ぼくの彼女は、謎に満ちていた――。
これはあらがえない運命だったのか。幸せを信じる男女に降りかかる、残酷な真実。
書店で真剣に本を選ぶ美しい女性――まるで絵画のような光景に見とれた川端直幸。友人の紹介でその女性・高野秋と偶然にも知り合う。やがて始まるふたりの交際。関係が深まる一方で、秋にちらつく深い闇は消えない。そして、ついにその正体が分かる時がやってくるのだが……。【講談社HPより】

書店で出会った彼女と、偶然にも友人の彼女の会社での同僚という話が、うまい話しすぎる気がするのですが、それを除いては、予想以上に面白かったのです。

書店での出会いを描く「ふたつの時計」は彼女、秋が二つの時計を腕にしていたことを、僕、川端直幸が論理的に説明します。しかし、それがなぜかというのは謎のまま。

「ワイン合戦」…友人の黒岩カップルと、川端と秋が食事をしに行った先で見た不思議な光景。カップルがグラス2つにボトルを2本。それぞれに頼んでいる。その論理的説明とは。

「いるべき場所」…川端が秋とショッピングモールで買い物をしていると、一人の子どもに出会う。重たそく、はずれないリュック。この子どもは一体、何を託され、誰を待っているのか。

「晴れた日の傘」…黒岩と千草。千草の父が、黒岩に託した傘。その思いとは。

「まっすぐ進め」…秋の誕生日に行った先は、時間が止まったままの故郷。忘れられない過去を、川端がやさしく解きほぐしてゆく。

という5編の連作短編集です。川端の秋の出会いとその友人たちを描いたものですね。どれもとっても印象的です。「いるべき場所」はとても悲しい話で、せつない。この子の将来を思わざるを得ません。
「晴れた日の傘」は父の思いに涙。そして表題作は、双子の妹の思いを感じた時、秋の心が溶けていくというのが、いいんですね。そんな問題を解決するのが、川端。直幸という、名前はまっすぐに幸せに向かって進め。この名前が彼を動かしているんですね。タイトルは、よくわからなくてどうかなと思ってのですが、これ、日常ミステリなんですけど、しっかり恋愛小説でもあるんですね。どの話も粒ぞろいでいい話でした。

切なく哀しい物語もあるんですが、この二人の将来を考えたら、とっても幸せな気分にさせられる作品でした。そう、この二人、幸せに向かい、「まっすぐ進め」。

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