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2012年02月05日

金閣寺

これで私と金閣とが同じ世界に住んでいるという夢想は崩れた。またもとの、もとよりももっと望みのない事態がはじまる。美がそこにおり、わたしはこちらにいるという事態。

「金閣寺」三島由紀夫著(新潮文庫) ISBN: 9784101050089

1950年に起きた国宝金閣の放火事件を題材に、1956年に刊行されたあまりに著名な小説を、観劇をきっかけに読んだ。まだ高度経済成長のとば口にあった当時、動機のはっきりしない事件はアプレゲール犯罪と呼ばれたとか。その不可解さ、衝撃を想像しながらページをめくる。

放火犯・溝口の告白という形をとった、独特の装飾が多い贅沢な文章。建築や仏教にまつわる単語もふんだんに散りばめられて、実は決してすいすい読めるわけではなかったけれど、手のこんだ文脈から溝口の知性、教養が感じられる。
吃音というハンディキャップへのコンプレックス、不義をはたらいた母に対する嫌悪、表裏のある高僧に抱く失望、自殺した友人のことを本当は何も理解していなかったこと。溝口をクライマックスへと追い込む出来事はいろいろ起こるが、これほどの知性の持ち主なのだから、少なくとも単なる歪んだ執着とか、自暴自棄のためではない、と思えてくる。

敗戦の日に溝口の眼前で、金閣が永続する美として輝きを増すシーンが印象的。頭でっかちで、常に自分を見ていてほしい甘えん坊とも思える若者を最も強く揺さぶったのは、終戦による価値の崩壊ではなかったか。残された長い人生をストイックに生きていくには、あまりに不確かで、裏切りの多いこの世界。
唐突にも感じられる幕切れは、実際の事件の経緯とは違うという。とんでもないことをしでかしながら、ありがちな錯乱というよりも妙にさめて、ふてぶてしささえ漂わす展開。意外で、ちょっと爽快だった。最後まで、一筋縄ではいかないですね。(2012・2)

2012年01月31日

「舟を編む」三浦しをん

舟を編む
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  • 発売元: 光文社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2011/09/17
  • 売上ランキング: 123



玄武書房の営業部でくすぶっていたまじめ(馬締)君は、辞書への才能を見込まれて
辞書編集部に異動となり、新たな辞書「大渡海」の編纂を担うことになる。
個性的なメンバーに囲まれて、さて辞書は完成するのか。
そして下宿で出会った美しい女性との恋の行方は・・・。

キノベス1位おめでとうございます。個人的にはキノベスのランキングって
とても参考になるランキングなので、そこで1位とは嬉しい限りですね。
だって面白かったもの、これ。すごく。

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2012年01月27日

【第3版】村上春樹『海辺のカフカ』を蜷川幸雄が舞台化、2012年5月に上演、カフカ役は柳楽優弥

ビックニュースが飛びこんできた。
村上春樹『海辺のカフカ』が蜷川幸雄が舞台化。
2012年5月に上演。

村上春樹の作品は大好きで、長篇、短編とかなりの本を読んでいる。
観劇も趣味で、蜷川幸雄の舞台も何度も観ている。
この舞台は是非観たい。

・隠喩の塊、仕掛け生々しく…「海辺のカフカ」演出 蜷川幸雄氏
繊細かつ強い少年」現れよ
世界的に活躍する2人の才能が初めて出会う。村上春樹氏の小説『海辺のカフカ』が蜷川幸雄氏の演出で舞台化され、来年5月、さいたま市の彩の国さいたま芸術劇場で上演される。夢と現実、冥界とこの世を行き来する村上氏の世界と、スペクタクルな蜷川演出から、どんな舞台が生まれるのか。(多葉田聡)
絶対に許可が出ないと思っていた。プレゼントをもらった気分」。村上氏の全作品を読んできた蜷川氏は、思いもよらなかった舞台化の喜びを率直に表す。

http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20110203-OYT8T00319.htm?from=nwlb

・「海辺のカフカ」蜷川幸雄演出で来年舞台化
村上春樹さんのベストセラー小説「海辺のカフカ」(新潮社刊)が蜷川幸雄さんの演出で舞台化され、来年5月、さいたま市の劇場で上演されることが分かった。
デビュー作「風の歌を聴け」以来、30年以上愛読してきた蜷川さん側が働きかけ、世界中に読者を持つ村上さんと、多くの海外公演を手がけた「世界のニナガワ」との豪華な顔合わせが実現した。
日本人が村上作品を演出し、国内で上演するのは初めて。

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20110203-OYT1T00211.htm

追記)
読売新聞朝刊 2011年2月3日文化面より
海外で村上作品が舞台化された例は多いが、国内では英国のサイモン・マクバーニー氏が演出した「エレファント・バニッシュ」のみ。今回は、スタインベック原作の舞台『怒りの葡萄』の脚本・演出したフランク・ギャラティ氏が3年前に舞台化した際の脚本を翻訳して使う。


