ベッキーさんシリーズ第1作。
舞台は昭和初期の東京。主人公の英子は、財閥の社長の令嬢。通っている学校は、代々武士の家や貴族など、当時の上流階級のお嬢さんが通っている。英子のお抱え運転手としてやってきたのがベッキーさん。そして2人で謎を解くことに。

この作品の面白さは、北村作品ではすでにおなじみ。様々な本ですね。ベッキーさんの名前の由来にもなっている『虚栄の市』なんて、読みたくなりますね。巻末にはちゃんと参考文献もあるし、これまた本好きには楽しいですね。

ベッキーさんは父の「知っている人の娘さん」というだけで、その素顔は謎を秘めています。運転の腕だけではなく、武術にも射撃もすごい。ボディガードでもあるんですね。おまけに頭脳明晰なんです。ベッキーさんに助けられて3つの謎を解いていきます。
新聞の変死事件の謎に挑む「虚栄の市」。英子の兄が友人から出された暗号とは…「銀座八丁」。映写会の上映中に遭遇した知人の死の真相とは「街の灯」。

わたしが好きなのは「街の灯」ですね。これあの映画名です。その内容にもそっていて、当時の社会を浮き彫りにしています。持っているものと持っていないものの社会について。いつの時代もそうなのでしょうが、当時の上流階級の視線から語られているところが、この作品の狙いだし、うまい。ベッキーさんの語りが冴え、はっとさせられます。決して当時だけでなく、現代に対しても警鐘しているところがすごい。

街には軍人の姿もあり、不穏な空気が押し寄せています。
幸せな日々も崩壊することを読者は知っています。そうした時代の中で、ベッキーさんと英子が解く謎と歴史の大きな渦。
ベッキーさんの謎も秘めて、第2作に続きます。

深い余韻の残る作品でした。さすがの北村さんです。


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