TOP>2009年11月

2009年11月28日

「一夢庵風流記」隆慶一郎

一夢庵風流記 (新潮文庫)
一夢庵風流記 (新潮文庫)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 780
  • 発売日: 1991/09
  • 売上ランキング: 5730
  • おすすめ度 5.0


前田慶次郎。傾奇者。前田利家から国を追い出されて流浪の身になる。
派手な衣装を着て風流を愛ししかし武芸の達人である彼が、
戦国の世を自分の思うままに好き勝手に生き抜いた男の生き様を描く長編小説。

「天地人」は終わったけれども相変わらず私は戦国に飢えていて、
結局直江兼続が出てくる小説を今年は3作品も読んだ。「密謀」「真田太平記」、
そして今回の「一夢庵風流記」。大河を見れば見るほど直江兼続について
本当のところが知りたくなるというおかしな現象が起こっちゃったので。
どれもそれぞれその作家さんなりの解釈で描かれていて、興味深かった。
まあつまりは「詳しいことはわかっていない」類の武将なんだけど、だからこそ
作家の想像の余地が広がって書く方も面白いだろうし、
読む方も同じ時代が続いても飽きないし、いろんな作家の解釈を読むのが面白い。
歴史小説の醍醐味はそこだと思う。

2009年11月28日

「三島由紀夫レター教室」三島由紀夫

三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)
三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)
  • 発売元: 筑摩書房
  • 価格: ¥ 546
  • 発売日: 1991/12
  • 売上ランキング: 7309
  • おすすめ度 4.5


あの三島由紀夫が書いた「レター教室」なんだけど、
実際は手紙だけで構成された、ちゃんとした小説です。
当時はすごく斬新な小説だったんじゃないかなと思います。
でも、やっぱり手紙教室的要素もいろいろあって。面白かった。

2009年11月27日

吟遊詩人トーマス

吟遊詩人トーマス (ハヤカワ文庫FT)

数年越しの積読本「吟遊詩人トーマス」、やっと読了しました。


普段の私ならまず手に取らない類の本なのですが、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの「九年目の魔法」が好きで、そのベースとなっているのが「吟遊詩人トーマス」と「妖精の騎士タム・リン」のバラッドだというので興味を持ったのです。
タム・リンはともかく、エルシルダウンの詩人トーマスは13世紀に実在した人物で、詩人としてより予言者として名高かったそうです。
これは、そのトーマスの伝承を小説にしたもの。


妖精の女王に愛された美貌の吟遊詩人トーマスは、エルフランドで七年間女王に仕えた後、人間界に戻ってきます。


その七年の間、女王がトーマスに約束させたことは、エルフランドの食べものを口にしないことと、女王以外の者とは話さないこと。
トーマスがほかのエルフたちの前で声を出せるのは、吟遊詩人として歌う時だけです。
(※前者は、エルフランドの食べものを食べると二度と人間界に戻ることができなくなるからです。なので、トーマスにはいつも人間界で作られた食べものが用意されていました。さて、後者は…?)



トーマスの七年間の奉仕と沈黙に対して、女王から与えられた褒美は「嘘をつけぬ舌」


なんの罰ゲームだよ!?…と思いますね。普通は。


「九年目の魔法」でも、ヒロインがそれを聞いて「そんなのちっともご褒美じゃないじゃない!」と言っていたような。


どうして「嘘をつけぬ舌」が褒美になるのか?
真実しか口にできなくなった吟遊詩人がその後どうなったのか?

その辺りに興味があったので、トーマスがエルフランドで過ごした日々よりも帰ってきてからのほうが面白かったです。


一連の出来事が、ゲイヴィン、トーマス、メグ、エルスペス それぞれの視点で語られます。
ゲイヴィンとメグは、流れ者のトーマスが立ち寄るたびに息子のように迎えてくれた、気の好い羊飼いの夫婦。
エルスペスは、トーマスがエルフランドから帰った後、彼の妻となった女性。


初めて出会った時からトーマスが姿を消すまでをゲイヴィンが、
エルフランドでの日々をトーマスが、
トーマスが帰ってきてから結婚するまでをメグが、
結婚してからその21年後までをエルスペスが語ります。


エルフランドから7年ぶりに帰還したトーマスが、出迎えたメグに発した第一声「なんてきれいなんだ」のところでコケそうになりました。
…嘘はつけないんじゃなかったっけ?

