一度訪ねてみたいと憧れていた、洛北の蓮華寺に行くことが出来た。
場所は左京区上高野八幡町。国道367号を高野川沿いに花園橋から、大原方面へ少し行ったところの北側、山沿いにひっそりとある小さなお寺である。
もともと西八条塩小路=現在の京都駅あたりにあった、浄土宗系の古寺だったが、1662年にこの地に移して再興されたそうだ。
その際に石川丈山や狩野探幽ら、江戸初期の錚々たるアーティストが庭やら器物やらに腕を揮い、しかもそれが今に至るも残っているので、小さいながら秘めたる宝石のようなお寺なのだ。
特に有名なのは、本堂前に二基立っている、その名も蓮華寺型燈篭。細長い笠が独特である。
本堂内には15世紀の螺鈿細工の厨子や、狩野探幽が原画を描いた基壇の彫刻があり、天井には西村公朝氏が描いたらしき龍が居た。
そして、清流を引き込んだ池庭は、山を背景に清雅である。新緑や紅葉の時期の美しさは見事だろう。
今日は春の日差しがあまりに眩く、微妙な陰翳は楽しめなかったが、気持ちを明るくさせてくれた。
池の中や周囲には、この船石のような名石も据えられているが、それほど自己主張せず景色と溶け合って自然なさまが好ましい。
そして、この石橋。一見何の変哲もないのだが、よく見ると、橋の中央を支えているような形の石、実は橋との間にすき間があって支えていない。
なんと「人が渡ると石橋がたわむように見せ、石造りの硬い感じを和らげる為の表現」なのだそうだ。
「これは単なる石にさえも、やわらかさやフレキシビリティの感覚を与えうる日本人の文化的営みの見事さである」などと評されているそうだが、そこまで言うとオーバーかと思った(^^;)。でもこういう遊びを秘めた庭は面白い。
そして今回、わしのお寺拝観にしては珍しく、抹茶を所望した(好い天気すぎて、喉が渇いたのである^^;)のだが、これが大正解!
茶を喫するために通してくださった北側の部屋は、目の前に小川が流れ、すぐそこに山肌。小鳥がさえずり、黄蝶が舞い、まさに別天地。客はわし一人だけで、景色を独占。俵屋吉富のお菓子の添えられたお茶を欣喜して味わったのだった。
どうもここの抹茶は、山から引いている川の水で点てるので好評らしいのだが、「今日はあいにく工事で川の水が止まってしまってて、すみまへん」とお寺のご婦人に謝られた。そうか、この辺は川の水がそのまま飲めるのである!是非また来て、川の水で点てていただこう。
そして、蓮華寺を辞し、歩いていると、木蓮らしい木の花芽が、天を指して膨らんでいるのを見つけた。
ああ、春である・・・



