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2011年05月30日

「四畳半王国見聞録」森見登美彦

四畳半王国見聞録
四畳半王国見聞録
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2011/01/28
  • 売上ランキング: 9455


森見登美彦さん、読むのはじめて、って人は断じてここから読むべからず。
先に「四畳半神話大系」「太陽の塔」「夜は短し歩けよ乙女」「新釈走れメロス」まで
読んで耐性をつけてから、読んだ方がいいです。
「四畳半神話大系」「太陽の塔」あたりで「これは、阿呆すぎる・・・」と思った人は、
まあ仕方がないのでこれも読まなくていいですが・・・。
それでも、「ペンギン・ハイウェイ」は面白いかもしれませんよー。

私自身はむしろ、森見さんのこの手の阿呆な作品群が大好きで。
おひとりさまの女が読んでも共感できてしまうのです。「同志よ!」と思う。
クリスマスになるたびに「四条河原町で「ええじゃないか」って踊ってる阿呆ども」を
思い出しては共感してしまいます。ま、女子全員がそうだとは絶対言いませんけど。
(あまり女子にはおおっぴらにお勧めできないの正直)

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2011年04月16日

村山早紀「コンビニたそがれ堂 奇跡の招待状」

コンビニたそがれ堂―奇跡の招待状 (ポプラ文庫ピュアフル)コンビニたそがれ堂―奇跡の招待状 (ポプラ文庫ピュアフル)
(2010/01)
村山 早紀

商品詳細を見る


「コンビニたそがれ堂」シリーズ第二弾。

元版が児童書だった前作とは違い、本書は文庫書き下ろしです。



お父さんの再婚で、新しいお母さんができた小学四年生の さゆき。

お父さんの故郷である風早の街には、一週間ほど前に引っ越してきたばかりです。

風早の街に買った古い小さな庭つきの家を、お父さんとお母さんが 住める状態に整えていた 冬休みの二週間、さゆきは 亡くなった前のお母さんの実家に預けられていました。

風早よりも北の 山の中にあるその村の 雪が降り積もる森の中。冬休みを一緒に過ごした懐かしい友だちに、さゆきは会いたくてたまりません。

新しいお母さんは綺麗で優しくて素敵な人だけど、慣れない都会はちょっと怖くて、それに、田舎にいる時に偶然聞いてしまった おばあちゃんとおばさんの会話も さゆきを不安にさせていたのです。



もしかして、もしかして、ママが嫌いで、わざと帰るのが遅くなったなんて誤解されたらどうしよう?

(中略)

さゆきは、いっしょに暮らし始めたばかりの、新しいママのことを思いました。
明るい笑顔と優しい声。いつもさゆきのことを喜ばせようって考えてくれている素敵なお姉さん。
あの人を傷つけようなんて、ぜんぜん思ってもいないのに、もし、勘違いされたら。




道に迷った さゆきが、そんなことを思いながら歩いていた 一月のある夕方、辿り着いたのは コンビニたそがれ堂。

長い銀の髪に金の瞳の店員さんが迎えてくれる、あたたかく懐かしいお店の中で さゆきの目にとまったのは「魔法の葉書」でした。

「送りたい人に必ず届く」というその葉書に、さゆきが書いた宛名は…
(雪うさぎの旅)




ある出来事がきっかけで、ひきこもりになってしまった17歳の真衣。

これでは駄目だと自分でも思っているのに、仕事を探しに行こうとしては外に出られず、勉強しようとしては参考書を開くこともできず。

一日中自分の部屋に閉じこもり、オンラインゲームの世界で遊ぶ日々。

二年もそんな生活を続けていれば当然 高レベルプレイヤーになり、ゲームの世界の真衣はちょっとした有名人です。



現実世界で過ごすべき時間を捨てて、現実から逃避して、一見明るく見える、電脳世界のまぶしい暗がりの中で遊んでいるだけ。
その時間が無駄に長いだけ。
通りすがりのプレイヤーから、言葉を投げかけられたこともあります。
『おまえさ、リアルじゃ「廃人」だろう?』
その言葉が、真衣の胸に刺さりました。




