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2010年11月11日

村上龍電子書籍会社を設立の経緯と動画 坂本龍一との関連

村上龍が電子書籍会社を設立し、11月4日に記者会見があった。
JMMの「G2010設立の理由と経緯」
http://ryumurakami.jmm.co.jp/g2010.html

リッチ化では音楽や音声も重要です。『モニカ 音楽家の夢・小説家の物語』(96新潮社)は、坂本龍一の夢に、わたしが掌編小説を付けるという形の本ですが、電子化に際しては、坂本龍一に、彼の夢をナレーションとして肉声で語ってもらおうと考えています。


電子書籍会社設立には、親交の厚い坂本龍一の助言が大きい。
メールマガジンが配信(公開)された日、わたしは坂本龍一の北米ツアーのUSTを観て、頭が飽和。
坂本龍一氏のファンであることはブログを読めば一目瞭然。
それと、同じくらいに好きなのが村上龍氏の作品。
全作品と言わないがかなり読んでいるし、存在が大きい。
残念ながら再生機器を持っていないので、年内か年明けには購入したいと思っている。
村上×坂本の作品を体験したい。
お二人とも既成概念を壊す先駆者であり、新しい未来を作る。

いくつかのネットニュースを抜粋
・毎日JP http://mainichi.jp/enta/art/news/20101104mog00m040027000c.html
村上龍:電子書籍の新会社設立 瀬戸内寂聴、よしもとばななも参加「紙にないものを作る」
「G2010」設立会見に登場した村上龍さん
作家の村上龍さんが4日、電子書籍の企画制作・出版を行う新会社「G2010」の設立を発表した。発起人の村上さんが「電子書籍ってワクワク、ドキドキするもの。変化っていうのは自分で起こせるもの。そう思ってG2010をやっていこうと思います」と抱負を語った。


・日経トレンディ http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20101105/1033535/?tdi
村上龍氏が電子書籍の新会社「G2010」を設立した理由は?
作家の村上龍氏は、電子書籍の企画や販売を手がける新会社「G2010」を2010年11月5日に設立すると発表した。資本金は1000万円。音楽制作やデジタルコンテンツの企画制作、配信を手がけるグリオと村上龍事務所の2社が出資し、社長にはグリオの船山浩平氏が就任する。村上氏は取締役を務める。初年度に1億円の売り上げを目指す。
 ラインアップは、2010年7月にiPad版を発売した村上龍の「歌うクジラ」、同氏のデビュー作「限りなく透明に近いブルー」、1987年から続くエッセイシリーズをすべて収録した「すべての男は消耗品である」。電子書籍のために書き下ろしたよしもとばななのエッセイ集「Banakobanashi/ばなこばなし」やタイトル未定の瀬戸内寂聴の小説も11月下旬に配信する予定だ。iPad向けだけでなく、Android OS搭載のスマートフォン向けにも提供する。


・ベンチャー人 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1011/04/news100.html
「変化を自分で作りたい」 村上龍氏が出版社と組まずに電子書籍を出す理由
電子書籍をめぐる状況を、ポジティブに変えていきたい」――作家の村上龍さんが11月4日、電子書籍を制作・販売する新会社を5日付けで設立すると発表した。自著のほか、よしもとばななさんなどの電子書籍を刊行。制作コストや利益配分を公表することで、電子書籍ビジネスの公平なモデルを示したいという。
 社名はG2010(ジーニーゼロイチゼロ)。社長は、村上さんの小説「歌うクジラ」の電子化を手がけたIT関連企業・グリオの船山浩平社長が兼任し、村上さんは取締役を務める。資本金は1000万円で、グリオと村上龍事務所が折半出資する。

・村上龍 RVR 電子書籍の会社をつくった理由 (11月10日公開)
http://video.jp.msn.com/watch/video/rvr-%E9%9B%BB%E5%AD%90%E6%9B%B8%E7%B1%8D%E3%81%AE%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%90%86%E7%94%B1-hd/531gc9bh

尚、単行本も発売になっています。

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村上 龍

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◆歌うクジラ公式サイト
http://www.ryumurakami.com/utaukujira/pc.html

