてきた光流は、当然のようにその寮生たちからチョコレートは巻き上げられていきます。更には、ゲーム部屋にも多大な借金を残しているために、更に巻き上げられてしまうと言う状況が繰り広げられてしまうわけです。
 
そんなチョコレートの中にも、不思議なものが紛れ込んでいる場合があります。それは男子生徒からのもの。物珍しい対象になるのは当然の話ですが、光流はその時にいたある生徒に話を振ります。その生徒の名前は「渡辺 由樹(わたなべ よしき)」。しかし、光流のその問いかけに誰よりも驚いているのは、同室である「藤掛 達郎(ふじかけ たつろう)」であったのです。その理由は、上記にも記載しています、グリーン・ウッドの停電の時に光流がとある部屋に向かった時に見かけた状況であったのです。
 
そんないつものようなグリーン・ウッドのある朝、外は一面の銀世界になっていました。その状況に見とれる暇がないのも寮生というもの。雪かきが始まります。
当然、スカちゃんも雪かきに駆り出されたのですが、どうやら体調が悪かった様子。
 
寮長として責任を感じた光流は、そんなスカちゃんに何か奢ることにしたのでした。
お供に瞬を連れて出掛けた先で、光流は何かの気配を感じたのです。そして、グリーン・ウッドに新たな騒動が起こるのでした。
 
そんなグリーン・ウッド。スカちゃんが勉強している際に、たまたまグリーン・ウッドという項目を英和事典で見つけたのです…
 
「…悪党の巣!?」
(蓮川 一也 2巻 白い日(ホワイトデー) p.96)



…確かにこの寮は一癖も二癖もある、悪党の巣かも…。それ以上に悪党の手が伸びているらしいのですが…。
 
 
光流が誘拐されてしまった…。それは瞬が慌ててグリーン・ウッドに帰ってきた事からわかった。だが、その理由が全くわからない。しかし、忍はいつものように冷静に状況を確認していくだけ。当然、今そのことを知っている数人以外に緘口令を言い渡しました。
 
一方、当事者である光流ですが、ようやく目が覚めた様子。そのことも楽しんでいるかのように、周りの様子を把握していたのです。どこかのマンションであるのはわかるわけですが、それ以上のことはわかりません。そこに女性がやってきます。
彼女いわく、光流はやっぱり誘拐されたようですが、その理由がはっきりしません。
 
寮では光流を誘拐した一団の話となっていました。瞬にその話を聞いていた忍は…
 
「―――そのようなことをしような人間に、心あたりがある…」
(手塚 忍 2巻 頭のいたいネメシス 1 p.141)



…それは、自分の姉である…というのでした。
 
 
そう考えればつじつまが合う。それに無用な心配はないと忍は言います。何より、今回の首謀者である姉・「手塚 渚(てづか なぎさ)」の居場所を知らないのですから動き様がありません。相手の出方を待つしかないのです。
 
一方のさらわれた光流ですが、その詳細な理由を渚から聞く羽目になりました。しかし、同時に渚にはスカちゃんと似た部分があると感じて仕方がなかったのです。
微妙な優越感に浸っている渚はついにグリーン・ウッドへと連絡をとることにしました。
 
その電話に出たのは当然忍です。渚との話で居場所を聞き出した忍は、瞬とスカちゃんを引き連れて乗りこむことにします。
 
忍がいよいよ来るという事になったマンションでは、もう一つの話題が持ちあがっていました。それは、光流が自分の顔で商売が出来ると知った幼少のみぎりの一件…
 
「相手に土地カンがないと看破するや、うまいこといって人ゴミの中をチョコマカひきずりまわした挙句に、わざとはぐれて逃げたわね……?」
(手塚 渚 2巻 頭のいたいネメシス 2 p.164)



…要するに手玉に取られると言うことを理解していない人なんでしょうねぇ。その理由はこの後に理解することになるのでしょう。
 
 
渚のマンションに到着した忍と瞬、そしてスカちゃん。瞬はそこにあった高級車を見て、光流を誘拐した一団に間違いないと確認します。すると忍は持っていた釘で思いきり、その車に傷をつけ、マンションの中に入っていくのです。
その様子を見た二人、実は忍が怒っているのでは…ポーカーフェイスからは読み取れませんが、そうなのではないのかと思っていたのです。
 
光流は忍に更なる敗北感を植え付けるために、服をひん剥かれています。光流自身にも復讐するつもりでもあるのでしょう。そこに、忍たちが登場します。
縛られている光流に刃物を付きつけて、これまでのことを明らかに逆恨みしながらも土下座を要求する渚。その渚に光流は特技を見せると話しかけるのです。
 
なんと自らの顔を刃物に押しつけ傷つけたのです。
 
そのいきなりの行動に驚く中で、スカちゃんだけは堪忍袋の緒が完全に切れた様子。渚一味をボコボコにします。しかし、光流は平気な顔をしてスカちゃんに声を掛けます。
 
なんと、顔に受けた傷があっという間に治癒してしまったのです。
いわく、美形たるもの、これぐらいは当然なのだとか。
 
安心したのか、気が抜けたのかスカちゃんはその場にへたり込みます。とうとう風邪が悪化し、熱まで出てしまった様子なのです。
そんなスカちゃんと助け出した光流をつれて忍は帰っていきます…が、その時…
 
「万が一同じ様な愚挙をくりかえすようならその時は、容赦しませんからね」
(手塚 忍 2巻 頭のいたいネメシス 3 p.184)



…という氷の一言を残し、その場を去っていったのです。画して、大半の寮生が知ることはなかった光流の誘拐事件はここで幕を下ろすのでした。
 
 
再び夏…がやってきます。(春が飛ばされた理由は、2巻のラストをご覧下さい。)
夏と言えば、熱帯夜。そのおかげ…いえ、それだけでもないのですが、スカちゃんは寝ることが出来ません。そのために寝ては行けない授業(通常はどの授業でも寝ては行けません)で爆睡するという失態を犯してしまうのです。
 
そのために課題をやらねばならないのですが、この熱帯夜にうだっているのは、スカちゃんだけではありません。一部の寮生以外、暑さに参っているわけなのです。
 
誰もがおかしくなりそうなその中で、少しだけ事件が起こります。
それは蚊を撃退するためにとある寮生が使っていた超音波蚊撃退器の音がうるさいというものでした。暑さも手伝ってか、遂には暴力沙汰へ。そこにスカちゃんが遭遇してしまうのが彼の不幸なところでしょう。
 
どうにも収めれないその時に、バケツを持った光流がやって来るや否や、そのバケツにいれた水を騒ぎの張本人たちにぶちまけるのです…

「(あ―――すっきりした)」
(池田 光流 3巻 日本の夏が来てる p.30)