そんな真衣が、ある日、ふと 「いきなり、『職探し』なんてこと、やらなくてもいいんじゃないかな?」と気付きます。

そんなの、ゲームの世界と同じで、レベルの低いキャラクターが いきなり難しいクエストに挑戦するようなもの。

だったら、まずは家を出て、街に行って、何か小さな買いものをして帰ってこようと思い立ちました。

それから少しずつ、遠くに行けるようにがんばろうと。


お母さんに、何か夜食になるようなものを買って帰ろうと立ち寄った「コンビニたそがれ堂」で、真衣の目にとまったのは「奇跡の招待状」。

『パーティに招きたい「誰かさん」を、呼ぶことができる、魔法の招待状です。カードに名前を書きさえすれば、必ず、その人はあなたの元へ。』という信じ難い説明書きが添えてあります。



「気をつけてくださいね。今夜はハロウィン。不思議な力は強く働きます。どんな願いごとでも叶ってしまうかもしれません。けっして叶ってはいけないような願いごとさえも」 (人魚姫)




「クリスマスの思い出」についてのエッセイの執筆依頼を受けている作家の薫子。

小説やブックレビューに比べてエッセイは苦手な上、「女の子らしい記憶の在庫がない」と、困り果てて部屋を見渡せば 目に留まったのは一冊の写真集。

今はもう絶版の、外国の湖の写真集です。

十年前の十二月の朝、その写真集を押しつけるように薫子に渡し、旅に出た友人は、それっきり戻ってきませんでした。

学部もサークルも同じで、名前が薫子と一字違いの 佐藤薫。

語学が堪能で、機転の利く風来坊だった薫は、思いつきで旅の行き先や期間を変えることもしょっちゅうだったため、誰もが、彼はそのうち帰ってくるだろうと思っていたのです。


あれから十年。

「この本、いつになったら、取りに来るんだろう?」

置き去りにされたのは本だけではなく、クリスマスの食事の約束もでした。

「もう十年たったんだもんね。引っ越してもいいのかもしれない。潮時なのよ、きっと」


十二月に入ってから、真夜中の謎の騒音に悩まされるようになった薫子は、引越しを決意します。

不動産屋に行く途中、「コンビニたそがれ堂」に迷い込んだ薫子が、見つけたのは「ペンジュラム」


「なくしたものを探し出すことができる、不思議な魔法の振り子です。質問に答えることもできます。願いごとも叶えます。道に迷っても大丈夫。帰り道を教えてくれます。」 (魔法の振り子)




戦国時代、ある地方の海辺に栄えた、一つの国のお話。

その国の若君に可愛がられた美しい黒猫は、愛する人々を殺された恨みから 恐ろしい魔物に変わりました。


「……ねここや、ねここ。わたしが死ねば、この国は終わってしまう。もうそれは決まったことのようだけれど、でも、少しでも長く、わたしはこの地上に生きていたいんだ」
(エンディング~ねここや、ねここ)







※以下、ちょっとだけネタバレありです。未読の方はご注意ください。








前作と比べると全体的に内容が重く、切ないゴーストストーリーといった印象。


唯一「雪うさぎの旅」だけはそうでもなかったけれど、父親の再婚と慣れない都会暮らしに不安定になっている さゆきが、真っ先に「会いたい」と思い浮かべるのが自分で作った雪だるまと雪うさぎって…

百歩譲って、ほんっっっとに、十年生きてきてただの一人も友だちができなかったのだとしても、それってあまりに絵空事めいていて説得力がない。

おばあちゃんとおばさんに作ってもらったお弁当を、冬のさなか、雪の積もった森で食べるというのも、なんだかなぁ…

まともな大人なら、子どもにお弁当を持たせて一人で冬の森に行かせたりはしないと思うけど。


命を持たない者に 徒らに命を与えて、挙句 野垂れ死にさせてしまったような、嫌ぁな後味でした。



「人魚姫」の、「ハロウィンの晩に、本物の死霊に化かされる」っていうのは、ちょっと洒落にならないというか。

まさか このシリーズでそんなホラーな展開あるわけないと思っていても、怖かったなー。


優しいゴーストに背中を押されて、やっと歩き始めた真衣の 未来を暗示するかのような光あふれるラストシーンが素敵。



うっかり大泣きしてしまったのが「魔法の振り子」

でも、冷静になって考えてみると、「頼むから成仏して!」と思います。やっぱり。

幽霊の恋人とずっと一緒に暮らすなんて、不毛すぎる…



「ねここや、ねここ」は…

う~ん。生まれ変わりって、そりゃ、あるとは思うけど…

昔々の殿様と奥方様と若君と、ついでに若君の乳きょうだいだった娘までが 生まれ変わって一つの家族を成してるっていうのは、いくらフィクションだからってあんまりだと思います。

その上、みんながみんな 前世を連想させるような職業に就いてたり部活をやってたり。

失笑を買いそうな設定だと思うんだけど、本になるまでに誰もツッコミ入れなかったんだろうか?




