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2010年01月27日

窓ぎわのトットちゃん

窓ぎわのトットちゃん (講談社 青い鳥文庫)窓ぎわのトットちゃん (講談社 青い鳥文庫)
(1991/06/15)
黒柳 徹子

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これは、第二次世界大戦が終わる、ちょっと前まで、実際に東京にあった小学校と、そこに、ほんとうに通っていた女の子のことを書いたお話です。


…という前書きを読んでいても、読み進むうちに「あの時代に、ほんとうにこんな学校が?!」と 驚くことばかり。


私が子どもの頃、ベストセラーになった本で、最初は図書室で借りて読み、文庫本が出た時には自分で買いました。
最近になってふと思い出し、無性に読み返したくなったものの、本は実家の押入れの中。

娘にも読ませたかったので、今度は普通の文庫本ではなく、小学生にも読みやすい新書サイズの青い鳥文庫版を買いました。
この本がロングセラーで、ほんとによかったと思います。


「トットちゃん」というのは黒柳徹子さんのこと。
「テツコちゃん」が、幼い黒柳さんには「トットちゃん」に聞こえて、自分の名前は「トットちゃん」だと思い込んでいたのだそうです。



校舎は、払い下げられた電車の車両。
席は決まっていなくて、毎日、登校した順に好きな席に座る。
先生が一時間目にその日一日の課題を黒板に書いたら、みんなそれぞれ好きな科目から始めて良い。
クラス全員ががんばって午前中に全部終わらせたら、午後はみんなで散歩。


小学一年生で前の学校を退学(!)になったトットちゃんが転入した「トモエ学園」は、こんな学校でした。


私は、「もう一度子どもに戻ってやり直してみたいと思う?」と訊かれたら、「めんどくさいから嫌」と即答するような人間ですが、もしもトモエ学園に通えるなら、そうして小林先生に教えていただけるなら、もう一度子どもに戻りたいと、心から思います。



トットちゃんが退学になった経緯を読むとついつい笑ってしまいますが、大人の立場から見れば担任の先生がどんなに困り果てたかも理解できてしまって、なんとも複雑…。

トットちゃんは、決して悪い子ではないのです。
むしろ良いところがたくさんあるのに、あまりに旺盛な好奇心と型破りな発想が災いしたというか。
どうも、リンドグレーンの「長靴下のピッピ」を髣髴とさせるんですよねぇ(笑)


この時の、トットちゃんのお母さんの対応が見事だなぁと思いました。

担任の先生のお話を聞いて、「これでは他の生徒さんにご迷惑すぎる」と認めた上で我が子の人格を否定することはなく、「個性を認めてくれて尚且つ協調性を教えてくれる学校」を探そうと考えるのです。
それも、幼い子どもに劣等感を植えつけてしまわないようにと、退学のことはトットちゃんに内緒のままで。

黒柳さんは、二十歳を過ぎるまで、自分が退学になったことを知らなかったそうですよ。


そうして、お母さんが探してきた学校が、トモエ学園。


トットちゃんが初めてトモエ学園の門をくぐった日、「さあ、なんでも、先生に話してごらん。」と、トットちゃんの話を4時間も聞いてくれたという小林宗作先生は、私の理想の先生です。



上にいくつか挙げたような、小林先生のユニークな教育方針、特に「みんなそれぞれ好きな科目から始める」というのは、果たしてこれで大丈夫なのか?と心配になりますが、こうすることによって、「授業をただ座ってボーっと聞くだけ」という子は一人もいなくなるということです。

みんな真剣に問題に取り組むし、自分でよくよく考えて、それでも解らなければ解るまで先生に教えていただくからだとか。

午後の散歩にしても、子どもたちは知らなかったけれど、理科や歴史や生物の勉強になっていたのでした。



子どもの頃に読んで、ずーっと覚えていたのは、「海のものと山のもの」のお弁当のこと。
校長先生(小林先生)が生徒全員のお弁当を順々に見て行き、どちらかが足りないお弁当を見つけると、二つの鍋を手に持った先生の奥様が一品足してくださるという、実にアットホームなお弁当の時間が羨ましくて羨ましくて!



