暗い色あいの表紙にホラー的な雰囲気が漂うが、中身は歴史小説。
冒頭部はリズム感のよい文章なのに、なぜか私の目は文字を上すべり。情景が頭に浮かびにくい。これは私が歴史をろくに知らないのが悪い。文中の固有名詞が、地名なのか人名なのか、はたまたお役人の役職名なのか、よくわからないのだ……。ああバカまる出し。やむなく電子辞書の助けを借りた。
そうして闇をかきわけるように読み進むと、まるでモノクロ画面にだんだん色がついていく感覚で、はっきりと情景が見えてきた。おびただしい血、累々と折り重なる無数の死体。そして死肉をむさぼる黒いカラスの群れ。
慶長七年(1602)、小生瀬という山あいの小さな村で人々が一斉に姿を消すという奇怪な事件が起こった。
徳川家康が関ヶ原の戦で勝利したのが慶長五年(1600)、江戸幕府を開いたのが慶長八年(1603)。豊臣から徳川へと時代が大きく移り変わる節目に事件は起こり、小生瀬の村ひとつが歴史から消えた。
人々が豊かな暮らしを営んでいた小生瀬で、いったい何があったのか。そこが気になって仕方なくて、やや取っつきにくさのある冒頭部を乗り越えた後はページをめくる手が止まらない。
猛スピードでたどりついたエンディングには、ひしひしと無常感が漂っていた。
事件前の小生瀬村は、穏やかで色彩ゆたかで、まるで宮崎駿のアニメ作品に出てきそうな理想郷である。
そんな村を崩壊させた犯人は誰なのか。本書を読んで「こやつとあやつが悪い」と指をさすことも、できないことはない。では「こやつ」と「あやつ」がいなかったら、はたして村は理想郷のまま永遠に存続しつづけただろうか?
人は良くも悪くも変化を求める生き物で、変化の積み重ねの上に私たち現代人の暮らしがある。いくら小生瀬が理想郷でも、そのころの暮らしを私たちがそっくりそのまま受け継ぐことはできない。
小生瀬村は、いくつも想定しうる変化パターンの中で最も残酷な道をたどり、そもそもの道の選択を変えることも、道の途中で引き返すこともできなかった。冷たい言い方になるが、行き着くべきところへ行き着いてしまったのだと思えてならない。
本書を映像化するならば……血なまぐさい要素が多いので、実写では無理かも。本当に宮崎監督がアニメ化してくれたら面白そうだが、小さなお子さんには見せられないなあ。
冒頭部はリズム感のよい文章なのに、なぜか私の目は文字を上すべり。情景が頭に浮かびにくい。これは私が歴史をろくに知らないのが悪い。文中の固有名詞が、地名なのか人名なのか、はたまたお役人の役職名なのか、よくわからないのだ……。ああバカまる出し。やむなく電子辞書の助けを借りた。
そうして闇をかきわけるように読み進むと、まるでモノクロ画面にだんだん色がついていく感覚で、はっきりと情景が見えてきた。おびただしい血、累々と折り重なる無数の死体。そして死肉をむさぼる黒いカラスの群れ。
慶長七年(1602)、小生瀬という山あいの小さな村で人々が一斉に姿を消すという奇怪な事件が起こった。
徳川家康が関ヶ原の戦で勝利したのが慶長五年(1600)、江戸幕府を開いたのが慶長八年(1603)。豊臣から徳川へと時代が大きく移り変わる節目に事件は起こり、小生瀬の村ひとつが歴史から消えた。
人々が豊かな暮らしを営んでいた小生瀬で、いったい何があったのか。そこが気になって仕方なくて、やや取っつきにくさのある冒頭部を乗り越えた後はページをめくる手が止まらない。
猛スピードでたどりついたエンディングには、ひしひしと無常感が漂っていた。
事件前の小生瀬村は、穏やかで色彩ゆたかで、まるで宮崎駿のアニメ作品に出てきそうな理想郷である。
そんな村を崩壊させた犯人は誰なのか。本書を読んで「こやつとあやつが悪い」と指をさすことも、できないことはない。では「こやつ」と「あやつ」がいなかったら、はたして村は理想郷のまま永遠に存続しつづけただろうか?
人は良くも悪くも変化を求める生き物で、変化の積み重ねの上に私たち現代人の暮らしがある。いくら小生瀬が理想郷でも、そのころの暮らしを私たちがそっくりそのまま受け継ぐことはできない。
小生瀬村は、いくつも想定しうる変化パターンの中で最も残酷な道をたどり、そもそもの道の選択を変えることも、道の途中で引き返すこともできなかった。冷たい言い方になるが、行き着くべきところへ行き着いてしまったのだと思えてならない。
本書を映像化するならば……血なまぐさい要素が多いので、実写では無理かも。本当に宮崎監督がアニメ化してくれたら面白そうだが、小さなお子さんには見せられないなあ。
![]() | 神無き月十番目の夜 飯嶋 和一 (2005/12/06) 小学館 この商品の詳細を見る |