誤植も気になったし、なんか、いろいろと残念。

私は前作のほうが好きだなぁ。



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2011年04月09日

ペンギン・ハイウェイ

 ぼくはお姉さんのところまで行って、「ごめんなさい」と言った。「ぼくはおとなげないことを言いました」
「君はオトナじゃないんだから、べつにいいんでしょ」
「あと三千八百八十一日たてば、ぼくも大人になる予定です」
「あきれた。よく数えたもんだな!」

「ペンギン・ハイウェイ」森見登美彦著(角川書店) ISBN: 9784048740630

小学4年の「ぼく」が住む郊外の街に、ある日、一群のペンギンが出現した。どうも歯科医院で働く、きれいなお姉さんと関係があるらしい。研究熱心なぼくは、ペンギンとお姉さんの謎を自ら解明すべく、驚くべき冒険に乗り出す。

多くの本好きブロガーが書いてらっしゃいますが、おばかな京大生や怪しいサークル活動が登場しない「新型モリミー」に、滑り出しはちょっと戸惑う。電車の中で読んでいて、笑いをこらえるのに苦労するなんてこともありません。

ところがページを繰るうち、物語に引き込まれるのはなぜだろう。舞台は大学のある郊外の町。まだ造成途中のような住宅地のすぐそばに、空き地や森が存在していて、ぼくとクラスメートのウチダ君は探検に余念がない。言われてみれば子供時代って、ごく身近に、こういう未知の世界があった気がする。

主人公ぼくの造形が秀逸だ。いろんなことを研究して、オリジナルの仮説やわかったことをノートにつけている。賢くて、口調はこ生意気なんだけど、世界の成り立ちを知りたいという気持ち、そしてお姉さんへの憧憬は純粋だ。そんなぼくを、からかってんだか可愛がってんだかわからない真木よう子みたいな(勝手なイメージ)お姉さんとの、軽妙なやりとりが楽しい。

ぼく、ウチダ君に、途中からもうひとり同じクラスのハマモトさんが加わって謎の研究が進んでいく。個性的な登場人物のなかでは、少し影の薄いウチダ君が、意を決したように死について語る印象的なシーンもある。始まりと終わりって、どんな風になっているのか? 考えていたら眠れなくなってしまう。そういう幼い焦燥感には、誰しも覚えがあるに違いない。

加速するクライマックスと、その後の嘘のような静けさ。読み終えると、大人になって、いろんなことがわかった気になってしまうことへの、淡いさびしさが胸に残る。日本SF大賞受賞。(2011・3)

2011年04月06日

人魚亭夢物語

人魚亭夢物語 (新しいこどもの文学) 人魚亭夢物語 (新しいこどもの文学)
(1999/08)
村山 早紀

商品詳細を見る


「コンビニたそがれ堂」「カフェかもめ亭」と同じく、風早の街が舞台のお話です。


この本の表紙を見た途端、娘が「ジブリの絵に似てる」と言ったのですが、私には特にそうも思えなくて。

ところが、挿絵の森友典子さんは元アニメーターで、ほんとにジブリのお仕事もなさっていたそうです。

奥付けページの紹介欄に、「『もののけ姫』でアニメーター生活に終止符を打つ。」とあります。

カバーイラストは、正直言ってあんまり私の好みではないのですが、人魚亭を描いた挿絵は、お店の内部も 外の佇まいも素敵。



人魚亭は、かもめ亭とよく似た雰囲気のカフェで、マスターが 海にちなんだ名前を持つ若い女性だという点でも、かもめ亭とイメージが重なります。(あちらは広海、こちらは真波。)

主人公は小学四年生の弥子で、人魚亭は弥子の行きつけの(!)喫茶店。

小学生が学校帰りに喫茶店に寄るなんて、決して感心できることではないけれど、弥子の家はお父さんが単身赴任中で、お母さんは仕事で帰りが遅くなることも多く、家に帰ってもひとりぼっち。