上記の記事は2012年2月3日に書きました。
続報です。

・村上春樹『海辺のカフカ』が蜷川幸雄演出で舞台化、カフカ役は柳楽優弥
蜷川幸雄演出による舞台『海辺のカフカ』が、5月3日から埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 大ホールで上演される。

原作は、2002年に刊行された村上春樹による同名の長編小説。日本国内でベストセラーを記録したほか、英米で刊行された2005年にはニューヨークタイムズの『年間ベストブック10冊』に、翌2006年には『世界幻想文学大賞』に選出されるなど海外でも高い評価を得ている同作の舞台化を、1970年代から日本の演劇界を牽引し続ける蜷川の演出で実現する。なお、日本人演出家による村上春樹作品の舞台化は同作が初となる

http://www.cinra.net/news/2012/01/20/172834.php

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)海辺のカフカ (上) (新潮文庫)
村上 春樹

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2012年01月27日

【第3版】村上春樹『海辺のカフカ』を蜷川幸雄が舞台化、2012年5月に上演、カフカ役は柳楽優弥

ビックニュースが飛びこんできた。
村上春樹『海辺のカフカ』が蜷川幸雄が舞台化。
2012年5月に上演。

村上春樹の作品は大好きで、長篇、短編とかなりの本を読んでいる。
観劇も趣味で、蜷川幸雄の舞台も何度も観ている。
この舞台は是非観たい。

・隠喩の塊、仕掛け生々しく…「海辺のカフカ」演出 蜷川幸雄氏
繊細かつ強い少年」現れよ
世界的に活躍する2人の才能が初めて出会う。村上春樹氏の小説『海辺のカフカ』が蜷川幸雄氏の演出で舞台化され、来年5月、さいたま市の彩の国さいたま芸術劇場で上演される。夢と現実、冥界とこの世を行き来する村上氏の世界と、スペクタクルな蜷川演出から、どんな舞台が生まれるのか。(多葉田聡)
絶対に許可が出ないと思っていた。プレゼントをもらった気分」。村上氏の全作品を読んできた蜷川氏は、思いもよらなかった舞台化の喜びを率直に表す。

http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20110203-OYT8T00319.htm?from=nwlb

・「海辺のカフカ」蜷川幸雄演出で来年舞台化
村上春樹さんのベストセラー小説「海辺のカフカ」(新潮社刊)が蜷川幸雄さんの演出で舞台化され、来年5月、さいたま市の劇場で上演されることが分かった。
デビュー作「風の歌を聴け」以来、30年以上愛読してきた蜷川さん側が働きかけ、世界中に読者を持つ村上さんと、多くの海外公演を手がけた「世界のニナガワ」との豪華な顔合わせが実現した。
日本人が村上作品を演出し、国内で上演するのは初めて。

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20110203-OYT1T00211.htm

追記)
読売新聞朝刊 2011年2月3日文化面より
海外で村上作品が舞台化された例は多いが、国内では英国のサイモン・マクバーニー氏が演出した「エレファント・バニッシュ」のみ。今回は、スタインベック原作の舞台『怒りの葡萄』の脚本・演出したフランク・ギャラティ氏が3年前に舞台化した際の脚本を翻訳して使う。


上記の記事は2012年2月3日に書きました。
続報です。

・村上春樹『海辺のカフカ』が蜷川幸雄演出で舞台化、カフカ役は柳楽優弥
蜷川幸雄演出による舞台『海辺のカフカ』が、5月3日から埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 大ホールで上演される。

原作は、2002年に刊行された村上春樹による同名の長編小説。日本国内でベストセラーを記録したほか、英米で刊行された2005年にはニューヨークタイムズの『年間ベストブック10冊』に、翌2006年には『世界幻想文学大賞』に選出されるなど海外でも高い評価を得ている同作の舞台化を、1970年代から日本の演劇界を牽引し続ける蜷川の演出で実現する。なお、日本人演出家による村上春樹作品の舞台化は同作が初となる

http://www.cinra.net/news/2012/01/20/172834.php

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2012年01月14日

「東京奇譚集」村上春樹

東京奇譚集
東京奇譚集
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2005/09/15
  • 売上ランキング: 228583


東京を舞台にした短編集5編。ひとつだけ、東京?ってやつもあったから、
あまり東京の町にはこだわってはいない印象は受けたけど。
村上春樹氏はご無沙汰していたんだけど、読み始めるとすっと話に入りこめて、
そのすさまじい吸引力に驚いた。読むたびに感じてることかもしれないが。

そのあと読んでいる「小澤征爾さんと、音楽について話をする」という対談集で、
村上さんが語っているんだけど、「文章にもリズム感が大切だ」という話。
小澤さんはわりと「ふーん」って聞き流しててそれもくすりと笑っちゃったが、
私はそれすごくよくわかった。村上さんが感じながら書いているそのリズムが、
読みやすさと私たちを引き込む力につながっているんだろうと思った。

