TOP>2008年04月

2008年04月28日

「聖の青春」大崎善生

第13回新潮学芸賞受賞。

「将棋の子」の前作ですが、私はこっちを後に読みました。
途中に出てくる一つの出来事が、どちらの本にも出てきます。
でも、将棋をしたことが無い私のとっかかりやすさを考えると、こちらを後に読んで正解かも。
重い腎臓病を抱え、命懸けで将棋を指す弟子のために、師匠は彼のパンツをも洗った。弟子の名前は村山聖(さとし)。享年29。将棋界の最高峰A級に在籍したままの逝去だった。名人への夢半ばで倒れた“怪童”の一生を、師弟愛、家族愛、ライバルたちとの友情を通して描く感動ノンフィクション。

良かったです。
とにかくそのひと言。
難病にも負けず、将棋一筋で名人を目指し、自分の出来る事をやりぬく村山聖という人物を知ることが出来て良かった。
とても感動しました。また読みたいです。出来たら将棋の事を少しかじってから・・・。

天才・怪童など言われていますが、子供の頃から並外れた集中力を持っているけれどそれ以上に物凄い努力をしています。
ネフローゼという難病と戦いながら、最後まで将棋に向かっていました。
途中、将棋の一手などの部分が分からず、これが分かれば更に村山聖がどれほど凄い人なのかが分かるかと思うと、私も将棋が出来ればよかったと残念です。
最後にも棋譜が載っているので、それを理解できると更に面白いと思います。

聖(さとし)の青春 (講談社文庫)

2008年04月27日

「愛妻日記」重松清

R-18指定の重松清。奥様には隠れて読んでほしいのです。夫のゆがんだ情欲を描く、初の性愛小説集。
「匿名で官能小説を」という「小説現代」編集部の注文を承けて、表題作を書いた。最初は一度かぎりの企画物のつもりだったが、ハマった。2作目以降は、志願して短編を書き継いでいった。全6編。いずれも、夫婦の物語。官能小説。妻に対する夫のゆがんだ――でも、だからこそまっとうでありうるはずの情欲を描いた。小説の書き手として、これらの物語を僕は欲していたのだろう。今後も夫婦や家族の物語を書きつづけたいから、性から逃げたくなかった、のかもしれない。 重松清

うーん。なんとも感想の書きにくい本です。
普通の夫婦、もしくは性に対して淡白な夫婦が、夫の心の中に隠れていた歪んだ情欲によっていつもと違うセックスをする。
男の目線で、しかも歪んでいるということで、どうも納得のいかない描写もありました。
やっぱり男性は女性を蔑み、征服したいのでしょうか。

目次
ホワイトルーム / 童心 / 愛妻日記
煙が目にしみる / 饗宴 / ソースの小壜

愛妻日記

2008年04月25日

「暴走老人!」藤原 智美


「暴走老人!」藤原 智美
214p 文藝春秋
目次
序章 なぜ「新」老人は暴走するのか
第1章 「時間
第2章 「空間」
第3章 「感情」

待てない、我慢できない、止まらない―「新」老人は、若者よりもキレやすい。
孤独な老人たち「暴走」の底に隠されているものとは?

「新」老人って、団塊の世代なのかなぁ。

都市も田舎も 孤独な老人で あふれていくようだ。
だから どうしようって話ではないけれど 客観的に「今」を 見つめることはできる。
老人の話ではなく「今」の社会の話だ。
なるほど、「今」は こうなのだなぁって 納得したりして。
それが わかってから どう対策を 練るかってことね。

2008年04月25日

舞台化――映画【フラガール】

2008年7月18日より8月3日まで、赤坂ACTシアターで上演。

出演は福田沙紀、片瀬那奈、阿部力、根本はるみ、今井りか、風間水希、福本伸一、華城季帆、田山涼成、久世星佳。

イープラスの記事


『フラガール』を支えた映画ファンドのスゴい仕組み (角川SSC新書 (008))『フラガール』を支えた映画ファンドのスゴい仕組み (角川SSC新書 (008))
(2007/10)
岩崎 明彦