◆関連記事
・【第2版】村上龍の電子書籍『歌うクジラ』がドコモ スマートフォン GALAXY S、Xperiaで期間限定サービス提供、坂本龍一が音楽担当
http://greenfieldsgreen.seesaa.net/article/167429670.html

・【情報更新】坂本龍一音楽担当、村上龍『歌うクジラがiPhone、iPod touchでも配信開始、単行本は10月21日発売予定
http://greenfieldsgreen.seesaa.net/article/163923297.html

・【第2版】村上龍『歌うクジラ』のiPad版がiTunes STOREで配信開始 音楽担当は坂本龍一 動画を追加
http://greenfieldsgreen.seesaa.net/article/156622675.html

・「村上龍 歌うクジラ」WEBサイト
http://greenfieldsgreen.seesaa.net/article/156396751.html 

・村上龍『歌うクジラ』はiPadで先行配信、音楽担当は坂本龍一
http://greenfieldsgreen.seesaa.net/article/156361307.html

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2010年06月21日

横道世之介 吉田修一 

評価:
吉田 修一
毎日新聞社

2010年本屋大賞第3位。

職場の本好き仲間Wさんに借りた本です。Wさんありがとう。たぶん、このブログ、知らないだろうけど…。

新幹線の中で泣いてしまいました。悲しい涙じゃなくて、どちらかというと、清々しい涙かな。
こんなに主人公が憎めず、愛しく思った作品はなかったですね。

大学に合格し、上京。親元を離れてからの新生活の1年が描かれます。
何かを見つけ、学び颯爽とした大学生活とは程遠い、あるがままの気持ちのまま、サークルや勉強や、バイトなどなど。飄々としたあっけらかんとした世之介がいとお愛しくなってくるんです。何せ、サンバサークルだもの(笑)

そんな1年間の人々との出会いや自分を見つける1年間が、さりげなく描かれています。祥子ちゃんとのエピソードが何とも印象的。
それが世之介にかかわる、現在につながっており、世之介の生き方をも決定しているというところが、まず感動。そして、悲しいけど希望あふれる展開が、清々しい気持ちにさせてくれるんでしょうね。

この主人公を決して忘れることはないと思います。笑えて、懐かしさがあって、そして、泣けるこんな作品はめったにありません。凄くて、素晴らしい青春小説に溜息さえ出ました。
それにしても、泣けました。

吉田さんの新境地ともいえるこの作品、凄すぎます

2010年03月14日

「圏外へ」吉田篤弘

圏外へ
圏外へ
  • 発売元: 小学館
  • 価格: ¥ 1,995
  • 発売日: 2009/09/16
  • 売上ランキング: 111822


吉田篤弘氏は最近とても好きな作家のおひとり。クラフト・エヴィング商會の装丁も素敵だし、
架空の(らしい)娘の吉田音が著者及び主役となっているミルリトン探偵局のシリーズも好きで、
文庫になった著作はどの名義の分も買って揃えているのだけど、なかなか読めてない。
でも、新刊が出たというと図書館で借りてきたりしてるんだけど。
今回図書館でこれを手に取ったときは迷った。でも、吉田音ちゃんが登場していたので、
借りてきてしまった。円田さんも出てきている。
ミルリトン的な雰囲気かしら?と思ったら、全然違った。

2010年02月10日

キッチン 吉本ばなな 

<世界の吉本ばななはこの作品で始まった>

祖母の急死により、みかげの身内はいなくなった。この世に一人っきり。天涯孤独と思っていた主人公が突然拾われたのは、祖母の店で働いていた雄一の家だった。雄一の家は、母と二人暮らしなのだが奇妙な同居生活が始まる。

孤独ゆえに感じる「自分がいつか死ぬということを感じ続けていたい。でないと生きている気がしない」とひたすらにキッチンにのめりこむんですね。それは孤独から逃げるためであり、一生懸命生きる証であるためなんです。
そんな、みかげがキッチン2では、愛する人のために、懸命になるんですね。それがとっても無鉄砲でもあり、ひたむきでもあり、いいんですよ。お互いの孤独を埋めるために、お互いが必要だと気付いていくんです。
いいんですよ、カツどんが(笑)

