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2007年05月30日

ア・トリビュート・トゥ・ジョニ・ミッチェル5

a75d2863.JPG【V.A. 『ア・トリビュート・トゥ・ジョニ・ミッチェル』】

 ジョニ・ミッチェルの功績を称えるトリビュート・アルバムですが、このアルバムにビョークやプリンスが参加しているとなれば、これはもう買うしかありません。

 まず、ビョークは2曲目《The Boho Dance》で登場します。いいです! っていうか、これ、このアルバム最高のトラックと言って良いでしょう。チェレスタを使用し、『ヴェスパタイン』の世界をも思い出させるナンバーですが、無邪気で、優しくて、温かくて、包容力のある歌唱は、ストレートに心に届きます。ほんと、素晴らしい!

 プリンスは6曲目で《A Case of You》を演じています。これもいいねぇ。得意のファルセットとマルチ・ミュージシャンぶりを見事発揮し、美しいプリンス風バラードを聴かせています。ほんと、そつがない仕上がりです。

 その他に、ジャズ歌手であるカサンドラ・ウィルソンの低く、太い歌声が、骨太の癒しという独特の世界を見事表出させている《For the Roses》など、クオリティーの高いナンバーが揃っていて、いいアルバムに仕上がっています。上記3名以外にスフィアン・スティーヴンス、カエターノ・ヴェローゾ、ブラッド・メルドー、サラ・マクラクラン、アニー・レノックス(ユーリズミックス)、エミルー・ハリス、エルヴィス・コステロ、k.d.ラング、ジェイムス・テイラーが参加していますが、改めて多彩なメンバーだね。

2007年05月23日

ワルターの《英雄》5

c656f353.JPG【ベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》 / ワルター指揮シンフォニー・オブ・ジ・エア】

 昨日は早く仕事が終わったので、六本木にある「国立新美術館」に足を運んでみました。一度行ってみたかったんですよね。しかし、この日火曜日は休館日だった…。仕方がないので、「サントリーホール」で何かあるかなぁ〜! とそこに行ってみることにしました。しかし、着いてみて思い出しました。今改修工事中だったことに…。

 こうなったらCDを買いあさるしかない! ということで、まず神保町方面は富士レコード社で購入したCDが、ワルターが「トスカニーニ追悼コンサート」で演奏した《英雄》が収録されたWING盤です。最近、このコンサートの全演目を収録したディスクがMusic&Artsからリリースされていますが、それよりも音質的に良好と噂の盤です。

 さて、演奏ですが、いいね。フルトヴェングラーに聴かれる物々しさには欠けていますが、直接的な迫力があります。しかも、それは表面的なものではなく、真実味があります。ですから、聴いていて実に爽快です。伸びやかな歌はまさにワルターのそれですが、全体的にはある意味ワルターっぽくないとも言えるこの演奏。しかし、彼は自身でも言うようにディオニュソス的要素も持ち合わせている人ですからね。こういう演奏もありでしょう。

 なお、ベルリンpo.とのベートーヴェンの《エグモント》序曲が併録されていますが、これも充実したいい演奏です。

2007年05月22日

オン・ザ・コーナー5

1f126151.JPG【マイルス・デイビス 『オン・ザ・コーナー』】

 NHK教育で「知るを楽しむ 私のこだわり人物伝」という番組を放映しています。毎週火曜日22:25-22:50に本放送されていますが、5月は4回にわたってあの菊地成孔がマイルス・デイビスを紹介しています。私はこんな番組があったことを知らなかったので、残念ながら第1回は見逃してしまいました。しかし、5月15日に放映された第2回は見ましたし(なお、今日5:05-5:30に再放送されます。)、今日は第3回の放送です。私はこの番組のテキストを購入してしまいましたが、この回では今から紹介する『オン・ザ・コーナー』が採り上げられると思われます。

 『オン・ザ・コーナー』は、私が購入したマイルスのアルバムとしては『イン・ア・サイレント・ウェイ』『ビッチェズ・ブリュー』に続くものです。まだジャズ初心者に過ぎなかった私は、『イン・ア・サイレント・ウェイ』『ビッチェズ・ブリュー』をすぐには理解できませんでした。例えば、《ビッチェズ・ブリュー》におけるトランペットのディレーには大きな抵抗があったしね。生音にエフェクトを掛けるなんてね。まあ、まだまだクラシック人間でしたから。