こういったトモエ学園のような教育は、全校生徒が50人足らずという小規模だからこそ出来たことで、全ての学校がこのやりかたで上手くいくとは思っていませんが、それにしても、こんな学校だったら「学校に行きたくない」なんて子どもは一人もいないでしょうね。


戦争の足音が聞こえ始めた時代に、小林先生のような教育者がいたということが驚きです。



アメリカで生まれ育ったせいで、日本語があまり上手に話せない転校生 宮崎君のお話「英語の子」という章の最後のくだりは、「トモエ学園」の校風を象徴しているようにも思えました。



「アメリカ人は、鬼!」
と、政府は発表した。
このとき、トモエのみんなは、声をそろえて、叫んでいた。
「美しいは、ビューティフル!」

トモエの上を通りすぎる風は暖かく、子どもたちは、美しかった。




昭和二十年の東京大空襲の時、炎に包まれた校舎を見ながら、小林先生が息子さんに向かって言った

「今度は、どんな学校、創ろうか?」

という言葉が、子どもの頃からずっと忘れられませんでした。

トットちゃんに言い続けてくださった

「君は、ほんとうは いい子なんだよ」

という魔法の言葉とともに。


黒柳さんが、当時のことをこんなにもよく覚えていらしたこと、そしてそれを本という形にしてくださったことを、感謝せずにいられません。

挿絵に使われた いわさきちひろさんの絵は、かわいらしくて優しくて、まるでこの本のために描かれたのかと思うほどイメージによく合っています。


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2010年01月27日

「夏への扉」ロバート・A・ハインライン/福島正実訳

夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))
夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))
  • 発売元: 早川書房
  • 発売日: 1979/05
  • 売上ランキング: 5017
  • おすすめ度 4.5


「夏への扉」だから、単純に夏に読む本だと思い込んでいたが、
うっかり時期がすぎて秋になり、ちょっと寒くなった頃に読んだ。
読んですぐわかったが、夏に読むより、ちょっと寒い時期に読んで、
猫のピートと同じく「夏への扉」を探しながら読むと気分が出る。

1970年。冷凍睡眠ができるようになっている時代。
「ぼく」は、文化女中器という名のお手伝いロボットを発明し、
万能フランクという更にすごいロボットを発明しようとしていて、
美人のパートナーもいて、順風満帆だった。冷凍睡眠なんて必要なかった、
はずだったのに、だけど、ある日、彼は全てを取り上げられた。
彼はピートと一緒に冷凍睡眠をもくろむのだが・・・。

2010年01月26日

静かにしなさい、でないと 朝倉かすみ

「わたし」が「わたし」の邪魔をする――
子犬救出劇を自作自演する美しい少女、カード破産してもロハス生活を続けるカップル、ダニと鼠のいる部屋に住み深夜のコインランドリーに現れる女など、身の丈に翻弄される人々を描いた短編集。【集英社HPより】

何とも言えない作品集ですね。
あらすじにもあるように、テーマは「身の丈」ということなんでしょうけど、イタイ話ばかりだけに素直に笑えないんですね。でもでも、笑ってましたけど。
精神的、肉体的、経済的にもコンプレックスをもっている人のお話だらけです。

例えば「内海さんの体験」。同じ会社の女性たちを、B(ブス)、D(デブ)と区分けして見ている。じぶんはF(フツー)と見られたいと思っているんですね。W(腋しゅう症)というコンプレックスを抱えつつ、ある日同級生と出会う。結構、デートえおするのだが、自分の身の丈を考え、最後に出した決断が悲しい。
カード破産をした夫婦が、自分たちの生活なりにロハス気分を味わおうとするが、ラストの何と皮肉なこと…「素晴らしいわたしたち」
ダニと鼠のいる部屋に住む女。その女がある日、コインランドリーで見たものは…「ちがいますか」

と、どこかで素敵な生活や恋や、素晴らしい美貌を夢見つつ、最後は何となく自分の身の丈に落ちつけてしまうという話が7作です。
異常な話だよなと思うのは途中までで、どこかにそんな自分も潜んでいるから笑えないんですね。

誰にもコンプレックスや、悲しい過去を抱えつつ、生きていかなければなりません。そんな希望を持ちつつも身の丈にあった希望があるじゃないといっているのですね。王子様には出会えないんですね。結局、自分のことと置き換えて考えてしまいますね。

