良いものを低価格で。
かつてユニクロ型の着物店を求める声が結構多かったような気がします。
・安価
・高品質
・多種
・サイズ展開
・メンテナンス性
こういったキーワードを並べていくと、それらの方々の要望が何となく「着物のカタチ」になって見えて
くるような気がしませんか?
GAPやユニクロに代表されるSPA(製造型小売業)のなかでも、UNIQLOを運営するファーストリテイリ
ング社のこだわりは低価格・高品質であると言われています。
2006年4月4日付の同社プレスリリースを読みますと、ただUNIQLOが浴衣を商材としただけにとどま
らず、UNIQLOだから出来るものづくりをしようとした経緯や、その方法が伺えます。
決して「洋服屋」の商品作りのみを素地としておらず、裁断・縫製・染織など、着物業界のノウハウも
十分に念頭に置いた製品開発だったということが読み取れますが、いかがでしょう。
この企業が悪戦苦闘しながらも支持を伸ばしていけたのは、ひとえに「品質向上」という点が挙げられ
ます。
90年代の取り組みはまさにこれで、何度となくユーザーから改善案や、問題点のすくい上げに時間と
お金をつぎ込んできていました。そういったCMや活動が記憶にある方も多いのではないでしょうか。
この経過の中で、製造部門を他者に委託してきた方針から先に述べましたSPAへの転換が図られま
す。自分で責任を持ってやらなければ、自分の望みどおりになる水準を、自分で納得する価格では
提供できない。
というような(想像ですが)柳井正氏の思いと、現実の問題がかみ合った瞬間なのかもしれません。
洋服も着物も、【製造→流通→小売】という流れに乗っており、買取にしても委託にしても、よかれ悪
しかれバランスをとってきたものだったそうです。
商習慣というだけで維持されてきたのか、必然性があって残された方式なのかはわからないのです
が、現在の和装関連業ではごく馴染みの方法で、同時にほころびや問題点も目立つようにあります。
ともあれ今回はこれについてはまだ調べ足りないので割愛しますが、SPAを採用している和装関連
業者も続々と?出現してきていますので、復習の意味も兼ねて自分が考えるユニクロっぽい店を考
えてみたいと思います。
・安価
・高品質
・多種
・サイズ展開
・メンテナンス性
ということを冒頭に挙げましたが、あくまで何も根拠が無いものとして「肉付け」をしてみることにします。
◆長着(合物・裏地なし) 3,990円(税込)
コットン100%
12色
XS S M L XL XXL
ウォッシャブル(防縮加工済み)
◆帯(15cm幅) 1,500円(税込)
ポリエステル100%
24色(リバーシブル)
360 380 400 420 cm
◆羽織(合物・裏地なし) 2,990円(税込)
ポリエステル100%
12色
S M L XL
と、まあこんな感じで並べていくと、妄想店舗が脳内に広がるのですが、案外悪くないかなと思います。
ただ、現状に存在する既製品を並べては、まったく望むものとは違った状態になるだろうとも。
UNIQLOが伸びたのは、ユーザーから現場からの声を吸い上げるだけ吸い上げ、即商品の改善に繋げ
た点があるでしょう。この即応体制をとることの出来る和装業者が、どれだけ存在するかということ。
呉服が実は最も得意とする武器が「仕立て」だとして、それをせずに寸法などの要望に応えていくので
すから、簡単にはいかないでしょう。
既存の和装製品をラインに乗せたならば、今まで良いとされていた技法や性能が、客観的に批判にさ
らされることも考えられます。
締める部分だけが柔らかく、肝心な巻く部分は固く織ってある伊達締めは便利だと思いますが、そうい
った工夫があらゆるアイテムに対して、数限りなく求められるようになります。
会社としての体制もさることながら、従業員のスキルもより高いものが求められ、とてもではありません
が「殿様商売」にはなりようもありません。
そして、品質の維持と同時に価格の面を求められてくるのですが、人件費がその大部分を占めるなら
ば、製造拠点を人件費のより安い土地に依拠せざるを得ないでしょう。
柳井正氏は、縫製までも含めた製造を労働集約型産業とし、日本国内でのそれは明確に否定されて
います。
和装品とて、かなりの量が海外へと依存するようになってきており、海外拠点型和装SPAの存在は
意外ともう身の周りに存在しているのです。
それらが良いとか悪いとかはまったく思考の外に置いておいて、国内拠点型和装SPAが目指すものと
単純に対比してみたりしています。
どちらが私達に必要なのか、どちらも、なのか。
思考実験は終わりません。
ただ、「誰のために」と「何のために」ということを考えると、そう単純には割り切れない世界があります。
良いものをより安く、だけでは到達できないものを、もう少し考えてみたいのです。
パイは拡げるもの、奪い合うものではない、が
「着物の人が増えますように。」
木綿着物!染織こだまS
児玉健作
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