商品詳細を見る


フラガール (花とゆめCOMICS)フラガール(花とゆめCOMICS)
(2006/11)
瑞樹 奈穂

商品詳細を見る


フラガール メモリアルBOXフラガール メモリアルBOX
(2007/03/16)
松雪泰子、豊川悦司 他

商品詳細を見る



ちかごろブログ記事を書いていて福田沙紀ちゃんの名前を見かけることが多いです。

大忙しですね。がんばってください。


にほんブログ村 本ブログへ

2008年04月25日

「若冲の目 」黒川 創


「若冲の目 」黒川 創
349p講談社
目次
鶏の目
猫の目

鶏の目は、若冲の石摺を 手伝った「妹」を 過去帳など 辿って探す主人公。
猫の目は、若冲だけで無く若冲を好んだ漱石に関しても踏み込む。

「鶏の目」のほうは まだわかりやすいんだけど、史実かどうかは、からない。
「猫の目」関しては もつれた糸のごとく 迷い込んでしまう。漱石だけでなく「若冲になったアメリカ人 ジョー・D・プライス物語 」ジョー・プライス のような人も でてくるし、ほかにもいろいろ出てくるんだけど、ナンやねんこれは?状態。
主体が ころころ変わるのが メッチャ読みにくい。
誰のことばなんや?

さらに言うなら、Iとか O・Sとか 頭文字にする 理由が 意味不明。

読み手が バカだから 作家の意図することが わからないよ。

最初の「鶏の目」ほうだけで やめとけばよかった。
こっちは ころころ変わっても、楽しめた。


2008年04月25日

さぬきうどん偏愛(マニアックス)(小石原はるかと極東うどん喰え喰え団)

半年前、妻を亡くした。事故だった。
いい妻だった、と今でも思う。家事洗濯を疎かにすることもなかったし、私の健康に気を配ってくれたりもして、あぁ結婚してよかったと常々思っていたものだった。
その妻が、死んだ。
正直、しばらく何もする気になれなかった。そんな私が、傷心旅行に讃岐を選んだことに、特に意味はない。適度に遠くて、適度に田舎で、適度に人のいる、そんな場所を漠然と思い描いた時、讃岐もいいかと思いついたのだ。
そこで食べたうどんに、私は衝撃を受けてしまった。世の中に、こんなに旨いものがあったのか、と思うほどの価値観の転換であった。とにかく、うどんといううどんを食べ歩いた。
それから私が思いついたことは、今でも失笑ものだったと思っている。しかし、その思い付きのお陰で今成功できているとも言えるわけで、人生何が起こるか分からないものである。
さぬきうどんを自分で作ろう、と思ったのだった。
弟子入りするなんて発想は出てこなかった。うどんの基本的な作り方をネットで調べ、あとは自分が食べまわった時の舌の記憶を元に、とにかくうどんを打ちまくった。気づけば、会社は辞めていた。友人とも会わなくなって行った。私は、うどんを打ち続けるだけの人間になった。
ある日。結局何度試してみてもあのさぬきうどんらしいコシが出ないことに諦めを感じ始めていた私は、もうこのくらいでいいかもな、と思った。別に店を出そうというのでもない。ただの趣味だ。もう止めよう。でも止める前に、供養をしよう。そう思った。
私は小麦粉に妻の遺骨をほんのわずか入れ、そしていつものようにうどんを打ち始めた。このうどんを自分で食べて、妻への供養としよう。そして、また新しい自分の人生を始めよう、と。
ちょうどその日。私の生活を案じた友人の麻里絵が、私の様子を見に家までやってきた。彼女は私がうどんを打っていると知ると、是非食べたいと言った。ちょっとこれはマズイかなとも思ったが、遺骨はほんのわずかだし、まあ大丈夫かと思った。
「ねぇ、これ店出そう」
麻里絵は一口食べるなりそう言った。
「いや、大したうどんではないんだ。店で出すほどでもない」
「確かに、悪いけどうどんとしては普通だと私も思う。でも、悪いようにはしない。私にまかせて。土地も店も人も、なるべく私が手配してあげる。だから、店を出そう。超人気店になることは、私が保証する」
正直言って、未だにわからない。何故彼女が、ここまで私のうどんを推してくれたのか。あれだけさぬきうどんを食べまくった私だ。もちろん、自分が作るうどんが並であることは分かっている。何故ここまでこの店は繁盛することになったのだろうか。
不可思議なことが二つある。
一つ目は、麻里絵に指摘されたことだ。店を出す条件として彼女に厳命されたのが、あの時麻里絵が食べたのとまったく同じうどんを作る、ということだった。その後、商品開発という名目で麻里絵が私のうどんを食べる機会があったのだが、その一番初めの時、妻の遺骨を入れずにうどんを打ったら、これは前のうどんと違う、と指摘された。前の時との違いは、どう考えても妻の遺骨を入れたかどうかだけだった。そう思い次から入れるようにしたら、麻里絵は何も言わなくなった。しかし、妻の遺骨を入れるかどうかで味が激変するとは思えない。実際自分で食べ比べても分からないのだ。何なのだろうか。
そしてもう一つは、店に来るお客さんは女性のみであるということだ。これは、女性が多いとかほとんどが女性である、というレベルではない。時々ふらりとサラリーマンが入ってくる以外は、客のすべてが女性なのだ。しかもリピーターが多い。
しかしまあ不思議なことはあるものの、店は繁盛しているし、妻の遺骨も役に立っていて、これはある意味で一つの供養になっているだろうな、と思っている。妻の恩に報いることが出来た、とまでは言わないが、まあ怒られない程度には頑張ったかなと思う。どこかで私の頑張りを見ていてくれるといいのだけどな。