メグはトーマスの母親ほどの年齢で、この時はちょうどパンをこねていて、顔にはベーキングパウダーがついていたんですよ。
一般的に見ると美人ではないはずですが、トーマスにとっては7年ぶりに見る人間の女性、しかも母親のように慕う働き者のメグが、ただただ懐かしく、ほんとうに心からそう思ったのでしょう。

つまりは、トーマスが本心からそう思って発した言葉なら「嘘」ではないわけです。
ちょっとホッとしますね。



「嘘をつけぬ舌」の真の意味は、間もなくわかりました。

トーマスは、どんな質問にも必ず正しい答えを返せるのです。

例えば、王様に「敵国がいつ、どこから攻めてくるのか?」と尋ねられれば迷いなく答え、必ずその通りになります。

お陰でトーマスは、吟遊詩人としてだけでなく、予言者として王侯貴族に重用されるようになりました。


人は好いものの少々軽薄だったトーマスは、「嘘をつけぬ舌」のせいで、思慮深く、言動には慎重にならざるを得なくなり、そうなると夫婦のなんでもない日常会話でさえ常に緊張を孕むことに。
妻のエルスペスは、うっかり余計なことを聞いて、トーマスも自分も知りたくないことを知ってしまわないように気遣わなければならず、油断しているとどんな質問にも答えてしまうトーマスもまた然り。

日常会話がこんなにスリリングだと疲れますよねぇ…。
私だったらきっと、何にも喋れなくなってしまう。


エルスペスは賢いひとで、子どもたちの未来についてトーマスに尋ねることは、決してありませんでした。



この結末、清水玲子さんの漫画「輝夜姫」のラストシーンを思い出します。
でも、「輝夜姫」で最後にひとり残された彼に比べ、エルスペスがそんなに不幸に見えないのはなぜだろう?



エレン・カシュナーの原文は、英語の書き方の授業の教科書にしたいくらい、洗練されていて美しいそうです。
「ピュアでつめたく澄みきっていて、一言一句をのみほしたいほど」と、オースン・スコット・カードが評したと訳者あとがきにありますが、井辻朱美さんの訳文もまた綺麗です。


1991年度世界幻想文学大賞受賞作。


ブログランキングに参加しています。お気に召しましたらぽちっとお願いいたします。
くつろぐブログランキング参加中。お気に召しましたらぽちっとお願いいたします。
にほんブログ村ランキング参加中。お気に召しましたらぽちっとお願いいたします。

2009年11月25日

「クヒオ大佐」吉田和正

クヒオ大佐 (幻冬舎アウトロー文庫)
クヒオ大佐 (幻冬舎アウトロー文庫)
  • 発売元: 幻冬舎
  • 価格: ¥ 560
  • 発売日: 2009/10
  • 売上ランキング: 104407


映画「クヒオ大佐」見てきました。もちろん堺さん目当てですが、面白かったです。
映画は、実在した結婚詐欺師、クヒオ大佐を主人公にしたフィクションだったようで、
まずはこんな結婚詐欺師がいたということにとても驚きました。
日本人なのに鼻を高くしてアメリカ軍のパイロットと名乗り、自分はカメハメハ大王の末裔、
エリザベス女王が伯母、といったうさんくさい経歴を振りかざし、
「私と結婚したら軍から仕度金が出マース」と言って女性を騙して金を巻き上げる。
堺雅人がやってもちょっと変だった高い鼻。見た目だけでも相当変、経歴も明らかにおかしい、
しかも実際は30代と言っていたけど50代だったらしい、そんなクヒオ大佐に
どうして女性は次々に騙されていったのか?
実際の事件に非常に興味を持ち、この本を手に取ってみました。