真波さんが「おかえりなさい」と迎えてくれて、親身に話を聞いてくれて、美味しいお茶が飲める素敵なカフェは、弥子にとってはかけがえのない憩いの空間なのでした。


ハンバーガー屋さんなら、紅茶は一ぱい百五十円。"本日のお茶"は三百五十円。高い。
でもこのお店で、きれいなカップで、真波さんに最高のお茶を入れてもらえてのめて、しかもポットで出てくるから二杯はのめる!
これっておとなのせんたくよね。私は、ちょっとだけ胸をはる。



それでもやっぱり、小学生のお小遣いではしょっちゅう立ち寄るわけにはいかないけれど。

こんな素敵なカフェを行きつけにしてる小学生、うらやましいなぁ。



「この角を曲がると異次元に行く」とか「今まさに空飛ぶ円盤がおりてくる」とか、そんな フィクションみたいな出来事が ほんとにあればいいなぁと思いつつ、心のどこかでは「そんなのあるわけない」と思っている弥子。

ところが ほんの短期間に、立て続けに お話のような出来事に遭遇するのでした。


伝説の怪盗「銀ぎつね」に、港を根城にする盗賊「黒犬団」、妙音岳に埋まっているという隠し財宝の噂。


都市伝説もどきの噂に過ぎないと思われていたそれらが、「ししゅうする少女」という絵によって繋がったことで俄かに現実味を帯び始め、その絵をめぐる一連の事件にすすんで巻き込まれた弥子が、嘘みたいな冒険をするという…

そこに、前世の約束やら 真波さんが実は○○○だったことを示唆するエピソードやら 風早に伝わる数々の伝説やらが絡んで織り成す、まさに夢物語。

「かもめ亭」や「たそがれ堂」に比べると対象年齢がかなり低く、児童書らしいといえばその通りなんだけど……う~ん。なんか物足りない。


「夢みたいな出来事」だからこそ、そこにリアリティーを持たせるべく、「銀ぎつね」が怪盗になった背景とか、伊東さんが あの絵に執着する理由について(ただ綺麗だからというだけでなく)、何らかの説得力のあるエピソードを添えるとかすれば、もう少し読み応えがあったかも。

言葉は悪いけど、子どもだましの「夢物語」で終わってしまった感じ。


優れた絵本や児童文学は大人の鑑賞にも十分堪えうるというか、子どもが読んで面白いものは大人が読んでも面白いと思っているので、「児童書だからこの程度でいいんじゃない?」とは思えないんですよねぇ…


でも、「かもめ亭」や「たそがれ堂」には名前だけしか出てこなかった「真奈姫川」や「妙音岳」に関する伝説が出てきたり、マルコ・ポーロの「東方見聞録」の記述にあるような「黄金の国」だった頃の風早の話が真波さんによって語られたりと、その辺りは面白かったかな。


それにしても、風早の街って、白狐の神さま「風早三郎」だけでなく、妙音岳の女神や竜宮の女神にまで護られているっていうのが、恵まれすぎてて都合が良すぎるような気もしないではない(笑)



風早の街を舞台にしたお話は、他の出版社からも多数出ているようで、文庫版「コンビニたそがれ堂」の解説によると、「出版社をまたにかける隠れシリーズものなのです。昔々、いまのような長編ファンタジーブームが来るとは知らなかった頃、新人作家だったわたしは、どうしても大長編が描きたくて、『一冊一冊は別の本でも、よく読むとシリーズものになるように本を書けばいいんだ』と、この方法を思いついて、密かに『風早街サーガ』と呼んでいました」とのことです。

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2011年02月06日

「おっぱいとトラクター」マリーナ・レヴィツカ/青木純子訳

おっぱいとトラクター (集英社文庫)
おっぱいとトラクター (集英社文庫)
  • 発売元: 集英社
  • 価格: ¥ 840
  • 発売日: 2010/08/20
  • 発売日: 2010/08/20
  • 売上ランキング: 128372


ウクライナからイギリスに移ってきたとある一家。イギリスで長い年月が経ち、
父親は80代、母親は既に亡く、姉妹2人は嫁いでいたが、姉妹仲は悪かった。
そんな一家に大事件が。80歳も過ぎた父親が、ウクライナからやってきた
巨乳の美女にいれあげ、結婚を考えているらしい・・・。
仲の悪い姉妹は、巨乳美女との戦いに一致団結していく。そして、妹の知らない、
家族の悲惨な歴史が徐々に浮かび上がってくるのだった・・・。