主人公みかげの物語なのですが、何より光っているのは雄一の母親(?)、えり子さん。
「世界は別に私のためにあるわけじゃない。だから、いやなことがめぐってくる率は決して、変わんない。自分では決められない」だから、めちゃくちゃ、明るくしていたほうがいいというえり子さんに同感。明るく前向きなところがとってもいいなー。

どの3編も生と死をテーマにしているものの、死に向き合いながら、生を感じる作品です。
だから、暗く重い作品だけど、希望が見えるんですね。そして、この切れるような独特の文体が、とってもいいんです。
さすが世界のよしもとばななさん。

この作品はSNSの「やっぱり本を読む」の「100冊文庫企画」でめぐり合いました。これが、なかったらよしもとばななさんは、読まず嫌いになっていただろうな。SNSに入っていてよかった。
遅ればせながら、よしもとばななという作家は、すごいと思います。傑作です。

書き忘れました。いい作品は最初の一文で引きつけますね。あらすじの引用の出だしですけど(笑)。

2010年01月31日

「ポプラの秋」湯本香樹実

ポプラの秋 (新潮文庫)
ポプラの秋 (新潮文庫)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 420
  • 発売日: 1997/06
  • 売上ランキング: 116337
  • おすすめ度 4.5


「夏の庭」を読んで以来の湯本さん。「ポプラの秋」なので、秋に読み、
感想をなかなか書けずに冬になってしまいましたが。
短いお話だったにもかかわらず、読んでだいぶ経ちますが、
私の中に何かが残っている、そんな作品でした。

「夏の庭」といい、湯本さんは魅力的な老人を描かせたら、素晴らしいですね。

2009年12月01日

2009年11月に読んだ本

大長編は読まなかった11月。
一押しは『それからはスープのことばかり考えて暮らした』。
それと『悲歌 エレジー』『赤い竪琴』『やさしい訴え』『シンプルな情熱』『三島由紀夫レター教室』『奇縁まんだら 続』『ムーミン谷へようこそ―いつでも、だれでも、好きなだけ』『上原ひろみサマーレインの彼方』『カデナ』もよかった。
再読の『園芸家12カ月』は何度でも楽しめる。
ただ、個別の感想を書くことができなかった。
マイペースなので更新することもあるかも。

読んだ本の数:15冊
読んだページ数:3984ページ

■『悲歌 エレジー』 中山可穂 
新たな愛の形を描いた作品。想い焦がれる描写は、ヒリヒリ、ゾクゾク、ズキズキ。

■『赤い竪琴』 津原泰水
文章が綺麗。独特の世界がいい。

■『やさしい訴え』 (文春文庫) 小川洋子 
心模様が丁寧で描写、繊細さが際立っている。老婆のエピソードもよかった。

■『シンプルな情熱』(ハヤカワepi文庫) アニー・エルノー 黒
燃える想いを簡潔な文章で描く。行間から浮かんでくる恋は、激しさを想像させる。制御できないオトナの恋。

■『三島由紀夫レター教室』 (ちくま文庫) 三島由紀夫 
文章が美しい。書簡形式の小説はいくつがあるが、三島らしい。もう一度読み直そう。

■『奇縁まんだら 続』  瀬戸内寂聴 
読んだことのない作家さんたちが多数登場。寂聴さんが見た文壇、お人柄は面白く、読書案内にもなる。

■『製鉄天使』 桜庭一樹
丙午うまれの小豆は気丈な性格。その思春期を描く。アラフォーのわたしとしては軽すぎた。それは生まれ年のせい。たぶん。古川日出男的な文体ならもっと突き抜けて欲しかった。

■『それからはスープのことばかり考えて暮らした』 (中公文庫 よ 39-1) 吉田 篤弘 
ほっこり気持ちが温まる。

■『カフェ古典新訳文庫〈Vol.1>』 (光文社古典新訳文庫)
島田雅彦×亀山郁夫、綿矢りさ×望月哲男、中条省平×野崎歓の対談を収録した古典文学の入門的な内容。解説に突っ込みや共感しながら読んだ。

