さて本日二つ目の感想。先ほどの続きで、雑誌担当者と遅番との対立の話。今度は雑誌抜きの話を書こうと思います。
雑誌抜きというのは、翌日発売される雑誌の前の号を遅番が売場から抜くという仕事です。元々は朝雑誌開けをするのと一緒にやっていたようなんですが(その時代のことを僕は知りませんが)、いつしか遅番の仕事になったようです。
さて雑誌担当者はよく、遅番は雑誌抜きをきちんとやっていない、と文句を言っているようです。抜き漏れが多い、と不満を垂らしているようです。しかし遅番からすればいろいろと反論があります。
まず雑誌抜きというのをどういう風にやっているのかというのを書きましょう。
まず、雑誌抜きのデータというのを出します。これは、翌日発売される雑誌の前の号が一覧で出てきます。これを元に売場を見ながら雑誌を抜いていく、という形になります。
しかし雑誌抜きには様々な問題があります。
まず、在庫のデータが狂いまくっているという点があります。雑誌抜きのデータには、今店内に何冊あるはずなのか、という在庫数が載っているんですが、この数字が実際の数字と全然違う。1冊2冊見つからないなんていうのは普通で、時には5冊10冊単位でズレがあったりすることもあります。そうなると、雑誌を探している方としては、これですべて抜ききったのか、あるいはまだどこかに隠れているのかという判断が非常にしにくい、ということがあります。
また返品の問題もあります。雑誌は基本的に遅番が抜きますが、雑誌の担当者がこれはもう要らないという判断で返品したり、あるいは雑誌売り場の整理中に汚いからと言って返品されるようなものもあります。問題は、それらの返品をしても、在庫データにすぐ反映されない、という点です。例えば3日前ぐらいにAという雑誌を在庫分すべて返品したとしましょう。しかし在庫のデータに反映されるのが遅いので、雑誌抜きのデータには載ってしまうんです。すると遅番のスタッフは、もう売場にはないはずのAという雑誌を探さなくてはいけないという状況になるわけです。
また雑誌抜きのデータ自体にも問題があります。何故か雑誌抜きのデータに載らないものが結構あるわけなんです。これについては理由はよく分からないんですけど、季刊(3か月に一回とかしか出ない雑誌)は雑誌抜きのデータに載らないことが多いです。この、『雑誌抜きのデータに載らない雑誌があるから、それについては遅番では抜くことが出来ない』という話は以前雑誌担当者に僕が直接言ったことがあるのに、昨日雑誌担当者が遅番のあるスタッフに、『もしかして季刊の雑誌とかは雑誌抜きのデータには載らないですか?』と聞いてきやがったんだそうです。俺が昔その話をしているってのに、お前はそんなことも把握しないでこれまで遅番に文句を言ってたのか!と激しくムカツキますね。
とまあいろいろありますが、正直ここまでのことはまあいいです。システムの問題がほとんどなので、仕方ない部分がある。でも、僕がどうしても許せない点が一つあるわけです。
それは、ストックにしかない雑誌が多すぎる、ということです。
これは完全に雑誌担当者の怠慢なんだけど、売場に一冊も出ていなくてすべてストックにしまわれている雑誌というのが本当に多いんです。もちろん状況としては、売場に出ていた分がその日売り切れてしまって売場になかった、という可能性もありますが、僕なんかはそういう雑誌を見つけるとデータを見るようにしているんです。するとその雑誌はもう2週間くらい一冊も売れていなかったりするんです。つまり、少なくとも二週間はずっとストックにしまわれたままで売場には出ていなかったということになるわけなんです。本当にそういう雑誌がたくさんある。一体雑誌担当者は担当の時間に何をしているんだ、と疑いたくなります。
だから雑誌抜きの時に、売場を探しても全然見つからない。遅番はもう慣れているから、もしかしたら全部ストックにあるかも、と思ってストックもチェックするようにしていますが、こんなメンテナンスも出来ないような雑誌担当者に、雑誌抜きがどうこうとか言われたくない、と僕なんかは思います。
僕のブログを読んでくれている書店員の方からすれば、なんてレベルの低い店なんだろう、と思われることでしょう。もう、まさにその通りです。顔から火が出るほど恥ずかしい。社員は相変わらず担当者の管理をしないので、この売場に出ていないなんていう問題ももちろん把握していないでしょうし、もし万が一把握していたとしても何もする気はないでしょう。そりゃあ雑誌も売れないよ、と思います。
まあそんなわけで、ここ最近様々なことがあり、雑誌担当者と遅番はもう完全に決裂しました。こういう人間に関わるとロクなことがないので、僕はもう一切関わらないようにしようと決意した次第であります。
そろそろ内容に入ろうと思います。