いやあ、すごいタイトルです。
森見登美彦さんのおかげで(?)「おっぱい」と言う言葉に反応してしまうようになった私、
(一応、女です)、このタイトルを見ただけで買わずにはいられませんでした。
おっぱいと、トラクターですから、その単語のギャップにもひかれますよね。

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2011年02月03日

【第2版】村上春樹『海辺のカフカ』を蜷川幸雄が舞台化、2012年5月に上演

ビックニュースが飛びこんできた。
村上春樹『海辺のカフカ』が蜷川幸雄が舞台化。
2012年5月に上演。

村上春樹の作品は大好きで、長篇、短編とかなりの本を読んでいる。
観劇も趣味で、蜷川幸雄の舞台も何度も観ている。
この舞台は是非観たい。

・隠喩の塊、仕掛け生々しく…「海辺のカフカ」演出 蜷川幸雄氏
繊細かつ強い少年」現れよ
世界的に活躍する2人の才能が初めて出会う。村上春樹氏の小説『海辺のカフカ』が蜷川幸雄氏の演出で舞台化され、来年5月、さいたま市の彩の国さいたま芸術劇場で上演される。夢と現実、冥界とこの世を行き来する村上氏の世界と、スペクタクルな蜷川演出から、どんな舞台が生まれるのか。(多葉田聡)
絶対に許可が出ないと思っていた。プレゼントをもらった気分」。村上氏の全作品を読んできた蜷川氏は、思いもよらなかった舞台化の喜びを率直に表す。

http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20110203-OYT8T00319.htm?from=nwlb

・「海辺のカフカ」蜷川幸雄演出で来年舞台化
村上春樹さんのベストセラー小説「海辺のカフカ」(新潮社刊)が蜷川幸雄さんの演出で舞台化され、来年5月、さいたま市の劇場で上演されることが分かった。
デビュー作「風の歌を聴け」以来、30年以上愛読してきた蜷川さん側が働きかけ、世界中に読者を持つ村上さんと、多くの海外公演を手がけた「世界のニナガワ」との豪華な顔合わせが実現した。
日本人が村上作品を演出し、国内で上演するのは初めて。

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20110203-OYT1T00211.htm

追記)
読売新聞朝刊 2011年2月3日文化面より
海外で村上作品が舞台化された例は多いが、国内では英国のサイモン・マクバーニー氏が演出した「エレファント・バニッシュ」のみ。今回は、スタインベック原作の舞台『怒りの葡萄』の脚本・演出したフランク・ギャラティ氏が3年前に舞台化した際の脚本を翻訳して使う


海辺のカフカ (上) (新潮文庫)海辺のカフカ (上) (新潮文庫)
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2011年02月03日

【第2版】村上春樹『海辺のカフカ』を蜷川幸雄が舞台化、2012年5月に上演

ビックニュースが飛びこんできた。
村上春樹『海辺のカフカ』が蜷川幸雄が舞台化。
2012年5月に上演。

村上春樹の作品は大好きで、長篇、短編とかなりの本を読んでいる。
観劇も趣味で、蜷川幸雄の舞台も何度も観ている。
この舞台は是非観たい。

・隠喩の塊、仕掛け生々しく…「海辺のカフカ」演出 蜷川幸雄氏
繊細かつ強い少年」現れよ
世界的に活躍する2人の才能が初めて出会う。村上春樹氏の小説『海辺のカフカ』が蜷川幸雄氏の演出で舞台化され、来年5月、さいたま市の彩の国さいたま芸術劇場で上演される。夢と現実、冥界とこの世を行き来する村上氏の世界と、スペクタクルな蜷川演出から、どんな舞台が生まれるのか。(多葉田聡)
絶対に許可が出ないと思っていた。プレゼントをもらった気分」。村上氏の全作品を読んできた蜷川氏は、思いもよらなかった舞台化の喜びを率直に表す。

http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20110203-OYT8T00319.htm?from=nwlb

