
【リヴィエ:グラーヴェとプレスト / Y大吹奏楽団(サクソフォーン四重奏)】
まだ時代が昭和だった頃、宇都宮市文化会館で行われた「全日本アンサンブルコンテスト」に出場した私たちの演奏を久し振りに聴いてみました。
おっ、結構完成度が高いね。この点に関しては明らかに
東北大会での演奏以上です。審査員たちからも「よく研究されアナリーゼされた演奏」「メカニックには別に欠点をみつけられない」「神経の行き届いたなかなか魅力的な演奏」などといった寸評をいただいております。たしかに、特に音の出で、平常心でない故の不安定さ、普段からは信じられないミスもありましたが、大筋では審査員たちのおっしゃるとおりでしょう。しかし、不思議と安心して聴ける演奏は東北大会の方なのです。
トリノ五輪で金メダルを獲得した荒川選手へのレポートとともに、全国大会での感想は
ここにも書かれています。したがって、今回は別のことを書いてみたいと思います。それは、演奏中の私自身の状況です。
舞台の椅子に座り、演奏が開始します。しかし、私は楽器をつるすストラップの位置が普段よりも低いまま演奏を始めてしまいました。まあ、この点ですでに平常心でなかったことがわかりますが、私は曲の途中までストラップの低さを気にしながら演奏を続けていきます。特にグラーヴェの部分は吹いていて、おそらくは精神的に苦しかったね。だって、グラーヴェの部分が終わったとき、「やっと終わった!」と思いましたから。まあ、私の気持ちが全体の印象を決めたわけではありませんが、これが「速い部分(プレスト)は良いのですが、ゆっくりな部分(グラーヴェ)にもっと暖かい響きが欲しいと思いました」といった寸評にもつながる気がしました。だって、こんな心持ちでは暖かい(温かい?)響きを創出できるわけはないでしょ。
プレストの部分に入って、途中短い休止があった際、私はストラップの位置を適切な位置に戻そうとしました。しかし、うまくできませんでした。が、かえってこれで「もうこれでやるしかない!」と腹をくくることができ、その後は平常心で演奏をやりきった記憶があります。
ただ、全体的には、今は亡きBP誌に「どぎまぎした」という我々からのコメントが載ったことに象徴されるように、緊張故の呼吸感の浅さというか、ゆったり感の不足が、「も少し拍子感が豊かだとTotalな音楽的な魅力に結びついた」「音楽の柔軟性をもっと体の中に入れられるともっとスムーズな演奏になる」「楽曲全体から見るとややぎすぎすした感じが残ります」といったコメントに表れてきているのではと思いました。そう、この点こそが東北大会での演奏に比べて劣っている点に思えてなりません。だからこそ、東北大会での演奏の方が安心して聴けるのです。表面的な仕上げは全国大会での方が良いのですがね。そして、やっぱり「もう少し演奏者が音楽を楽しみながら演奏出来れば聴く側にも楽しさが伝わってくると思います」と書かれてしまいました。そのとおりです。
結果は力を出し切った感のない銅賞でしたので、とても残念でした。以前にも書きましたが、審査員の評価は五段階評価でAが1人、Bが3人、Cが1人でした。そのうちのBをつけている3人が全員、Bに丸をつけた脇に+と書き込んでいるのですが、もっとゆったりと演奏できていれば、審査員たちの+をつけたもやもや感が晴れ、BではなくAにつけた人も出たのでは、なんてね。でも、まあ、今となっては良い思い出です。コンクール、コンテストは、良い意味でも悪い意味でも、青春のひとコマを体感させてくれましたから。
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