…その騒ぎに乗じて自分の気分を晴らすとは、さすがに光流というものです。ですがそんな騒ぎの中ではスカちゃんの課題も終わるべくもなく…スカちゃんの苦労は報われない様子なのでありました。
 
 
同じく夏と言えば夏休み…二回目なのですが一年生(決して落第したわけではない)の夏休み。
意地になって帰省しないと知らない実兄の姉であり初恋の相手であるすみれがスカちゃんに送ってきたプールの無料券。プライベートのない寮にあって、残ったメンバーでもあり、同室と隣部屋の住人がたからないわけがないのです。
 
というわけで、やってきましたプール。
そこでもひと騒ぎがあるのが、スカちゃんと瞬、忍に光流であるわけです。
 
最初の被害者は瞬。女性監視員に無理矢理、女子更衣室につれていかれたのだから、さぁ大変。それを楽しんでいた光流の下までさっさと逃げてくると、瞬は光流の着ていた服に、流れ出る鼻血をべっとりとつけたのでした…
 
「ちゃんと男だったんだなぁ」
(池田 光流 3巻 プールサイドの彼 p.40)



…というものの、そのままでは帰る事ができません。さすがに血をつけたままではヤバイ…と言うことで、即効であらって瞬が乾かす事になりました。鼻血をつけたバツと言うことなのでしょう。
それが一人の男性の悲劇を生む事になるのです。
 
その男性は「○い(まるい…本来は○の中にいの字がはいる)」。プールのアルバイト監視員で某大学の水泳部に所属する男性です。
その彼の目に飛び込んできたのが、瞬であったわけです。どうやら彼にとってのストライク。当然、瞬が男である事など知る由もありません。
 
そんな彼の勝手な心配を余所に瞬はウトウトとしてしまいます。そこにやってきたのは、光流。瞬が着ていた光流のシャツ…そう、あの鼻血をつけたシャツが乾いたかどうかを確認しにきたわけです。ウトウトしていた瞬を起こそうとしたのもあるのでしょう。それが、彼の目には、瞬が襲われているように見えたのです。
 
思わず思いこみで瞬を助けに行こうとする彼の目が、プールでおぼれている子供を見つけます。瞬か子供か…彼は子供を助ける事にしました。そしてすぐに瞬の下へ向かおうとしたその時…彼の目には、光流の横で手を叩いている瞬の姿を見たのです。
恋人なのだと勝手に理解した彼は、心の中で別れを告げるのでした。
 
…その彼が瞬の正体を知るのはその後すぐだったとか。グリーン・ウッドの寮生に関わった人は不幸に会うということなのですね。
 
 
夏休みも過ぎてくると、いよいよ居残りぐみ以外は帰省することになります。そんな中、光流に一本の電話がかかってきます。
帰るつもりはなかった光流ですが、数日だけ実家に戻る事になり、その間の寮長をスカちゃん(補佐として忍)に任せるのでした。
 
忍ではなくスカちゃんに任せた理由は、次期寮長にするためなのだとか。寝耳に水とはまさにこのこと。しかし、任されたからには頑張るのも、またスカちゃんらしい所なのかもしれません。
 
そんなグリーン・ウッドに珍客が舞いこみます。以前にも女子中学生が侵入してきた騒ぎがあったのですが、その再来かと思いきや今度は家出少女らしいのです。
 
その時、スカちゃん宛てに電話がかかってきます。その電話の主は瞬…
 
「そっちにうちのれいな行かなかった!?」
(如月 瞬 3巻 正しい兄弟愛 1 p.80)



…その時、ピーンときたスカちゃんが確かめたのは、やってきた女子学生。実は瞬の弟ではないかというのです。瞬はそれをあっさりと認めたのでした。
 
 
家出少女ならぬ家出少年を保護する事になったスカちゃん。当然、その美少女ぶりは好機の的になるわけです。兄弟で美人姉妹のような感じなのですから無理もありません。しかし、何故かスカちゃんだけは瞬の弟・「如月 麗名(きさらぎ れいな)」に厳しくあたるのです。
 
瞬が迎えに来るとわかっているのに、家に帰らないという麗名に対し、思わず手が出てしまうスカちゃん。そんなスカちゃんにタイミングよく戻ってきた瞬のハンマーが振り下ろされてしまいます。
瞬の姿を見て麗名も安心したのか、麗名もいつもの口調に戻っていくのです。
 
どうして麗名が家出をしたのか。その理由は、末の妹に原因がある様子。最近生まれた「如月 唯(きさらぎ ゆい)」ちゃんは如月家では待望の女児であったわけです。その理由は、如月家では代々女性が跡目を継ぐことになっていたからなのです。
瞬の長髪もそのためにであったかといえば、そうではなく、アレは単に似合っているからなのだとか。
 
そんな待望の女児ですから両親がちやほやするのもわからなくもありません。それが麗名には気に入らない。だからこその家出というのです。
瞬は何とか宥めて家に戻ろうと説得をしますが、麗名が頷く事はなかったのです。それに、スカちゃんの怒りが爆発します…
 
「だいたいなあ『弟をいじめたことのない兄貴』なんて、俺は信じないぞ。兄なんてもんはなぁ…弟を同じ人間だなんて思っていないんだ!」
(蓮川 一也 3巻 正しい兄弟愛 2 p.101)



…瞬の言動に麗名の行動。どうにもそれが信じられない事もスカちゃんにとっては衝撃であり、苛立ちの原因であった様子。何より、同じ弟でありながらも、麗名の軟弱さ加減に我慢ができなかったようです。
どういう苛め(と受け取られる)状況があったにせよ、スカちゃんは実兄に感謝している。そんな雰囲気のする話でもあったわけです。
 
ちなみに、瞬は厳しくと言いつつも、まだまだ麗名には甘い様子。麗名もまたスカちゃんの状況を聞き及び、何かしら感じたのか、今回は実家に帰っていきましたとさ。
 
 
夏休みが終われば、その先にあるのは秋。緑都学園でも体育祭の季節になってきたようです。
緑都学園の体育祭は各学年の同じ組み(A・B・Cとアルファベット順)がそのままチームになる形式をとっています。男子校であるのも手伝ってか、非常で異様な盛り上がりを見せる季節でもあります。
 
その波は当然グリーン・ウッドにもなだれこんでくるわけですが、光流は寮長として行き過ぎのないように指導するのが難しいとの話。それだけ真剣に楽しんでいると言えるのかもしれません。
 
そんな中、スカちゃんのクラスにいるリレーの選手から光流の話を聞かされます。中学時代には名の通った不良であったというのです。近所の中学であった彼には、どうにもリレーのアンカー…つまり光流にバトンを渡し損ねた際、ボコボコにされるのではないのかと心配でならないというのです。
が、その話、スカちゃんはどうにも眉唾ものにしか聞こえない様で、まだ信じられない様子。
 
