2008年週刊文春ミステリーベスト10「第3位」。このミステリーがすごい!2009年版「第2位」。本屋大賞ノミネート。吉川英治文学新人賞など、数々の賞に輝いた、著者のブレイク作品です。
時代は大日本帝国が列強国から植民地を解放するという名目で仕掛けた、太平洋戦争。結城中佐の訓練のもと設置されたスパイ養成学校D機関。徹底的に鍛えられ上げた訓練生たちは、世界の都市で諜報というもう一つの戦争を戦いぬいていく。
いやー、面白い。一気読み必至の作品ですね。何よりスパイ養成学校D機関を立ち上げた、魔王と呼ばれる結城中佐の存在感が全話に盛り込まれています。かって、スパイとして暗躍。しかし、敵国にスパイ容疑で拘束され、拷問により捻じ曲げられ手、足も負傷し杖をついて歩いているという結城。その彼が、陸軍の中では反対されつつ、スパイ養成を始めるという表題作が何といっても冒頭から引き込まれる理由でしょうね。
表題作は陸軍とD機関の仲介となった佐久間という男が主人公。D機関を嫌悪しているが、いつしか陸軍からも裏切られている事実を知ることに。そして、結城中佐の秘密も明かされていきます。もはや、誰も信じられない境地なんですね。ですが、結局陸軍も出し抜く結果になるんですが、これが爽快。以降陸軍も援助せざるをえなくなるんです。
第二話以降は、D機関を巣立ったスパイたちが国内で、イギリスで、上海で暗躍するする姿が書かれています。どの話も面白い。その展開が二転三転。まさに裏の裏は表。敵と思ったら味方。味方は敵になり、さまざまな駆け引きがドキドキしますね。結末がいい具合に落としていただけるので、これまた爽快なんです。大戦中の話なので、なかなか読めない気分だったのですが、早く読めば良かったですねー。
「殺人及び自死は最悪の選択肢」と叩きこむ結城。その教えが、スパイたちに伝わっていきます。見えない存在になることがスパイ。いやー、実際にこうした諜報活動ってあるんでしょうね。そんな厳しい世界を描きつつ、極上のエンターテインメントに仕上がっています。
これは第二作「ダブル・ジョーカー」も読まなくては。未読な方はぜひぜひ。面白いですよ。





