■第15回東京国際音楽コンクール<指揮>入賞デビューコンサート
2010年3月5日(金) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
指揮:ミハイル・レオンティエフ
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
・チャイコフスキー:スラヴ行進曲
・チャイコフスキー:幻想序曲「ハムレット」
・チャイコフスキー:幻想序曲「ロミオとジュリエット」
・ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」
◎1967年の創設以来、3年に一度ずつ開催されている「東京国際音楽コンクール<指揮>」が、昨秋行なわれ、その入賞者によるデビューコンサートが、東京と西宮で行われました。今回で15回目となる同コンクールでは、33の国と地域より152名の応募者があり、厳しい予選を勝ち抜いて本選には7名が通過。そして、見事に上位入賞を果たしたのは、ロシア出身で若干27歳のミハイル・レオンティエフという指揮者でした。しかし、今回は、残念ながら「第1位」には惜しくも洩れ、1・2位なしの「第3位」という結果…。これについては、開演に先立って行なわれた審査委員長の外山雄三氏のプレトークによると、「過去の誰と比べて今回の人はダメ。審査員が厳しくて3位になってしまった。というわけではなく、ただ単純に第3位だったと捉えていただけると嬉しい。しかし、今回、東京でのコンサートやリハーサルなどを通して、再び彼の指揮を拝見したが、この数ヶ月間で彼は確実に成長していることが言えるだろう。もし、お客様の方でお気に召さなければ、遠慮なく、演奏途中でもブーイングあるいは退出していただいて結構。」などと語っていました。さて、レオンティエフという指揮者。その指揮ぶりは、すでに風格も備わって「らしく」は見える一方、カーテンコールの振る舞いには慣れていないのか、ぎこちなさも感じられます(^^; 西宮公演では、チャイコフスキーとムソルグスキーの標題音楽という、ある意味、難しい選曲でしたが、正直なところ、可もなく不可もなく…という演奏。表現力がモノを言う作品ばかりなので、よほど豊かな表現力を持った指揮者なのかな…と、ちょっと期待していたのですが…。しかし、民音会員と思しき皆さんには受けが宜しかったようです。
■大阪フィル 第436回定期演奏会
2010年3月18日(木)、19日(金) ザ・シンフォニーホール
指揮:下野竜也
独奏:ルノー・カプソン(ヴァイオリン)
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
・ベートーヴェン:劇音楽「アテネの廃墟」序曲
・モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番
・ブルックナー:交響曲第1番 (ウィーン稿)
◎今シーズンの大阪フィル定期の締めくくりを飾る下野竜也さんのブルックナー。2005年の0番、2007年の弦楽五重奏曲と、これまで朝比奈の薫陶を受けた下野さんが指揮する大阪フィルとのブルックナーはいずれも好評を得ており、今回の1番でも大いに期待していました。ブルックナーに先立っては、弦楽をかなり刈り込んだベートーヴェンの「アテネの廃墟」序曲と、ルノー・カプソンをソリストに迎えたモーツァルトが演奏されましたが、モーツァルトはカプソンの「強い希望」により、急遽、5番から3番に曲目変更。事情を関係者より聞くと、どうやら、大フィル定期の1週間ほど前にヨーロッパでも5番を演奏する本番があったそうなのですが、体調を崩してキャンセルしてしまったそうな。しかし、以前、自分をソリストとして起用してくれた大フィルに恩義を感じていたようで、大フィルだけはキャンセルしたくなかったが、初めて演奏する5番が体調不良で不完全な仕上がりでは、大フィルや聴衆に対して申し訳ない…との理由から、演奏実績があり自信もある3番に急遽変更したのだとか。何処までがホントなのかは不明ですが…(^^;ヾ カプソンの演奏は、前回のブルッフとは打って変わって、実に落ち着いた演奏で線もしっかりとしており見事。病上がりとは思えぬ好演を聴かせてくれましたが、“生真面目なモーツァルト”という印象で、もう少し「遊び」も欲しかったかな…と。さて、後半のブル1。この作品は、ブルックナーの交響曲のなかでは滅多に演奏されず、自分も過去に児玉&シンフォニカーで1回だけ聴いたくらい。しかも、今回は世間でよく出回っている「リンツ稿」ではなく、「ウィーン稿」を選定したというあたり、下野さんらしいこだわりも感じられます。「ウィーン稿」を使用したことで弦楽も16型に増やし、「第1交響曲」でありながら、ブルックナーの構築された後期交響曲のようなボリューム感を味わうことができました。演奏としては、やはり「下野&大フィル=ブルックナー」ということで、下野さん自身もかなりブルックナーに神経を注ぎ込んだ跡を窺がわせ総じて好演。中・低弦を震わせて重厚感のあるブルックナーを聴かせてくれるあたり、朝比奈サウンドを残しつつ、一方で、下野さんのオリジナルカラーも匂わせながら、若々しくも情熱的でロマンティシズム溢れるブルックナーを楽しませてくれました。■大阪市民管弦楽団 第71回定期演奏会