一方で、忍は教師相手に何やら不審な行動をとっています。
ふと思えば、この作品。高校生の飲酒・喫煙に同○愛。今回は博打と、時代がそうさせたのでしょう。本当にざっくばらんな状況です。本来でしたら止めるべき教師が率先してやっている。何とも微笑ましくも情けなくという感じでしょうか。
 
この緑都学園の体育祭では水泳も種目に入っている様子で、それは開催前日に行われると事。しかしスカちゃんと光流のCチームは…
 
「おーし、このいきおいで優勝狙うぞ!!」
(池田 光流 3巻 若い力 1 p.130)



…とカッコよく造られた横断幕の前で決起をしたのですが、その結果は最下位。現状では、優勝どころの話ではなのですが、光流はその逆境に燃えている様子なのです。
 
 
体育祭の当日。最下位という状況に燃えているのは光流だけではなく、Cチーム全員…いやスカちゃんは、どうにもそのノリについて行けない様子。それでも体育祭は否応無しに盛り上がっていくのです。
 
緑都高校は男子校。基本女子はいませんが、各チームで女子の格好で応援している男子が見受けられるのです。毎年1年生から、その役を任される者がいるのですが、今年はそれっぽいのではなく、それにしか見えないのが二名ほどいる様子。
ミニスカートをはいた瞬とセーラー服を着た渡辺…例年ならば、おかしな状況に笑いもするのでしょうが、別の意味でおかしな状況となっている様子。中には、かわいくなくてすみませんと謝る一年生も出る始末。でも、瞬と渡辺の方が異常であるのは間違いないわけです。
 
競技も進んでいき、最下位であったCチームは奮闘の結果、前半の部を終わった時点でなんと3位となりました。そして午後の部がはじまり、しばらく競技が進んだとき、スカちゃんがいきなり呼ばれてしまったのです。
本来、リレーを走るはずの生徒が捻挫になったのだとか。その代わりとしてスカちゃんがリレーに出る事となりました。
 
そのリレーとはスウェーデン・リレーと呼ばれるもので、100m・200m・300m・400mとそれぞれの走者ごとに走る距離が違うというもの。スカちゃんが入ったのは、300mのコースであったのです。
それまでに足が速いという事は見せてきたスカちゃん。しかし、第一走者と第二走者がバトンリレーで失敗し、なんと七位にまで順位を落としてしまったのです。
 
それを見ていた実兄の一弘は、スカちゃんの表情を見て一安心。勝利宣言までしてしまったのです。
 
バトンを渡されたスカちゃん。その走りは驚愕の一言でした。あっという間にごぼう抜き、アンカーの光流にバトンを手渡した時には、なんとトップになっていたのです。
光流は見せ場を奪われたものの、しかし、その活躍を無駄にする事もなく、しっかりと一位。その結果、Cチームは優勝する事ができたのです。
 
バトンを渡した後、ぶっ倒れてしまったスカちゃんに代わり、実兄である一弘がインタビューに答えます…
 
「私は今日まで15年、彼の成長を見守ってまいりましたが、実はその間ただの一度も、彼が人のあとからゴールする姿をみたことがありません」
(蓮川 一弘 3巻 若い力 2 p.150)



…つまり、それが勝利宣言をした理由であったのですね。
 
光流は当然、スカちゃんをMVPとしましたが、それはあくまで体育祭。何か賞品が出るわけではなかったのですが、その体育祭を見に来ていた実兄の嫁であるすみれが感動のあまり、スカちゃんに抱き着いてしまいました。
良い目を見られましたが、それが原因で再び気絶することになったスカちゃんなのでした。
 
 
グリーン・ウッドは男子寮。そこでは恋愛はご法度というわけではない。バレンタインデーの時も、それなりに寮外に恋人がいる寮生が多いと言う話があったくらい。しかし、それが寮内であった場合。これは話が少し変わってくる。
通常とはこおtなる番外編が、ここで繰り広げられる事になったのです。ただし、この話には本人が語り聞き役がいるということを忘れてはならないのです。
 
さて、その主役となるのは、117号室の二人。藤掛と渡辺であります。この二人はスカちゃんと同じ一年生。その運命的な出会いは、グリーン・ウッドに向かう時から始まっていました。
 
とある電車の中でチカン行為を見つける藤掛。その被害者こそ、渡辺であったのです。この渡辺は藤掛が見ても、可愛らしい女の子にしか見えず、体育祭では瞬と同じ様に女装要員として駆り出されたほど。
そんな男子と同室になる藤掛の苦労はわかるものではありません。もしかすれば自分が危ない趣味の持ち主であったのか…藤掛もそのことで多いに悩みまくるのです。
 
いつしかその悩みが自然と渡辺を避ける行動へと変わって行きます。ついに、自分の行動に自信を持てなくなった藤掛は寮長である光流に部屋を変えて欲しいと頼みに行くのです。その様子を渡辺は見てしまいます。
ショックのあまり、自室へと戻る渡辺、それを追いかける藤掛。
 
部屋の中で、渡辺はもっとしっかりするからと自分が悪い様に藤掛を説得します。ですが、藤掛にはそうした言葉に、思わず渡辺を抱きしめてしまうのです。自分でも認められなかった言葉。それを藤掛は思わず口にしてしまいます…
 
「おまえが好きなんだ」
(藤掛 達郎 3巻 ボーイ・ミーツ・ボーイ p.177)



…二人が納得している以上、付き合っていく事に決めたそうなのですが、さて、好きな者同士でもわからない事はたくさんあります。
先に記載しておりましたが、この話、話し手、聞き手がいるわけですが、話し手は当然、藤掛と渡辺の両名。そして、聞き手ですが読者ではなく、実はこの二人がスカちゃんに話していたのです。
実兄が保険医と言うこともあっての話なのでしょうが、スカちゃんの反応は真っ白に燃え尽きていた様子なのでありました。
 
 

 
 
 そんなこんなで、「ここはグリーン・ウッド」第1~3巻のレビューは終了です。
 次回も「ここはグリーン・ウッド」第4~6巻のレビューとなります。
 
 

2009年12月12日

変身という見得を切る!【「仮面ライダー SPIRITS」(2001-2009年 講談社)】

 さて、今回は2001~2009年に連載されました「仮面ライダーSPIRITS」です。
 ※現在、「新仮面ライダーSPIRITS」として月間少年マガジンで連載中ですが、今回は、月間マガジンZで連載されていた作品です。

 ジンドグマという秘密結社があった。少なくとも、それが日本で確認された最後の秘密結社であった。彼らの目的…いや、それまでにあった幾つもの秘密結社の目的は、世界征服であった。世の中からすれば荒唐無稽も話であったのだろう。今の世の中でそれを信じるものは少ない。
 