■『百鼠』 (ちくま文庫 よ 18-2) 吉田篤弘
ちょっと不思議な短篇集。読み返すごとに味わいが変わりそう。志村ふくみさんとの関連は興味深い。

■『園芸家12カ月』 (中公文庫) カレル・チャペック,小松 太郎 
再読。やはり面白い。 

■『ムーミン谷へようこそ―いつでも、だれでも、好きなだけ』 冨原眞弓 
「ムーミン」はフィランド語でなく、スウェーデン語で書かれていたのを知った。 小説、コミックともに読みたくなった。

■『上原ひろみサマーレインの彼方』 (幻冬舎文庫 こ 27-1) 神舘和典,白土恭子・写真 王冠
上原ひろみさんのデビューから現在まで活動の記録。矢野顕子さんの共演で知ったアーティスト。矢野さんとの共演のエピソードや、音楽の対する真摯な情熱が伝わってきた。

■『カデナ』池澤夏樹 
池澤さんの文章はいい。1968年を舞台にした群像劇。時間を見て再読したい。

■『PAY DAY!!!』 (新潮文庫) 山田詠美
色んなことは経験しながら成長していく10代。遠い昔の自分を見つめてみる。


表紙を並べると


悲歌  エレジー 赤い竪琴 やさしい訴え (文春文庫) シンプルな情熱 (ハヤカワepi文庫) 三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)

奇縁まんだら 続 製鉄天使 それからはスープのことばかり考えて暮らした (中公文庫) カフェ古典新訳文庫〈Vol.1〉 (光文社古典新訳文庫) 百鼠 (ちくま文庫)

園芸家12カ月 (中公文庫) ムーミン谷へようこそ―いつでも、だれでも、好きなだけ 上原ひろみ サマーレインの彼方 (幻冬舎文庫) カデナ PAY DAY!!! (新潮文庫)

2009年12月01日

2009年11月に読んだ本

大長編は読まなかった11月。
一押しは『それからはスープのことばかり考えて暮らした』。
それと『悲歌 エレジー』『赤い竪琴』『やさしい訴え』『シンプルな情熱』『三島由紀夫レター教室』『奇縁まんだら 続』『ムーミン谷へようこそ―いつでも、だれでも、好きなだけ』『上原ひろみサマーレインの彼方』『カデナ』もよかった。
再読の『園芸家12カ月』は何度でも楽しめる。
ただ、個別の感想を書くことができなかった。
マイペースなので更新することもあるかも。

読んだ本の数:15冊
読んだページ数:3984ページ

■『悲歌 エレジー』 中山可穂 
新たな愛の形を描いた作品。想い焦がれる描写は、ヒリヒリ、ゾクゾク、ズキズキ。

■『赤い竪琴』 津原泰水
文章が綺麗。独特の世界がいい。

■『やさしい訴え』 (文春文庫) 小川洋子 
心模様が丁寧で描写、繊細さが際立っている。老婆のエピソードもよかった。

■『シンプルな情熱』(ハヤカワepi文庫) アニー・エルノー 黒
燃える想いを簡潔な文章で描く。行間から浮かんでくる恋は、激しさを想像させる。制御できないオトナの恋。

■『三島由紀夫レター教室』 (ちくま文庫) 三島由紀夫 
文章が美しい。書簡形式の小説はいくつがあるが、三島らしい。もう一度読み直そう。

■『奇縁まんだら 続』  瀬戸内寂聴 
読んだことのない作家さんたちが多数登場。寂聴さんが見た文壇、お人柄は面白く、読書案内にもなる。

■『製鉄天使』 桜庭一樹
丙午うまれの小豆は気丈な性格。その思春期を描く。アラフォーのわたしとしては軽すぎた。それは生まれ年のせい。たぶん。古川日出男的な文体ならもっと突き抜けて欲しかった。

■『それからはスープのことばかり考えて暮らした』 (中公文庫 よ 39-1) 吉田 篤弘 
ほっこり気持ちが温まる。

■『カフェ古典新訳文庫〈Vol.1>』 (光文社古典新訳文庫)
島田雅彦×亀山郁夫、綿矢りさ×望月哲男、中条省平×野崎歓の対談を収録した古典文学の入門的な内容。解説に突っ込みや共感しながら読んだ。

