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2011年10月14日

Under the Rose(アンダーザローズ)7 ― 春の賛歌

Under the Rose 7 春の賛歌 (バーズコミックス デラックス)Under the Rose 7 春の賛歌 (バーズコミックス デラックス)
(2011/09/26)
船戸 明里

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「Under the Rose 」略して「あんだろ」

6巻発売から2年4ヶ月ぶりの7巻。

6巻までは1年に1冊ペースだったので、去年は「今月こそ出るか?!」と、そわそわしながら待っていたのだけど。

なんかもう待ちくたびれた…

とはいえ、読み始めればやはり最後までぐいぐい引っ張られる。

そして、読み終えた途端「続きは来年か再来年か…」と、また蛇の生殺し状態に。

6巻の感想はこちらから→アンダーザローズ6-春の賛歌



前巻で、正妻アンナに「もう貴女を愛していない」と告げたロウランド伯爵。

それでも表向きは、今までと変わりない日常が続くかに見えた。

ところが、アンナの言葉に従うことを決めたマーガレットが、伯爵には何も告げず 二人の子どもを連れて突然姿を消したため、伯爵もまたその後を追って失踪。

そのことを知るのはアンナとウィリアムのほか、一部の使用人のみ。


伯爵の失踪後、アンナが家政に口を出し始めたことから、ロウランド伯爵家の空気は一変する。

使用人のほんのささいな失態を見咎めては解雇し、それによって使用人が激減したことから、残った使用人の仕事が膨れ上がり、耐えかねて辞めてゆく使用人が増えるという悪循環。

家政に疎いアンナは、新しく使用人を雇うためには今より賃金を上げなければ誰も来てくれないなどとは 思いも及ばないのだった。


伯爵はもう帰ってこない。

口には出さずとも、ウィリアム そして上級使用人の誰もが、なんとなくそう思い始めていた。

そんな中、家庭教師のレイチェルだけは、伯爵が子どもたちを見捨てるはずがないと信じ、「絶対にクリスマスにはお戻りになります」と主張する。


それまでは何としても今のままのロウランドを維持しなければならない。

そして、子どもたちには、スタンリー母子と伯爵の失踪を知られてはいけない。


子どもたちとロウランドを守るため、レイチェルの奮闘は続く。





伯爵不在のロウランドの人々の困惑と焦燥。

そして、伯爵とスタンリー母子の逃避行が描かれる。


アーサー・ロウランド伯爵は、その人柄から使用人にもフレンドリーで、そのせいか子どもたちと使用人の垣根も低い。

それがアンナの目から見ると「ロウランドの使用人は教育不足」ということになるのだった。


「こんな調子ではロウランドから使用人がいなくなってしまいます」という本当のことを、誰もアンナに向かって言わないところにリアリティーを感じる。

レイチェルにしても、明らかにアンナの判断ミスなのに「奥様に恥をかかせる訳にはいかない」と、自分ひとりでなんとかしようとする。

そのせいで風邪をひいて四日も寝込んだのに、何も知らないアンナに「四日間も子供達を放置してよくも平気でいられますね」などと理不尽に責められても「お前のせいだろ」とは決して言わない。


19世紀後期の英国、貴族の屋敷では 主人と使用人の関係って ほんとにこんな感じだったんだろうなぁと思う。

だからこそ、ロウランド伯爵の人柄が際立って、彼は特別なんだと読者に印象付ける。


今回は使用人たちが良い味を出していた。私は特にウェルズさんがお気に入り。


なるべく早く続きが読みたいが、アシスタントさん無しで調べものをしながらでは、そんなにさくさく進まないらしい。



「あんだろ」の前に発表された「Honey Rose」(略して「はにろ」)という作品があって、これは「あんだろ」の十数年後のお話。

単行本は出ていなくて、今のところはダウンロード販売のみ。

ただし、「あんだろ」完結後に、「あんだろ」の続刊に 加筆修正の上「Honey Roseの章」として収録されるという。

それまで待つつもりだったけど、いつ完結するのか 考えると気が遠くなりそうだったので、WEBコミックというものを初めて買ってみた。

これは、ロウランド家の庶子の末っ子フィオナを主人公にして描かれたもの。(なんと、また庶子が増えてました)


大人になったロウランド家の子どもたちを見て、久しぶりに会った親戚のおばちゃんのごとく、「まあっ、大きくなって~」とか「なんでこうなった?!」とか突っ込みつつ、フィオナと一緒に一喜一憂しながら読み終えた。

とりあえず、いちばんびっくりしたのは、あの つんつんつんつんとんがりまくってたライナスが、人当たりの良い温厚な好青年に成長してたこと。


「はにろ」を読んだら、ますます そこに至るまでの「あんだろ」の展開が気になってしかたないのであった(笑)

あ、ちなみにタイトルの「Under the Rose」(=秘密に)は、作者によると「フィオナには内緒」って意味らしい。
長兄のアルが検閲済みの事柄しか、フィオナには知らされないんだとか。

…まあ、赤ちゃん同様の14歳には話せないことが多過ぎるわなぁ。


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2011年09月05日

「さすらいエマノン」梶尾 真治

「さすらいエマノン」梶尾 真治
241p徳間書店

目次
さすらいビヒモス
まじろぎクリィチャー
あやかしホルネリア
まほろばジュルパリ
いくたびザナハラード

エマノン40億年の記憶を持つ少女。ファンタジー。

短編
連作なのかな?
エマノンが中心なんだけどね。
エマノンは noname を逆から 読むんだって。
日本的に言えば『しなな』ちゃんて ことか。
まぁそんなのはどうでも委員だけど全体として、なんか手塚治虫のSF漫画を 読んでる感じ。

