13日から14日にかけて、TVをつけていたら、バレンボイムがベートーヴェンのピアノ・ソナタを弾いているライヴ収録の映像が流れていました。演奏されていた曲は《第18番》。ただ、これは途中からだったので、次の曲は? と観ていたら、なんと《ハンマークラヴィーア》とのこと。これは聴かなくっちゃ! ということで画面と対峙することに。
2005年6月17日のライヴ演奏からですが、実は演奏に過度な期待は寄せていませんでした。実際に最初の2楽章までは、まあ、こんなもんかという感じでした。録音のせいもあるとは思いますが、特にフォルテの響きが安っぽくってね。しかし、第3楽章は曲の素晴らしさと相俟って、とても良かったです(序盤だけはブロックコードを押さえる各指同士の発音のわずかなずれが気になりましたが。)。それは、第4楽章の導入部のラルゴでも同様でしたが、ベートーヴェンの崇高な音楽にただただ浸ることができました。また、同じく第4楽章の終盤では気合が入っていましたしね。
次に、私はこれを観た後、バックハウスが同曲を演奏したCDを取り出し、それを聴いてみました。彼はステレオでベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を録音していますが、この曲だけは録音する前に亡くなってしまい、上記のCDも1952年4月にモノラルで収録されたものが転用されています。ですから、録音は良いとは言えません。しかし、演奏はやっぱりさすがでした。まず、響きに安っぽさは皆無です。彼には、例えばアルゲリッチのような天才的な切れ味、色彩感はありません。また、仲道郁代のようなソフトな瑞々しさもありません。ただ朴訥に弾くだけ。しかし、この充実感は何? さらに、第4楽章のフーガをあの強靭な演奏振り! 見事の一言です。