だが、それを目の当たりにしてきた人物がいる。滝 和也…FBI捜査官でありあながら、しかし、その話をホラ話として笑い飛ばされてきた男であった。
 
しかし、彼は知っていた。ゴリゴリとする体の中に、人の心を燃やし、遥かに強靭な力で正義を成す男たちの事を…。
滝は彼らを友と呼ぶ。今も尚、どこかで戦い続けている男たちの事を、語り続けながら…。
 
だがしかし、悪夢は再び滝の前に舞い降りてきた。人ならざる者たちが、人を蹂躙し始めたとき、滝は彼ら友の名を語り立ちはだかる。
 
仮面ライダー。それは正義の名、悪への反逆の名前であった。
 
しかし、滝は人間。彼らとは違う。
脆弱な人の肉体を捨て、鋼鉄の皮膚、機械の内臓、そして人ではない動物の姿に変わり、強大な力を得た怪人たちに、滝の力は無力に近いものであった。悔し涙を流す滝…しかし、その時、一人の男が風と共に現れた。
 
男は言う。今日は俺とお前でダブルライダーだと。その男の名は、本郷 猛。またの名を仮面ライダーと言った。
 
 
 
 昭和より平成の時代を経て尚、作品が続けられている仮面ライダー。その中でも、いわゆる昭和ライダーの作品を再編集し、マンガと言う領域で作品にしたのが、この仮面ライダーSPIRITSです。
 
1971年に放送が開始された仮面ライダーから、10号ライダーである仮面ライダーZXまでを題材にした本作品は、全ての仮面ライダーを主役としながらもその中心に仮面ライダーZXを持ってきており、その世界に連なるものとして、これまで登場した悪の秘密結社を、ZXで登場したBADANにつなげるという形にしました。
 
これは、AXのストーリーを踏襲するものとなっており、それまでの仮面ライダーとの特撮という世界では難しい、コラボレーションを実現したものとなっているわけです。
ちなみにZXは映像化はされておりますが、「10号誕生!仮面ライダー全員集合!!」というテレビスペシャルの一回のみとなっています。後は雑誌企画での連載となっていた仮面ライダーであるわけです。
 
コラボレーションと言う話しですが、実際、改造人間である彼らは年を取ると言う事はないのでしょう。しかし、特撮と言う世界では、役者さんも年を取ります。その昔、ライダー集合の話も幾つかありましたが、やはりそこに全員を集合させるのは、難しいものであります。
思えば平成ライダーでも同じように兆戦しましたが、それが成功したものであったかどうかは…受取りて次第なのかもしれませんね。
 
さて、そんなライダー大集合な作品なのですが…少し、というか一人足りないなぁと思う次第なのです。
それは、仮面ライダーブラック、およびRXです。
 
平成の仮面ライダー作品の一つである仮面ライダーディケイドにも出演していたのは記憶に新しいのですが、しかし、このマンガの中では出てくる事はありません。
 
その理由はただ一つ、ブラックとRXはZXの後になるという事なのです。
これは仕方がない話しなのですが、それはそれとして、原作者である石ノ森先生とは異なる、この作品を描き続けている村枝先生版のブラック…いえ、南幸太郎を、その変身を見てみたいと思うのです。
 
何故なら、この作品。仮面ライダーが必殺技を使うシーンにも迫力があります。また、その変身後の姿も、特撮で見なれたスーツの特色を良く掴んでいます。
ですが、何より心を掴んで離さないのは、彼ら仮面ライダーの変身シーンなのです。
 
そう、変身ベルドがあれば尚良し、なくても、腰にそれがあるつもりでやった変身ポーズ。それが、彼らの覚悟と共にマンガとして描きつづられている。
そこにあるのは憧れであり、そして必ず何処かにいるはずの正義の味方。その登場シーンであるのです。
 
 
 
 と言う感じで思うところとしては「変身」と言う事で一つ。
 
その昔、例えば紫頭巾とか月光仮面とか、僕等を守ってくれるヒーローはテレビの中に必ずいまして、それを真似してみたものです。
 
年齢によって、それが仮面ライダーやウルトラマン、変身忍者嵐であったり、忍者部隊月光とか、宇宙刑事ギャバンだったり、超人機メタルダーであったり…平成になってみても、それは変わらないと思うわけです。
 
しかし、最近の変身シーンは、正直、結構淡白だなぁと思う次第。でも、ロボットアニメでも、いわゆるリアルロボットがより多く出てくると、必殺技も叫ばなくなりましたと思うのです。
 
そうした背景にあるのは、恐らく、時代劇が少なくなったからなのだろうなぁと、個人的には思っております。
 
最近、水戸黄門の再放送で、第一部から始まっているのですが、「この紋所が目に入らぬか!」って印籠を出すのは、三部以降からなんですよね。しかも、台詞が微妙に違う。
何かしっくり来ないものを感じる次第です。面白いのは面白いんですよ。でもねぇ…って感じになるわけです。
 
日本は見得を切るという芝居に親しんできました。言い方が悪ければ、マンネリと言う奴です。
しかし、そこには安心感があったわけです。ただし、単なる安心感ではないのは、これまでの芸能の歴史が証明している事なのです。
 
見得とは見せ場でもあります。その見せ場をどうやれば、より素晴らしく見せる事が出来るのか。まさに、それが芸事の本懐でもあるわけです。
同じ様に、特撮の世界における見得、アニメやマンガに世界における見得というのがあるわけで、それが如何に素晴らしく見せる事が出来るのかが技術の進歩でもあると思うわけです。
 
決して複雑が良いのではなく、例えば、仮面ライダー1号と2号の場合は、技の1号に力の2号の異名がつけられた様に、その変身ポーズも少し違っているものになりました。
それこそ、見得を切ると言う事でもあり、舞台であれば掛け声の一つでもかかるような場面でもあるわけです。だからこそ、絶対にその場面は手を抜かずに放送していたのだと思うのです。
 
最近は見得を切る場所が変わってきました。必殺技の場面で多くなってきたわけですが、それも決して間違っているとは思えません。しかし、少なくとも、今やっている仮面ライダーWのように、少し変身ポーズに意味を持たせて見るのも良いのではないのかと思うわけです。
 
子供って案外そう言う事に敏感な部分がありますし、それがより真似やすい真似への第一歩にもなるのだと思うのです。
 
 
 
 そんなこんなで本日はここまで。

2009年11月28日

仕分けの見極め【「スプリガン」(1989年、1992-1996年、2000年 小学館)】

 さて、今回は「スプリガン」です。
 ※1989年に週刊少年サンデーで連載。1992年~1996年に週刊少年サンデー増刊号で連載。2000年にサンデーGXで読み切り。



