ジャケット絵も含め、アートとしか形容のしようがないこのアルバム。もし無人島に1枚だけCDを持っていくとしたならば、私が選ぶのは疑いもなくこれです(もっとも2枚組ですが…。)。マイルス・デイビスのみならず、様々な音楽アルバムの最高傑作ですから。
聴きどころはたくさんありますが、特に《スパニッシュ・キー》の3分10秒すぎの「タッタァーンタッタタァーン」のフレーズが弾かれる箇所でしょうか。もちろんここだけ取り出して聴いてもダメで、そこに至るまでの緊迫感があればこそ、このかっこいいフレーズが引き立つのですが。そして、その後の開放感がまたたまらない…!
『ビッチェズ・ブリュー』はトータルな作品として極めて優れているのですが、マイルスのトランペット・プレーも絶好調です。まあ、聴けばわかるといったところですが、その証拠としてミュートを全く使っていないことが挙げられるのでは? もっとも、実は音楽的な必然からでしょうが、それでも同じ管楽器プレーヤーとして何となくそう感じる部分が…。だって、調子の良いときって、ばりばりオープンで吹きたくなるものですからね。また、わかりやすいところでは、ウェイン・ショーターのソプラノサックス・プレーも素晴らしいです。感性の赴くまま吹いているとしか思えないような感じなのですが、彼がワン・フレーズ吹くと、独特の空気感に包まれます。凄い存在感です。
こう考えると、一部のジャズ・ファンがこのアルバムに対して嫌悪感を抱いているのがよく分からないですね。インタープレーも凄く、ジャズ的なスリルもあるのに。あ〜、もったいない、もったいない!