 しかし、この『オン・ザ・コーナー』には音がスピーカーから飛び出してきた瞬間に「これはいい!」といきなり感じさせられました。あっ、今書いてから再認識しましたが、そう、まさに雑踏から音が飛び出してきた! という描写がぴったりな感じでした。『聴け!』シリーズで著名な中山氏は『オン・ザ・コーナー』の各曲が聴き分けられると語っていますが、菊地氏も指摘するように実質2曲から成立しているこのアルバム(8曲ということなのですが。)。その菊地氏は、(極端に言うと)屑セッションをなんとか編集して作品にしたのが『オン・ザ・コーナー』だと指摘しています。私はその指摘は分かるような気がします。各サイドメンが音楽の方向性を完全に理解して演奏を行っているとは思えず、それが単調さ、退屈さを感じさせるときも。でも、しみじみと感じ入るよりも、音のシャワーを全身で浴びると実に爽快です。ですから、小さい音量で聴くのはお勧めできません。なお、優れているトラックは、実質2曲の各1曲がそれぞれロング編集されたトラックでしょう(出だしからいきなり惹きつけ、終盤ベースとドラムの音型が変化してから思わず踊りだしたくなるトラック1と、よりワイルドな演奏が展開されるトラック4!)。

 あっ、「知るを楽しむ 私のこだわり人物伝 マイルス・デイビス 帝王のマジック」ですが、6月24日に「ETV特集」で再編集されて放送されるそうです。本編では放映されなかったシーンも多数盛り込まれる予定だということで、これも楽しみです。

2007年05月16日

ミソス・レーベルの《運命》 NR-5003 グローリアス・ヘリテージ(グリーンチューン盤)5

2619a51f.JPG【ベートーヴェン:交響曲第5番《運命》 / フルトヴェングラー指揮ベルリンpo.】

 13日(日)、ブルーノート東京でのショーまでの空き時間を利用して、岡本太郎記念館とイディア・クラシックに立ち寄りました。イディア・クラシックは神保町にありますが、九段下からの方が近いのかな。とにかく、一度訪れてみたいと思っていたのですが、この日初めて訪ねました。

 さて、期待はMYTHOSレーベルの出すCD-Rから、フルトヴェングラー指揮による1947年5月27日に行われた、超名演と名高い《運命》。それも、NR-5003 Glorious Heritage(Green Tune盤)。実は最近、同レーベルから全く同じジャケット絵の(CD-Rではなく)プレス盤CD(MPCD5003)が発売されていますが、CD-Rより落ちるというネット上での評判なんで…。で、ありましたよ。6,000円と高価なのですがね。これまた実は、もう3箇月近く前に同CD-Rをとあるネットショップに注文していたのですが、届いていないのです。もう待てないので、結局買っちゃいました。とあるネットショップは注文してから3箇月経ったらキャンセルできるので、もう少ししたらそうしよう。

 さあ、聴いてみます。お〜、これは凄い! 輝かしいホルンに続く第1楽章第2主題の調べがこんなにも多彩でニュアンスに富んでいて、第2楽章がこんなに豊かだなんて、初めて知りました。とにかく、鮮明で迫力があります。まあ、ピークが若干抑えられている印象があり、さらにスクラッチノイズは(そんなに気にならないとはいえ)ありますが、素晴らしいディスクです。もちろん、演奏自体が私が今までに聴いたクラシック音楽の演奏史上、ベストを争う凄演ですからね(このディスクだったら、バイロイトの《第九》を超えたか?)。

 なお、イディア・クラシックでこのCD-Rを購入したとき、店の主人(かな?)に話しかけられ、MYTHOSではバイロイトの《第九》NR-9000-6/7 Legend Masterを持っていると申し上げたら、その後に出たイタリア盤を復刻したもの(NR-9000-8のことか?)が凄いとおっしゃっていました。バイロイトの《第九》ではDELTA盤も良かったのですが、これも聴いてみたくなりました。あと、1947年5月27日の《第五》ではISLANDPROSのRX4101も聴いてみたいし…。う〜ん、お金がいくらあっても足りませんね。

追伸
 イディア・クラシック様
 フルトヴェングラー完全ディスコグラフィーの2007年版のデータCD-Rをいただき、大変感謝しております。ありがとうございました。

2007年05月14日

青山巡り4

6f843751.JPG【5/13 2nd ヴァネッサ・ウィリアムス 於:ブルーノート東京】

 5/10(木)の夕方前かな? 12,600円と高かったものの、予約を入れました。そして、深夜再びHPをチェックしてみたら、満席になっていました。お〜、危なかったね。

 さて、当日、入場整理番号を求めに、午後2時50分くらいにブルーノート東京に行きました。お〜、結構来ているね。以前、サンボーンのときだったかな? 店外まで長蛇の列だったときがありましたが、店内の階段までだから、それほどではないもののね。

 ところで、ヴァネッサ・ウィリアムスですが、(剥奪されたとはいえ)ミス・アメリカだったことや、R&B/ソウル系のポップなナンバーの歌い手ということくらいしか知りません。ですから、音楽的な刺激には期待していなくて、ただただショーとして楽しもうと思っていました。