一銃「うどんと妻と私」

このショートショートを読んでくれた方は、森奈津子「西城秀樹のおかげです」の感想に書いた、「うどんの快楽」というショートショートも読んでいただけると話が繋がると思います。
そろそろ内容に入ろうと思います。
本作は、極東(関東圏)で食べることが出来るさぬきうどん、というものをメインにした本になっています。
実際さぬきうどんを食べるならもちろん讃岐に行くべきでしょう(なんとわたくし、今週末讃岐に行ってまいりますが!たらふくさぬきうどんを食して参ります)。でも、四国は結構遠い。そこに住んでいる人には申し訳ないけど、僕からすれば陸の孤島と思うような場所にある。そしてさぬきうどんというのは、そこに行かないとちゃんとは食べられないのだ。
しかし!それはあまりにも哀しいではないか!というわけで、もちろん讃岐にある本場のうどん屋並とはいかないけど(本場並と言えるところも三軒ほどありますが)、でも関東圏でも食べることの出来る美味しいさぬきうどんの店に行こうではないか、というまあそんな本であります。
まずとにかく行ってみたいのが、本場並だと称される「すみた」「綾」「イーハトーボ」の3店ですね。もうこの三つは、本場讃岐で食べるうどんともひけを取らないとのことで、是非行きたいところです。他にも、主に東京を中心として、オススメのお店のリストが載っていて、便利だと思います。
また本作は、このうどん喰え喰え団が本場讃岐に乗り込んだ時のレポートもあります。かなり簡略化されたレポートですけど、行きたいなという気分を高めてくれます。他にも、うどん打ちの体験レポートだとか、うどん好きの有名人へのインタビューだとか、まあいろいろ載ってます。まあでも何にせよ、東京のうどん屋ガイドブックとして使えると思います。うどんに関する情報のあるHPについても照会してますしね。
というわけで、関東圏に住んでる人は買いです。そんでとりあえず、「すみた」「綾」「イーハトーボ」のどこかには行きましょう。

小石原はるかと極東うどん喰え喰え団「さぬきうどん偏愛(マニアックス)」


さぬきうどん偏愛文庫

さぬきうどん偏愛文庫

2008年04月24日

西城秀樹のおかげです(森奈津子)