2010年3月22日(月・祝) ザ・シンフォニーホール
指揮:蔵野雅彦
管弦楽:大阪市民管弦楽団
・ブラームス:大学祝典序曲
・コダーイ:ガランタ舞曲
・ブルックナー:交響曲第6番
◎大阪市民管弦楽団というアマチュア・オーケストラの演奏会へ。目的は、もちろんブルックナーの6番を演奏するから…。これまで関西では滅多に演奏されなかった「ブル6」ですが、最近になって、よく演奏されるようになってきた気がします。個人的には、今シーズン3回目の「ブル6」。児玉&シンフォニカーと小泉&センチュリーで、軍配はシンフォニカーを挙げましたが、今回の演奏はアマオケ…。まぁ、初めからプロオケのように期待はしていませんし、プロオケと比較するのもナンセンスで酷な話。実際、アマオケとしてはよく健闘していたものの、ブルックナー演奏の難しさを改めて感じさせる演奏でした…(^^;というより、音符を間違わないように一生懸命に演奏していることが精一杯で、音楽的な要素や表現までは出し切れていなかったようで、指揮者も、とにかく拍子を取ることに終始してしまっていたようです。ヘタクソでも、音を間違ってもいいから、少なからずブルックナーの音を聴きたかったのですが、このオーケストラにはちょっと課題が大きすぎたのかも知れません。そういう意味では、以前、同じく「ブル6」を演奏したアマオケの紫苑交響楽団の方が、立派でブルックナーの荘厳な響きがそこかしこに聴かれました。今回は、ちょっと残念な結果でしたが、アマオケが果敢にもブルックナーを取り上げてくれたことは有難い話…ということにしておきましょう(^^;ヾ
■ミュンヘン・フィル 大阪公演
2010年3月24日(水) ザ・シンフォニーホール
指揮:クリスティアン・ティーレマン
独奏:ワディム・レーピン(ヴァイオリン)
管弦楽:ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
・ワーグナー:楽劇「ニュルンベルグのマイスタージンガー」前奏曲
・ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
・ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
◎昨年、ミュンヘン・フィルの経営陣と対立を起こし物議を呼んでいたクリスティアン・ティーレマン。そのティーレマン&ミュンヘン・フィルによる待望の初来日公演へ。来年には、現在のポスト(首席指揮者)を辞職し、ミュンヘンから立ち去ると言われているティーレマンですが、ミュンヘン・フィルとのコンビでは、今回の来日が最初で最後かも…?さて、ミュンヘン・フィルは、チェリビッタケの最後の来日となった1994年にも聴きに行きましたが、そのときのプログラムはブルックナーの4番。椅子に腰掛けて指揮をする巨匠チェリビッダッケの揺るぎないブルックナーは、一糸乱れぬ研ぎ澄まされたミュンヘン・フィルの演奏に大変な感銘を受けた記憶が鮮明に残ります。あれから、16年が経ち、老巨匠チェリビダッケからレヴァイン、そして、世界で最も期待される次世代指揮者の一人であるティーレマンの時代へと受け継がれ、今回、久々に聴いたミュンヘン・フィル。大阪公演では、ドイツ超名曲プログラムが組まれ、ちょっとこの内容に当初はウンザリ感があったことは否めませんが、本場ドイツの音楽をティーレマン&ミュンヘン・フィルで聴くのも良いだろう…と思い、チケットを買った次第。まず、ワーグナーの「マイスタージンガー」前奏曲。もう、のっけから全力投球で投げかけてくるものですから、たまりません(^^) ドイツ・オケの音がホール一杯に響き渡り、ミュンヘン・フィルのメンバーも、聴衆に対して「してやったり!」という雰囲気。ワディム・レーピンをソリストに迎えたブラームスでも同じ。ところでレーピン…。久々に見ると随分とオジサンになりましたね…。「天才少年」の面影は何処へやら…。白髪交じりの渋いオトナになっていたのには驚きましたが、ヴァイオリンの腕前は落ちていません。文句の付け所がないレーピンのブラームスは、オーソドックスながらも、聴き手に安心感を与えます。併せて、ティーレマンの伴奏も、レーピンとの息を揃えて重厚なブラームスを聴かせるあたりは「さすが!」の一言。そして、最後の「運命」では、かなり快速なテンポながら、相変わらず一糸乱れぬ重厚かつ洗練されたアンサンブルを聴かせ、ミュンヘン・フィルの底力を見せつけられるような想いでした。ミュンヘン・フィルにとって、このプログラムは「朝飯前」と言っても良いのでしょうが、自国の偉大なる作品だけに妥協を許さない職人魂を感じ、久々にホンモノのドイツ音楽を聴かせてくれました。また、アンコールでも、小品をチョコッと演奏するのではなく、名古屋や東京公演の本プログラムで演奏されるワーグナーの「タンホイザー」序曲を演奏してくれたのも意外でした。
