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2009年03月16日

どこから行っても遠い町

どこから行っても遠い町どこから行っても遠い町
(2008/11)
川上 弘美

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京の小さな町の商店街と、そこをゆきかう人びとの、その平穏な日々にあるあやうさと幸福。川上文学の真髄を示す待望の連作短篇小説集。

最初の一編を読んだ時に、少し肩透かしをくらったかんじだったのですが、次々に読み進めていくと前の編に登場してきた人物が出てきていろいろ気になってくるのです。
この登場の仕方もあくまでもさりげないのです。
最後の一編を読むとなにかしら触れ合った人々は記憶にとどまるんだなと。
それがあくまで通り一遍の一であろうとなかろうと。そうやって日常は出来上がっていくんだと。
どの話もさりげない口調で穏やかに描かれているけど、これって結構ドラマチックですよね。
波乱万丈に思える人生も、本当は日常なのかもしれないのかしら…

一番印象に残った話は、雨の写真を撮るのが好きな女性と喫茶店「ロマン」の店主の話。
年代を超えて友情が芽生えてくる?ところがステキ。
「ねぇアタシを撮ってよ」なんて老女に言われたら…なんて粋なおばあちゃんなんでしょ。

いろいろなブログで感想を見たのですが、皆さん好評なんですよね。私がひっかるのは不倫の恋が多いってこと。
不倫ってそんなに日常的?結婚ってどんなもんなのかなと思いながら読んだのでした。

2009年02月05日

「美女と野球」リリー・フランキー

一応デビュー作。
一応と言うのは、書いたのは初めての作なのに発行は後になってしまった、ということなので。

(「BOOK」データベースより)
好きなものは美女と野球。のんべんだらりんと、底の浅い濁流のような毎日。タキシードを着て司会をし、双子の姉妹やコントの国の人に会い、レコード会社を作り、オカンとオトンと三人で夜の東京タワーを見て…コク深くて笑いに満ちた、愛と哀しみのエッセイ集。

リリー・フランキーさんの本は、大ヒットした「東京タワー -オカンとボクと、時々オトン-」を読んであんまり感動できず、でも世の中は「感動で涙の嵐」的な雰囲気の中、感想も書きにくくてアップしていない・・・という事があって以来、少し敬遠していましたが、今回なんとなく読んでみました。
エッセイ集で、物凄くシモネタが多いです(笑)
エッチでお下品。だけど、違う何かは伝わってきます。
電車で読んでいて、吹き出してしまうような面白いエッセイもありました。
でも・・・この本は、やはり男性が読むと面白いのかなと思いました。

美女と野球 (河出文庫)

2008年10月02日

「京都の洋館―The 40 European‐styles in Kyoto 」

「京都の洋館―The 40 European‐styles in Kyoto 」

111p青幻舎

京都の瀟洒な洋館を40軒を 紹介。


写真入で 見るだけで 心地よい空間だとわかる。
行っていないところも 多く 一度は外からで いいから行ってみたい。

2008年05月20日

ぼくたちと駐在さんの700日戦争(ママチャリ)