 かつて、この地球には、優れた文明があった。
現代では到底及びもつかない知識・科学力を持っていたという、超古代人の遺産が、今ものあこの地球上の各所に眠っているという。
 
だが…。
 
ここに一枚のプレートがある。
比重から測定すると、それはプラチナに似ているというが、どのような年代測定法であっても年代を知る事も出来ず、過酷な熱、冷気にさらされても、また、どのような衝撃でも傷一つつかない。現代科学からすればありえない物体オーパーツ…。
 
しかし、その物質よりも興味を引かれるのは、そのプレートに古代ヘブライ語で刻まれた刻まれた文言であった。
 
『未来の人類へ…
この伝言を発見する者が心ある者なのを願って…
 
心ある者たちよ、過去からの伝言を伝えたい。
この惑星には多種の異なる文明があった…だがまもなくすべて滅びる…。
 
種としての限界、異文明ゆえの争い、堕落、荒廃…。
 
君たちには未来あることを願う。
世界中にあるわれらの文明の断片を遺産として残そう…だが、もしも君達に遺産を受け入れる資格がなければ、それらをすべて封印してほしい。悪しき目的に使う者達から守ってほしい。
 
われらと同じ道は決して歩んではならぬ…』
 
このメッセージを誠実に受け止め、超古代文明の遺産を封印することを目的に活動する組織があった。
そして、その組織の特殊工作員を遺跡に出現する伝説の妖精にちなみ“スプリガン”と呼ぶ。
 
 
 
 同じ小学館の少年誌系列ですが、実に三誌に渡って掲載していたのが、このスプリガンという作品です。
 
主人公は、高校生・緒神苗 優。第二のロックフェラーと呼ばれるアーカム財団。その特殊工作員であるスプリガンの中でも、その世界には名の知れ渡っている青少年です。
彼には複雑な生い立ちがあり、その経歴に絡んだ事件も少なくありません。ただ、そうした経緯を自分の中で飲みこみ、さらなる力にする事。つまりは、彼の成長が、この物語のテーマの一つであったわけです。
 
そして、彼が関わるいわゆるオーパーツに関しても、その強大な力云々というより、むしろ深海で発見されたメッセージを踏まえた物語として展開していくのです。
と、言いましても全てがそうであるのかと言えば、少し違っている部分もあり、第二章である仮面伝説の章の際には、敵対した側にも、一概に悪と一蹴できない理由があると言う事を匂わせていました。
 
終盤でアーカム財団は、いわゆる乗っ取りにあいます。
そのとき、その首謀者であるヘンリー・ガーナムという人物の台詞として…
 
『真の平和をもたらすには、個人の考えを差し挟む余地はないのだ』
 
…とあります。ただ、真の平和とは何か。個人の考えとは何か。そうした考えも所詮、個人の考えではないのか。では、そうではない。それが差し挟む余地がない状況とは…。まるでパズルのような話です。
ただ、この物語の味付けとしてありますオーパーツたちがなくても、我々の生活にとって、決して遠い話ではないと思えるのです。
 
平和をもたらすのは、一体何であるのか。案外、この作品はその命題を読者に突きつけているのかもしれません。
 
 
 
 と言う感じで思うところとしては「必殺仕分け人」と言う事で一つ。
 
さて、同じ様に当初の想定とは異なる形式で始まりました事業仕分け。実のところ、この事業仕分けにも、ヘンリー・ガーナムの言った言葉がチラホラと見て取れる様な気がしてなりません。
 
目標として三兆円の予算削減を行う…確かに、目標としては大きな話ですが、これまでの状況はどうであったのでしょうか。
 
概算要求は大きく膨らみ、事業仕分け人に携わる国会議員の数は、同じ与党内から待ったがかかり、そのために減った人数の関係で扱う事業数も減り、止めに仕分け人として指摘している財務省関係の事業は一つもない。
これで本当に目的通りになるのでしょうか。
 
確かに、これまで見えなかった部分が一応あからさまになった様な気がします。
ただし、これで予算は決定するものではなく、この後に二回ほどの審議が待っているのです。その場はあくまでこの事業仕分けのような公開の場で行われるわけではありません。
 
当然、その場が勝負と見ている役人も大勢いるのでしょう。
 
何より、今回の事業仕分け。その腕、経歴を活かすという前提の下に再就職を果たした天下り役人が一人も出てきていないのが気に入りません。全て、その事業所で働く天下り以外の人物ばかりです。
本当に事業の何たるか、その本質を知っている人が出てこないという事が残念でならないわけです。
 
いずれにしても、今回の事業仕分けが本当に意味を持つ様に、研鑚する必要があるのは当然であり、こうした試みがただ一回のパフォーマンスで終わらない事を願うばかりであるわけです。
 
 
それとは別に科学技術やスポーツ進行に関しての削減は、明らかに間違いであるにしても、それらが無用な天下り連中の懐に入るのは、確実に阻止するべきであるわけです。
 
双方とも、世界一になるために努力するための国の後押しという事では大事な事業。そこら辺は別の法律なり仕組みで無駄を回避する必要があるのではと思う次第なんですよね。
少なくとも、イトカワに旅立ち地球に帰還中のはやぶさ、その様々な情報が活かせる技術の後押しはして欲しいものだと思うのです。
 
この話、またの機会に出来ますればその時にでも。
 
 
 
 そんなこんなで本日はここまで。

2009年08月10日

これも縁なのでしょうが…。【「攻殻機動隊1.5 HUMAN-ERROR PROCESSER」(1991~1996年 士郎 正宗/講談社)】 ※再掲載記事

 形あるものは壊れる。それは当然のお話。有機物と無機物の違いや有機物であっても生命のあるなしの違い、生命があっても大きさが異なればそれだけで時間の流れは変わってくるものです。しかし、それは主体的な視点からのお話でもあるわけです。
 
 例えば入学や卒業、例えば入社や退社。その場にそれまでいなくても、そこからいなくても物事は進んでいくものです。その大きな理由として、そこにはただ一人の自分だけがいるわけではないという事、そして物事はその一つの事だけで進んでいるわけではないという事であるからなのです。
 
 全ては雑にして密につながっているもの。意外に、何かとの縁というのは切れているようで切れていないものです。



 さて、今回は1991~1996年の間にヤングマガジン海賊版、ヤングマガジンに発表されました「攻殻機動隊1.5 HUMAN-ERROR PROCESSER」です。



 物語は前作の続きから始まる。草薙素子が事実上、殺害され9課からいなくなったとしても、日常がそれで終わるわけではなく、日々、犯罪の芽はそこらここらで吹き出ている。そんな中、新巻の元へ一つの依頼…いやお願いをある女性がしにくる。
 