■「オーケストラの日 2010」コンサート 大阪公演
2010年3月31日(水) NHK大阪ホール
指揮:藤岡幸夫、大山平一郎、茂木大輔、広上淳一、小泉和裕、飯守泰次郎
管弦楽:京阪神合同オーケストラ、京都フィルハーモニー室内合奏団、兵庫芸術文化センター管弦楽団、京都市交響楽団、大阪センチュリー交響楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団
司会:上田早苗(BKアナウンサー)
・コープランド:市民のためのファンファーレ (藤岡/合同オケ)
・ストラヴィンスキー:協奏的舞曲 (大山/京フィル)
・J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第1番 (茂木/PAC)
・プッチーニ:交響的奇想曲 (広上/京響)
・マスカーニ:歌劇「友人フリッツ」間奏曲 (小泉/センチュリー)
・ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲 (小泉/センチュリー)
・ブラームス:交響曲第4番より第3、4楽章 (飯守/関フィル)
・ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲 (藤岡/合同オケ)
◎「耳にいい」という語呂合わせから、毎年「3月31日」を「オーケストラの日」として、国内プロオーケストラが加盟する日本オーケストラ連盟(オケ連)によって制定された記念日に、全国各地で様々なコンサートやイベントが催されています。今年は、大阪では初めての試みとなる京阪神地区に本拠を置くプロオーケストラによる合同オーケストラと、各オーケストラがリレー形式で同じ舞台に入れ替り立ち替り出演するというコンサートがNHK大阪ホールで開催されました。開演に先立って、ホール1Fのアトリウムでは、各オーケストラのPRブースやセンチュリー響メンバーによるミニ・コンサート、楽器の体験演奏などが展開されており、コンサート来場者やたまたま通りがかった人たちは興味深そうに見ていました。さてコンサートは、まず合同オーケストラのブラス隊によるコープランドの「市民のためのファンファーレ」で華々しく開演。
続いて、5つのオーケストラ(京フィル・兵庫PAC・京響・センチュリー響・関フィル)がリレー形式で演奏を行ないました。一つの舞台に、入れ替り立ち替り、在京阪神の5つのオケとその音楽監督や首席指揮者、あるいは共演機会の多い指揮者が登場するのは、オーケストラファンにはたまらない趣向。ただ、今回残念なのは、当日、別で演奏会が入っていた贔屓にしている大フィルがリレー演奏に参加しなかったのが残念…。しかし、合同オーケストラでは長原幸太さんが約115名からなる合同オケのコンマスを務め、また、佐久間聡一さんや榎田雅祥さんら、ほかの大フィルメンバーも合同オケに12名が参加していました(^^) 各オケのリレー演奏のあとは、合同オケによるワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲でコンサートのクライマックスを迎え、会場の熱気とともに終演へ。そして、アンコールにはエルガーの「威風堂々」で最高潮に達してコンサートは終わりました。終演時の時計を見ると午後10時…。3時間通しで休憩もなく…。ちょっと、疲れた感はありましたが、一晩で5つのオーケストラと合同オケを聴くという贅沢感があり大変満足♪終演のカーテンコールで、6人の指揮者が勢揃いして舞台に立つのも異例。オーケストラファンはもちろん、普段あまりクラシックやオーケストラに馴染みのない人にも楽しめるコンサートだったので、来年以降も「恒例行事」として定着して欲しいなぁ…と思いました。それにしても…、いやぁ、やっぱりオーケストラってイイですねッ。
▲楽器体験コーナーで子供にヴァイオリンを指導する大フィル楽員。

▲各オーケストラのPRブースの様子。
※各公演の感想は、今回をもって更新を終了いたします。
次回からは各公演の内容のみ掲載することといたします。

