・「海辺のカフカ」蜷川幸雄演出で来年舞台化
村上春樹さんのベストセラー小説「海辺のカフカ」(新潮社刊)が蜷川幸雄さんの演出で舞台化され、来年5月、さいたま市の劇場で上演されることが分かった。
デビュー作「風の歌を聴け」以来、30年以上愛読してきた蜷川さん側が働きかけ、世界中に読者を持つ村上さんと、多くの海外公演を手がけた「世界のニナガワ」との豪華な顔合わせが実現した。
日本人が村上作品を演出し、国内で上演するのは初めて。

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20110203-OYT1T00211.htm

追記)
読売新聞朝刊 2011年2月3日文化面より
海外で村上作品が舞台化された例は多いが、国内では英国のサイモン・マクバーニー氏が演出した「エレファント・バニッシュ」のみ。今回は、スタインベック原作の舞台『怒りの葡萄』の脚本・演出したフランク・ギャラティ氏が3年前に舞台化した際の脚本を翻訳して使う


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2011年02月01日

2011年1月に読んだ本

前半はお正月気分が抜けず、スローペース。
後半は読書ペースが戻ってきた。

SF色が強い読書月間でした。
特にお薦めは『アンダ−グラウンド』『オラクルナイト』『あなたの人生の物語』『オリクスとクレイク』。

読んだ本の数:12冊
読んだページ数:4338ページ

■虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) 伊藤計劃 
脳内で色んな情報にアクセスが始まってしまった。 趣味が多いほど楽しめて、メッセージ性が強くて好きな作品。

■信さん (小学館文庫) 辻内智貴
郷愁。

■騎士(シヴァルリ)の息子 上 (創元推理文庫) ロビン・ホブ,鍛治 靖子
読みやすい。

■書店風雲録 (ちくま文庫) 田口久美子 
リブロの歴史

■茗荷谷の猫 木内昇  
時間を超えた江戸から東京の物語。特に土地勘のある場所には親近感。

■田村はまだか 朝倉かすみ
「起承転結」のお手本のような小説。

■明日の記憶 (光文社文庫) 荻原浩 
山本周五郎賞受賞。若年性アルツハイマーの知識が深まる。誰にでも起こる可能性はある。自分または家族だったらどう受け止め、向き合うか、自問自答を繰り返す。

■アンダーグランド(講談社文庫) 村上春樹 
地下鉄サリン事件の被害者、ご遺族に村上春樹自らインタビュー。当日の様子が克明に浮かび、後遺症を残している。事件から16年経つが、風化させないために読み継ぎたい。

■オラクル・ナイト ポール・オースター 
マトリョーシカのような、クラインの壺か、青いノートに無限に広がる世界。

■猫―クラフト・エヴィング商会プレゼンツ 有馬 頼義,猪熊 弦一郎,井伏 鱒二,大佛 次郎,尾高京子,ほか 黒ハート
各々が猫を観察したエッセイ。視点が変わって面白い。

■あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF) テッド・チャン 
一気読み。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、星雲賞受賞、読者賞受賞。 「チャンを読まずしてSFを語るなかれ」の解説に深く頷く。人類の根幹をテーマに哲学的な作品でした。凄過ぎて賛辞の言葉が見つからない。著者は頭脳明晰な方なんだと思う。

■オリクスとクレイク マーガレット・アトウッド 
謎が少しずつ解けてくるが、スノーマンとジミーの間に、現代が見えてくる。<マッド・アダム>三部作の第一部で第二部『洪水の年』が2009年に発表されているので、早く翻訳してほしい。 キーワードは近未来社会、終末世界、聖域。

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2011年02月01日

2011年1月に読んだ本

前半はお正月気分が抜けず、スローペース。
後半は読書ペースが戻ってきた。

SF色が強い読書月間でした。
特にお薦めは『アンダ−グラウンド』『オラクルナイト』『あなたの人生の物語』『オリクスとクレイク』。

読んだ本の数:12冊
読んだページ数:4338ページ

■虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) 伊藤計劃 
脳内で色んな情報にアクセスが始まってしまった。 趣味が多いほど楽しめて、メッセージ性が強くて好きな作品。

■信さん (小学館文庫) 辻内智貴
郷愁。

■騎士(シヴァルリ)の息子 上 (創元推理文庫) ロビン・ホブ,鍛治 靖子
読みやすい。

■書店風雲録 (ちくま文庫) 田口久美子 
リブロの歴史

■茗荷谷の猫 木内昇  
時間を超えた江戸から東京の物語。特に土地勘のある場所には親近感。

■田村はまだか 朝倉かすみ
「起承転結」のお手本のような小説。

■明日の記憶 (光文社文庫) 荻原浩 
山本周五郎賞受賞。若年性アルツハイマーの知識が深まる。誰にでも起こる可能性はある。自分または家族だったらどう受け止め、向き合うか、自問自答を繰り返す。