 荒巻の友人であるという彼女の父親の行動がおかしいというのだ。
 
 しかし、おかしいのも道理、彼女の父親は死んでいると隊員の一人であり、一緒に話を聞いてたアズマは言う。それに激怒するがしかし、新巻も単なる冗談ではないと嗜める。
 
 最近、義体のリモートコントロールを行う犯罪があり、彼女の父親がその犯罪に巻き込まれている可能性があるというのだ。
 
 しかし、父親が死んでいるなどと信じられない彼女は、9課を後にする。新巻の命で彼女を自宅の近くまで送ったトグサとアズマは、二手に分かれて内偵調査に入った。自宅に仕掛けられているであろうリモート用の中継器探し、そして父親がどのような行動をとっているのか。
 
 案の定、家には発信器が仕掛けられており、父親の方は莫大な財産を誰かに譲渡しようとしていた。
 
 しかし、それまでの行動がどこかから漏れていたのか、手荒い方法で証拠を消しに来た犯人…と思われたのは、実は爆破するための記憶だけを上書きされた下っ端であった。犯人側のこうした行動に新巻たちは「人形遣い」を思い出す。
 
 荒巻は死体であろう父親がばら撒いていた金の帳簿を持って、裏を取りにいく。結果、犯人側の目的は公安・警察の組織データの全てが記載されているパンドラと呼ばれるシステムのキーであろうという事であるが、しかし、まだしっかりと結びつかないでいた。
 
 だが、事態は急展開を迎える。犯人側からの信号が途絶し、しかも電話することすらも容易ではないはずの父親から、顧問弁護士に保護を求める電話があったというのだ。更に、それを人権問題と捉え、法廷にまで持ち込んできたのは、少佐が法廷で裁かれる事になった事件での担当検事であった楠であった。
 
 結果、法廷闘争として事件は表沙汰になり、父親は電波が遮断された場所での確認という措置がとられる事になった。真犯人の目星がつかない以上、近しい人物に張り込み、とりあえずはパンドラのキーに関して誰にも渡らないようにする事から解決に持っていくつもりであったが、その最重要人物は電話の受話器を上げた途端に誰かに殺害されてしまった。
 
 それと同時に、父親の人権侵害に関する法廷も、電脳倫理に関する件に代わるのだが、係わったかもしれない顧問弁護士に生きていると証言した医者は起訴猶予となる。楠検事も責任の有無を調査されるが結果的に不起訴処分となった。
 
 だが、一体誰が何の目的でという肝心の部分はわからずじまいである。ただ、言えるのは、今の段階ではこれ以上動く事はできないものの、とりあえずの目的は果たされたという曖昧な結果のみが残った。
 
 
 
 四つの短編をまとめたこの冊子には、草薙素子は殆ど出てきません。出てくるにしても、本人(というか、前作で活動していた義体)ではなく、義体(脳がないためにロボットとも言える)を操作するための情報を送り込んだ姿として出てきます。
 
 これは、映画版イノセンスに、そのアイデアが生かされているものです。また、上記に記載している内容は、短編でしかも被害者が大人という観点ではあるのですが、テレビ版の最新作、S.A.C Solid State Societyにそのアイデアが生かされています(正確には、この話と原作の2が合わさっていると言った方が良いのでしょう)。
 
 原作である漫画版においてテレビ版や映画版と大きく異なる点は、バトーの心境ではないのでしょうか。映画やテレビ版ではバトーにおいて素子の存在は絶対です。しかし、漫画版では、あくまで同じ仲間(正直、それすらも怪しい)の一人であり、それ以上の感情はないのです。
 
 ただ、共同する場合には信頼している人間であるのは間違いありません。
 
 しかし、トグサに関しては素子のいた位置に立たせようとしている節が原作からも匂ってきます。ただ、彼はこの作品で義体になったわけではないというのが、テレビ版とも異なります。
 
 
 この冊子における最大の売りは、CD-ROMが付いているという事でしょう。この中には、収録されている作品をパソコンで音付きで見ることが出来ます。さすがにキャラクターボイスは入っていませんが、それでも迫力のある映像が楽しめるのです。



 パソコンがまた壊れました。メインで使っているパソコン…これで6、7回目です。半年に一度、何かが壊れるのですが、人死にが出ていないだけましな問題というだけで、製造責任はあると思っています。
 
 ただ、恐らく私自身はクレーマーであると思われているので、単純に文句を言っても流される可能で胃があります。よって、それまでの故障報告を持って訴えてやろうと思います。単なるクレーマーよりたちの悪いのは、こうした証拠を持っている人間であると知らしめてやる必要があるのでしょう。
 
 なんにせよ、物はいつかは壊れます。その壊れたものを修理する際に部品代や技術料が発生する。その点についても問題はありません。しかし、頻度の問題と態度の問題は到底ゆるせるものではありません。半年におよそ5万~12万ほどの出費となるのです。メーカーサイトの品質保証は一日8時間使用で1ヶ月(25日と設定)使用して5年。どれだけ単純計算をしても半年~1年で壊れる計算にはならないはずなのです。
 
 さて、冒頭に記載しました中で結局は縁であるとしましたが、こうした頻度と態度の問題に関しての縁はどうなるのでしょうか。これを脅しと捉えられても問題があるのですが、しかし、頻繁な故障を起こしているのは事実ですし、こちらは誠意ある態度と対応を望んでいるだけです。
 
 問題はその誠意ある態度と対応なんですけどね。
 
 はっきり言えば、パロマにせよ不二家にせよ、どちらの方を向いて仕事をしていたのか。それによって起こった結果がかのような事であると考えているわけです。それは三菱にしても同じことでした。それがパソコン業界に起こらないと何故いえるのでしょうか。
 
 企業の判定を示すのは経済界でも政治家でもありません。結局は消費者であるわけです。
 
 もう一度記載します。どちらの方を向いて仕事をしているのか…それを真剣に考える必要はあるのではないのでしょうか。
 
 
 ちなみに…というお話なのですが、誠意と誠実という事で言えば、故障を無料修理するだけがソレと勘違いしている節があります。それはそれでありがたいのですが、それだけで終わらされると、流された感覚があって腹が立ちますし、情けなくも思うわけです。
 
 今回もそうなるのでしょうねぇ。どうすれば分かってもらえるのでしょうか。困ったものです。
 
 
 
 そんなこんなで本日はここまで。
 
 
 
※こちらの記事は、以前に掲載していた記事です。しかし、スパムコメントの削除がままならない理由より、再掲載として記載いたしました。

2009年07月11日

どこに向かい、何を成すのか【「魔界都市ハンター」(1986-1989年 菊地 秀行/細馬 信一/秋田書店)】

 さて、今回は1986~1989年に掲載されました「魔界都市ハンター」です。

 198x年9月13日金曜日午前3時。その日、新宿に…その外殻を切り裂く様に、その区内だけで大地震が起こった。新宿区外では、コップの水も揺れなかったその大地震は、しかし、新宿内部には多大な被害を残していた。
遺伝子研究所からサンプルが流出し、また、霊障が各地に残り、次元断裂が空間を捻じ曲げた。たった、一区域の復興すらままならなくなったその地震は、魔震=デビル・クエイクと呼ばれるようになった。
 
