毎年行われる高校の行事、「歩行祭」。ただ昼夜を通して歩くというこの行事。高校三年最後の歩行祭がさまざま思いをこめ、スタートする。
甲田貴子は最後の歩行祭にある賭けをする。それは同級生、西脇融に対して持っていたものを打ち明けるために。果たして賭けは、成就するのか。
この小説は恋愛や友情、青春、成長などが網羅した素晴らしい作品です。
ただ歩くという団体行動が不思議な連帯感を呼び、夜歩くことが「告白」に導き、夜明けが「決心」を導きます。そしてゴールは「友情」で結ばれる。
何とうらやましい行事なのでしょうか。こんな行事があればいいなあと思ったのは私だけでしょうか。
そして、その中でさまざまな一人ひとりの思いが交錯します
西脇融の思いと甲田貴子の思いは人と人との友情や恋愛にも通じます。
お互い同じ感覚を持ち合わせた二人のわだかまりは、少しイライラしますが、ゴールに向かっていきます。
随所に名言もあり、そうだそうだ、あるいはそうだった。うんうんとうなづいてしまいました。
歩くということが人生を示唆し、今後の道をそれぞれが考えていきます。でも、ただそれだけではありません。
友情、恋愛をちりばめ、そして伏線として、謎を宿している。去年もいたという見知らぬ少年…。融へのラブレター。忍のデートの目撃などなど。
そして、ゴールに向かっていく。ラストはもどかしくもなりますが、ロック少年が気を利かせます。なんて素敵な友情。このシーンで涙してしまいました。
貴子は賭けを実行する。それは今後の自分の人生の賭けでした。思いと思いが交錯し、やっと本音で正直にお互いの気持ちを語り合う。
本当に「歩行祭」があったら、夜通し歩きたいそんな素晴らしい作品でした。しかし、恩田さんにしては異質の作品ですよね。
素晴らしい、青春小説の傑作です。





