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2010年02月28日

「ツィス」広瀬正

ツィス (集英社文庫)
ツィス (集英社文庫)
  • 発売元: 集英社
  • 価格: ¥ 750
  • 発売日: 2008/08
  • 売上ランキング: 243609
  • おすすめ度 5.0


昨年、次々と復刊された広瀬正さんの作品。復刊順に読んでいます。
今回は、音をテーマにしたパニック小説。
ドのシャープの音、ツィス音が突然鳴り始めた世界。
原因不明のその音がどんどん大きくなり、東京がパニックに陥るという物語。

私は一応絶対音感の持ち主(ここに出てくる逸見のり子さんほどではないですが)で、
ドのシャープの音がどんな音かはだいたいわかります。いやな音です。
基本の音になるドの半音上。だいたいの音楽は、聞いてるときに
一緒にツィス音が鳴ってたら、やな気分になると思います。
ジャズだと、いろんな音を取り込める素養があるので、まだましですが・・・。
たぶん考えられる中で、ずっと鳴ってたら一番いやな音だと思います。
あえてこの高さを選んで題材にするあたり、ジャズも演奏していた
広瀬さんのこだわりを感じました。音に関する考察も演奏家ならではだったと思います。

2010年02月28日

三たびの海峡 帚木蓬生

<生者が死者の遺志に思いを馳せている限り、歴史は歪まない>

最初に読んだのはいつのことだったでしょうか?かれこれ、12年前くらいでしょうか。

河時根は第2次大戦中、朝鮮から強制連行され、九州の炭鉱に送られ、過酷な労働を強いられます。それは、想像に絶する非人間的なものだった。暴力と辱めを受けながら、食料もまともに与えられず、賃金もピンはねされる。そして、逃げれば監視の目とすさまじい暴力。働けば炭鉱事故の恐怖。こんな状態で彼らは、祖国に帰ることだけが希望として働いています。
暴力、事故で次々と倒れていく仲間たち。そして、生き延びるのは同じ民族が管理者として、仲間を見張ること。

それでも連行された者は、改善を求めて、炭鉱に行かないストライキを決行します。そこで主人公が唄う、ただひとつの歌が‥。ここで泣いてしまうんです。
次から次に苦難が襲います。しかし、これは事実、日本が行ってきたことなんです。いや、もっとひどいことをしてきたのだと思います。
だから、この事実を決して忘れないため、作者はこの作品を残したともどこかで読みました。決して消し去らない歴史の事実。

「私たちは未来から学ぶことはできない。学ぶ材料は過去の歴史のなかにしかない。…自分に都合の良いように、粉飾した改変を加えた歴史からは、束の間のつじつま合わせしか生まれて来ない」
まさにそのとおりだと思います。

形はミステリーなので、これ以上は語ることができませんが、主人公を動かしているのはこの国に対する恨(ハン)。そして、三たび海峡を渡ることになったのです。
隣国との関係を考えさせられ、戦争の罪を考え、そして、今現在の日本を考える格好の作品です。
涙なくしては読めない傑作ですが、泣いてばかりはいられない事実がこの作品にはあります。

2010年02月27日

幸福な食卓 瀬尾まいこ

この作品も心にジーンときました。家族の形はいろいろあれど、幸せとは形ではないんですよね。

「父さんは今日で父さんをやめようと思う」父さんはいった。母さんは家出中。兄、直は元天才。主人公佐和子を取り巻くこんなちょっと変わった家族と、ボーイフレンド大浦君との出会いからの中学から高校までを切なく描く。

形は連作短編なんだろうけど、結果、長編だろうと思う作品です。
冒頭でも書きました、父さんの言葉で始まる印象的なこの作品は、家族がある事件によって、離れ離れになるかならないかというような中、それぞれの思いが詰まって、かといって今の関係を決して壊そうとせず分かり合っていく、家族の物語です。

何といっても兄、直との関係がいいです。元、天才ですが今は農業。趣味はギター。彼と妹佐和子の関係が温かい。佐和子と母も。そして、父も。
あの出来事が無かったら、普通の楽しい温かな家族だった。それをわかりながら、暮らしている家族。その関係が読者に妙に安心感を与える。

しかし、それだけの話に納まらせないのが瀬尾さんの技量。あつかましい大浦君と佐和子の出会いの中で育まれる恋がどんどん大きくなっていき、いつしか主題になっていきます。
そして最終話は誰もが涙する話だと思います。そんな佐和子をそれぞれの家族がそれぞれの形で見守ります。父へ投げつけた一言が胸に染みます。しかし、誰も言い返さない。

何て胸に染みるんだろう。家族の幸せは形ではないんだよなー。と思わせてくれる作品です。あっ、そうそう直のガールフレンド(恋人?)小林ヨシコがいいんですよね。手作りシュークリームも泣かせるんです。
すべての方に読んでいただきたいそんな作品です。 カバーには「大きなものをなくしても、まだあった、大切なもの。」 まさにその通り、あなたにとって大切なものとは一体何ですか?そう問いかけて来ます。題名の通り、食卓がまた美味しそうなんです(母の料理も直の料理もいいんです)。
語ればネタバレになるし、語りたい衝動に突き動かされるそんな作品。とってもいいです。

2010年02月25日

「犬の力 上」ドン・ウィンズロウ

「犬の力 上」ドン・ウィンズロウ
574p角川書店

メキシコの麻薬撲滅に取り憑かれたDEAの捜査官アート・ケラー。
叔父が築くラテンアメリカの麻薬カルテルの後継バレーラ兄弟。
高級娼婦への道を歩む美貌の不良学生ノーラに、やがて無慈悲な殺し屋となるヘルズ・キッチン育ちの若者カラン。
彼らが好むと好まざるとにかかわらず放り込まれるのは、30年に及ぶ壮絶な麻薬戦争。

2010年02月25日

「犬の力 下」ドン・ウィンズロウ

「犬の力 下」ドン・ウィンズロウ
473p角川書店

叔父の権力が弱まる中でバレーラ兄弟は麻薬カルテルの頂点へと危険な階段を上がり、カランもその一役を担う。

2010年02月25日

「植物図鑑」有川 浩

「植物図鑑」有川 浩
359p角川書店

目次
植物図鑑
午後三時
ゴゴサンジ

ハイ面白かったですよ。
デモね、こんないい男が 降ってくるわけないじゃないですか。
さらに言えば、この男、今まで、どんな女と 付き合ってたのか…って 思ってしまうわ。

●こっちは 本物の植物の話
「雑草のはなし―見つけ方、たのしみ方」田中 修

2010年02月25日

「鉄の骨」池井戸 潤

「鉄の骨」池井戸 潤

546p講談社

「次の地下鉄工事、何としても取って来い」
謎の日本的システムの中で 奔走する、若きゼネコンマン平太の行末は…。

2010年02月25日

「龍神の雨」道尾 秀介

「龍神の雨」道尾 秀介
308p新潮社

人は、やむにやまれぬ犯罪に対し、どこまで償いを負わねばならないのだろう。



やっぱりだまされた。
いつも だまされるけど だまされる楽しさがあるかな。

2010年02月25日

「あるキング」伊坂 幸太郎

「あるキング」伊坂 幸太郎
221p徳間書店

弱小地方球団・仙醍キングスの熱烈なファンである両親のもとに生まれた王求。

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