それから数年後。
 
新宿はその外、外部とは異なり、独自の世界が構成され始めていた。
何より、復興が成されない理由は霊的な束縛、もしくは遺伝子研究所のサンプルが成長し、魔物のようになってしまい手がつけられない状況になっているからであった。
 
それでも人はたくましく生きぬいていた。
 
だが、その魔界都市に新たな事態が発生する。いや、正確にはその外部、銀座からその現象は発生していたのだった。
銀座のある通りの早朝。その区画を担当する警察官は、ある老人を目撃する。ふらふらと歩き、けらけらと笑うその老人に声をかけた警官は、次の瞬間、水…いや、海の中に落ちてしまう。
 
銀座の通りが海に変わってしまったのだ。しかも、その海にはあり得る筈のない生物が多数住んでいた。
 
「どうじゃ楽しかろうぉ。わしの造った海にはあんなのがいっぱいおるでな」
 
海の上でそう語りかけた老人は、その海の上を滑る様にある場所へ向かっていった。
 
 
その老人の出現をある物は魔術で、ある物は科学で知る事になる。そして、その老人が創り出した銀座の海を、その生物を調査した結果を出した。
 
神、光あれとのたまえば光ありき
 
彼らはその老人を神…しかも、狂った神と結論付けた。彼らはその神の説得もしくは捕獲をするために、魔力を極めた魔道師、そして超能力を秘めた軍人たちが魔界都市より、そして魔界都市へと出陣していったのだった。
 
 
 
 菊地秀行氏の代表作である魔界都市<新宿>を再構築した漫画作品であり、原作である魔界都市<新宿>と同じ様なキャラクターが出てくるものの、その立ち位置が大きく変わっているのが特徴です。
 
主人公は、木刀・阿修羅を持つ念法の使い手、十六夜京也。そしてヒロインは、片桐さやか。この二人が物語の核となって話が紡がれていくのです。
 
老人は神と呼称されていますが、その神ですら大宇宙の一つの生命に過ぎない。この物語はそう語っている様に思えます。
 
魔界都市…その中では殺人が日常のように行なわれています。しかし、実際に外部と呼ばれている場所でも、同じ様に殺人は起こっている。それは、何も変わらない、ただ、頻度の違いなだけという事なのでしょう。
そうした中にあっても、人の心…愛や慈しみが枯れる事はないのです。
 
そうした、まさにエロスとタナトスがより濃く混在した場所で繰り広げられる生命の物語。それが、この漫画であるわけです。
 
 
人の進歩と進化の違い、そして進化の先にあるものは…そのために何を成すべきなのか…それよりも、我々はどこから来て、どこに行こうというのか。
神とは何か。そして人とは…そんな問いかけに人である我々はどのように答えるべきなのでしょうか…。
 
 
 
 と言う感じで思うところとしては「クォ・ヴァディス」と言う事で一つ。
 
最近では、様々な媒体の物語にて使われるこの言葉ですが、ラテン語で「どこに行くのか?」という意味です。正確には、「Quo vadis, Domine?(主よ、どこに行かれるのですか)」という、ペテロがイエスに対して、最後の晩餐で尋ねた言葉であると言います。
 
人の人生は旅に例えられます。それはどこに向かうのか、まさに行く宛ての見えない旅と同じであるからなのでしょう。
 
人生のゴールとは一体どこにあるのでしょうか。誕生、成長、学業、就職、結婚、老衰…もしくはその先。
恐らくそれはどれもが通過点でしかないのかもしれません。
 
人という種としてみれば、自分の成した事を継いでいく事、それは一人で走っているわけではなく、これから先に紡いでいく事の他ならないわけです。
親が子に、子が孫に。そうした紡がれていく事、その事がまさにクォ・ヴァディスなのかもしれません。
 
誰もが求める幸せがその先に待っている…そんな保障などあるはずもなく、それは同時に不幸せになると決められた事でもないのです。
 
努力や根性でどうにかなる場合もありますし、どんなにあがいても無理な場合もあります。しかし、意外に楽に手に入れられる事もあるのです。それを人は幸不幸で分けてしまいます。
しかし、それは旅の途中でふと、視線を巡らし気付いた一欠けらの何かでしかないのかもしれません。その後ろには、もっと大きな何かがある。そんな場合だってあるのです。
 
全てにおいて、どこに行くために歩いているのか。いえ、どこに向かって歩いていくのかを考えながら進んでいく必要はあるのでしょう。それが安全に歩んでいくための大事な事なのですから。
 
 
さて、「主よ、どこに行かれるのですか?」と聞かれたイエスがどのように応えたのか。「私が今からいくところに、あなたは今いくことはできない。しかし、後からいくことになる。」
これをその後に迎える死に対することであるのか、それとも別の何かであるのか。
 
宗教という枠を超えた中であっても、当たり前のように考える事が出きる逸話ではないのかと思うわけです。そして、それは意外に何時もの生活に置き換える事が出きる。何に対しても、どうなっていくのか。それを考える事が小さな事から大きな事までを含めて行動する事が出きる事ではないのでしょうか。
 
そう、思えてならないのです。
 
 
 
 そんなこんなで本日はここまで。

2009年06月13日

大自然に生かされているという事【「さいばぁふぉーす」(1994-1997年 越智 義彦/光文社)】

 さて、今回は1994~1997年に連載されました「さいばぁふぉーす」です。

 ケエカア王国に伝わるお約束伝説曰く、その昔、巨大な鏡が天空に現われ、その中から「かがく」という魔法を使う者どもが溢れだし、この世界を破壊し始めた。科学の前になす術なく、もう終わりかと思われた時、同じ鏡の中から兆重の姿をした十二体の神々が舞い降り、魔鏡族(まきょうぞく)を鏡の中に追い返したのだった…。
 
そのケエカア王国が魔鏡族に襲われてしまう。王子であるアルトは、守りの者と一緒に城外へと逃げるが、その先は大きな滝。なんと、そこからお逃げ下さいと突き落とされてしまう。
 
その下流では、でんとう芸能である「にんぽお」を修行している老人と女の子がいた。
 
老人の名はさぶろく老師。名の知れたにんぽお使いであった。アルトは流れ流され、さぶろく老師の下でにんぽおの修行に励んでいる、ヴィヴィオに拾われる。
だがしかし、そのアルトを追って魔鏡族であるミラが部下ロボット・AZ-1を引き連れてやってきた。
 