このブラックと切なさ。世相を切り取る鋭さ。やはり、この作家さんは凄いと思います。
何となく奥田英朗さんや荻原浩さん通じる、可笑しさがありますね。
そういう意味では、小説家らしい、小説家と言えるのではないでしょうか。
笑えるけど、笑えない。イタい小説だけど現実を感じてしまう作品集なのでした。

2010年01月26日

新美南吉「子供の好きな神様」★★★☆☆

青空文庫

昔、教科書?で読んだ記憶が。

2010年01月25日

三人姉妹 大島真寿美

評価:
大島 真寿美
新潮社

大学を出ても就職せず、ミニシアターでバイトしながら仲間と映画作りをしている水絵は三人姉妹の末っ子。長女の亜矢は結婚して子供が一人、次女の真矢は不倫を脱してバリバリキャリア志向。お互いの恋愛事情もバレていて、時には昔話をサカナにお酒を呑んだり……。三姉妹のゆるやかな毎日を瑞々しく描き心温まる長編小説。【新潮社HPより】

この作家さんのゆる〜い感じが本当にいいですね。
といっても「ほどける とける」しか読んでいませんけど。この作品もそのゆるさが癖になる。

物語は、福池家三人姉妹の日常を描いています。といいつつ、母が突然家出してしまったりとそういう話も盛り込まれていますけど。
三人姉妹の末っ子の水絵を中心に描かれています。
この水絵はフリーター。ミニシアターでバイトをしつつ、将来に展望もやりたいこともない。唯一の楽しみは、DVD鑑賞といったものです。

そんな水絵に同じバイト仲間の一つ下、右京君という男性に魅かれていくのですが、これがすんなりといかない。お互いの気持ちを確かめつつ、終わりの予感もしている。右京君の浮気も.が原因でそれは決定的になってしまうんですが、その時の二女真矢や、真矢に思いを寄せているグンジさんがいいですね、とっても。
グチャグチャになった水絵を温かく見守ります。

水絵と来たら、浮気相手を右京の監督の主演になれと迫る。さらには自分にメイキングを撮らせろという。これって、最悪の仕返しでしょう。まあ、そううまくはいかないんですけどね。
と、書いたらお分かりの通り、この作品は優れた家族小説でもあり、もう一つのテーマ、映画小説でもあるんですね。いろんな映画が出てきます。ローマの休日やキートンの映画。しかし、一番見たいと思ったのは小津安二郎「お茶漬けの味」。夫婦のぎくしゃく感が、和解していくのがなんとも。そういう話もこの物語に程よい、味付けになっています。

もちろん、三者三様の姉妹の話もあって、わたしは長女亜矢の小姑の雪子がなんとも好きですね。二女、真矢もいいし、グンジさんもいい。つまりこの小説に出てくる、ほとんどが好きなのです。
家族小説でもあり、映画小説でもある、何とも味のある小説だとわたしは断言します。

それと、わたしは兄弟なのですけど、三人姉妹というシチュエーションって、やっぱりいいですね。
ほのぼのとして、仲がいいのが何とも嬉しい作品です。

2010年01月25日

ニッポンの子育て

ニッポンの子育て (集英社文庫)ニッポンの子育て (集英社文庫)
(2004/04)
井上 きみどり

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作者の井上きみどりさんはマンガ家さんです。
ちょうど娘を産んだころに従妹から「子供なんて大キライ!」が面白いよ~と薦められて読んだ記憶があります。
おそらく娘さんとウチの娘は一緒のトシぐらいかな。
さてそんなきみどりさんが、いろいろなケースの子育てを取材し、担当者と会話形式で紹介してくれます。
普通のご家庭もあれば、SM女王様の子育てなんかもあって、たいへん面白いです。
皆さん子供に愛情を注がれているようで、親の心が伝わってきます。中にはこのままでいいのだろか?なんて思うケースもありましたが…
身障者の子育てには、ちょっと考えさせられるものがありました。いわゆる偏見です。
私に偏見がないのかといえばウソになります。こういう世の中で私たちができることって何なんでしょうね…
このご家庭のその後が気になります。

子育て論を聞いたり読んだりするのは、苦手です。私には私なりの子育てがあるんだからって思ってしまいます。
でもこの本はそんな押し付けさがなくて、楽しく読めました。
いろんな人がいていろんな子育てがある。子供が楽しく暮らしていければそれでいいんじゃないかなと思います。