「ねぇ、うどん食べに行こう」
ついさっき、珠巳にそう言われて、私は今彼女の車に乗っている。有無を言わさず、という感じだった。
「うどん?いいよ別に、そんな気分じゃない」
特に好きな食べ物というわけでもない。仕事が終わって疲れてるし、見たいテレビだってある。何でわざわざうどんなんぞ食いにいかにゃならんのだ。
「いいからいいから」
「よかねぇよ」
「マジすげぇんだって。ホント後悔させないから!」
「すげぇって、そんなに旨いわけ?」
「いや、旨いわけじゃないみたいだけどね…」
何だそりゃ。じゃあこれからわざわざ旨くもないうどんを食いに行くつもりだっていうのか。
「行かない行かない。旨くないんでしょ、だって。いいよ」
「まあまあ、いいからいいから。ホント、騙されたと思ってあたしについて来なさい」
あんたにはこれまで何度騙されたことか、って言ってやろうかと思ったけど、止めた。こうなると珠巳はもう止められない。結局私は彼女の車に乗る羽目になってしまったのだ。
「好美っていたでしょ?」
運転席の珠巳が話し掛けてくる。
「あぁ、あの淫乱?」
「ちょっと!死んだ人のことをそんな風に言わないの!」
「いいじゃん。だってホントのことだし」
「まあそうだけど。んでね、その好美の旦那、ってまあ好美は死んじゃったんだから元旦那か、その旦那がうどん屋を始めたんだってさ」
「ふーん」
別に興味のある話ではなかった。好美は、大きな括りをするならば私たちの友達で、でも実際はあんまり好かれてる女じゃなかった。友達付き合いしてたのも、成り行きっていうかたまたまっていうかそんな感じだったし、事故で死んじゃった時も、まあそんなもんかって感じでそんな哀しくもなかった。まあそれぐらいの女だった。
好美はとにかく淫乱で、結婚してからも複数の男と付き合いを続けていた。旦那には絶対バレてないって言ってたけど、どうなんだろう。まあありえないとは言えない。好美だし。事故にあったのだって、浮気相手の家に行く途中だったのは明らかだったけど、まあそんなこと誰も旦那には言わないだろうしね。幸せだけどバカな男。
その男がうどん屋を始めたからって何だというんだろう。珠巳だって別に好美とそこまで仲がよかったわけではないはず。ってまあいいか。考えるの面倒になってきた。
「着いたよ」
いつの間にか着いたらしい。まあうどん屋だと言われればうどん屋に見えるし、パン屋と言われればパン屋に見えるかもしれない、何とも中途半端な店構えだった。
店に入ってまず驚いたのが、客が女性ばかりだった、ということだ。っていうか、全員女性だった。これは異常ではないだろうか。女性だってもちろんうどんは食べるだろう。しかし、サラリーマンのおっさんがこの時間帯に一人もいないうどん屋なんてありえるのだろうか。
「何がオススメなわけ」
珠巳に聞いてみる。
「まあ何だっていいのよ、メニューはさ」
よくわからない。しかし、元々そんなに積極的に食べたいわけでもないので、かけうどんの小を頼むことにした。
「小でいいの?」
「家に帰ったらご飯あるし」
実家暮らしなのである。
「いやいいんだけど、たぶん大とかの方がいいよ」
大にすると何がいいのかよくわからない。まあいいさ。とりあえず小でもちゃちゃっと食べて、さっさと帰ろう。
うどんは、まあ普通のうどんで、スープもまあ普通そうだった。目で見ただけじゃ、コシだとか味だとかはもちろん分からない。だからとりあえず口に入れてみる。
「えっ!」
何今の?えっえっ、どういうこと?は?今のあたしの口?
私の思考は乱れに乱れた。何が起こったのかさっぱりわからなかったのだ。私はただ、うどんを口に入れただけだ。それなのに、この衝撃は何だ?
もう一度口に入れてみる。
「ああぁ~ん」
思わずそんな声がこぼれ出てしまう。もちろんうどんは口から落ちる。
そんなバカな!私は口にうどんを入れているだけだ。それなのに、どうしてアソコに指を入れた時みたいな衝撃が走るんだろう!
私は珠巳を睨んだ。珠巳は私の視線に気づくとニヤリと笑い、
「声出してるの、あんただけだよ」
と言ってのけたのだ。
くっそぉ!私だって、こういううどんだってあらかじめ知ってたら声だって我慢したわよ!このクソ女!
しかし、いくら心の中で悪態をついても、それは弱い。弱いことを自覚している。何故なら、それほどまでにこのうどんの快感は凄まじいからだ。
まるで口が女性器そのものになってしまったかのようだ。うどんを口に入れる度、口が快感を覚えるのだ。それは、これまでに経験したどんな快感をも超えていて、私はうどんを咥えているだけなのに、何度か昇天しそうになった。
「あうぅ~ん」
「んぐぅあ~ん」
抑えようと頑張っても声が出てしまう。うどんは一向に食べられない。これじゃらちがあかないと思い、うどんを一気にすすり上げることにした。
「はぁ~ん」
背骨が溶けるかと思うほどの快感に襲われた。店にいる他の客はすごいな。こんなの、我慢できるレベルじゃないだろ。
それからも私は、襲い来る快楽に翻弄されながら、何とかうどんを食べきった。
「おかわりはいらないの?」
珠巳が面白そうに私を見ながらそんなことを言う。なんて余裕のあるやつだ。私はもう限界だってのに。
「すごいね、ホントここのうどん。でも今日はもういいや。また連れてきて。お願い」
確かにこれは病みつきになる。店に女性客しかいないのも当然だ。まったくホントに、すごいうどんだったぜ。