■『百鼠』 (ちくま文庫 よ 18-2) 吉田篤弘
ちょっと不思議な短篇集。読み返すごとに味わいが変わりそう。志村ふくみさんとの関連は興味深い。

■『園芸家12カ月』 (中公文庫) カレル・チャペック,小松 太郎 
再読。やはり面白い。 

■『ムーミン谷へようこそ―いつでも、だれでも、好きなだけ』 冨原眞弓 
「ムーミン」はフィランド語でなく、スウェーデン語で書かれていたのを知った。 小説、コミックともに読みたくなった。

■『上原ひろみサマーレインの彼方』 (幻冬舎文庫 こ 27-1) 神舘和典,白土恭子・写真 王冠
上原ひろみさんのデビューから現在まで活動の記録。矢野顕子さんの共演で知ったアーティスト。矢野さんとの共演のエピソードや、音楽の対する真摯な情熱が伝わってきた。

■『カデナ』池澤夏樹 
池澤さんの文章はいい。1968年を舞台にした群像劇。時間を見て再読したい。

■『PAY DAY!!!』 (新潮文庫) 山田詠美
色んなことは経験しながら成長していく10代。遠い昔の自分を見つめてみる。


表紙を並べると


悲歌  エレジー 赤い竪琴 やさしい訴え (文春文庫) シンプルな情熱 (ハヤカワepi文庫) 三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)

奇縁まんだら 続 製鉄天使 それからはスープのことばかり考えて暮らした (中公文庫) カフェ古典新訳文庫〈Vol.1〉 (光文社古典新訳文庫) 百鼠 (ちくま文庫)

園芸家12カ月 (中公文庫) ムーミン谷へようこそ―いつでも、だれでも、好きなだけ 上原ひろみ サマーレインの彼方 (幻冬舎文庫) カデナ PAY DAY!!! (新潮文庫)

2009年10月31日

「司法官僚」

司法行政職への任用の基準と制度があきらかにされないまま、特定の職業裁判官集団が司法官僚機構を構成し、司法行政を「専有」するならば、司法の「閉鎖性」をたかめてしまうことになろう。司法官僚の経歴や行動に注目せねばならないゆえんである。

「司法官僚」新藤宗幸著(岩波新書) ISBN: 9784004312000

行政学の研究者が、司法の中枢に位置する官僚組織の仕組みを探る。

考えてみればどんな組織にも、人事や予算はあり、それを統括する部署がある。行政組織、民間企業はもちろん、ある程度の規模ならNPOだってそうだろう。日本の裁判所の場合、そ れは最高裁判所の事務総局というところだ。そして人事や予算(人件費)のコントロールを源泉として、事務総局は全国の裁判所に対して一定の影響力を持つ。

著者はこのあまり世間で話題にならない、いわば顔の見えない事務総局のメンバーが一体どのように選抜・育成されているのか、といった疑問をもち、彼らの経歴など数少ない公開資料を丹念に追っていく。この分野に疎いので、いちいち「へえ~」と思いながら読んだ。

裁判員制度など一連の司法改革で、裁判所はここ数年、ずいぶん大胆に変わったという印象がある。けれどおそらく変わらない部分もあり、そこにはあらゆる組織が抱える自己防衛本能のようなものが感じられて、興味深い。市民の立場にたてばまだ改革の余地がある、というのが著者の視点だ。(2009・10)

2009年07月20日

アカペラ(山本文緒)