2010年01月24日

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(下) スティーグ・ラーソン

ミカエルはハリエット失踪事件に関する膨大な資料を読む一方、ヘンリックの一族のいわくありげな人々の中に分け入っていく。やがて彼は、ハリエットの手帳に書かれた暗号のようなメモを発見する。そして二カ月の刑を勤め終えた彼は、失踪当日のハリエットを写した一連の写真を見て、疑問を抱く。その場所でいったい彼女に何が起きたのか? また、写真に写っていたハリエットの部屋の人影は誰のものか? 深まる謎を調査するには助手が必要と感じたミカエルは、ふとしたことからリスベットの存在を知り、彼女の協力を得ることに成功する。二人は調査を進め、リスベットはミカエルにしだいに魅かれていく。だが、何者かが卑劣な妨害を仕掛けてきた! やがて浮かび上がる忌まわしい事実とは?  幾重にも張りめぐらされた謎、愛と復讐。壮大な構想で描き上げるエンターテインメント大作。【ハヤカワHPより】

待望の下巻です。
面白すぎて、途中でやめられない。一気読みの徹夜本でした。
ヴェンネストレムとの裁判に負けたミカエルが2ヶ月間、服役。再びヘーデビー島に帰ってくるところから下巻の幕が上がります。一向に解明されないハリエットの調査。しかし、そこはジャーナリストの目が不思議な写真を見つけます。ハリエットのおびえたような写真とその視線の先にあるものとは。

やっとミカエルは、時間がかかり困難な調査に、フルーデ弁護士に協力を依頼。そこで紹介されたのが、スーパー・リサーチャーであり、天才ハッカーのリスベットだったのです。ヘンリック・ヴァンゲルはハリエット失踪の謎を解明するために、優れたジャーナリストミカエルに目をつけ、身辺調査を依頼していた。そして、リスベットは、ミカエルの過去をすべて知り尽くしていた。
ここらあたりから読ませます。ミカエルとリスベットとの出会いから接近。ぐんぐん加速していきます。

リスベットと何でも受け入れてくれる包容力あるミカエルにだんだんと魅かれていきます。
徐々に解明されるおぞましいヴァンゲル一族の歴史にたどり着いたときに、ミカエルにも危険が迫ります。

面白いなー、これ。話の筋は王道と言ったら王道なんですけど。スーパー・ヒロインのリスベットがなんともかっこいいんです。そして、もうひとつこの話には、ミカエルが服役することになったあのヴェンネルストレムへの復讐。
少しやり過ぎだとも思えますが・・・。ヴァンゲル事件の結末と、ヴェンネルストレムへの正義。この両極端の結末に、ミカエルは悩みつつ、これから生きていくのだろうな。

いろんな面白さが詰まっています。ミステリー、社会的背景と現状、ジャーナリストの正義。そして、男と女の対比。リスベットを女性にし、ミカエルを男にしたことも大成功ですね。

ラストのリスベットのいじらしさに少々、鼻の奥がつーんときながら、最高の幸せの時間は過ぎていったのでした。2も読まなくては。
いやー、おもしろい。まさに奇跡といっていいほどの作品です。

2010年01月23日

凍りのくじら 辻村深月

いやー、面白かった。
読みだしたら止まらない、ノンストップな面白さでした。
さすがに売り出し中の作家さんですね。
見直しました。新作を買いに行かなくては…。

理帆子の好きな本は「ドラえもん」。失踪した父が大好きだったのだ。人をSFになぞらえていく理帆子は、自分のことは「少し・不在」。そんな夏、「写真を撮らせてほしい」と言う一人の青年に出会う。この青年との出会いが、理帆子と周りを変えていくことに。

面白くて、結構分厚い本なんですが、久しぶりにのめりこんで読んでしまいました。おまけに不覚にも泣けた。
この主人公の理帆子については、おそらく共感も同情もわかないぐらい、嫌な高校生なんですよ。諦めを持ち、全てにおいて他人事と考える。はっきりせず、自分を出さない。自分のことを「少し・不在」となぞらえる。何と冷めて、嫌な奴なんですよ。

そんな理帆子が元カレとの別れや病床の母への思いが淡々と綴られていきますが、ある青年との出会いで変化が訪れます。なぜか、青年と会う度、ほっとさせられるんですね。
一方で、元カレは徐々に壊れていき、母の病気も進んでいきます。