一銃「うどんの快楽」

こんな話を書かなければいけなかったのは非常に不本意ですけど(しかも敬愛するうどんをモチーフにして!)、でも本作の雰囲気からするとこういう感じの話がまあ妥当なわけですね。
そろそろ内容に入ろうと思います。
本作は、8編の短編が収録された短編集となっています。

「西城秀樹におかげです」
致死率100%の感染症のために人類が絶滅してしまった世界に生きる二人の人間。何故彼らは生き残ることが出来たのか。そしてそこに、人類を滅亡させてしまった原因を作ったという異星人がやってくる。異星人は、お詫びにあなた方の望むやり方で地球を再生しなおしましょう、といってくれた。果たして二人はどうするのか…。

「哀愁の女主人、情熱の女奴隷」
時子の兄夫婦は、一人娘である絵美里と巨額の富を残して死んでからひと月経つ。時子は、兄夫婦の住んでいた家に移り住んだ。
そこには、メイドロボットがいた。子供が苦手な時子は、メイドロボットに絵美里を慰めさせようとしたのだけど、そのロボットは実はメイドではなくセクサロイド、つまり夜のお供用のロボットだったのだ!ロボット時子の間で、倒錯的なやり取りが続き…。

「天国発ゴミ箱行き」
死んだ人間は、それまでの人生で得たポイントに応じて次の人生を選択できることになっているらしい。そこで人生プランナーと名乗るやつが、わたしの次の人生候補をいくつか見せてくれることになった。わたしが唯一出した要望は、「色好み」ということだけである。
三つのサンプルを用意してくれたのだけど、その中に『森奈津子』という作家の人生も含まれていて…。

「悶絶!バナナワニ園!」
マダム・リリーと名乗る、人間型ロボットデザイナーに、刑事が単独で内偵に乗り出すことにした。レズビアンの疑いが掛けられているのだが、警察の上の方から彼女には手を出すなと捜査をストップされてしまったのだ。
その内偵に借り出された友人の探偵は、助手を伴ってマダム・リリーのいる「バナナワニ園」に乗り込むのだが…。