今日は結構広い丸善に行って来たんだけど、そこであるものを見つけました。
8月下旬に発売になるという、伊坂幸太郎の新刊「あるキング」の冒頭15ページが読める無料の冊子。恐らくその丸善の人が手作りで作ったものでしょう。
書店で働いていると、ゲラと呼ばれるものがもらえることがあります。ゲラというのは、これから発売される本が印刷された紙の束で、僕も何度かもらったことがあります。僕がこれまでもらったことのあるゲラは、両手で足りるくらいですけど。
昔はどうだったか知りませんが、最近ではこのゲラがかなり書店員に出回っているようなんです。本の雑誌社の営業員である杉江さんという人のブログには、書店員の人とよく喋ったりするんだけど、書店員さんはこれから出る本のゲラをかなり読んでいるので話が合わない、みたいなことを前に書いていました。
ゲラが書店員にばらまかれる理由は、発売前に書店員に興味をもってもらい、販売に力を入れてほしいと願うためです。また時々、前もって読んでもらうことで帯のコメントを書いてもらったりというようなこともあるようです。
ちょっと話はずれますが、今年の本屋大賞を受賞した「告白」なんかは、まさに書店員と共にベストセラーを作り上げていったみたいです。発売前から出版社の人間と一部の書店員とで「告白販売チーム」みたいなものを組み、発売前から宣伝の仕方や売場での展開の仕方なんかで書店員の話を参考にしながら販売計画を立てていったのだ、みたいな話をどこかで聞きました。最近では、ベストセラーの陰にはどこかの書店員の力が働いてたりすることがかなりあります。以前と比べると、書店員が持つ力というのが格段と増してきたと言えるでしょうか。
冒頭で話を出した無料の冊子も、恐らくそういう書店員に配られるゲラをコピーして作ったものでしょう。ゲラは書店員に配られるといいますが、やっぱりそれは力のある書店に限られます。特にメジャー級の作家のゲラは有名な書店員のところにしかいかないでしょう。というかそもそもゲラっていうのは文芸書の担当がもらうもので(小説以外でゲラというのはなかなかないし、文庫の新刊の場合は既に発売されている本が文庫になるわけでゲラの存在の必要がない)、だから文庫担当の僕が少ないながらもゲラをもらったことがある、というのが結構凄いことではありますけど、それでもやっぱり羨ましいものだなと思います。伊坂幸太郎の新刊のゲラなんか、一生手に入らないでしょうね。
でもふと考えました。僕は文庫の担当ですけど、文庫でも同じことは出来ないだろうか、と。
文庫の新刊の場合、既に作品自体は発売されているわけで、だったらこれから出る文庫で注目作の冒頭をハードカバー版をコピーすることで無料冊子を作り、それを店頭で配るというのはどうだろうな、と思ったわけです。
問題点は二つ。
一つ目は、出版社の許可がもらえるのか、ということです。恐らく今日もらってきた伊坂幸太郎の冒頭の無料冊子にしても、出版社の許可なしでは出来ないでしょう。まして僕がやろうとしてるのは、既に製本済みのハードカバーの作品を冒頭だけにせよコピーして配ろう、というわけです。それが著作権もろもろ含めて、出版社から許可が出るのかというのが一つ。
そしてもう一つは、どれだけ効果があるのか、ということです。既に流通している本なんだから、冒頭部分が読みたいならいくらでもやりようはある。どっかの本屋でハードカバーの在庫を探してもいいし、図書館に行ってもいい。それなのに、わざわざ既に発売されている作品の冒頭だけをコピーして無料配布することに、どれだけ意味があるのか、ということです。
まあ適当に思いついたアイデアなんで使えるかどうか分かりませんが、そんなことを考えてみました。どうでしょうか?文庫でしか本を読まないという方、もし店の店頭にこれから文庫になる新刊の冒頭だけが無料冊子で置いてあったらちょっとは興味惹かれるでしょうか?それとも別にいいやって感じでしょうか?何か意見があったら教えてほしいなと思います。
そろそろ内容に入ろうと思います。
本書は三つの短編が収録された短編集です。

「アカペラ」
タマコは中学生。高校には進学しないことに決めていて、学校に内緒でアルバイトをしている。古着屋で自分が作った服を売っていて、卒業後はそこで正社員として働こうと思っている。
またママが家出した。パパはどこにいるのか知らない。ママがいなくなって、じっちゃんはすごく快適そうにしている。じっちゃんとの二人暮らしは快適。問題なし。私の将来も、何の問題もなし。
蟹江はタマコの担任の教師。デモシカで教師になった男。進路希望表にタマコだけが就職と書いていて焦る。高校ぐらいは出ておけよ、と思うが、家族も大変そうだし、校則で禁止されてるバイトもしてるようでよく分からない。何故か親とバイト先の社長とで面談したり。何やってるんだろうな、俺は。

「ソリチュード」
16の時、テストをフケるつもりで武藤ん家に行こうとしてそのまま家出したっきり20年。久しぶりに実家に戻ってきた。親父が死んだらしい。母親は、やけにあっさりおれを迎えてくれた。恨み言一つ言わない。美緒と再会し、その娘である一花に懐かれ、東京からおれを追っかけて人がやってきて、父親の四十九日の法要に出て、何をしてるんだか分からないけど、そうやって毎日を過ごしている。