2009年11月25日

「犬の力」

アートは純粋な邪悪さの存在を感じる。
犬の力。

「犬の力」ドン・ウィンズロウ著(角川文庫) ISBN: 9784042823049 ISBN: 9784042823056

1975年から2004年まで、30年にも及ぶ壮絶な「麻薬戦争」のドラマ。上下巻。

南米版ゴッドファーザーというべきか、笑いの要素がないタランティーノというべきか。メキシコの麻薬カルテルをめぐり、カルテル内部、そしてカルテルとDEA(米麻薬取締局)との間で繰り広げられる殺戮の連鎖。乾いた筆致で凄惨なシーンが繰り出され、え~っ、ウィンズロウって「ストリート・キッズ」だよねぇ…と、びっくり。

物語の骨格は太い。抗争の背景として、汚れた資金やゲリラと国家権力との暗い結びつきを描いている。大統領候補暗殺やペソ危機といった実際の事件をふまえて、巨大な悪を絶つには政治の安定と豊かさの実現が必要ではないのか、と切実に思わせる。

もっとも1000ページもの長編を牽引するのは、そういう謀略説などではなく、登場人物たちの非情なふるまい、「犬の力」の衝撃だ。終盤にかけて、それぞれの遺恨がどんどん煮詰まっていくさまは圧巻。だれが生き残るのか、そして、生き残ったからといって何を得るのか。全編に影を落とす、暴力のむなしさ。そんな運命に立ち向かう、マンハッタン育ちの殺し屋ショーン・カランと美貌の娼婦ノーラ・ヘイデンのタフな造形が魅力的だ。東江一紀訳。(2009・11)

2009年11月24日

「京大芸人」菅 広文

「京大芸人」菅 広文
188p 講談社

芸人として成功する近道は、相方になる予定の宇治原を京都大学に入れること。ロザン誕生まで。


あっという間に読める。ちょっと 大学攻略本みたいなところも。これがで きたら 京大に入れるかな?

宇治原クンは 卒業したけど 菅クンは 府大を中退なんだ。でも ねらいは 成功だね。一応全国区だし〜。

2009年11月24日

「ぼくが探偵だった夏」内田 康夫

「ぼくが探偵だった夏」内田 康夫
277p講談社

ミステリーランド
浅見光彦・小学校5年生の夏休み。

浅見光彦の子供のときの話だ〜〜〜
ひゃ〜
楽しかった。

2009年11月20日

「あれから」矢口 敦子

「あれから」矢口 敦子
266p幻冬舎

高校1年の千幸と中学3年の夕美姉妹は、ある朝、父が電車内で痴漢をし、咎めた男性を線路に転落死させたと知らされる。二人は偶然出会った大学生たちの力を借り、父の汚名を晴らそうとするが…。

話は ミステリーの謎解きのように、ぐいぐい読ませ 面白かったけど 全体としての書き込みに なにか 物足りなさを 感じてしまう。

何故父は、妹は、あんなことを してしまうのか。
突然現れた、あの子は どんな風に 生活して生きたのか。

千幸の苦しみは、彼の応援は?

なんか?ばかりだわ。それが 物足りなさねきっと。

2009年11月20日

「バルサの食卓」上橋 菜穂子,チーム北海道

「バルサの食卓」上橋 菜穂子,チーム北海道
180p新潮社

物語の味の再現を試みる。
カラー版 レシピ付き。

まぁ これは これでありかな。

わたしは 空想の食べ物で 十分おいしそうだから 満足してたけど。

2009年11月20日

「獣の奏者 (3)探求編」上橋 菜穂子

「獣の奏者 (3)探求編」上橋 菜穂子
484p講談社

十一年後―。ある闘蛇村で突然“牙”の大量死が起こる。大公にその原因を探るよう命じられたエリンは、“牙”の死の真相を探るうちに、歴史の闇に埋もれていた、驚くべき事実に行きあたる。

エリンのあれから。登場人物は同じなのに、まったく新たな冒険譚といってもいいくらいだ。
すぐに 続きを 読みたい。

【広告】

サイト内検索

メンバー紹介

このサイトに自分のブログを載せたい!
(ブログの登録は無料です。)


アーカイブ