今「すべらない話」を見ながらこれを書いています。やるって知らなかったんですけど、やっぱ見ちゃいますね、これ。普段テレビを見るのって、週に2時間弱なんだけど、こういう時、テレビってあってよかったな、と思います。デジタル放送になったらどうしようかなぁ。テレビを買い替える気力がないんだけど。
昨日はしかし大変でした。バイトの話です。僕は文庫の担当をしているんですけど、毎年恒例の夏の100冊と呼ばれる文庫のフェアを展開しました。ただし、集英社と角川書店だけですけど。
元々、新潮社のフェアが今日入ってくるという予定の元で昨日集英社と角川書店を出したわけです。夏の100冊というのは、集英社・角川書店。新潮社が毎年行う規模の大きなフェアですが、入荷するタイミングが微妙に違うんですね。大体新刊が出るのに合わせて入ってくるんですけど。まあもし同時に入ってくるとしたら、運送会社が大変なことになっちゃうだろうから、そういう配慮もあるんだろうけど。
で、いろいろあって今日新潮社が入ってくると思ったんですね。で、昨日は遅番のスタッフも結構たくさんいたということもあって、新潮社が揃わない段階で出してみることにしました。まあ予想は外れましたけど。
しかしまあこれが大変でした。
いや、僕はそのフェアの展開はまったくやってないんです。遅番のスタッフ二人に完全に任せて、僕は一切ノータッチでした。文庫の陳列からPOPやポスター付けまで完全に任せました。
んじゃあ僕は一体何をしていたのか。
夏の100冊を出すスペースには、もともといろんな文庫が置いてあるわけです。夏の100冊を出すスペースを作るために半分ぐらいは返品したわけですけど、残りの半分はまだ売場に残したかったわけです。
僕がやっていたのは、その残したかった文庫を通常の文庫の売場に組み込む、ということを僕はずっとやっていたわけです。
これはキツかった。残したかった文庫は100点弱。これを、フェア台ではない通常の文庫の売場のあちこちに割り振って収めないといけないわけで、これは大変なんてもんじゃありませんでした。
最終的に、1日で10箱弱くらいの返品を作ることになりました。売り場も大幅に変えました。書店は力仕事だと言われるけど、昨日ほどそれを実感することはありませんでした。体力を絞りつくされた感じでした。
しかしまあ、この夏の100冊のフェアを出して、あと半年分の年間フェアを考えれば、しばらく楽になれそうな気がします。ここのところとにかくひたすら忙しかったので、早く一息つきたいなと思います。
「すべらない話」を見ながら書いているのでちょっと適当すぎますかね。すいません。
そろそろ内容に入ろうと思います。
本書は12編の短編が収録された短編集です。12個もちゃんと感想を書くのはかなり大変なんで、いつもよりは省略すると思います。
「親知らず」
実家にしばらく滞在して東京へと戻るその帰りの新幹線の中。私はいつもの予感を捉えた。親知らずが痛くなる兆候だ。
子供の頃から、歯医者に行きたくなかった。怖かったのは確かだ。でも、それだけじゃない。歯医者にあったポスター。虫歯のキャラクターがつるはしで歯を打っているあの絵が、どうしても好きになれなかった…。
「あじさい、揺れて」
僕と姉貴は有美さんとレストランにいた。おめでたい話を聞くためだ。おめでたいはずの話を。
有美さんは、僕らの兄の奥さんだった。交通事故で兄が死んでしまうまでは。
有美さんの再婚が決まったのだ。おめでたい話、のはずだ。
「その次の雨の日のために」
不登校になった子供たちに勉強を教えるフリースクールでボランティアをしているノブさんは、残念ながら亮平が戻ってくるという報告を受けたばかりだ。
教師から好かれている子供ではない。生意気で、大人をナメているところがある。
ある日、フリースクールの教師の一人が、亮平を殴った、という話を聞き…。
「ささのは さらさら」
七夕に短冊を書くのが恒例だった。少し前は楽しいイベントだった。お父さんが病気になってからは、何だか悲しいイベントになった。
お父さんが死んで、母と弟の三人暮らしになった。
しばらくして、お母さんが再婚の話をするようになって…。
「風鈴」
カップルばっかり住んでいるアパート。僕らも住み始めた。苗字は別々だったけど。
ある日隣に越してきたカップル。これから結婚をするんだという。僕らは二人で、ギリギリの会話をしながら、それでも相変わらず関係性が変わらなかった。
隣のカップルが部屋に風鈴をつけたみたい。僕が弾くギターの音に重なる…。
「僕たちのミシシッピ・リバー」
転校するトオルに、海を見に行こうと誘われた。僕らは、マーク・トウェインの本にはまっていたのだ。僕たちのミシシッピ・リバーへ向かって自転車を走らせた。
ずっと仲のいい親友だった。トオルが転校してしまうんだと思うと、どうしていいのかわからない…
「魔法使いの絵の具」