地元に戻るのは、実に20年ぶりになる。忙しいということももちろんあったが、それだけじゃない。やはり、地元に置いてきた様々なものと距離を置きたかったのだろうと思う。家族や友達や思い出と言ったものたちと。後悔はない。正しいと思ったこともないけれども。
父親が入院したとのことで、いい加減顔を出せ、と母親に言われての帰郷だった。正直乗り気ではない。ただ、病気を持ち出されると弱い。両親に会うなんて今さらだと僕は思うけれども、しかしまあ、仕方ない。
電車に揺られながら、僕は地元に住んでいた頃のことを思い出していた。既に大分昔の話だ。どんどんと忘れてしまっている。しかし、その中でもかなり印象に残っている出来事がある。
僕は子供の頃、イタズラばかりして遊んでいた。あちこちに落とし穴を仕掛ける、なんていうのは常習で、他にも賽銭箱にカエルを百匹詰め込んだり、狛犬を壊して代わりに本物の犬を接着剤で固定したりと、無茶苦茶なことばっかりやっていた。僕のイタズラに引っかかる人はたくさんいて、その度僕と僕の両親は怒られることになった。それでも僕はイタズラを止めなかった。楽しくて仕方なかったからだ。
そんなある日のこと。いつものように僕はイタズラに励んでいると、一人のおじさんが近づいてきたのだった。見たことのない顔だった。田舎っていうのは、大抵の人と面識がある。それでも知らないっていうことは、他所から来た人なのか、あるいはこの辺に住んでいる人の遠縁か何かなんだろうな、とぼんやり思った。
「人を傷つけることになるからイタズラはもう止めろ」
知らないおじさんにまで言われるなんて、よほど僕は有名なんだな、なんて呑気に考えていた。
それからよく覚えていないが、僕はイタズラを止めた。どうしてだっただろうか。何かきっかけがあったようにも思うけど、どうも思い出せない。
実家の最寄り駅についた。最寄り駅と言っても駅からはかなり遠い。幸い父親が入院している病院はまだ駅に近いところにあるので、ブラブラと歩きながら行こう、と思った。
駅を出た僕は唖然とした。目の前の光景が、20年前に実家を出た時とまったく同じだったからだ。いくらなんでももっと変化してるはずだろう。まさかこの町は時間が止まっているんだろうか。
病院の方へと向かう途中も同じことを思った。この町はあまりに変わらなさ過ぎる。おかしい。何が起こっているんだろう。
病院への近道となる公園に差し掛かった。懐かしい場所だった。よくここに落とし穴を作ったものだ。多くの人が落ちてくれた。それを見るのが楽しくて仕方なかった。
懐かしさもあって、自分が落とし穴をよく作った辺りを歩いてみることにした。
えっ。
足元が崩れ、体が地面の下に落下した。まさか、と思ったが、自分が落とし穴に落ちていることは間違いないようだ。20年以上前に自分が作ったものがまだ残っていたなんてことはありえないだろう。となれば、この町には今、落とし穴を継承する人間がいるということだろう。
しかし、僕のその仮説はあっさりと打ち崩れた。何故なら落とし穴の中に、それを作ったのが僕だという証拠が残っていたからだ。それは落とし穴の壁にはめ込まれた一枚の板切れだった。僕は当時イタズラを作り上げると、そこに自分の痕跡を残すことにしていた。その板切れには、僕の名前と作った日がかかれている。
(まさか僕が作って以来ずっと残ってるんじゃないだろうんぁ)
そこで僕は思い出したのだった。何故僕がイタズラを止めたのだったか、を。
友達の一人に大怪我をさせてしまったのだ。彼女は僕の作った落とし穴に落ちて、運悪く半身不随になった。それから僕は地元にいづらくなったのだった。そして逃げるようにして、東京にやってきた…。
そうだったのだ。僕がこれほどまでに地元を忌避しているのには、そんな理由もあったのだった。もうすっかり忘れてしまっていた。まさかこんな場所で思い出すなんて、思ってもみなかった。
とりあえず腑に落ちないことは多いけど、病院にまた向かうことにした。しかしその途中で僕は信じられない人に出会うことになる。
20数年前、イタズラに精を出していた頃の僕だった。
僕はそこようやく理解した。いや、ちゃんと理解できたわけではなかっただ、それしか考えようがなかった。つまり、僕は何故か過去へとやってきてしまったのであり、そして僕が子供の頃にあったことがあるおじさんというのは、自分自身だったっていうことを。
このまま落とし穴を作り続けていれば、いつか友達を怪我させてしまう。止めさせないと。
「人を傷つけることになるからイタズラはもう止めろ」
僕は僕に向かってそう言うと、その場を立ち去った。どうせ、あの当時の自分に何を言って聞かせたところで、イタズラを止めるとは思えない。結局何も変えることが出来ないのだろう。
病院に行ったら父親は入院しているだろうか?あるいは、実家で20数年前の姿で生きているのだろうか?どっちとも判断がつかず、とりあえず病院に行くか、と決めた僕でした。

