今日はちょっと時間がないので本屋の話は省略。
内容に入ろうと思います。
進学校の弱小剣道部の主将だった十川慧一は、警察署での剣道の特訓で鷲見という剣道の鬼と呼ばれた男にボコボコにされる。それでも慧一には、鷲見に立ち向かわなくてはいけない理由がある。
同じく剣道部の女子主将であり、慧一の彼女でもある杏子が、鷲見に勝ったらヤらせてくれる、というのだ。何が何でも勝たないわけにはいかない。
慧一は杏子に言った。おまえのためなら死んでもいいと思っている、と。そして誓った。ずっとずっと、おまえを守ってやる、と。
杏子はとある金持ち一家で家庭教師のアルバイトをしていた。極道相手に金貸しをする男の息子で、甘やかされて育ったために手に負えない。それでも、父親が事故死し、生活費に困っている杏子は、バイトを頑張り続けるしかない。
ある日家庭教師のバイトをしていると、階下から悲鳴が聞こえてくる。それは、後に北千住一家惨殺事件と呼ばれることになる大惨事だった。一家三人が殺されたが、杏子だけは何故か生き残った。何故杏子だけが生き残ったのか、様々に憶測されることになる。
私を守ってくれなかった。そう言って、杏子は慧一と別れた。
それから19年後、ある中国人が殺される事件が起きた。捜査一課長から特命を帯びた退官間際の吾妻は、捜査一課のエースだという十川慧一と組まされることになる。十川はプライベートで、殺された中国人の相棒だった日本人を追っているらしい。吾妻は、十川の動向を監視しろと命じられるのだが…。
というような話です。
光文社の営業の方が、これはなかなかいいですよ、と言っていたので読んでみました。
ストーリーはかなり良く出来ていると思います。実際にあった一家殺人事件をモチーフにした作品らしいですが、恐らく実際のケースとはいろんな部分が変わっているんでしょう。
本書では、大小いくつかの事件が絡み合って、最終的に一つの真実にたどり着く、という構成になっています。細かな伏線がいろんなところに張られていて、読み進めていくときちんとそれが収束していく。なかなかうまい構成だなと思いました。
北千住一家惨殺事件は結局迷宮入りになってしまいます。その事件をベースに、謎が二通りに分かれて行きます。一つは、犯人は一体誰だったのか、そしてもう一つが杏子だけが何故生き残ったのか、ということです。この二つに加え、警察を辞めて経営者になった鷲見や、謎めいた行動をしている慧一、退官間際の元捜査一課長候補の吾妻、生き残った女杏子なんかが絡み合って謎解きが進んで行きます。凄くとんでもない謎が隠されている、とかなんとかっていうストーリーではありませんが、絡まった糸が少しずつほどけていくようなストーリーはなかなかいいと思います。
でも、偏見かもしれないけど、ノンフィクション作家出身だからか、小説的な文章はさほどでもないかなという気はします。もちろん、文章が下手なんていうことはまったくないんだけど、もう少し文章がうまかったらなぁ、と思ってしまうような感じでした。どこがどう、とはうまく言えないし、ただ僕にはあんまりと思えるような文章だったというだけかもしれないけど。僕のイメージでは、ちょっと安っぽいハードボイルドとかミステリーとかを書く作家の文章っぽい気がしてしまいました。もう一回言いますけど、別に下手だなんて言いたいわけではないんです。でも、ちょっと惜しいなぁ、という感じ。これだけストーリーの構成力があるなら、もう少し文章が良ければ結構ヒットする作家なんじゃないかなという気がするんで。
そんなわけで、永瀬隼介の小説は初めて読みましたが(昔ノンフィクションは読んだことがあります)、なかなか悪くない作家だなと思います。ただ、正直に言えば、別の作品も読みたくなる作家か、と言われるとちょっと微妙なんですよねぇ。そういう意味で、なんとなく中途半端な作家な感じです。この作品は結構よかったです。読んでみてください。