いきなり銃をぶちかますミラたち。その威力に小屋は吹き飛んでしまうが、ヴィヴィオは無傷でミラたちの前に出てくる。
状況を飲み込めていないヴィヴィオはなんとアルトを人質に取るが、ミラはその方が好都合と言い放つ。それが結果的にヴィヴィオに、伝統芸能はアルトを守るための芸である事を認識させてしまう。
 
身体能力の優れたヴィヴィオはAZ-1が放つ弾など空中で叩ききってしまう。
 
それを面白い芸だと言ってしまったミラに対して、もっと面白い芸=にんぽおを見せると言い出す。ミラ達にみせたにんぽお「土ぶた」。それは地面から多数の土のブタを出現させ、ミラ達に向かって突進させるにんぽおであった。
 
立体映像と思っていたミラは、それが実態のあるものだと知るが、しかし、非かがく的な事は信じないと言い残し、土ぶたたちに運ばれていったのだった。
 
 
 
 …そこから、魔鏡族に対抗するための旅が…始まるはずなんですけど。というわけで、今回はさいばぁふぉーすというファンタジーというよりも童話ちっくな漫画のご紹介です。
 
もし、私達の遠いご先祖が今の私達の生活を見たら、それはまるで魔法のような物が沢山あることでしょう。もし、私達の遠い子孫の世界に言った場合、そこにあるのはまるで魔法の様な生活なのかもしれません。
 
基本はそのような時間のずれが起こしている世界同士の話なのですが、記載しておりますにんぽお(忍法とはちょっと違うようです)ももしかしたら、かがく(科学とはちょっと違うようです)の仲間なのかもしれない。そんな記述があったりします。
要するにお仲間っぽいんですよね。
 
先ほども記載しましたが、多分、昔の人にケータイ(基地局がないとかそう言うのは、取りあえず考えないとして)を見せた場合、そりゃ驚く事でしょう。小さな箱が光るだけではなく、音も出しますし、声も出します。今のケータイならカメラもビデオも簡単に録音録画することが可能です。
メールが使えれば、文字を伝えるのもあっという間の話です。
 
この物語ではそうした驚きと同時に、一方で科学が急速に発展する事における弊害も記載しているのです。
 
物語の主人公であるヴィヴィオたちのいる世界と、魔鏡族とされるミラたちの世界は平行世界。別の次元に存在する世界なのだそうです。それをアリスの鏡計画という名の下、鏡のような空間転位装置を使い、魔鏡族たちはヴィヴィオの世界に開発と言う名の下に侵攻してきたわけです。
それを阻止したのは、同じ魔鏡族出身の科学者たち。彼らが作り上げた十二体のロボットがさいばーふぉーすと呼ばれる、神々として祭り上げられたものたちでした。
 
単純に仲間割れから始まった物語が、時代が流れ流れて、まるで神話のようになった。しかし、その世界もミラたちにしてみれば、たった三年ほどの話であるはず。神話のようになるはずがないと思っていたわけです。
そう、時間のズレがそうした結果を生んでしまった…浦島太郎のような話です。
 
その結果、認識のズレが発生するのは当然。そのズレたやり取りが、この作品の楽しみの一つでもあります。
 
同時に、先ほど記載しましたが、「にんぽお」も、もしかしたら「かがく」の一部かもしれない。そんなフレーズも有ったりするわけです。それをご紹介しましょう。
 
『「にんぽお」とは地・水・火・風、あまねく自然の法と知るなり。その声に耳傾けぬもの、自ら滅びの道を歩まん。されば聞け。地の鼓動、水の営み、火の舞い、風の歌声を。人はかがくのみに生きるにあらず。心なきかがくはその道をとざす。』
 
どうでしょうか。もし、人が自然を制する事を科学と言うのであれば、そうなのかもしれません。しかし、今周りを見れば、確かに自然を舐めている科学が存在するのも事実です。
人の営みを重視するのも当たり前なのかもしれません。されど、彼らの声に耳を傾けない慢心を、彼らは決して見逃してくれないのです。
 
私達は生かされているのだと知るべきなのでしょう。生きると言う事は、決して己自身のみがしている事…そんな傲慢は持たないほうが身のためかもしれませんねぇ。
 
 
 
 と言う感じで思うところとしては「八百万の神様」と言う事で一つ。
 
最近の日本の四季。情緒がなくなりつつあります。我が家の近くでも、雪が降らなくかった年がちらほら。本当にこれで大丈夫なのかと心配の種をつきません。
 
ニ酸化炭素の排出量ばかりが問題視されていますが、それだけではなく、例えば森林に手をつけすぎたり、例えば水源を確保するとい目的でダムばかりを作っているのも、自然を破壊している原因になっているのです。
 
人は整備の名目で人の利便性ばかりを高めていきます。それこそ、昔懐かしい風景など、探さなくては行けない状況になっています。
 
風景がそこまで変化すると言う事は、それだけ生態系が変わったという事でもあります。杉花粉など、その良い例でしょう。
木が植わっていれば良い。それは人の勝手な理屈でしかありません。
 
人が人を補完するかのように自然を阻害していく。日本ではどうにも顕著のように思えてなりません。その結果、ゲリラ豪雨にみまわれ家財一式がなくなっていく。それを人のせいにする…山には山の川には川の付き合い方があったのではないのでしょうか。
 
人は神様を信じますが、神様の姿を知る事はありません。
日本古来の神様は、私達の周りにある全て。私達を生かしてくれる全てが神様であったわけです。
 
食事をする時に手を合わせ感謝し、終わる際に手を合わせ感謝する。
 
生かしてくれている全てが神様なのですから、感謝するのは当然の話ですよね。
 
そう考えると、自分たちの生活を潤してくれる神様に感謝する必要があるわけでして、それが八百万の神々であるわけです。
 
例えば、最近、野生動物たちが町に出てきているという事は、山をないがしろいしているからではないのでしょうか。山の神様を怒らせると、山から不穏な事が起きるものです。
それは海もまた然り、平野であっても同じ事です…。
 
 
ちょっと宗教じみてきましたが、しかし、行政にしても、私達個人にしても、すこし生活のあり方を考えるべき必要があるのは間違いないわけです。
例えば電気にしても、太陽光発電の国内普及数を世界一にする努力。こうした行動から、自然との新しい対話が始まるような気がしなくもないのですが…。
 
自然に囲まれている事の有り難さ。そこに息づく命たちを、今一度、省みた方がよろしいと思うのです。失われてから気付く様では、人間様とはとても言えたものではありませんからね。
とても、身近にいる神様たちに、適うものでもありません。
 
 
 
 そんなこんなで本日はここまで。

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※2009年4月19日 19:00より開始

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