■アンダーグランド(講談社文庫) 村上春樹 
地下鉄サリン事件の被害者、ご遺族に村上春樹自らインタビュー。当日の様子が克明に浮かび、後遺症を残している。事件から16年経つが、風化させないために読み継ぎたい。

■オラクル・ナイト ポール・オースター 
マトリョーシカのような、クラインの壺か、青いノートに無限に広がる世界。

■猫―クラフト・エヴィング商会プレゼンツ 有馬 頼義,猪熊 弦一郎,井伏 鱒二,大佛 次郎,尾高京子,ほか 黒ハート
各々が猫を観察したエッセイ。視点が変わって面白い。

■あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF) テッド・チャン 
一気読み。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、星雲賞受賞、読者賞受賞。 「チャンを読まずしてSFを語るなかれ」の解説に深く頷く。人類の根幹をテーマに哲学的な作品でした。凄過ぎて賛辞の言葉が見つからない。著者は頭脳明晰な方なんだと思う。

■オリクスとクレイク マーガレット・アトウッド 
謎が少しずつ解けてくるが、スノーマンとジミーの間に、現代が見えてくる。<マッド・アダム>三部作の第一部で第二部『洪水の年』が2009年に発表されているので、早く翻訳してほしい。 キーワードは近未来社会、終末世界、聖域。

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2011年01月30日

カフェかもめ亭

カフェかもめ亭 (ポプラ文庫ピュアフル) カフェかもめ亭 (ポプラ文庫ピュアフル)
(2011/01/06)
村山早紀

商品詳細を見る



「コンビニたそがれ堂」と同じく、風早の街が舞台の短編集。

2001年に「ささやかな魔法の物語 カフェ・かもめ亭」というタイトルで刊行された児童書に加筆・訂正し、書き下ろし中編を加えて、今年やっと文庫化されました。

この元版をずっと前から探していたのですが、Amazonマーケットプレイスに常に何点か出品されていた古本は、どれもかなり高くて。

5年も後に出た「コンビニたそがれ堂」が先に文庫化されているのだから、この本もそのうちきっと…と思うと、定価より高い古本を買う気にもなれず、辛抱強く待ち続けた甲斐がありました。


ただ、「ささやかな魔法の物語」のカバーイラストがすごく好きだったので、ちょっと残念。

文庫版の表紙も、あたたかな色合いの絵で 決して悪くはないのですが…




古い歴史をもつ海辺の街、風早の街。
その港のそばの、明治時代からの洋館が今も建ちならぶあたりに、わたしの店はあります。



こんな書き出しで始まる「カフェかもめ亭」

帆船の客室やイギリスのパブをモデルに、オークの木と煉瓦で作られた重厚な建物ですが、壁をはう蔦の葉やゼラニウムの鉢がかわいらしさを添えています。

扉にはめ込まれたステンドグラスの図柄は、青い海に歌う人魚姫と その頭上を舞うかもめの群れ。

貝殻で作られたかもめのモビールが揺れ、店の真ん中では小さな自動ピアノが懐かしいメロディーを奏でています。

マスターは、祖父から店を引き継いでまだ数年の広海(ひろみ)。

曽祖父の代から70年近く続くカフェかもめ亭には、様々なお客がやって来ては 不思議な話を聞かせてくれるのでした。




「マスターは、生まれ変わりって、信じます?」


店の壁に貼られたばかりのポスターを目にして、そう話し始めたのは、常連の高校生 澪子。

彼女が小さい頃からよく見るという夢の話。

その夢の中で、澪子は砂漠をひとりで旅する12歳くらいの少女です。

わずかな水と食糧と、短剣を渡され、親に捨てられた子どもでした。

その少女が砂漠で見つけた、枯れた大きな木と、その根元に湧く小さな泉。

そのほとりに、ある日 奇跡のように芽吹いた緑。

驚くほどの速さで生長したその草は、やがて蕾をひとつつけるのですが… 


いつもいつも、心の中に青い色があったんです。
その色がとてもなつかしいから、いつも青い色を追いかけてきました。
何だか、のどがかわいているみたいな気がいつもしていたんです。
でも、もう、みつかりました。
世界で一番きれいな青い色。あの日の、空と泉の水の色。
あの花の色が、わたしの青色です。
 (砂漠の花)




