<リストラ請負人、厳しい現実が他人事ではない>

リストラを行うことが自分の仕事、「リストラ請負人村上真介」。そんな彼が請け負って出会うのは怒る女、オモチャ屋の男、旧友、元コンパニオン、音楽プロデューサー。シビアな現代を描きつつ、決して暗くない5つの短編。

うーん、リストラ世代になった今、この短編集は自分にとっても、決して笑って読むことができませんでした。こういう人物の設定や、リストラの対象にされる人たちを見るまなざしも、優しい視点で書いて欲しいのですが…。主人公はリストラ請負人だけあって、淡々と自分の仕事をこなしていきます。一人ひとりを査定で評価してリストラに追い込めれば良いのですが、簡単にそうはいかないのがまた現実的。何ともいえない複雑な気持ちに。

ただ、この作者はこうしたテーマを決して暗いものではなく、展望を持った書き方をしているところがすごいなーと感心してしまいます。読ませる力量はさすがです。名作「ワイルド・ソウル」のノリはこの作品にも出ていています。ある意味この作者の特徴なのかなと思ってしまいます。

人物の設定も面白い。主人公の恋人芹沢陽子との出会いとその後。
彼といつもコンビを組んでいる川田陽子は美人なのだけれども、今風のボケの持ち主。そんな彼女とは一定の距離を置いて付き合っています。そしてリストラの対象になる人たちの悲哀。

この主人公、マザコンなのか、かなりの年上の女性を好みます。その辺をもう少し書いて欲しかったのと同時に、現実的な生活の臭いが感じられない主人公なのです。全て完璧。

しかし、このテーマでここまで読ませるのは作者の力量。今後も読む作家だと思いますね。ACT.3「旧友」の夫婦の会話には泣きました。この作品の中でも絶品です。

良くもあり、悪くもあり。しかし、力量は認め、期待する。そんな作家さんは、誰にもありますよね。わたしにとってはきっとそういう作家さんでしょう。
結論は全体的にはいいが、個人の思い(読む側の)に左右される本でしょう。このテーマに挑戦した作家の意欲作と取りたい。
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