永瀬隼介「誓いの夏から」
内容に入ろうと思います。
進学校の弱小剣道部の主将だった十川慧一は、警察署での剣道の特訓で鷲見という剣道の鬼と呼ばれた男にボコボコにされる。それでも慧一には、鷲見に立ち向かわなくてはいけない理由がある。
同じく剣道部の女子主将であり、慧一の彼女でもある杏子が、鷲見に勝ったらヤらせてくれる、というのだ。何が何でも勝たないわけにはいかない。
慧一は杏子に言った。おまえのためなら死んでもいいと思っている、と。そして誓った。ずっとずっと、おまえを守ってやる、と。
杏子はとある金持ち一家で家庭教師のアルバイトをしていた。極道相手に金貸しをする男の息子で、甘やかされて育ったために手に負えない。それでも、父親が事故死し、生活費に困っている杏子は、バイトを頑張り続けるしかない。
ある日家庭教師のバイトをしていると、階下から悲鳴が聞こえてくる。それは、後に北千住一家惨殺事件と呼ばれることになる大惨事だった。一家三人が殺されたが、杏子だけは何故か生き残った。何故杏子だけが生き残ったのか、様々に憶測されることになる。
私を守ってくれなかった。そう言って、杏子は慧一と別れた。
それから19年後、ある中国人が殺される事件が起きた。捜査一課長から特命を帯びた退官間際の吾妻は、捜査一課のエースだという十川慧一と組まされることになる。十川はプライベートで、殺された中国人の相棒だった日本人を追っているらしい。吾妻は、十川の動向を監視しろと命じられるのだが…。
というような話です。
光文社の営業の方が、これはなかなかいいですよ、と言っていたので読んでみました。
ストーリーはかなり良く出来ていると思います。実際にあった一家殺人事件をモチーフにした作品らしいですが、恐らく実際のケースとはいろんな部分が変わっているんでしょう。
本書では、大小いくつかの事件が絡み合って、最終的に一つの真実にたどり着く、という構成になっています。細かな伏線がいろんなところに張られていて、読み進めていくときちんとそれが収束していく。なかなかうまい構成だなと思いました。
北千住一家惨殺事件は結局迷宮入りになってしまいます。その事件をベースに、謎が二通りに分かれて行きます。一つは、犯人は一体誰だったのか、そしてもう一つが杏子だけが何故生き残ったのか、ということです。この二つに加え、警察を辞めて経営者になった鷲見や、謎めいた行動をしている慧一、退官間際の元捜査一課長候補の吾妻、生き残った女杏子なんかが絡み合って謎解きが進んで行きます。凄くとんでもない謎が隠されている、とかなんとかっていうストーリーではありませんが、絡まった糸が少しずつほどけていくようなストーリーはなかなかいいと思います。
でも、偏見かもしれないけど、ノンフィクション作家出身だからか、小説的な文章はさほどでもないかなという気はします。もちろん、文章が下手なんていうことはまったくないんだけど、もう少し文章がうまかったらなぁ、と思ってしまうような感じでした。どこがどう、とはうまく言えないし、ただ僕にはあんまりと思えるような文章だったというだけかもしれないけど。僕のイメージでは、ちょっと安っぽいハードボイルドとかミステリーとかを書く作家の文章っぽい気がしてしまいました。もう一回言いますけど、別に下手だなんて言いたいわけではないんです。でも、ちょっと惜しいなぁ、という感じ。これだけストーリーの構成力があるなら、もう少し文章が良ければ結構ヒットする作家なんじゃないかなという気がするんで。
そんなわけで、永瀬隼介の小説は初めて読みましたが(昔ノンフィクションは読んだことがあります)、なかなか悪くない作家だなと思います。ただ、正直に言えば、別の作品も読みたくなる作家か、と言われるとちょっと微妙なんですよねぇ。そういう意味で、なんとなく中途半端な作家な感じです。この作品は結構よかったです。読んでみてください。
永瀬隼介「誓いの夏から」