「地球娘による地球外クッキング」
SFファンである里紗は、同居人であるレズの吉田とゲテモノ食いの美花子の喧嘩を聞いていた。何でも、吉田が恋人(でも女)を部屋に連れ込んだからだった。まあそれはどうでもいい。
外で音がしたので見に行くと、なんとUFOと宇宙人がいた。UFOも宇宙人もかなり小さいサイズだった。吉田は、自分の家の敷地内に来たのだから(三人は吉田のところに居候している形である)、これは所有権は私にあると主張するのだが、美花子はとにかくその宇宙人を食べたいと主張するのだ。そこで吉田は、もし美花子を抱かせてくれるならこの宇宙人はあげるわ、なんて取引を持ちかけ…。

「タタミマットとゲイシャ・ガール」
元々ドラキュラだったのに、バーチャルの世界で蚊に姿を変えられてしまった。蚊は、このバーチャルな世界で生き血を吸うことが出来れば、元のドラキュラの姿に戻れることになっている。どうやら自分がいるのは日本のようだ。どれどれ、ここは一つキモノを来た美女でも狙うことにしようか…。

「テーブル物語」
あるテーブルがある。そのテーブルには、女性器が四つ、男性器が四つついている。そのテーブルにまつわる話が、「テーブル物語」である。
昔小道具屋がこのテーブルを手にすることになるのだけど、まったく売れない。そこに、知り合いの奴隷商人がやってきて、今自分が連れてるこの少女と一緒にセットで売ればそのテーブルも売れるんじゃなかろうか、と持ちかける。小道具屋はそれに乗ることにし、少女は裸にされてそのテーブルに縛り付けられることになる…。

「エロチカ79」
1979年、「金八先生」が大ヒットしている頃のどこかの高校での話。
金がない麻里亜は、ちょっとカツアゲでもするかと思い、大人しそうな女子を捕まえて金を要求した。その女子は、「後生ですから…」と言って助けを求めたが、麻里亜は引くつもりはない。
そこに生徒会長が現れた。そして、
「後生ですから、と言っているのだから、ルールに則れ!」
と言い、そのままレズプレイに持ち込んでしまうのである…。

というような話です。
いやはや、まあなんと言いますかですね、とにかくエロい話ばっかりでしたね。とにかく気になったのは、西城秀樹はこの事態をちゃんと理解してるんだろうか、ということです。そもそも小説のタイトルに有名人の名前が入ってるなんてのは異例中の異例ですけど、さらにその作品が完全にエロエロな作品なんですからね。西城秀樹はホントにその点をちゃんと理解してオッケーしてるんでしょうか(あるいは西城秀樹にはオッケー取らずに使ってるのか?)。まあそんな心配はどうでもいいんですけどね。
ホント、僕がざっと書いた内容紹介を読んでもらうだけで、どれだけ無茶苦茶かっていうのは分かろうというものです。ただエロいだけじゃなくて、無茶苦茶な話なんですよね。かなり笑いました、ホント。
一番くだらなくて面白いと思ったのは、「悶絶!バナナワニ園!」ですね。このくだらなさはちょっとすごいと思います。要するにバナナとワニの二択を迫られることになるんですけど…、ってまあこれ以上は読んでください。
あと、「地球娘による地球外クッキング」もアイデアがアホすぎて最高でしたね。宇宙人を食べたいっていう女が出てくる時点で終わってますけど、しかもその取引のためにルームメイトの体を要求する女っていうのも終わってますね。しかも何が面白いってこの話、始終SFファンである里紗の存在を完全にないがしろにして進んでいくんですね。馬鹿馬鹿しくていいですね。
あと、「エロチカ79」も好きです。これは、「後生ですから…」というと生徒会長が出てくるというパターンの三つの話が一緒になってるんですけど、よくもまあこんなくだらないことを思いつくなという感じでした。
あと、「哀愁の女主人、情熱の女奴隷」とか「悶絶!バナナワニ園」とかを読んでると、ドMってのは素晴らしく最高に幸せな存在だなって思ったりします。とにかく、どんな悪い状況でさえも、自分にとっては快楽の空間に変えてしまうわけで、最強です。
表題作である「西城秀樹のおかげです」は、まあそこそこという感じですかね。まあ、何で西城秀樹なのかっていう理由はなかなか面白いなとは思いましたけどね。
まあそんなわけで、すっごいくだらない作品なんで、買って読むほどではないと思います。でも、たまには息抜きにくっだらない作品を読んでみたいと思うような人にはなかなかいいですよ。とにかくくだらなくて、脱力保証付きです。