「七つの海の彼方から、今日もいろいろ持ってきましたよ、マスター」


世界中を飛び回って雑貨を仕入れてくる寺嶋雑貨店の主は、店に飾られた青い紫陽花を見て、子どもの頃の思い出を語り始めます。

小学五年生の初夏に訪ねた、紫陽花の咲き誇る美しい屋敷。

真っ白なコリー犬を従えた、「あずさ」という名の少年。二人の弟と、優しい両親と祖父。

世界の果てにあるという地球樹の話をしてくれた あずさは、一体何者だったのか?

二度と辿り着くことができなかったあの屋敷は、そしてあの一家は、現実に存在したのだろうか? 


今もぼくは、遠い国を旅している時、この国に、あの世界樹の庭があるかもしれない、あの不思議な青年と会えるかもしれない、と思うんです。
そうして、美しいものや珍しいものをみつけて日本に持って帰るたびに、どこかの街角で、あずさに出会い、あのなつかしい家族たちと会って、「ほらこんなものを持ってきましたよ」と、みせてあげられるような気がするのです。
 (万華鏡の庭)




カウンターに飾られた 「テディ・ベア」という名のバラを見て、昔の友だちのことを思い出したのは、もうすぐ高校生になる かおる。

小学四年生の頃、何もかもがモノクロにしか見えなくなった眼に ただひとつ色がついて見えたもの。

公園で出会った茶色いとら猫を、かおるは「ねこしまさん」と呼んでいました。

学校に行けなくなったかおるの たったひとりの友だち ねこしまさんは、どうやら「猫の国」の王子さまだったらしいのですが… (ねこしまさんのお話)



ほかに、「銀の鏡」「水仙姫」「グリーン先生の魔法」「かもめ亭奇談」「クリスマスの国」の五編を収録。

書き下ろし中編「クリスマスの国」は、その日初めてかもめ亭を訪れたお客さまが語り手で、なんと彼は「コンビニたそがれ堂」で探しものを見つけてきたばかりです。




どのお話も、美しいけれど どこか哀しい。


私は、「砂漠の花」がいちばん好きです。

花を咲かせた少女と、その花に救われた旅人と。

自分が それと知らないままに救った命があることを、長い長い時を経て知ったあの子は、もう 砂漠の夢を見なくなるような、そんな気がします。

少女と旅人、双方の物語を知っているのは、今のところマスターだけですけれど…

後に、澪子はきっと、マスターか 例の友人のどちらかから、砂漠の旅人の物語を聞くに違いないと思うので。



「万華鏡の庭」は、阿刀田高さんの短編にありそうな(あちらはもっとうんと大人向けですけれど)、ちょっと奇妙な味わいで、これも好き。

紫陽花の屋敷も、「あずさ」も、結局何だったのかは明かされないままですが、きっとそのほうが良いのだと思います。


不思議は不思議のままがいい。

どんな出来事も合理的に説明できてしまうなんて、つまらないじゃないですか。

読者は、あの屋敷は、現実の時の流れとは違うところに在って、あの日たまたま現世と繋がっていたところに寺嶋少年が迷い込んだのだとか、それとも 寺嶋少年が かつてあの屋敷が存在した時間にタイムスリップしたのだとか、いろんな想像を巡らせるのです。




八編の中には、一見不思議な話でも からくりの解るものもあれば、「万華鏡の庭」のように正真正銘不思議なお話もあります。


書き下ろしの「クリスマスの国」、本来なら哀しい結末を想像してしまう展開なのですが、「たそがれ堂」に辿り着いたのなら きっと大丈夫!と思えてしまうからすごい(笑)

そこでプレゼントを見つけられたのなら、きっとアリスに会えるはず。それを渡せるはず。


風早の街は、私の中で徐々にリアリティーを増していってます。


元版の表紙はこちら↓

ささやかな魔法の物語―カフェ・かもめ亭 (ポプラの木かげ) ささやかな魔法の物語―カフェ・かもめ亭 (ポプラの木かげ)
(2001/12)
村山 早紀

商品詳細を見る



ああ、こんなカフェが近くにあったら、間違いなく常連になるんだけどなぁ…



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