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2011年04月08日

星野智幸『俺俺』が大江健三郎賞受賞

星野智幸『俺俺』が大江健三郎賞を受賞した。

 
第5回大江健三郎1 件賞(講談社主催)は6日までに、星野智幸さん(45)の「俺俺」(新潮社)に決まった
 大江賞は過去1年間に、日本で刊行された文学作品の中から、作家の大江健三郎(おおえ・けんざぶろう)さん(76)が一人で選ぶ。受賞作は翻訳されて海外で出版される。

http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011040601001032.html

2010年マイベスト10の国内作品。
Twitter文学賞第2位。

Twitterでご本人が報告。
TLが「おめでとう」で賑わった。

7年前、雑誌に『ロンリー・ハーツ・キラー』の書評が掲載し、この本を読みたいと図書館で借りて、作品に惚れた。
この作家は読んでいこうと決め地道に読んで、残り数冊でコンプリート。
何度かTwitterでお返事も頂いている。

内容は「俺」が増殖する物語。
後半は背筋が寒くなった。

この賞は翻訳が賞品。
多くの国で読まれるのは喜ばしい。
受賞おめでとうございます。

◆感想と関連記事
・【第2版】"俺”が増殖 星野智幸『俺俺』
http://greenfieldsgreen.seesaa.net/article/155276626.html

・星野智幸ブログ”『俺俺』 収録外のまえがき”が更新
http://greenfieldsgreen.seesaa.net/article/155567864.html


俺俺俺俺
星野 智幸

新潮社 2010-06
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ロンリー・ハーツ・キラー (中公文庫)ロンリー・ハーツ・キラー (中公文庫)
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2011年01月07日

「神の棘 1」須賀 しのぶ

「神の棘 1」須賀 しのぶ
早川書房

1935年、ドイツ。若く優秀な保安情報部員アルベルトは、党規に従い神を棄てた。そして上官のハイドリヒから、ヒトラー政権に反発する国内カトリック教会の摘発を命じられる。

最期でやっと劇的な展開になってきたけれどそれまではねぇ・・
こんな風に思っちゃ いけないのだろうけど アルベルトの奥さんが 知り合いを 助けようとしたところで、この馬鹿女が・・・と 思ってしまった。
私って 間違ってるわなぁ。
でも この女、嫌いだ。


●時代が同じで・・・ドイツの話・・

「ヒトラーの防具」帚木蓬生
「本泥棒」マークース・ズーサック
「薔薇密室」皆川 博子

2010年10月18日

「産霊山秘録」半村良

産霊山秘録 (集英社文庫)
産霊山秘録 (集英社文庫)
  • 発売元: 集英社
  • 価格: ¥ 820
  • 発売日: 2005/11/18
  • 売上ランキング: 171021
  • おすすめ度 4.5


阿部和重の「ピストルズ」を読んだときにこの本の話が出てきたのです。
どんな引用か忘れたけども、紹介されてて「おもしろそうやん」と思って、
で、自分の未読本棚にあったので読みました。(未読本棚にはなんでもある)
確か買ったのは、この文庫がすごい、かなにかのランキング雑誌で、
これが上位だったからだったと思います。そのランキング雑誌、
今思えばかなりマイナーな、知らないよって文庫を紹介してくれてたんだけど、
これ読んだら確かに信頼できるランキングだったと思います。
いやー面白かった。
荒唐無稽な歴史改変SFを読みたい人はぜひどうぞ。

2010年10月03日

「俺俺」

電源がオンになれば、プログラムで型どおりにしか動かず生身の俺など理解しない親という連中にかかわらなければならないし、同僚と同僚らしくつきあわなければならないし、自分のキャラを立てる努力をしなくちゃならないし、自分を説明しなきゃならない。俺は絶えず俺でいなければならないのだ。

「俺俺」星野智幸著(新潮社) ISBN: 9784104372034

ほんの悪戯心から、拾った携帯電話でオレオレ詐欺を働いた俺。ところがいつの間にかなりすました相手と自分が入れ替わり、さらに俺がどんどん増殖していく。

あまり予備知識がないまま、話題作を手にとった。シュールで不条理で、読んでいる間じゅう胸がざわざわ。この嫌~な感じは何なのだろう。
物語のなかで増殖する俺は、決してそっくりさんではない。老若男女ばらばらなのに、確かにこいつは俺だと感じる。映像ではとても表せない状況の造形力。

俺同士だから価値観も共通で、努力しなくてもわかりあえる、という当初、主人公が感じる心地よさは、他者とのコミュニケーション不全の裏返しだ。しかも話はそれだけで終わらない。社会に俺が増殖し過ぎて、まるで鰯の群れのように思えてくるあたりから、不快な異様さが増してくる。あふれかえる大量の自分を肯定できず、暗い破滅へとなだれ込む存在の溶解という恐怖。

暗いなかにどこか滑稽さも漂う。主人公が働く家電店の値引き方やら、ファストフード中心の食生活やら、高尾山の混み具合とかがリアルで、とんでもない非現実がすぐ隣にあるみたい。
オレオレ詐欺が流行り始めたとき、あるおばあちゃんが「騙されてるかもしれないけど、必要とされるなら本望だ」と言い張ったという三面記事に胸をつかれた覚えがある。そして事態はもっと先を行っているのかもしれない。正直カタルシスはなかったけれど、現代を見つめる作家の目を感じる。(2010・9)

2010年08月02日

2010年7月に読んだ本

7月に読んだ本です。
一押しは星野智幸『俺俺』と角田光代『ひそやかな花園』。
総ページがキリのいい数字になった!