そういうわけで、すっと読めるのですが、中身はすんなりいかないですけどね。


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2011年11月09日

「森見登美彦の京都ぐるぐる案内」森見 登美彦

「森見登美彦の京都ぐるぐる案内」森見 登美彦
95p新潮社

入門篇ですな。

2011年10月27日

「開かせていただき光栄です」皆川博子

開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド)
開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド)
  • 発売元: 早川書房
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2011/07/15
  • 売上ランキング: 18048


18世紀のイギリス、ロンドン。
とある解剖教室。ダニエル・バートン氏と、その個性的な弟子たちが、墓から死体を盗んで
こっそり解剖をしているところに刑事が踏み込むあたりから、物語は始まる。
そこには妊婦の死体があったが、遺体をとっさに隠し、また出そうとすると、
別の遺体が2体も出てきた・・・。四肢を切断された少年、顔をつぶされた男。
彼らは誰なのか?

バートンとその弟子たちの物語と並行して、田舎からロンドンに出てきた17歳の少年の
視点でも物語は交互に描かれる。ネイサン・カレンは詩人を目指してロンドンへ出てきた。
手には、昔に書かれたという貴重な古歌を持っており、それと自分の詩を売りに行くが、
そこで令嬢と出会い恋に落ちる・・・
一見して別の物語に見える二つのストーリーが交錯し、そして大きなうねりとなっていく。

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2011年10月27日

「幸せ最高ありがとうマジで!」本谷有希子

幸せ最高ありがとうマジで!
幸せ最高ありがとうマジで!
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2009/03/27
  • 売上ランキング: 211169


友達が本谷さんの舞台「クレイジーハニー」を見に行った、という話を聞き、
うらやましい!と思っていたら、この本が読みたくなり読んでみました。
見たかったんだよなあこの舞台。永作博美さん主演で本谷さんの世界観って
すごくはまる気がしたんですよね。
そして読んでから思った。「舞台見たらよかったなあ!!」
DVDが出てるとあとで知り、すごく見たいと思いました。
ただ、ネタがわかっちゃってるんで、読む前に見たらよかったなと思いました。
戯曲も面白いんだけど、やっぱり舞台用に書かれたものですから、
舞台を見た方が数倍面白いんだろうなと思います。

とはいえ、本で読めてよかったなと思う部分もありました。
立ち止まって考えたり、この台詞すごいな、って台詞を何度も読んでみたりという
楽しみがありますよね。リアルタイムで見る芝居とは違う楽しみ方ができます。

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2011年10月19日

「シュレディンガーの哲学する猫」竹内薫・竹内さなみ

シュレディンガーの哲学する猫 (中公文庫)
シュレディンガーの哲学する猫 (中公文庫)
  • 発売元: 中央公論新社
  • 価格: ¥ 800
  • 発売日: 2008/11
  • 売上ランキング: 70307


これを読んだきっかけは森見登美彦だった。森見氏の読者である諸君はご存じと思うが、
森見氏の「四畳半王国見聞録」に、シュレディンガーの猫が出てくる。
シュレディンガーの猫って何だ。森見氏の本にはちゃんとした説明がなかったので、
自分の本棚をあさったところ、これが出てきた。昔、表紙が気になって買ったのを思いだした。
「哲学する」猫になってるけれど、哲学もたまには悪くないし、とりあえず
シュレディンガーの猫についてはわかるだろう、と思って読み始めた。
結果、わからなかった。(あとでウィキで調べて概要だけ読んだが、わかった!とはいいがたい)
まあ、読むきっかけが間違ってるよな。森見氏からだもんな。

シュレディンガーさんが思考実験を行った「猫」が、現代の「私」の前に現れ、話し始める。
そしてその猫、哲学の入門書を書いている「私」が困っていると、その哲学者本人となって
話し始めるのだった。そんな猫、シュレ猫と話ながら綴る、哲学の世界。

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2011年07月20日

「こちらあみ子」今村夏子

こちらあみ子
こちらあみ子
  • 発売元: 筑摩書房
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2011/01/10
  • 売上ランキング: 10538


三島由紀夫賞受賞、おめでとうございます。受賞するまで全く知らない作品で、
受賞したし、タイトルも表紙も気になるので、ほぼ予備知識なしで読み進めるつもりが、
ちょっとネットで紹介読んじゃったもんだから、どういう主人公なのかは
読む前にわかってしまった。これ、何も知らずに読むとまた印象違うんだろうな。

あみ子は「あみ子の馬鹿」と友達に落書きされるような女の子。
そして、大人たちが、あみ子のことでも、あみ子を見ずに喋るような、そんな女の子。
彼女がどういう病気か、どういう障害かは描かれていない。
三人称だけれど客観的な事実を排して、あみ子から見た世界が描かれていく。
そこには、あみ子が気づいていたりいなかったりする、あみ子と世界との距離が描かれてる。

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