<世界の吉本ばななはこの作品で始まった>

祖母の急死により、みかげの身内はいなくなった。この世に一人っきり。天涯孤独と思っていた主人公が突然拾われたのは、祖母の店で働いていた雄一の家だった。雄一の家は、母と二人暮らしなのだが奇妙な同居生活が始まる。

孤独ゆえに感じる「自分がいつか死ぬということを感じ続けていたい。でないと生きている気がしない」とひたすらにキッチンにのめりこむんですね。それは孤独から逃げるためであり、一生懸命生きる証であるためなんです。
そんな、みかげがキッチン2では、愛する人のために、懸命になるんですね。それがとっても無鉄砲でもあり、ひたむきでもあり、いいんですよ。お互いの孤独を埋めるために、お互いが必要だと気付いていくんです。
いいんですよ、カツどんが(笑)

主人公みかげの物語なのですが、何より光っているのは雄一の母親(?)、えり子さん。
「世界は別に私のためにあるわけじゃない。だから、いやなことがめぐってくる率は決して、変わんない。自分では決められない」だから、めちゃくちゃ、明るくしていたほうがいいというえり子さんに同感。明るく前向きなところがとってもいいなー。

どの3編も生と死をテーマにしているものの、死に向き合いながら、生を感じる作品です。
だから、暗く重い作品だけど、希望が見えるんですね。そして、この切れるような独特の文体が、とってもいいんです。
さすが世界のよしもとばななさん。

この作品はSNSの「やっぱり本を読む」の「100冊文庫企画」でめぐり合いました。これが、なかったらよしもとばななさんは、読まず嫌いになっていただろうな。SNSに入っていてよかった。
遅ればせながら、よしもとばななという作家は、すごいと思います。傑作です。

書き忘れました。いい作品は最初の一文で引きつけますね。あらすじの引用の出だしですけど(笑)。


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