読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2000ページ

■異邦人 (新潮文庫) カミュ

■俺俺 星野智幸 
鮮烈で新境地。装丁の絵画と内容が見事にあっている。

■1Q84 BOOK 3 村上春樹 
母性と直感の物語。

■ティンブクトゥ (新潮文庫) ポール・オースター
再読予定。犬から見た人生と郷愁感。

■抱擁 (集英社文庫) 日野啓三 
泉鏡花賞受賞。 再読予定。

■ひそやかな花園 角田光代 
重いテーマだった。感想はバックバーン次第で変わると思う。前知識なしで読むことをお勧めしたい。

■4444 古川日出男 
シャッフルしたくなる短編集。この感覚がたまらない好き。

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2010年08月02日

2010年7月に読んだ本

7月に読んだ本です。
一押しは星野智幸『俺俺』と角田光代『ひそやかな花園』。
総ページがキリのいい数字になった!

読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2000ページ

■異邦人 (新潮文庫) カミュ

■俺俺 星野智幸 
鮮烈で新境地。装丁の絵画と内容が見事にあっている。

■1Q84 BOOK 3 村上春樹 
母性と直感の物語。

■ティンブクトゥ (新潮文庫) ポール・オースター
再読予定。犬から見た人生と郷愁感。

■抱擁 (集英社文庫) 日野啓三 
泉鏡花賞受賞。 再読予定。

■ひそやかな花園 角田光代 
重いテーマだった。感想はバックバーン次第で変わると思う。前知識なしで読むことをお勧めしたい。

■4444 古川日出男 
シャッフルしたくなる短編集。この感覚がたまらない好き。

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2010年06月11日

「雪沼とその周辺」堀江敏幸

雪沼とその周辺 (新潮文庫)
雪沼とその周辺 (新潮文庫)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 380
  • 発売日: 2007/07
  • 売上ランキング: 118514
  • おすすめ度 4.5


「雪沼」という地名を舞台に、様々な人々の生活を情緒豊かに描く作品集。
堀江さんは「いつか王子駅へ」を読んだ時はぴんとこなかった。
そのあと「めぐらし屋」を読み、いい小説だなあ、と思った。
今回「雪沼とその周辺」。今回は、ものすごくいいなあ、と思った。
年を取る毎に、堀江さんの小説って、しみこんでいくのではないかなと思う。
この、薄くて短い作品集に、たくさんの人生が詰まっている。

2010年03月20日

流星の絆 東野圭吾

JUGEMテーマ:読書
ペルセウス流星群を深夜に家を抜け出し、観にいった14年前。帰ったとき、両親は殺されていた。という、ショッキングな内容なんです、ここまでの導入もOKです。
両親は洋食屋を営んでいて、そのハヤシライスの味を、子どもたちにも伝えていた。これも、OKなんです。伏線としてもなかなか、いいんですね。

ごめんなさい、素直に入り込めなかったわたしとしては、さらに妹と犯人の息子が恋愛関係になるというところが、ありえない。その苦悩というのもまあまあ伝わってくるのですが、違う展開もありかなと。わたしとしては、この詐欺師というのが引っかかるんです。妹は別に詐欺師でなくてよかったのでは?

と、あまりいいところがないように書いていますが、東野ファンとしては、少し物足りないというのが正直な感想かな。遊びもあって、別のシリーズものの加賀や草薙の名前が出てきたときには、思わずニヤリでした。
そして、この作品を引き締めたのはやはり、ラストかなー。ここでそう来るかという、ラストは実に納得だったかな。このラストがなかったら、わたし、次から読むまいとまで思いました。
しかし、やはり読むんですよ、東野作品は。

いくら期待はずれでもやはり期待してしまいますね。
この作品はドラマ化されましたね。原作のせいか、見ませんでした。
しかし、東野作品はやめないと思います、今後も。

2010年03月12日

「昭和陸海軍の失敗―彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか」半藤一利

「昭和陸海軍の失敗―彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか」半藤一利
231p文藝春秋

目次
第1部 昭和の陸軍 日本型組織の失敗(黒野耐、戸部良一、半藤一利、福田和也、保阪正康)
派閥抗争が改革をつぶした―宇垣一成と荒木貞夫
エリート教育システムの欠陥―東條英機と永田鉄山
天才戦略家の光と影―石原莞爾と武藤章
良識派は出世できない―栗林忠道、今村均、本間雅晴 ほか
第2部 昭和の海軍 エリート集団の栄光と失墜(戸高一成、秦郁彦、半藤一利、平間洋一、福田和也)
成功体験の驕りと呪縛―東郷平八郎と加藤友三郎
人事を牛耳る皇族総長―伏見宮博恭王
良識派は孤立する―米内光政と井上成美
必敗の日米開戦をなぜ?―永野修身と嶋田繁太郎 ほか