ドラえもんの道具が、いいテイストを醸し出し、実にうまいです。懐かしくもあり、やはりドラえもんは凄い。そして、藤子・F・不二雄氏は凄いなー。そうい意味では、ドラえもんという漫画へのオマージュとも言えますね。

そして、事件に巻き込まれて行くんですが、その過程も実にスリリングです。
途中から、ある程度予想できたものの、ラストは爽快ささえ感じてしまいます。理帆子を照らす光に感動させられるんです。

別れと成長。そして、精神的な支えの大切さなど、実に多彩に持っていかれました。
鮮やかに、切ない辻村さんの秀作です。この作家から目が離せなくなりました。

2010年01月22日

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(上) スティーグ・ラーソン

全世界で2100万部を売り上げた、大ベストセラー。さらに、本国スウェーデンで発売前に作者が急死という悲劇の作品でもあります。2009年の話題を独占した感もありますね。

日本でも週刊文春ミステリーベスト10第1位をはじめ、各賞受賞。

遅ればせながら、読みました。なるほど、これは面白い。ベストセラーは信じていない私も、これははまりました。


月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家ヴェンネルストレムの違法行為を暴露する記事を発表した。だが、名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れることになる。そんな彼の身元を大企業グループの前会長ヘンリック・ヴァンゲルが密かに調べていた。背中にドラゴンのタトゥーを入れ、特異な風貌をした女性調査員リスベットの働きで、ヘンリックはミカエルが信頼に足る人物だと確信し、兄の孫娘ハリエットがおよそ40年前に失踪した事件の調査を彼に依頼する。ハリエットはヘンリックの一族が住む孤島で忽然と姿を消していた。ヘンリックは一族の誰かが殺したものと考えており、事件を解決すれば、ヴェンネルストレムを破滅させる証拠資料を渡すという。ミカエルは依頼を受諾し、困難な調査を開始する。【ハヤカワHPより】


最初は、ヴァンゲル一族の多さに戸惑いました。何といってもそれが翻訳ものだとなかなか覚えられないという、悪循環かと思いましたが、天才リサーチャー、リスベットの出現で、がぜんスピード感というか、物語に引き込まれました。


このリスベット、鼻と眉にピアスをし、身体のあちこちにタトゥーを刻んでいるという、風変りな容貌。何といっても背中にドラゴンのタトゥーを入れているのが、すごい一番。リスベット自身、その過去は決して、幸せなものではなく今も自由なものではないことが明らかになってきます。そして、このタトゥーもちゃんと意味がありそうです。

そんな彼女は、天才ハッカーというのも凄い。


さて、ミカエルなんですが、裁判に負けミレニアム社から身を隠し、奇妙な依頼に身を投じます。

最初は乗る気ではなかったのですが。ミレニアム社のために、重要な秘密を持っているというヘンリック・ヴァンゲルを疎遠にできない。

徐々にその依頼にのめり込んでいきます。ヴァンゲル一族の暮らす島で調査を始めるんですが、その一族の女性とも関係もったこともその一つなんでしょうね。そこはお国の違いか。随所にいい友だちだからということが出てきますが、日本での意味合いとは違いますね。


謎のちりばめ方も秀逸で、どんどん引き込まれていきます。惜しむらくは上巻では、ミカエルとリスベットの接点ががなかったこと。


リスベットの秘密はまだまだありそうですね。

なんだかんだと言って、あっという間に読んでしまいました。最終的な感想は、下巻に残しておきます。

2010年01月22日

「ウエハースの椅子」江國香織

ウエハースの椅子 (ハルキ文庫)
ウエハースの椅子 (ハルキ文庫)
  • 発売元: 角川春樹事務所
  • 価格: ¥ 520
  • 発売日: 2004/05
  • 売上ランキング: 22350
  • おすすめ度 4.5


久しぶりの江國さん。これを読んだ時はわりとばたばたと忙しく、
気持ちが俗っぽいというか、やさぐれてるというか、ちょっとくさくさしていた。
あまり芸術をたしなむという余裕はない。ただいつもの癖で本だけは読む。
久しぶりの江國さんのこの小説はだから最初、「こんな奴おるかいな」といった
大木こだまひびき並のツッコミを持って私に迎えられることとなってしまう。
でもだんだんと、江國さんの雰囲気にはまっていって、
俗な心が少しずつ哀しみで凪いでいくようだった。

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