森奈津子「西城秀樹のおかげです」


西城秀樹のおかげです文庫

西城秀樹のおかげです文庫

2008年04月24日

映画化――辻仁成【サヨナライツカ】

主演は中山美穂。辻仁成との結婚以来パリに在住し女優業を控えてきたが、この作品で本格復帰。

小説『サヨナライツカ』は2001年に発表され、2002年にフジテレビ製作・行定勲監督で映画化が決まった作品。しかし監督がフジ側と方向性をめぐって対立し降板。また辻仁成と中山美穂が結婚したこともあって製作が凍結された。

今回は韓国の李宰韓(イ・ジェハン)監督がメガホンをとる。2008年5月からクランクイン。

SANSPO.COMの記事
毎日jpの記事
スポーツ報知の記事


サヨナライツカ (幻冬舎文庫)サヨナライツカ
(幻冬舎文庫)

(2002/07)
辻 仁成

商品詳細を見る


にほんブログ村 本ブログへ

2008年04月24日

「ゴールデンスランバー」

開くと、懐かしい字が目に入り、思わず眼を細めてしまう。「俺は犯人じゃない。青柳雅春」の文字があった。
「知ってるって」

「ゴールデンスランバー」井坂幸太郎著(新潮社)  ISBN:9784104596034 (4104596035)

仙台で勃発した未曾有の首相暗殺事件。訳も分からず「オズワルド」にされた青年がたどる、必死の逃避行2日間。

私は嫌いな食べ物がほとんど無いので、「食わず嫌い王決定戦」に出ることになったら困るなあ、なんてよく考える。だが、作家には「食わず嫌い」が結構あり、その一人がこの著者だった。初期の1作だけ読んだことがあるのだけれど、どうも肌が合わないと感じ、その後、ブロガーの間で大人気なのを知りつつも、なんとなく手が出なかった。

で、ようやく今回の話題作を読みました。なにしろ「本屋大賞」「読者大賞」ぶっちぎり2冠のエンタメ大作。いやー、一気読みでした! スピードとユーモアがたっぷり、陰惨な暴力やお色気はなし。5ページにひとつ、というくらいの伏線大盤振る舞い。そして主題は「人間の最大の武器は信頼」。ディズニーの大人向け映画のように、爽やかで実によくできている。食わず嫌い、返上です。

勝手ながら、主人公の青柳のイメージは「巻き込まれ型つながり」で玉木宏。いや、年齢が合うのは伊藤英明でしょうか。ただ一人、貴重な不気味さを放つキャラクターの三浦は、藤原竜也。出番は少ないけれど意外と説得力が必要なのが、樋口晴子の夫。普通人の懐の深さを感じさせる人で、加瀬亮さんとか… いろいろ想像するのも楽しい。(2008・4)

「ゴールデンスランバー」井坂幸太郎  本を読む女。改訂版
井坂幸太郎【ゴールデンスランバー】  ぱんどらの本箱

2008年04月23日

映画化――横山秀夫【クライマーズ・ハイ】

NHKでドラマ化された作品を映画化。公開は2008年7月5日。東映とギャガの共同配給。

出演は堤真一、堺雅人、滝藤賢一、遠藤憲一、山崎努、高嶋政宏、小澤征悦、田口トモロヲ。

イメージソングを常田真太郎(スキマスイッチ)が作詞作曲し、元ちとせが歌う。

bounceの記事
Variety Japanの記事


クライマーズ・ハイ (文春文庫)クライマーズ・ハイ (文春文庫)
(2006/06)
横山 秀夫

商品詳細を見る



にほんブログ村 本ブログへ

【広告】

サイト内検索

メンバー紹介

このサイトに自分のブログを載せたい!
(ブログの登録は無料です。)


アーカイブ