田舎で農作業をしながら、幸せな生活を送っていたわたし。夏休みに子供たちのラジオ体操のお手本をしていると、懐かしい人を見かけた。幼馴染みだった。東大に合格した秀才だ。目が合ったと思ったんだけど、向こうはこっちに気付かなかったかな…。
「終わりの後の始まりの前に」
夏が終わった。甲子園を目指して頑張ってきた三年間が終わった。
予選一回戦、強豪と当たった試合の最後の打席が僕だった。
見逃しの三振。ただ、あれは絶対ボールだったと思う…。
「金魚」
久々に実家に戻ると、懐かしい名前を聞いた。ケンちゃん。三十三回忌だ、という。
小学五年生の時、ケンちゃんは川で溺れて死んだ。一緒に祭に行った日の翌日だった。祭りの時にすくった金魚を川に戻そうとして川に落ちたらしい。
息子と祭に行くことにした。あの時と同じで、金魚すくいをした…。
「べっぴんさん」
おばあちゃんは大往生だった。曾孫までいて、100歳には届かなかったけど、おばあちゃんの葬儀はよく頑張ったという感じで半分お祝いだった。
いとこや親戚もたくさん集まって話をした。おばあちゃんの思い出で出てきたのが、ベビーパウダーだった…。
「タカシ丸」
お父さんのお見舞いに行っても、なかなか話すことがない。お母さんは、お父さんは雅也を待ってるんだっていうんだけど、二人きりになるとお父さんが困ったような顔をしているのは気のせいじゃないと思う。
もうお父さんがダメだという時、お父さんが一時帰宅することになった。その日、雅也はお父さんと、夏休みの宿題で船を一緒に作ることになった…。
「虹色メガネ」
メガネだけはどうしても嫌だった。お母さんも店員さんも似合ってるっていうけど、そういう問題じゃない。
クラスメートの川野さんに、メガネちゃんってあだ名をつけたのは私だ。あんなあだ名、つけなきゃよかった…。
というような感じです。やっぱり12編も感想を書くのは厳しいですね。
やっぱり重松清は相変わらず素晴らしい話を書きますね。
全体的にまとまったテーマがあるというわけではないけど、やっぱり重松清の作品だなという感じの、まさに重松清にしか書けない作品を書くなという感じでした。
僕が好きな話は、「あじさい、揺れて」、「ささのは さらさら」、「タカシ丸」、「虹色メガネ」です。
「あじさい、揺れて」は、死んでしまった兄の元奥さんが再婚をする、という微妙な舞台を、実にうまく描いていました。最後の最後に、主人公が有美さんの息子に教えるエピソードなんて大好きです。
「ささのは さらさら」は一番好きかもしれません。前半は、死んでしまったお父さんの話、そして後半は再婚相手の男性との話。その揺れ動く娘心をすごくよく描いているなと思いました。
「タカシ丸」は、まああんな話を書かれたら誰でも泣くだろみたいな話で、まあベタなのかもしれないけど、ベタな話を書いて感動させる作家では重松清はトップクラスなんで、やっぱりいいですね。
「虹色メガネ」は短い話で、しかも人が死んだり家族が大変なことになったりするわけではないんだけど、結構よかったです。視力が弱くなってメガネを掛けなくてはいけなくなったんだけど、クラスメートにメガネちゃんってあだ名をつけてしまったがためにどうしてもメガネを掛けたくない女の子の心情がよかったなと思います。
他の作品もよかったんですが、あれこれ書くと長くなるんでこれぐらいにしておきます。
しかし、作品自体は素晴らしかったんですけど、でもちょっと書きたいことがあるんです。
重松清の作品は、一つ一つはもちろん素晴らしいんだけど、これだけたくさん読んでいると、どうしても感動が薄れつつあるなという感じがあります。
これはどうしてかと考えた時、短編集だからだろうなという気がするんです。
長編の場合、もちろん随所に重松清らしさが出てくるし、似たようなテーマの作品もたくさんあるんだけど、それでも長編という長い話の中でいろいろ書きこんでいくと、作品ごとの特徴というのが出やすくなってくると思うんで、いいと思うんです。
でも、短編の場合って、どうしても作品自体が似てくると思うんですよね。家族という結構広いテーマで作品を書いているんだけど、数が数なだけに、短編同士がどうしても似てきてしまうと思うんです。一つ一つのレベルは高いんだけど、数が飽和してきてしまっているというか。だから、重松清の長編まだ新鮮な感じで読めるんだけど、短編の場合はどうも初めて読む作品なのに新鮮さが薄れてしまう感じがあるな、と本書を読んでちょっと思いました。
重松清は相変わらず好きだし、素晴らしい作家だと思うんだけど、ちょっとしばらく読むのを止めて、また新鮮な感じで読めるようになるのを待とうかなと思ったりしました。
いろいろ書きましたが、作品自体は相変わらず素晴らしいです。いい話を書きます。ぜひ読んでみてください。
重松清「僕たちのミシシッピ・リバー 季節風・夏」
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