
1988年のマイルス・デイビスのDVD3作を続けて観ました。この年は、
私自身も生マイルスに接していることもあり、ことによったら、このときのマイルス・バンドに一番愛着があるかもしれません。いや、それ以上に、この時期のマイルス・バンドはバンドとしては80年代で一番充実していたと思うからかな。
【マイルス・デイビス DVD『ライヴ・イン・ミュンヘン』】
7月10日のライヴで、これ、オフィシャル盤です。したがって、画質も音質もブートレグとは一線を画していて、さすがです。公式に販売されているということも含め、この時期のマイルスの映像作品では真っ先に取り上げるべきものでしょう。メンバーのソロも多く、だからというわけではありませんが、バンドとしての充実度がよく伝わってきます。意図的にでしょうが、マイルスだけが目立っているというわけではないんだよね。
観ていて面白かったのが、マリリン・マズールのパーカッション。音だけでもバンドに女性らしいともいえる色彩感を与えていたのは分かっていましたが、ビジュアル的に観てみても、ダンスを伴った演奏(《TUTU》)に象徴されるように、バンドに可愛らしい華を添えていて、こんな感じ、硬派なマイルス・バンドとしては、彼女がいた時期だけのものでしょう。あと、《スプラッチ》でバリトン・サックスを吹くケニー・ギャレットを観るのは結構レアかも。
ところで、最後から2曲目に《ニュー・ブルース》(《スター・ピープル》)が収録されていますが、これ、明らかにこの順番で演奏されたものではないでしょう(メンバーの衣装を見れば一目瞭然。)。同じ演奏を収録したブートレグCD『マイルス・イン・ミュンヘン 1988』では、この曲は《パーフェクト・ウェイ》に続く2曲目に収録されているようです。しかし、このDVDでは《パーフェクト・ウェイ》に続いて《ザ・セナテ》が演奏されていますが、この曲間にどう観ても編集跡はなく、これも違うようです。そこで、Jan Lohnmann著の『ディスコグラフィー』を見てみると、この日、冒頭に《イン・ア・サイレント・ウェイ〜イントルーダー》が演奏されていたようで、これに続いて《ニュー・ブルース》(《スター・ピープル》)が演奏されたみたいです。ということは、このDVD、132分も演奏が収録されているのにコンプリートというわけではないのか。
なお、マイルスの絵画やアダム・ホルツマンによるライナーノーツなど、そして2枚目のディスクには32分に及ぶインタビューも収録されていて充実しているのですが、ワタシ、エイゴワカリマセン。これだけが残念です。
【マイルス・デイビス DVD-R『シュトゥットガルト 1988』】
『ライヴ・イン・ミュンヘン』の翌日のライヴを収録したブートレグDVD-Rです。ブートレグとしては画質は良好なのでしょうが、音質がちょっと気になるかな。サーというノイズが特に弱音部では耳障りだし、管楽器が弱めのバランスで収録されています(特に《ヒューマン・ネイチャー》でのマイルスのトランペット、ケニー・ギャレットのサックスが気になるかな。このナンバーでは『ライヴ・イン・ミュンヘン』収録の同曲より盛り上がっているように感じるだけに。)。演奏自体は『ライヴ・イン・ミュンヘン』同様に良い! だけに、その点だけが残念です。
【マイルス・デイビス DVD-R『バック・トゥー・ワルシャワ』】
10月30日のライヴを収録したブートレグDVD-Rです。これ、『シュトゥットガルト 1988』と違って音質はOKなのですが、カメラのアングルに問題あり! だって、ほとんどマイルスしか映していないよ。まあ、マイルス中心に追うのはいいんだけど、これはやりすぎ。画質はブートレグとしては良好なだけにね。
私はこれを観て、
『マイルスを聴け!』の著者である中山氏が「ビデオはすぐ飽きる!」とおっしゃっているのが分かるような気がしました。私は飽きませんが、それは、私は楽器経験者であり、音楽も細々と制作していて、どうプレイしているか、どんな楽器・機材を使用しているかが気になるからでしょう。それは、より映像的に面白味のないクラシック音楽でのオーケストラ演奏などを観ても楽しめることからも言えます。しかし、そんな私でもこの映像だけは欲求不満になります。マイルスの顔だけじゃ楽しめません。これだったら、音だけの方が煩わしくないかも。
あと、オープニングの《イン・ア・サイレント・ウェイ》には静止画が用いられていたり、中途半端な収録になってしまっているのも残念。この曲に引き続く《イントルーダー》も含め、これを映像で観たかったのに…。
さらに、最後に収録されているのは《リンクル》ではなくて《ムーヴィー・スター》ですよ。
でも、これまた、演奏は良いです。上記2作と違い、ロバート・アーヴィングが抜けジョーイ・デフランセスコが起用されているためか、サウンドがちょっと変わってきていますがね。薄く、軽くなったとでも言うのかな。まあ、別に悪い意味ではないのですが、私自身はアーヴィング在籍のときのサウンドに愛着があるとはいえ。
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