本書は今事情があって売らなくてはいけない本で、それでちょっと読んでみることにしました。読む前から予想はしていましたが、やはり僕には合わない作品でした。これは作品のせいというより、合う合わないの問題です。やはり本書は女性向けの作品だなということを確認しました。
12編の短編が収録された短編集です。タイトル通り、どれもプレゼントに関わる話になっています。それぞれの短編のタイトルが、もらったプレゼントになっています。
「名前」
自分の名前が嫌いだった女性の話。子供の頃からずっと嫌で、別の名前になりたかった。大人になって結婚して子供が生まれるという時、名前を考えることになったけど…。
「ランドセル」
他の子供が普通に出来ることが出来ない子供だった。幼稚園から小学校に上がる時も嫌だった。逃げたかった。またどうせきちんと出来ないのは分かっていた。そんな時にもらったランドセル。何でも入りそうなほど大きかった…。
「初キス」
それまで話したことなんてほとんどなかった男子から一緒に帰ろうと言われた。渡したいものがあるんだ、って。今日は私の誕生日。何かくれるつもりなんだろうけど…。
「鍋セット」
田舎から出てきて東京で一人暮らし。狭くて古い家に住まなくてはいけない不安から、上京して引っ越しを手伝ってくれた母に当たってしまう。母は突然、鍋セットを買わないとと言って店に向かうが…
「うに煎餅」
大学時代付き合っていた彼氏に冷たくされて、私は合コンに走った。そこで知り合った百点満点の男。高いレストラン、ホテルのバー、大人な振る舞い…。でもなんか違うような気がする…。
「合い鍵」
八年間付き合った彼に振られた。まさか振られるとは思っていなかった。この八年間、様々なことを乗り越えてきた。このままずっと続くと思っていたのが私だけだなんて恥ずかしい…。
「ヴェール」
結婚式当日。ヴェールだけがまだ届かない。高校時代の友人が作ってくれることになっていた。高校時代、席が近かったからというだけの理由で仲良くなって15年。これからも彼女たちと同じ時を過ごしていくのだろう…。
「記憶」
夫が浮気した。家事のストライキを始めて一週間。もうなんだかどうでもよくなってきた。そんな時、夫が温泉に行こうと言ってきた。付き合って初めて二人で行ったところだ…。
「絵」
結婚後の理想の生活とはほど遠い。私は毎日息子に怒っている。息子は泣くのをこらえたような眼で私を見る。夫に相談してもなしのつぶて。学校からも何度も呼び出しを受けているんだけど…。
「料理」
風邪を引いた。起きていられない。とにかく横になっていると、息子も娘も私の心配なんかまるでせずに夕飯の心配ばかりしている。夫よ、お前もか…。
「ぬいぐるみ」
一人娘の結婚式の朝。結局いつもと変わらない。バタバタしながら式場へと向かう。これでいいのかな、と夫は言う。娘のことではない。私たちのことについてだ…。
「涙」
目が覚めた時、自分がどこの誰で何をしていたのか、最近よく分からなくなる。過去の人生のあらゆる場面が時間続きのようにして目の前に現れることがある。そうか、もう夫は死んだし、幼馴染みもいないのか。形見分けはどうしたらいいだろう…。
というような感じです。
先ほども書きましたけど、ちょっと僕には合わない作品でした。角田光代の作品を読むのは三作目ですが、本書はちょっと合わないです。江國香織なんかは好きなんだけど、恋愛っぽい小説を書く他の女流作家はあんまり合わない。角田光代は別に恋愛に特化している作家というわけでもないんだけど、あんまり合わないです。「対岸の彼女」は結構よかったけど、評判の高い「八日目の蝉」はそこまで言うほどかなぁという感じだったし。だからこの作品も、僕にはダメだったけど、女性が読んだらわかるわかるというような作品なんではないかなと思います。
とにかく装丁が綺麗ですね。中の絵も素敵です。ジャケ買いしていく人も多いんだろうなと思います。
事情があって売らなくてはいけない本なんですが、ウチではなかなか順調に売れています。4/22から昨日(4/27)までで13冊売れています。まあ店の規模がどれくらいか分からないと判断できないでしょうが、ウチの店としてはかなりいいスタートという感じです。
本書を読んでいない時にPOPを作りましたが、しかしそのPOPが超適当なんです。僕が10分で作りました。読んでないから内容に触れられないので、POPの文章はこんな感じです。
『僕からのプレゼントです。
あ、でもお金は払ってください。すいません…』
まあこのPOPがついてるから売れてるなんてことはまずあり得ないでしょうけど、これからもバリバリ売れてくれればいいなと思います。
というわけで、僕はダメでしたが、女性受けする作品ではないかなと思います。装丁も可愛いので目を惹くんではないかと。気になったら読んでみてください。
角田光代「Presents」
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