知らないことが多い。
昭和史を見る上でやはりこういうところは抑えておきたい。
それぞれの人たちのイメージとは ずいぶん変わってくる。
読んでよかった。
案外 現代にも 通じたりして。


●昭和史関連

「昭和史 1926-1945」半藤 一利

「昭和の名将と愚将 」保阪 正康、半藤 一利
「ラジオの戦争責任」坂本慎一
「空気と戦争」猪瀬 直樹

「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」加藤陽子
「真珠湾攻撃総隊長の回想 淵田美津雄自叙伝」淵田 美津雄,中田 整一
「甘粕正彦乱心の曠野」佐野 眞一
「われ巣鴨に出頭せず―近衛文麿と天皇 」工藤 美代子
「散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道」梯 久美子
「私事―死んだつもりで生きている」中村 雀右衛門
「驕れる白人と闘うための日本近代史」松原 久子
「僕の見た「大日本帝国」―教わらなかった歴史と出会う旅」西牟田 靖
「あの戦争から遠く離れて―私につながる歴史をたどる旅 」城戸 久枝
「帰り道は遠かった」竹川 英幸
「エトロフ発緊急電」佐々木 譲
「ヒトラーの防具」帚木蓬生
「僕たちの戦争」荻原 浩
「アメリカの階梯」西垣 通

2010年03月10日

聖女の救済 東野圭吾

評価:
東野 圭吾
文藝春秋

男がその言葉を口にしたとき、女は最後の決意を固めた。あの白い粉の力を借りるときがやって来た――。IT会社社長の真柴義孝が自宅で変死体となって発見された。死因は毒物による中毒だ。草薙刑事は被害者の愛人だった若山宏美を第一容疑者として疑うが、彼の同僚の内海 薫は真柴の妻・綾音の行動に不審を持ち、別行動で調べ始める。だが綾音には鉄壁のアリバイがあった。そのアリバイを崩すためには、湯川 学の力を借りる以外にないが……。【ガリレオシリーズ公式サイトより】

これ、面白かったですね。ガリレオシリーズはドラマ化され、福山イメージでずっと読んできましたが、長編の方が合うのではないでしょうかね。「容疑者Xの献身」もそうであったように、この作品も、加害者の心理を考えると、すごく切なくなるんですね。そういう面では、やはり長編でしょう。

義孝という人間を考えた時には、ひどいやつとは思うんです。しかし、ここまで過去にかかわっていたことにあ然でした。犯人の綾音の心理も分からないでもありません。ただねー、こんな男好きになるなよーといいたくもなってくるんですね。それは、若山宏美もそうなんですけど。わたしにとって、そこが一番不可解でした。いくら義孝が愛情ある家庭に育ってないということもあるのだけど、一年の期間限定の結婚はありえないでしょう。そこがどうも不可解でした。まあ、好きになったら盲目ですから、ありえないことではないとは思うんですが…。

さて、これはミステリーなので、あまり多くは語れませんね。特に東野ミステリーは伏線があり、全てを読みのがしてはとんでもないことになるので、なるべくその部分は触れないでおきます。今回もそういう面は多分にありますね。ただ今回はわりと、簡単だったかな。
不自然な描写が多すぎますもんね。

ガリレオと内海薫もドラマ以来、定着してきましたね。返って、草薙の存在感が「ガリレオの苦悩」では薄れた感があったのですが、この作品ではこうきたかと思いましたね。でも内海の存在感が、目立つ作りとなっています。つまり、女性ならではの着眼点でしょう。それが、今までの作品より、ガリレオにより人間性を持たせたといってもおかしくないのです。

話は簡単、どうやって毒を被害者に飲ませたか。有力容疑者は鉄壁のアリバイがある。それを崩していくんですが、ガリレオの論理的思考が痛快この上ないんです。
「これは、虚数解だ」
つまり実数ではない複素数。数学を分からないと、わたしでは無理です。「容疑者x」の流れですかね。でもでも、この人間の悲しさや、複雑さなどわたしは、最後まであきませんでした。

さらに、内海が聞いていた音楽が福山雅治というところも遊び心。義孝のかっての恋人が、広島の東広島市だったということもわたしにとってはより身近に感じたのでした。
動機も仕掛け(トリック)もびっくりするものではないんですが、この事件にかかわる人間心理がとても面白く、切ない秀作だとわたしは思います。次のガリレオシリーズも読みますとも。
ぜひ書いてほしいです、東野さん。

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