「ネロリ」
楢崎志保子は中堅出版社の社長秘書。弟と二人暮らし。弟は39歳で、昔から体が弱くて、今まで一度も働いたことがない。ほとんど家から出ず、志保子と一緒の時間を過ごすことが多い。50歳になって、相変わらず黙って仕事をしていて、ある時社長に呼ばれて、仕事を辞めることになった。
ココアは病院でヒデ君に出会った。今まで母性本能って何?って感じだったけど、ヒデ君には何でもしてあげたくなる。ヒデ君は月に一回病院に行くために外出して、その時は会える。後は出版社で働いているお姉さんといつも一緒に暮らしている。何だかよく分かんない関係だけど、一応付き合ってるんだと思う。

というような話です。
小説にはいろんなタイプの小説があるんだけど、その中に、読んでいる人間の経験値が高くないとよく分からない小説というのが結構あります。どういう小説がそれだ、と具体的に挙げるのは難しいですけど、割と恋愛小説なんかはそんな感じがあるでしょう。そして本書は、恋愛小説っていう感じではないけど、やっぱりそういう感じの小説です。経験値が高くないとよくわからない。
たぶん本書は、人生に対して真剣に取り組んでて、酸いも甘いも経験して、そうやって人生を生きてきた30代とか40代の人なら分かるんだろうし面白いんだと思います。ただ僕は、人生に対してまったくやる気のない20代の人間で、そういう人生に対する経験値の低い人間にはちょっと本書はよく分からないんだろうな、というのが僕の感想です。
だから本書のことをうまく評価できないんですね。たぶんamazonとかのレビューを見れば、きっと評価は高いと思うんです。本書を絶賛している文章も読んだことがあります。でも僕には掴みどころのない作品だなとしか思えないんです。
小説というのはいくつもの取っ手が付いているものだと思うんです。読んでる人間は、その取ってのどれか一つ、あるいは複数を手に持って、そうやってその物語を自分の方へと引き寄せるんだと思います。
経験値の高い人間にはきっと、その取ってがたくさん見えるんだと思います。だからその取っ手を掴んで物語を自分の方向に引き寄せることが出来る。だけど経験値の低い僕には、取っ手がどこにあるのか全然見えないんです。たぶん他の人には見えてるんだろう取っ手がどこにあるのか分からないので、その物語を自分の方向に引き寄せることが出来ないんです。だからちょっとよく分かりませんでした。
三つある話の内、面白いなと思ったのは「アカペラ」です。タマコさんのすっとぼけた語り口も面白いし、じっちゃんのキャラもいいし、全体のほわほわした感じもいいと思いました。何を伝えたいんだかよく分からない話でしたけど、面白いことは面白いと思いました。
「ソリチュード」と「ネロリ」は何だかなぁという感じで、僕には合わない感じでした。別につまらない作品ではありませんでしたけど、特に面白いという感じでもなかったなぁ、という感じでした。
たぶんこれは、読んでいる僕の経験値の低さに原因があると思うので、作品自体に問題があるわけではないんだと思います。ちょっと僕には合わない感じの作品でしたが、たぶんちゃんとした経験値のある人が読めが楽しめる作品なんではないかな、という気がします。僕の感想は無視して読んでみてください。

追記)山本文緒という作家は一時うつ病みたいになったようで、執筆から遠ざかっていたんですけど、本書がその復帰第一作になるんです。で、amazonのレビューを見る限り、どうも本書は過去の山本文緒の作品とは大分違うらしいです。本書が初めての山本文緒作品の僕としてはよく分かりませんが、人によっては過去の作品の方がいいという意見もあるようです。なるほど、本書だけで山本文緒という作家を判断してはいけないということのようです。

山本文緒「アカペラ」

2009年03月16日

ドラマ化 【臨場】 横山秀夫

テレビ朝日で2009年4月スタート。(毎週水曜9時)

出演は内野聖陽、松下由樹、高島政伸、渡辺大、伊武雅刀。

テレビ朝日公式サイト


臨場 (光文社文庫)臨場
(光文社文庫)

(2007/09/06)
横山 秀夫

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