年代を 書いてなかったら、結構 いつの時代でも オッケー見たいな気がする。

2011年07月20日

「おてんばルル」イヴ・サンローラン

「おてんばルル」イヴ・サンローラン
河出書房新社

モードの帝王、イヴ・サンローランが 残した唯一の絵本。

赤と黒で書かれた漫画のような コマ割りの絵本。

シュールというのか、子供の絵本じゃない。
大人たちが 楽しむ?感じ。イヴ・サンローランでなかったら 手に取らないかも。
フランス的かも。

2011年06月18日

乙嫁語り 3

乙嫁語り(3) (ビームコミックス)乙嫁語り(3) (ビームコミックス)
(2011/06/15)
森 薫

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エイホン家の居候だった英国人学者ヘンリー・スミスの道中を描く第3巻。

1、2巻の感想はこちらから→乙嫁語り



エイホン家を出て、トルコのアンカラへ向かうため、カラザの町で 友人の手配してくれた案内人を探すスミス。

人波に揉まれるうち、気が付けば荷を積んだロバも 馬も盗まれていた。

そこに、同じく愛馬を盗まれ途方に暮れる若い女性 タラスが現れる。


幸運にも、盗まれたものは全て戻ったが、案内人には会えないままのスミスを、タラスは自分の家へと招待するのだった。




2巻まで読んで、「カスピ海沿岸」「中央アジア」というキーワードから、現在のカザフスタンかトルクメニスタン辺り?と思っていたが、今回出てきた地図を見る限りではウズベキスタンかも。

タラスの住まいが「ユルタ」とあるので、あるいはキルギスかもしれない。

「ユルタ」とは、キルギスの遊牧民が使う移動式住居で、大きなテントのようなもの。


そこで、義母と二人で暮らすタラスは、美しくも薄幸の乙嫁。


最初にアミルという8歳も年上の姉さん女房を出してきたと思ったら、今度は五人の夫に次々と死に別れたという、とことんツイてない未亡人。

こういう飽きさせないキャラ作り、さすがだな~と思う。



この巻では、1、2巻より更に、馴染みのない土地の文化や慣習に驚かされた。

主要登場人物の中で ただ一人の外国人であるスミスの視点は 読者の視点であり、彼の言葉は 読者の疑問を代弁したもの。

国や地域や民族によって、そして時代によって、もっと言うなら人によってさえ常識は異なるのだと頭では解っていても、気持ちが追いつかず、読者はスミスと同じように戸惑う。

理不尽な仕打ちに傷つき、やるせない思いを抱えたまま旅を続ける。



終始、何の非もないスミスが揉め事に巻き込まれ、さんざん振り回された挙句、最後はあの仕打ちかよ!という、どうにもすっきりしない結末(?)だった。

いや、あの件があれで終わったとは、正直思いたくない…。



まだ若い嫁を不憫に思う義母と、その義母をいたわる嫁の姿は美しい。

どちらも儚げで痛々しいようにも思えたが、最後の最後に、実はそうでもないのかも…と思ってしまった。

意地の悪い見方かもしれないが、あの優しげな義母は、実は嫁のためだけを考えてそうしたのではなく、保身に走ったのではないかと。

厳しい土地で生きてきただけあって、根は結構しぶといんじゃないかと思う。



ただ生きていく事にすら多大な労力を要する そういった土地に 代々暮らしてきた人たちなのだ



だから、慣習や価値観が大きく違うのも、無理からぬことではあるけれど。

でも、その土地に生きる女性だからといって、本当に ほんの少しも、自身の扱われ方を 置かれた境遇を、理不尽だと思うことはないのだろうか?

1、2巻のアミルの実家の件では、理不尽を 読者の胸のすくような展開で解消してくれたので、今回の一件も なんとか良い方向に向かないものだろうかと思う。

どうしても、タラスが幸せになれそうな気がしない上、スミスが気の毒すぎる。



もやもやの残る終わり方だったが、そんな中、第十六話「市場で買い食い」は ひたすらに楽しい。

当分は出てこないだろうと思っていたアミルとカルルク、パリヤが、市場で買いものをするお話。

スミスの身を案じてカラザまでやって来た三人が、スミスの帰りを待つ間の出来事である。


女性は外で食事をする習慣がないことが、このエピソードで初めて知れる。


屋台で食べものをどっさり買い込んで、茶店の奥の部屋を借りての 賑やかな食事風景。

屋台の焼き飯の作り方が ものすごくリアルだった。

湯気とか香りとかが感じられそうなくらい。

工程だけなら炒飯よりはパエリアに近い感じかな。あー、美味しそう。


そして こんなところでも、「なんでもさばける」アミルの腕前が遺憾なく発揮されてて笑った。


案内人のアリと、アミルたち三人のほか、途中から通りすがりの人たちも めいめい食べものを持ち寄って加わり、ちょっとした宴会のような賑やかさ。

どの料理も美味しそうで、見ているうちにお腹が空いてくる(笑)



あとがきに「アミルさんの次のエモノはなんだろう?!」とあるので(笑)、またちょくちょくアミルが出てくるのかな~と嬉しくなった。

いや、もう この後しばらくは、スミスが次にエイホン家に立ち寄るまで出番がないだろうと思っていたので。


絵は相変わらず緻密で美しい。

アミルとはまた違った、タラスの儚げな美貌にうっとり。

頼りになりそうな案内人のアリの人柄が とても好ましい。

アンカラまでの長い旅路も、彼がいるなら大丈夫だろう。


あとがきにも書かれていたが、ビミョーなところで終わってしまったので、一年後の4巻が尚のこと待ち遠しい。


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