一銃「イタズラを振り返る」

まあありがちなパターンですけどね。
そろそろ内容に入ろうと思います。
本作は、元々ブログで連載されていた小説だったそうですが、やがて人気になり書籍化されたものです。半分実話も織り交ぜた小説、なんだそうです。
舞台は1970年代。田舎に住むヤンチャな高校生が主人公です。
きっかけは、友人の一人がバイクの速度違反で捕まったこです。これに復讐してやろうと、レーダー測定(ねずみ捕り)で自転車は捕まるのか、という実験をすることにしまいした。それにより駐在さんの不興を買い、そして大人気ないことになんと駐在さんは高校生の彼らに復讐をしてきたのです!
やられたらやり返す、をモットーに、頭脳のすべてをイタズラに費やすおバカな高校生たちの、青春の一幕なのです。
というような話です。
いやはや、爆笑しました。面白かったですねぇ。やっぱブログから出てくる作品っていうのは僕は結構好きだなと思いました。
本作は一応小説という形式ですけど、まあ小説として評価するのは難しいですね。文章がどうとか、ストーリーがどうとか、そういう部分はもちろん小説として弱いわけで、そういう部分での評価をしようとすると、なかなか厳しくなると思います。
でも例えばですけど、誰かの日記を読んでる、みたいな雰囲気で読めばすごく楽しめると思います。とにかく、馬鹿馬鹿しいイタズラのオンパレードで、僕は爆笑の連続でした。こういうことばっかりに知恵が回るやつってのは確かにいたなぁ、なんて思いながら読んでいました。
本作を読んでて、何となく、宗田理の「ぼくらの」シリーズのことを思い出しました。「ぼくらの」シリーズは、中学生(だったよな、確か)のあるグループが、いろんな悪巧みを仕掛けながらトラブルも解決するみたいな話で、僕は中学時代にド嵌まりしました。小説としてはもちろん「ぼくらの」シリーズの方が遥かに上ですが、ただイタズラのテイストみたいなものは結構近いんじゃないかなぁ、とか思ったりしました。
彼らのイタズラは、やっぱり駐在さんに対するものが一番面白いです。とにかくこの攻防は長くて、まさにやられたらやり返す、という感じです。駐在さんもホント大人気なくて、大人として、そして駐在さんとしてそんなことしていいわけ!?というようなことさえ臆することなくやっちゃうんですね。とてもまともな大人とは思えませんが、それがストーリーを面白くしています。
やっぱり白眉なのは、「セクシーな下着を駐在所のあちこちに仕掛ける」というイタズラで、これほど綿密でかつ大規模な作戦を成功させた手腕は天才的だなぁ、と思いました。何せ、駐在さんへの「お土産」が、「チョコレート・ノート・三角定規」ですからね。僕も初め意味がわかりませんでしたけど、しばらくして納得しました。ホント頭のいい連中です。
彼らのイタズラは、実は駐在さんだけに留まりません。彼らはとある事情から書店での万引きを疑われるわけだけど、その後「彼らならやりかねないなぁ」的な発言をした商店街の人間がいる、という噂を耳にするわけです。これは復讐するしかねぇ!と彼らは立ち上がります。
レコード屋と電気屋をターゲットにするわけだけど、この復讐もお見事ですね。特に、レコード屋の方の復讐は、単純でいて効果抜群という感じがしました。まあ実はレコード屋の方のイタズラは、事情があって彼ら自身も被害を被ることになっちゃったんだけど。
イタズラを仕掛けるメンバーも強烈な個性の持ち主ばかりで、その中でもエロくて天然な西条君というのが相当いいキャラしてます。巻末ではこの西条君の意外な姿が描かれたりして面白いですね。
たぶんこの作品、書籍化されてるのは全2巻なんだけど、2巻目も読んでみようかなぁ、とか思います。馬鹿馬鹿しくて僕は好きですね。未だにブログの方でも更新が続いているようなんで、機会があればそっちも見てみようと思います。馬鹿馬鹿しい話を読みたいという方、読んだら結構面白いと思いますよ。

ママチャリ「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」


ぼくたちと駐在さんの700日戦争文庫

ぼくたちと駐在さんの700日戦争文庫