 で、結果はその通りでした。ヴァネッサ・ウィリアムスは意外と大きく感じなかったですね。大振りな体型ではないからか。あと、私は一段上の下手側のテーブル席の手すり側で聴いていましたが、下のおじさんの手拍子が拍に合っていなくて気になったなぁ〜。とにかく、スター(? 失礼!)のショーを拝めて、決して悪い気分ではないよ。《セイヴ・ザ・ベスト・フォー・ラスト》はいい曲だったし。

【5/13 「タナカカツキの太郎ビーム!」展 於:岡本太郎記念館】

 実は、上記の入場整理番号の発行を受けた後、ブルーノート東京のすぐ近くにある岡本太郎記念館に立ち寄りました。以前から行ってみたいと思っていた場所なのですが、初めて館内に入りました。展示作品自体は少ないものの、館内の撮影は自由だし、岡本太郎のアトリエを目の当たりにできるのがいいね。そう、作品を観にいくというよりも、岡本太郎に触れにいくといった感じの記念館です。いいスポットですね。

2007年05月06日

キャッツ5

2c865094.JPG【5/5 劇団四季ミュージカル『キャッツ』 於:キャッツ・シアター 五反田/大崎】

 ミュージカルを生で観るのは高校以来(高校演劇教室って言うんだったっけ?)。私にとっては珍しい体験をするために、大学以来の友人たちと五反田/大崎にあるキャッツ・シアターに向かいました。そんなに多大な期待をもって臨んだわけではありませんでしたが。

 しかし、結構楽しめました。話自体は大したものではありません。でも、真摯でエンターテイナーに徹した姿勢がとてもよく伝わってきました。私たちは、ジェリクル・ギャラリーという舞台袖にある座席の最前列で観ていたのですが、目の前を猫が横切っていくし、最後は握手もされました。ワインヤード型の舞台セットは見ただけでいきなり異空間に誘われ、わくわくしてきますが、舞台全体を縦横無尽に、一体感をもって活用する演出はいいね!

 ところで、懐かしかったのは、やっぱり劇中音楽。というのも、我々は大学時代、この『キャッツ』からのナンバーを吹奏楽用にメドレーとして編曲されたものを定期演奏会で演奏していますからね。忘れていたあの頃の記憶が蘇ってきました。あと、特に《メモリー》は素敵な曲ですよね。まあ、正直言って、他にはどうでもいいナンバーもありますが。

 とにかく、何もアーティスティックというか高踏なものばかりが良いわけではなく、娯楽というかショーもいいなぁ、なんてことを思った一日でした。座席から目に入ってくる、回転席に座る、特に女性たちの終始の笑顔が演劇の楽しさを代弁しているかのようでもありました。

2007年05月03日

黄金の緑/Love scene5

ab7c97ca.JPG【UA 『黄金の緑/Love scene』】

 ビョークの新譜『ヴォルタ』と同時に購入した『黄金の緑/Love scene』。これは、UAのダブルA面と銘打たれたニュー・シングルです。UAも私が期待しているアーティストの一人です。

 さて、早速聴いてみましょう。1曲目、いきなりブラスによるサビの調べが。ついさっきまで聴いた『ヴォルタ』を髣髴させます。エレクトロニカ楽器も使用しているしね。まあ、これは内橋和久の趣味かもしれませんが。でも、その1曲目《黄金の緑》(4曲目《Golden green》)は、レトロで都会の夜の哀愁を感じさせる佇まいで、いいね。サビの広がりは心も広がっていく感じです。2曲目《Love scene》は一言、スイートです。そして、3曲目《Touch me not》は南国ムードたっぷり。とにかく、何か最近のUAってシリアスな感が強かったのですが、このシングルはポップです。あっ、これも《ヴォルタ》と同じか。もちろん、UAとビョークの音楽は同じではありませんが。

 私はアーティスティックな作品も好きですが、こういうポップさも好きです。6月20日にはニュー・アルバム『Golden green』が発売されるそうです。これなら、このアルバム、楽しみですね。

 なお、2曲目《Love scene》の歌詞で「あちらに見えますのは奇跡の島 ランゲルハンス島」と歌われたときには、思わず笑ってしまいました。普段、インスト人間の私には歌詞はあまり自分に入ってこないのですが、これははっきり聴き取れました。そういえば、村上春樹が『ランゲルハンス島の午後』を著しているなあ。作家魂を刺激するところがあるのでしょうか、すい臓に浮かぶランゲルハンス島には。

2007年05月02日

ヴォルタ5

64e0694a.JPG【ビョーク 『ヴォルタ』】

 私が新譜に多大な期待を寄せている(クラシック音楽を除く)現役アーティストは、プリンスと、そしてビョークです(ザビヌルもそうですが。)。そのビョークの新譜が1日に日本先行発売されるということで、大変待ち遠しかったのですが、ついに発売初日の昨日購入しました。

 さあ、早速CDを取り出そうとしてびっくり! ジャケットでまず目に留まる被りものをしたビョークの部分は、何とシールだったのです。そして、それを剥がしてパッケージを開いて飛び込んできた、今度は極彩色なアジアン・テイストの衣装を身に纏ったビョーク。凝った演出ですね。

 さて、肝心の音楽です。1stシングルとして発売される《アース・イントゥルーダーズ》でスタートしましたが、いきなりポップです。太いアナログシンセ風のリフと軽快な土俗的打楽器群が心地良いです。ここのところ、どちらかというと内に向いた作品が多かったようですが、このアルバムは違うね。『ヴォルタ』ってヴォルタ電池のヴォルタですからね。そのタイトル同様、外へのエネルギーに満ち溢れた作品になっています。吹奏楽人間だった私的には、多用されているブラス・セクションとの共演も興味深いですが、ビョークは様々な人達とのコラボレーションを楽しんでいるようです。

 曲単位では、《アース・イントゥルーダーズ》の他に、(ボーナス・トラックでない方の)子守唄《アイ・シー・フー・ユー・アー》は巧みな展開・構成でした。チャイニーズ・ピーパとエレクトロニカ楽器を使用し、『ヴェスパタイン』を髣髴させる曲想ですが、ブラスが効果的に場面表出・展開しています。また、《ディクレア・インディペンデンス》は『ホモジェニック』収録の《プルートウ》を思い出させる激しいナンバー。そして、《マイ・ジュヴナイル》ではビョークの歌を至近距離で、プライベート・ルームで収録したかのような演出で、歌う巫女としての彼女を実感できます。いや〜、多彩です。

 決してコマーシャル・アートな作品ではありませんが、ポップ的でもあるこの作品―多くの人達に受け入れられそうです。とにかく、今回も期待を裏切らなかったビョーク。やっぱり、今度は何が何でも彼女のライヴを体感したいね。まだ一度も接していないので。

2007年05月01日

新宿ピットイン初体験5

8e397318.JPG【4/30 ビル・ラズウェル・プレゼンツ・東京ローテーション2007 於:新宿ピットイン】

 実は今まで一度も新宿ピットインには行ったことがありませんでした。今は亡き六本木ピットインの入り口だけは覘いたことがあったのですがね。で、早速初体験の印象ですが、一言、アングラですね。私がよく通っているブルーノート東京とは違います。1stステージ&2ndステージ共100名程(かな?)の聴衆で立錐の余地もなく一杯でしたが、開演前はそこに煙草の煙が充満している雰囲気もね。

 さて、ドリンクはジンライムをチョイスして開演を待ちます。今回は1st&2ndの通し券を購入しました。最初のセットのメンバーは、

ビル・ラズウェル(b)
坂田明(as、cl、vo)
山下洋輔(p)
吉田達也(ds)

でした。さあ、演奏ですが、飛び出してきた音塊もまさにフリーでアングラでした。ビル・ラズウェルの多彩なサウンドメイク、吉田達也の刺激のある好サポート―いいです。そして、坂田明、熱演振りは圧巻でした(風貌はただの田舎のおじさんなのですがね。失礼しました。)。それは山下洋輔も同様なのですが、しかし、一つ違和感も。どこがって、坂田と山下共やっているのはフリーなのですが、山下のって都会的でクラシック音楽をも髣髴させ、お洒落で上品ですらあります(ガンガンやっているんだけどね。)。ですから、坂田とはちょっと異質でした。まあ、楽器の違いなのかもしれませんが、坂田のって地方的で洗練さとは相容れませんからね。

 次のセットのメンバーは、

ビル・ラズウェル(b)
坂田明(as、cl、vo)
大友良英(g)
吉田達也(ds)

でした。うん、ピアノがギターに交代しただけですが、こっちの方がサウンドに合っているね。聴いていた場所の所為もあるかもしれません。1stステージでは中列上手側の端っこ寄りで聴いていたのですが、2ndステージでは後列中央の上手側の通路寄りでしたからね。比較的バランス良く聴けたからかもしれません。また、ベースの音圧が脚にジンジン来るのも心地良かったです。但し、この席では坂田明のお姿くらいしか拝めませんでしたけどね。

 まあ、両ステージの違いを主に書いてきましたが、やっている音楽の基本は変わらず、どちらのステージも良かったことも同様です。坂田が「何も残さなかったぁ!」と叫んでいましたが、彼らの真摯なエネルギーを全身に浴び、私の心も十分に動かされました。何もどころではない。十分に残してくれましたよ。Tシャツも購入しちゃったしね(2,500円のところが2,000円に値下げされてたし。)。今年の接したライヴの早くもベスト1候補です。